「オンライン申請って便利そうだけど、結局何から始めればいいのかわからない」
「利用申出とオンライン申請って何が違うの?」
「調べても記事によって書いてあることが違う気がする」
特定技能外国人を雇っている企業や登録支援機関の担当者から、こんな声をよく聞きます。
実はこの混乱には理由があります。2026年1月5日に、在留申請オンラインシステムが全面的にリニューアルされました。
そのため、それ以前に書かれた「画面を10ステップで解説」系の記事は、今のシステムとは見た目が変わっている可能性があります。
この記事では、制度の全体像から、迷いやすいポイント、最新の注意点まで、順を追って整理します。
- 「利用申出」と「本申請」、2段階の手続きの違いと順番
- オンライン申請ならではのメリットと、見落としがちな注意点
- 2026年最新システムでの正しい情報の探し方
1.在留申請オンラインシステムの全体像:2つのステップに分かれていることを理解する

在留申請オンラインシステムとは、出入国在留管理庁が運営するインターネット上の申請窓口です。
従来のように入管の窓口へ足を運ぶことなく、オフィスのパソコンから在留資格の変更許可申請や在留期間更新許可申請などを行えます。
特定技能の担当者にとって特に重要なのは、これから説明する「2段階の手続き」の仕組みを理解しておくことです。
| ステップ | 内容 | 誰が行うか | 頻度 |
|---|---|---|---|
| ① 利用申出 | オンラインシステムを使うための「アカウント登録」を入管に申請する | 企業・登録支援機関・行政書士などの担当者 | 最初に1回(承認後は継続利用) |
| ② 在留申請(本申請) | 実際に在留資格の変更・更新などを申請する | ①で承認された担当者 | 対象者ごとに毎回 |
つまり、「①利用申出」で入管からアカウントの承認をもらって初めて、「②本申請」を何度でもオンラインで行えるようになる、という順番です。
①を毎回やり直す必要はありません。ここを最初に押さえておくと、以降の説明がぐっと理解しやすくなります。
▼あわせて読みたい
特定技能における申請手続きをスムーズに進めるためには、入管との適切な連携や基本的な関係性の理解が欠かせません。入管の対応窓口や求められる手続きの全体像について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.誰がオンライン申請を使えるのか

出入国在留管理庁が公表している利用者区分は、大きく分けて次の通りです。
特定技能の場合、受け入れ企業の担当者や登録支援機関の職員が申請の窓口になるケースが大半ですが、実は利用できる立場は思っている以上に幅広く設定されています。
まずは自分がどの区分に当てはまるのかを確認しておきましょう。
在留申請オンラインシステム利用者区分
- 所属機関(受け入れ企業)の職員(申請取次者として承認・要件を満たす必要あり)
- 弁護士または行政書士
- 外国人の受け入れを支援する公益法人の職員
- 登録支援機関の職員
- 外国人本人
- 法定代理人・親族(配偶者・子・父母など、本人が16歳未満または病気等で自ら申請できない場合)
企業の担当者や登録支援機関の職員がオンライン申請を行う場合は、事前に「申請取次者」としての承認を受けているか、その要件を満たしている必要があるという点が見落とされがちです。
この承認がないまま利用申出だけ進めても、後で差し戻しになることがあります。
3.オンライン申請のメリット:優先順位をつけて理解する

特定技能の申請業務において、オンライン申請を導入することで得られる主なメリットは大きく3つあります。
手数料の安さが注目されがちですが、実務担当者にとって本当にインパクトが大きいのは別の部分です。優先順位を意識しながら、それぞれの効果を見ていきましょう。
4.ステップ1:事前準備「利用申出」のやり方

オンライン申請を始めるためには、いきなりシステムにログインして申請できるわけではありません。
事前に管轄の出入国在留管理局に対して「利用申出(アカウントの発行申請)」を行い、承認を受ける必要があります。
ここでの準備が不十分だと、後々の本申請でつまずく原因にもなるため、順番に確認していきましょう。
必要書類(受け入れ企業が初めて申出をする場合の一般的な例)
- 在留申請オンラインシステム利用申出書(所定様式)
- 申出を行う担当者の在職証明書
- 登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)
- 利用規約遵守に関する誓約書
- 雇用中・雇用予定の外国人一覧名簿
登録支援機関や行政書士が申出を行う場合は必要書類が異なるため、この一覧をそのまま流用しないよう注意してください。
なお2026年1月5日以降は、公益法人や登録支援機関の職員が提出すべき資料の扱いが変更されているため、最新の指定を出入国在留管理庁のサイトで必ず確認することをおすすめします。
承認までの流れ
- 様式をダウンロードし、必要事項を記入・押印する
- 管轄の地方出入国在留管理官署へ郵送または窓口持参で提出する
- 審査後、承認されれば登録メールアドレスに初期ログイン情報が届く
- 初回ログインしてパスワード等を設定すれば準備完了
承認までは数週間かかることもあるため、在留期限に余裕を持って早めに動き始めることが大切です。
5.ステップ2:実際に申請する(個別申請・一括申請)

アカウントの発行が完了したら、実際にシステムへログインして特定技能の在留申請を行います。
申請方法には「個別申請」と「CSV一括申請」の2種類があります。
出入国在留管理庁が公開している最新の公式操作マニュアル(PDF)を使うのが確実です。2026年1月のシステム刷新で画面が変わっているため、古い情報に頼らず最新版を確認することが重要です。
これらのマニュアルは変更のたびに更新されており、直近の改訂状況や最新のマニュアル表記については、出入国在留管理庁の公式ポータルサイトで最新版を参照してください。
個別申請の大まかな流れ
- システムにログインし、手続きの種類を選ぶ
- 対象者の在留資格・基本情報を入力する
- 在留カードの受領方法を指定する(郵送、メール受領など選択肢あり)
- 顔写真・添付資料(雇用契約書、支援計画書など)をアップロードする
- 入力内容を確認して申請を送信する
一括申請(CSV)の大まかな流れ
- 専用のExcelテンプレートをダウンロードする
- 対象者全員分の情報を規則通りに入力する
- CSV形式で保存し、システムにアップロードする
- エラーチェック後、各申請者の顔写真・添付資料を紐づけて完了する
エラーチェックで引っかかりやすいのは、フォーマットのズレ(全角・半角、日付形式など)です。テンプレートの入力例を必ず見ながら作業してください。
6.特定技能ならではの注意点(2026年4月以降)

特定技能に「リネンサプライ分野」「工業製品製造業分野」「造船・舶用工業分野」「自動車運送業分野」「鉄道分野」「林業分野」「木材産業分野」「資源循環分野」が新たに追加されました。
それに伴い、これらの分野ではオンラインシステムの入力項目の一部が暫定的な読み替え対応になっています。
該当分野を扱う場合は、事前にこちらの案内(PDF)で入力方法を確認してから作業を始めてください。
出典:法務省
▼あわせて読みたい
特定技能の分野追加をはじめ、外国人雇用を取りまく法制度は日々アップデートされています。企業が押さえるべき最新の入管法改正の要点や具体的な実務対応策について知りたい方は、こちらの解説記事も要チェックです。
7.失敗しないための5つの注意点

オンライン申請は非常に便利なシステムですが、実務上で注意しておかないと、思わぬトラブルや不許可・補正(やり直し)の原因になってしまうポイントがあります。
特に見落とされやすいのが、期限当日の扱いや、登録支援機関が行える業務範囲に関するルールです。順番に確認していきましょう。
1. 在留期限「当日」はオンライン申請ができない
在留期間満了日の当日は、システムでの申請ができません。
この日になってしまった場合は、管轄の地方出入国在留管理官署に直接出頭して窓口申請する必要があります。オーバーステイのリスクにつながるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
2. 海外からの申請はできない
海外のIPアドレスからのアクセスは制限されており、本人が海外にいる状態でのオンライン申請は行えません。必ず日本国内から手続きする必要があります。
3. 利用IDの共有は禁止
発行されたログインIDやパスワードを社内で使い回したり、外部に貸したりすることは利用規約で禁止されています。担当者が異動・退職する場合は、利用者情報の変更手続きを忘れずに行いましょう。
4. 登録支援機関が「書類作成」を代行するのは要注意
登録支援機関は「申請取次」が可能ですが、行政書士資格を有しない職員が有償で「申請書類の作成」を代行することは行政書士法(第19条)に違反します。
行政書士法第19条
行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない。
ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。行政書士法第19条第1条の3
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類
[その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ]
その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とする。
2:行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
自社でどこまで対応し、どこから専門家に依頼するかの線引きは、法令遵守の観点で重要です。
5. 「利用申出=毎回必要」ではない
繰り返しになりますが、利用申出は最初に一度行えば、承認後は継続してオンライン申請を利用できます(利用者情報に変更があった場合の届出は別途必要です)。
ここを勘違いして毎回申出書を用意している企業も見受けられるので、注意してください。
▼あわせて読みたい
申請書類の作成やコンプライアンス遵守で迷った際は、入管業務に詳しい行政書士などの専門家へ頼るのも選択肢です。こちらの記事では自社対応と専門家依頼の判断軸や、行政書士に依頼するメリットを分かりやすくまとめています。
8.よくある質問

ここまでの内容と重なる部分もありますが、特に問い合わせが多い3つの疑問について、あらためて端的にまとめます。
オンライン申請を初めて導入する担当者ほど、こうした細かい疑問でつまずきがちです。
-
個別申請と一括申請、どちらを使うべき?
-
目安として、1〜数名程度なら個別申請の方がシンプルです。同時に多数(10名以上など)を処理する場合は、Excelテンプレートを使った一括申請の方が効率的です。
-
利用申出の承認にはどれくらいかかる?
-
記事執筆時点で明確な標準処理期間は公表されていませんが、数週間程度かかるケースが一般的とされています。余裕を持って早めに申請してください。
-
オンライン申請なら審査も早くなる?
-
審査そのものの標準処理期間は、申請方法(窓口・オンライン)による違いを公式に明言したものは見当たりません。オンラインで短縮できるのはあくまで「申請にたどり着くまでの時間(移動・待ち時間)」である点に注意してください。
9.オンライン申請を活用し、適切な体制整備を進めるポイント
特定技能のオンライン申請は「利用申出」と「本申請」の2段階でできています。
移動・待ち時間の削減や一括処理という利点がある一方、期限当日の申請不可など制約もあります。
2026年1月のシステム刷新で画面も変わったため、細部は必ず公式マニュアルで確認しましょう。
記事を鵜呑みにせず一次情報にあたる姿勢が、トラブル回避の一番の近道です。