今日本の少子高齢化による労働力人口の減少は、多くの産業で深刻な人手不足を引き起こしています。その背景により外国人材採用の重要性が高まってきており、外国人の採用を行っている企業も増えてきております。
特にベトナム人留学生は日本企業から高い関心を集めており、企業にとっては即戦力となる可能性を秘めた貴重な人材です。
なぜ今ベトナム人に注目があつまっているのでしょうか?
- 日本で働くベトナム人の実習生や留学生が急増している理由
- 企業がベトナム人を採用することのメリット
- ベトナム人留学生採用の実際と成功事例
- ベトナム人留学生との共創で実現する未来
1.ベトナム人留学生との共創で実現する未来

ベトナム人留学生が注目される理由は多岐にわたります。まず、ベトナムは親日国として知られ、文化的な親和性の高さが挙げられます。特にアニメはもっとも高い割合で若者のベトナム人に人気です。
日本のアニメ・漫画文化の浸透、また日本製品への信頼感の高さからも日本に親近感を抱くベトナム人が急増している現状です。
また、勤勉さと学習意欲の高さも特筆すべき点だと言えます。
多くのベトナム人留学生は、将来的に日本企業で働くことを視野に入れて熱心に日本語を学び、専門知識の習得に励んでいます。
それは日本での就労経験を通じて高い技術を身につけることで、将来のキャリアアップを図りたいという強い向上心があるからです。経済的な側面も重要な要因と言えるでしょう。
現在日本の新卒月給が約18~25万円であるのに対し、ベトナムでは3万円前後と大きな賃金格差があり、この格差はベトナム人留学生が日本での就労を希望する最も強い動機となっています。
日本における外国人労働者の数は年々増加傾向にあり、特にベトナム人労働者の急増が顕著です。ベトナム人留学生の現状、技能実習制度の改正、そして留学生政策が与えた影響について詳しく見ていきます。
急増するベトナム人留学生の実態と統計データ
厚生労働省が発表している『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、2023年時点で外国人労働者は230万人に達しており、その中でもベトナム人の増加率は特に高いことが分かります。
2018年に31万人だったベトナム人就労者数は、2023年には約57万人以上にもなっています。
参考:厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
ベトナム人就労者を在留資格別に見ると、以下のような分布となっています。

特に留学生の資格外活動(アルバイト)としての就労が全体の3分の1を占めており、多くのベトナム人留学生が学業と並行して日本企業で働いていることが統計からも明らかです。
これらの数字から、日本企業にとってベトナム人留学生が重要な労働力となっていることがわかります。
「外国人技能実習生制度」の改正
2017年に行われた「外国人技能実習生制度」の改正は、日本で働くベトナム人の増加に大きな影響を与えました。主な改正内容は以下の通りです。
1.対象職種の拡大 | 介護などの新たな職種が追加され、より多くの分野でベトナム人材が活躍できるようになりました。 |
2.実習期間の 延長 | 従来の最長3年から5年に延長されたことで、より長期的な就労が可能になりました。 |
3.受入れ人数枠の拡大 | 優良な監理団体・実習実施者に対しては、受け入れ可能な人数が増加しました。 |
これらの改正により、日本企業はより多くのベトナム人技能実習生を長期間雇用できるようになり、さらに中国の経済発展に伴い中国人技能実習生が減少する中、その欠員を埋めるためにベトナム人技能実習生の需要が高まりました。
また技能実習生の増加は、間接的にベトナム人留学生の増加にも影響しています。
技能実習を終えた後、より専門的なスキルを習得するために留学生として再来日するケースや、技能実習生として来日した人の家族や知人が留学生として来日するケースも見られるようになっています。
日本の留学生政策「留学生30万人計画」の影響
2008年7月29日に日本政府が発表した「留学生30万人計画」は、ベトナム人留学生の増加に直接的な影響を与えました。
この計画の主な内容と影響は以下の通りです。
留学生30万人計画
- 留学生ビザの緩和:要件が緩和されたことで、より多くのベトナム人学生が日本への留学を実現できるようになりました。
- 教育機関の整備:日本語教育機関や留学生受け入れ体制が整った専門学校、大学が増加し、受け入れキャパシティが拡大しました。
- 資格外活動の許可:留学生は資格外活動を申請することで、週28時間(休暇中は40時間)までアルバイトが可能となりました。これは欧米諸国と比較して柔軟な制度であり、経済的に余裕のないベトナム人学生にとって大きな魅力となっています。
- 計画の達成:2019年に計画が達成され、31万人以上の留学生を受け入れる体制が整いました。
この政策により、ベトナム人留学生は日本で学びながら、アルバイトを通じて学費や生活費を賄うことが可能になりました。
日本での就労経験を積みながら日本語能力や専門スキルを向上させることで、卒業後も日本企業への就職を視野に入れることができるようになっています。
これらの要因が複合的に作用し、日本で働くベトナム人留学生は今後も増加していくことが予想されるでしょう。企業側にとっては、この流れを理解し、ベトナム人留学生の採用と定着に向けた戦略を立てることが重要です。
2.「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

人手不足が深刻化する日本において、ベトナム人留学生の採用は多くの企業にとって有効な解決策となり得ます。本セクションでは、ベトナム人留学生を採用する際の具体的なメリットについて詳しく解説します。
日本とベトナムの親和性と文化的共通点
ベトナムは東南アジアの中でも特に親日国として知られています。
- 日本製品への信頼:ベトナムでは日本製品が高品質なことで広く認知されており、バイクから家電製品、化粧品まで多くの日本製品が人気を集めています。特に南部のホーチミン市ではバイクのことを「xe Honda(ホンダの車)」と呼ぶほど日本製バイクが浸透していて日本製品への信頼度が高いことがわかります。
- 文化的影響:日本の漫画やアニメはベトナムで広く親しまれており、ドラえもん、ドラゴンボール、ワンピースなどを見て育った若者も少なくありません。これにより、日本文化への親近感が醸成されています。
- 国際支援の歴史:日本からベトナムへのODA(政府開発援助)など国際支援が多く行われてきた歴史があり、「日本は助けてくれた国」という好印象が定着しています。
こうした親和性は、ベトナム人留学生が日本企業に溶け込みやすい土壌となっています。
彼らは日本文化や価値観について一定の理解を持っているため、企業文化への適応もスムーズに進むことが期待できるといえます。
高い向上心と学習意欲を持つ人材を採用しやすい
他の海外の留学生と比較すると、ベトナム人留学生は以下のような特徴が見られます。
ベトナム人留学生の特徴
①強い学習意欲:多くのベトナム人留学生は、より良い将来のために異国の地で学ぶという強い意志を持っています。この学習への姿勢は、職場でのスキルアップや業務習得にも良い影響を与えます。
②チャレンジ精神:特に技術職に就くベトナム人は、単純作業より新しい技術や仕事に挑戦したいという意欲を持つ傾向があります。明確なキャリアパスを示すことで、その熱意を企業の成長にも結びつけることが可能です。
③目標達成への意欲:ベトナム人留学生は独創性が高く、業務の効率化や問題解決に新しいアプローチを見出す能力に長けている傾向があります。こうした創造性は、企業の業務改善やイノベーションを促進する貴重な要素となります。
④創造性と改善力:明確なキャリアプランや昇進プランを示すことで、ベトナム人留学生は目標達成に向けて一所懸命に努力する傾向があります。将来のビジョンを共有することで、モチベーションを高く維持することができます。
これらの特徴からも分かるように、ベトナム人留学生の大きな特徴として、向上心の高さと学習への熱意が挙げられます。
専門スキルと語学力の両立可能性
ベトナム人留学生は、専門スキルと日本語能力の両方を持ち合わせており、習得する可能性が高い人材と言えます。
多くのベトナム人留学生は、来日前に基礎的な日本語学習を既に始めており、日本語能力試験(JLPT)のN2レベル程度を持つ人材も珍しくありません。
そのうえで日本の生活環境に適応するにつれて、彼らの日本語会話能力は急速に向上します。
特にアルバイト経験を通じて実践的な日本語コミュニケーション能力を身につけていく場合が多いです。また専門学校や大学で学ぶベトナム人留学生は、ITや工学、経営など様々な分野の専門知識を習得しています。
特にITエンジニアとしてのスキルに定評があり、デジタル化を進める日本企業にとってはかなり貴重な人材となっていくでしょう。
そしてグローバル時代を迎えている今、日本語とベトナム語のバイリンガル人材は、ベトナム進出を検討している企業や、ベトナム人従業員の多い職場で橋渡し役として活躍していくことができます。
若年層の雇用が期待できる
日本の少子高齢化が進む中、若い労働力を確保することは多くの企業にとって最も重要な課題です。その中でベトナム人留学生のを採用することで、この課題に対する有効な解決策となります。
ベトナム人留学生の多くは20代前半から半ば職場なので、若い世代が職場に新たな活力をもたらし、今までになかった視点で物事を見れたり、若い世代の柔軟な思考やエネルギーが職場に活力を吹き込んでくれます。
その若年層を採用することで、長期的な人材育成が可能になることや、日本企業特有の業務プロセスや品質管理手法などを若いうちから習得してもらうことで、将来の中核人材へと成長させることもできます。
特に職場の平均年齢が高い企業では、若い世代の視点や発想を取り入れることで、商品開発やサービス提供において新たな顧客層へのアプローチが可能になります。
また若いベトナム人留学生はデジタル技術への適応能力が高く、企業のデジタルトランスフォーメーションを促進していく存在になっていくことは間違いありません。
ビジネス環境や競争の前提条件が大きく変化する中において競争を勝ち抜いていくためには、これからの時代、特に必要不可欠な人材です。
そのことからもわかるように、ベトナム人留学生の採用は、単なる人手不足解消の手段ではなく、企業の多様性向上や組織活性化、国際競争力強化にも繋がる戦略的な施策と言えるでしょう。
次章では、ベトナム人が日本で働く具体的な理由について詳しく見ていきます。
3.ベトナム人が日本で働く理由

ベトナム人留学生が増加し続ける背景には、彼らが日本で働くことに魅力を感じる複数の要因があります。
企業がベトナム人留学生の採用と定着を効果的に進めるためには、これらの理由を深く理解することが重要です。
経済的理由(賃金がベトナムの5~6倍)
著しい 賃金差 | 日本の新卒月給は約18~25万円である一方、ベトナムでは同等のポジションで約3万円前後と、5~8倍もの差があります。この収入格差は、ベトナム人留学生が日本での就労を希望する最大の動機となっています。 |
語学力による 収入増 | 日本語能力試験(JLPT)のN2レベル程度の資格を持っていれば、ベトナム国内でも平均より5~10万円高い給料を期待できます。日本で実務経験を積みながら日本語能力を向上させることは、将来的なキャリアパスにおいても大きなアドバンテージとなります。 |
成長産業での収入可能性 | 特にITエンジニアなど特定の専門職では、5~7年の経験を持つと、ベトナム国内でも15~20万円程度の給料が期待できます。しかし、日本でのキャリアスタートは初期段階から高い収入を得られるため、多くの若者にとって魅力的な選択肢となっています。 |
家族への送金 | 多くのベトナム人留学生は、日本で働いて得た収入の一部を本国の家族に送金しています。これはベトナム経済全体にとっても重要な資金流入となっており、ベトナム政府も海外への労働者送り出しを奨励しています。 |
この表からも分かるように最も直接的な理由として、日本とベトナムの間に存在する大きな賃金格差が挙げられます。
日本の技術を学べる
経済的理由と並んで、日本の高度な技術やノウハウを習得できる機会も重要な動機となっています。
ベトナムは新興国として急速に発展していますが、自国の製造業とその裾野産業はまだまだ発展途上の状態です。
だからこそ日本企業で働くことは、世界的に評価の高い日本のものづくり技術、品質管理手法、業務プロセスなどを直接学ぶことができます。働いて得た知識や経験は、ベトナムに帰国後も高く評価される貴重な資産となります。
また企業での就労経験は、グローバルなキャリア形成において重要な一歩となります。
特に日系企業が多く進出しているベトナムでは、日本での勤務経験を持つ人材への需要が高く、帰国後も良いポジションを得られる可能性が高まり、ベトナムでもより長期的に働きやすくなるでしょう。
特に工学、IT、製造業などの分野では、日本の先進的な技術環境で実務経験を積むことで、自身の技術力を飛躍的に高められます。最新設備や技術に触れる機会は、若いエンジニアにとって大きな魅力のひとつです。
日本文化の魅力
経済的・職業的理由に加えて、以下のような日本の文化や生活環境の魅力も重要な要因となっているようです。
日本が選ばれる最大の要因
✔充実した社会保障制度
✔安全で清潔な生活環境
✔教育環境の充実
✔文化的親近感
日本はベトナムよりも社会保障制度や企業の福利厚生制度がきちんと整っており、労働環境と生活環境がベトナムより優れている点がとても評価されています。
例えば、企業が従業員を健康保険に加入させることがベトナムでは一般的ではありませんが、日本では当然の権利として保障されています。
また日本の治安の良さ、公共サービスの充実、清潔な都市環境などは、生活の質を重視するベトナム人にとっては大きな魅力です。特に空気の質や水の安全性など、環境面での優位性は子育て世代に高く評価されています。
子どもの教育に関しても、日本の質の高い教育システムは大きな魅力です。
将来的に家族で日本に定住することを視野に入れている場合、教育環境は重要な判断材料となるため、将来家庭をもって子育てをしたい女性にとっては、これらの理由が複合的に作用し、ベトナム人留学生の日本での就労意欲を高めています。
企業側がこれらの動機を理解し、彼らが安心して働ける環境を整えることで、優秀なベトナム人留学生の採用と長期的な定着が可能になるでしょう。
次章では、ベトナム人留学生が仕事選びで重視するポイントについて詳しく見ていきます。
4.ベトナム人留学生が仕事選びで重視するポイント

ベトナム人留学生を効果的に採用し、長期的に定着してもらうためには、彼らが仕事選びで重視するポイントを理解することが不可欠です。
本セクションでは、ベトナム人留学生が就職先を選ぶ際に注目する主要な要素について解説していきます。
日本語学習と成長できる環境の提供
ベトナム人留学生にとって
日本語能力の向上は職場での成功と将来のキャリア形成において極めて重要です。
言語習得環境の重要
多くのベトナム人留学生は日本での日常生活やアルバイト経験を通じて日本語会話能力を向上させていますが、職場での専門用語や業界特有の表現を習得するには、さらなるサポートが必要です。日本語を使用する環境が整っていることは、彼らの仕事選びにおいて重要な要素となります。
言語学習への支援制度
企業によっては自社社員が日本語クラスを開いたり、外部の日本語教室への通学費用を補助したりするなど、様々な支援を提供しています。こうした制度は、ベトナム人留学生の言語習得を加速させるだけでなく、企業への忠誠心も高める効果があります。
スキル重視の評価姿勢
外国人を採用する際は彼らの日本語能力の低さで判断するのではなく、技術レベル・スキル、態度、やる気、今後の成長性や潜在性にフォーカスすることが重要です。言語能力だけでなく、専門スキルや成長の可能性を評価してくれる企業は、ベトナム人留学生から高く評価されます。
成長機会の提供
新しい技術や業務に挑戦する機会、スキルアップのための研修制度、資格取得支援などは、向上心の高いベトナム人留学生にとって大きな魅力となります。自己成長できる環境が整っていることは、仕事選びの重要な基準となっているのでより多くの人たちに働く意欲を与えることができます。
適切な給与・福利厚生
経済的な条件は、多くのベトナム人留学生にとって重要な判断基準となっているため、しっかり抑えておきましょう。
給与と、福利厚生の部分でも外国人材の働きやすい環境を整え、活躍を支援することが、優良な人材の確保と業績の向上につながっていくでしょう。
会社の将来性
ベトナム人留学生は長期的なキャリア形成を視野に入れ、企業の将来性や成長可能性を重視する傾向があります。
- 明確なキャリアパス:「明確なキャリアプラン・昇進プランを示し、彼らに目標を与えてあげると一所懸命に努力してくれる」とあるように、入社後のキャリアパスが明確に示されていることは、彼らの安心感とモチベーションにつながります。
- 企業ビジョンの共有:「会社のビジョン、将来の計画、事業の展望、彼らに期待している仕事、役割、ポジションを示してあげること」は、ベトナム人留学生が自身のキャリアと企業の成長を関連付けて考える上で重要です。彼らが企業の未来にどう貢献できるのかを理解できると、帰属意識も高まります。
- 成長産業での活躍機会:特に技術系のベトナム人留学生は「新しい技術、新しい仕事に挑戦したい」という向上心を持っています。成長産業や革新的な分野で事業を展開している企業は、こうした向上心の高い人材を惹きつける魅力があります。
- グローバルな事業展開:特にベトナム進出を計画している、または既にベトナムに拠点を持つ企業は、将来的に母国とのつながりを維持しながらキャリアを発展させたいと考えるベトナム人留学生にとって魅力的な選択肢となります。
これらのポイントを理解し、適切に対応することで、ベトナム人留学生にとって魅力的な就職先となり、採用後の定着率も高まることが期待できます。
次章では、さらに詳しくベトナム人留学生の定着率を高めるための具体的な秘訣について解説していきます。
5.ベトナム人留学生の定着率を高める5つの秘訣

ベトナム人留学生を採用した後、いかに長期的に定着してもらうかは多くの企業にとって重要な課題です。
離職率を下げ、彼らの能力を最大限に発揮してもらうための5つの秘訣を紹介します。
1.十分な日本語サポートと学習環境の整備
採用したあと、企業に少しでも長く働いてもらえるように環境を整えてあげなければいけません。
働くこと、それは「コミュニケーション」が必須になってきます。日本語がまだ不十分な彼らにとって、日本語で作業を覚えたり、従業員やお客様と話すことは簡単ではありません。
だからこそ、企業側がしっかり日本語をサポートしていく体制を整えてあげれるか、その環境づくりが非常に大切になってきます。
そこで実際に企業が行っているものや、おすすめできる3つの日本語サポートの仕方があります。
3つのおすすめ日本語サポート
1.企業内日本語教室の設置
2.日本語学習費用の補助
3.日本語メンター制度
日本語能力の向上は、ベトナム人留学生が職場で活躍し、定着するための基盤となるため、実際に週に1〜2回ほど、業務終了後に社内で日本語レッスンを開催している企業は多くあります。
企業内だけでなく、外部の日本語学校や通信教育の費用を補助する制度や、日本語能力試験の受験料補助や合格時のインセンティブ付与などもあると、学習意欲を高め、日本語の定着率も上がる効果が期待できます。
また働く現場においては、日本人社員との1対1のメンタリング関係を構築し、業務の中で自然に日本語を学べる環境を整えてあげることも有効です。
例えば週に一度、30分程度のカジュアルな会話の時間を設けるだけでも大きな効果が期待できます。
最初はなかなか話せない状態であっても、適切なサポートがあることで「約6ヶ月間で日本語の会話が徐々に上達」すると言われています。
最初から高度な日本語力を求めるのではなく、成長を見守る姿勢が重要です。
2.文化や価値観の違いを尊重した「相互理解」の職場づくり
異なる文化背景を持つベトナム人留学生との相互理解は、信頼関係構築の基礎となります。
相互理解を深めるためには具体的に以下のようなことが重要です。
相互理解を深めるために大切なこと
- 文化交流イベントの開催:文化体験ワークショップや英会話カフェ、異文化ランチ会など催しものを通じてお互いの言語や文化、価値観に触れて理解していくきっかけを作ってみる。
- 家族的な職場環境の構築:「ベトナム人は家族を非常に大事にしているので、家族のように扱ってくれる人々や会社には期待に応えようと頑張る」という点を理解し、温かみのある職場環境づくりを心がける。例えば、社員の誕生日を祝う、困ったときに業務外でもサポートするなどの取り組みが効果的です。
- チームビルディング活動の重視:「同僚、上司との付き合いを大事にしている」ベトナム人留学生にとって、職場の人間関係は仕事の満足度に直結します。定期的な食事会やレクリエーション活動は、チームの結束力を高め、信頼関係の構築に役立ちます。
- 相互学習の姿勢:ベトナム人留学生を一方的に「教育する」のではなく、彼らから学ぶ姿勢も非常に大切です。例えば、ベトナムの文化や言語についてのミニ講座を開いてもらうなど、互いに学び合う機会を設けることで、対等な関係性が築けます。
3.認識のズレを防ぐための「労働条件・待遇」の丁寧な説明
やはり慣れない生活や仕事におけるストレス、入国前にイメージしていた労働条件や待遇に関する期待が現実と異なり、結果的に期待を下回っていたなどの理由で早期離職につなっがてしまうこともあります。
ヒューマングローバルタレント株式会社と株式会社エイムソウル、リフト株式会社の3社が共同で実施し、2021年11月に結果を公開した「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査」によると、入社後1年以内というごく早期の離職経験がある外国人労働者は28%にのぼっており、国内人材よりも倍近い割合ですぐに離職してしまっていることがわかります。
そのため、労働条件や待遇について説明する際は、言葉だけでなく、図表やイラストを用いた資料を準備したり、給与明細の見方や社会保険制度など複雑な内容は、視覚的に説明することが効果的です。
重要な契約内容や社内規則については、可能な限りベトナム語での翻訳資料も用意することが望ましいです。特に入社時のオリエンテーションでは、誤解が生じることのないよう基本情報をしっかり伝えましょう。
また相談窓口を設置し、小さな疑問でも気軽に相談できるかんきょうを整えることや、月に一度でもいいので定期的な面談の機会を設け、業務上の疑問や不安を解消する場を提供しましょう。
少しでも早期の課題発見と解決が可能となります。
参考:「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査」
4.福利厚生を充実させる
ベトナム人留学生の生活基盤を支える福利厚生は、安心して働き続けるために重要な要素となります。福利厚生を充実させるためにできる具体的な方法があります。
項目 | 内容 |
---|---|
住居サポート | ✔寮・家賃補助 ✔会社~自宅の交通費補助 |
健康・生活支援 | ✔健康保険の仕組みや病院の利用方法 ✔日常生活に必要な行政手続き ✔日本での生活に関するサポート |
母国との繋がりを支援 | ✔定期的な帰国休暇の設定 ✔インターネット環境の整備 ✔家族や友人との連絡を維持しやすい環境作り |
生活費負担の軽減 | ✔食事補助 ✔通信費補助 |
小さな支援でも、継続的に提供されることで大きな信頼関係の構築に貢献します。
5.将来のビジョンを共有し成長を支援する姿勢
長期的な成長への展望は、ベトナム人留学生の定着において最も重要な要素の一つです。
そのためにも「将来のビジョンを共有し一緒に成長していこう!」という姿勢を示してあげましょう。
具体的には
- 個人のキャリアプランの策定はできているか?
- スキルアップの機会を提供できているか?
- 会社の将来のビジョンを共有できているか?
- 責任と権限の段階的な付与ができているか?
この4点をしっかり確認していくことが大切です。
明確なキャリアプラン・昇進プランを示し、彼らに目標を与えてあげることで、目標が明確化されよりその企業で働きたいという意欲が湧きます。
さらに、業務に関連する専門スキルの習得や資格取得を支援する制度を設けることで、彼らの成長意欲に応えます。
また会社のビジョン、将来の計画、事業の展望、彼らに期待している仕事、役割、ポジションを示してあげることで、自分自身の将来と会社の未来を結びつけて考えられるようになります。
定期的な全体ミーティングなどで経営層から直接ビジョンを共有することも効果的です。
そして最も大切なのは、能力や経験に応じて徐々に責任あるポジションや後輩の指導役などを任せていくことです。
特に母国語や母国の文化に関する知識を活かせる役割を与えることで、自己効力感と帰属意識が高まり「貢献できている!」という喜びを感じられるようになります。
これら5つの秘訣を総合的に実践することで、ベトナム人留学生の定着率を大幅に高めることが可能です。
重要なのは、一時的な対応ではなく、継続的かつ体系的な取り組みとして組織に根付かせることです。
次章では、実際のベトナム人留学生採用プロセスと成功事例について詳しく見ていきます。
6.ベトナム人留学生採用の実際と成功事例

ベトナム人留学生の採用を検討している企業にとって、効果的な採用プロセスの設計から入社後の定着まで、実践的な知識は非常に重要です。
実際に採用採用してから入社までの流れ、実際の成功事例、そして失敗から学ぶべきポイントについて解説します。
採用から入社までの具体的なプロセス設計
ベトナム人留学生の採用を成功させるためには、通常の採用活動とは異なる配慮と工夫が必要です。
どのような配慮と工夫が必要なのか具体的にみていきます。
1. 採用チャネルの選定
- 大学・専門学校との連携:留学生が多く在籍する教育機関とのコネクションを構築することで、優秀な人材を早期に発掘できます。学校の就職担当者と定期的に情報交換を行い、企業説明会や授業内でのプレゼンテーションの機会を得ることも効果的です。
- 留学生向け就職フェアへの参加:ベトナム人留学生を含む外国人留学生向けの就職イベントは、多くの候補者と直接会える貴重な機会です。これらのイベントでは、企業の魅力をアピールするとともに、実際にベトナム人留学生と対話することで相互理解を深められます。
- ベトナム人コミュニティの活用:すでに自社で働いているベトナム人社員からの紹介や、SNSのベトナム人コミュニティグループなどを通じた採用活動も効果的です。同国出身者からの情報は信頼性が高く、ミスマッチも少なくなる傾向があります。
2. 求人情報の作成と発信
- バイリンガル求人情報:求人情報は日本語とベトナム語の両方で作成することが望ましいです。特に重要な情報(給与、勤務条件、福利厚生など)は両言語で明確に記載し、誤解を防ぎましょう。
- 企業文化の伝達:単なる職務内容だけでなく、企業理念や職場の雰囲気、成長機会についても積極的に伝えることで、価値観のマッチングを図ります。可能であれば、現在働いているベトナム人社員の声を掲載するのも効果的です。
- ビジュアル重視の情報提供:写真や動画を活用して職場環境や業務内容を視覚的に伝えることで、言語の壁を超えた理解を促進します。例えば、オフィスツアー動画や社員インタビューなどが効果的です。
3. 選考プロセスの工夫
- 言語に配慮した面接設計:面接では日本語能力を見るだけでなく、専門知識や人間性を適切に評価できる設計が重要です。必要に応じて通訳を活用したり、簡潔で明確な日本語を使用したりするなどの配慮が必要です。
- 実技試験・課題の活用:言語だけに依存せず、実際の業務に近い課題や実技試験を取り入れることで、実務能力を適切に評価できます。これにより、言語の壁を超えた真の能力評価が可能になります。
- 文化的背景を考慮した質問:ベトナム人留学生の文化的背景や価値観を理解した上で、適切な質問を準備することが重要です。例えば、ベトナムでは謙虚さを美徳とする文化があるため、自己アピールが控えめな場合もあることをしっかり理解しておきましょう。
4. 内定から入社までのフォロー
- ビザ関連手続きの支援:留学ビザから就労ビザへの切り替えなど、在留資格に関する手続きをサポートすることは、スムーズな入社のために不可欠です。専門家や行政書士と連携し、必要書類の準備や申請のサポートを行いましょう。
- 住居確保の支援:特に地方での就職の場合、住居の確保は大きな課題です。社宅や寮の提供、または住居探しのサポート、初期費用の貸付・補助などの支援策を検討しましょう。
- 入社前コミュニケーション:内定から入社までの期間、定期的に連絡を取り、疑問や不安に応える機会を設けることで、入社への安心感を高めます。同時に、必要な準備や入社時に必要な書類などの情報を早めに伝えておくことも重要です。
5. 入社時オリエンテーションの充実
- 日本の職場文化の説明:報連相(報告・連絡・相談)の重要性や、チームワークの考え方など、日本特有の職場文化について丁寧に説明します。文化的な違いを互いに理解し、尊重する姿勢を示すことが重要です。
- 段階的な研修設計:一度にすべての情報を伝えるのではなく、優先度の高い内容から段階的に研修を行うことで、情報の消化不良を防ぎます。最初の1週間、1ヶ月、3ヶ月と区切った研修計画が効果的です。
- メンター・バディ制度の導入:日本人社員をメンターやバディとして配置し、業務や生活面での疑問に応える体制を整えることで、早期の職場適応を促進します。特に入社後3ヶ月間は手厚いサポートが重要です。
企業による採用・定着の成功事例紹介
実際にベトナム人留学生の採用と定着に成功している企業の事例があります。成功例を見ていくとどのように成功しているのか具体的にみえてくるものがあります。
製造業A社:技術継承と多様性の融合
A社は精密機械製造を行う中堅企業で、5年前からベトナム人留学生の採用を始めました。現在では10名以上のベトナム人技術者が活躍しています。
成功ポイント
- 日本語メンター制度:各ベトナム人社員に日本人メンターを配置し、週1回の1対1ミーティングを通じて業務や生活の相談に乗る体制を整備。
- 技術継承プログラム:熟練技術者との計画的なペアリングにより、日本のものづくり技術を段階的に習得できる仕組みを構築。
- 成功循環の確立:最初に採用したベトナム人社員が成功体験を積み、その後の採用活動における「リアルな声」として協力することで、新たな人材の獲得と定着につながっている。
サービス業B社:多文化共生の職場作り
B社は接客業を中心とするサービス企業で、インバウンド需要の拡大に合わせてベトナム人留学生を含む多国籍スタッフを採用。顧客満足度と従業員満足度の向上に成功しています。
成功ポイント
- 多文化理解研修:全社員を対象に異文化理解とコミュニケーション研修を実施し、相互理解の基盤を構築。
- 言語相互学習:日本人社員がベトナム語を学び、ベトナム人社員が日本語を教える相互学習の場を設け、対等な関係性を醸成。
- 顧客体験の多様化:多様な文化背景を持つスタッフの視点を商品開発やサービス改善に活かし、新たな顧客層の開拓に成功。
中小企業C社:家族的な環境と地域との連携
C社は従業員50名程度の中小製造業で、地方都市に拠点を置いています。5年前から地元大学のベトナム人留学生を採用し、定着率100%を達成しています。
成功ポイント
- 家族的な職場環境:社長自らが「第二の親」として接する姿勢を示し、誕生日会や年中行事を通じて家族的な絆を構築。
- 地域コミュニティとの連携:地域のベトナム人コミュニティや国際交流協会と連携し、業務外でも安心して暮らせる環境を整備。
- 生活基盤の安定化:社宅の無償提供や生活必需品の初期支援など、金銭的・物質的サポートを充実させ、安心して働ける基盤を構築。
失敗から学ぶ採用時の注意ポイント
成功事例だけでなく、失敗事例からも多くの学びがあります。よくある失敗パターンとその防止策を紹介します。
1. 期待値のミスマッチ
失敗例:業務内容や成長機会について十分な説明がないまま採用し、入社後のギャップから早期離職に繋がるケース。
防止策
- 採用段階での情報提供を徹底し、業務内容や職場環境を正確に伝える
- 可能であれば職場見学や短期インターンシップを実施し、相互理解を深める
- 入社後の成長ステップや評価基準を明確に示し、将来への展望を共有する
2. 文化的相違への配慮不足
失敗例:日本特有の暗黙のルールや慣習について説明不足のまま業務を開始し、意図せずトラブルが発生するケース。
防止策
- 基本的な職場マナーや慣習について視覚的資料も活用して丁寧に説明する
- 質問しやすい環境を作り、些細な疑問でも遠慮なく尋ねられる雰囲気を醸成する
- 文化的な違いを一方的に「直す」のではなく、相互理解と尊重の姿勢を示す
3. 入社後のフォロー体制の欠如
失敗例:入社直後は手厚くサポートするものの、時間経過とともにフォローが薄れ、孤立感から離職に至るケース。
防止策
- 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月など節目でのフォローアップ面談を制度化する
- メンターやバディ制度を長期的に継続し、気軽に相談できる関係性を維持する
- 定期的な満足度調査や提案制度を設け、課題の早期発見と改善に努める
4. 成長機会の不足
失敗例:単純作業のみを任せ続け、スキルアップや新しい挑戦の機会がないことでモチベーション低下を招くケース。
防止策
- 定期的なスキルアップ研修や新しい業務にチャレンジする機会を計画的に提供する
- 本人の希望や適性を考慮したキャリア開発計画を共に策定し、段階的に実行する
- 社内発表会や改善提案制度など、自身のアイデアを形にできる機会を設け、創造性を発揮させる
5. 人間関係構築の支援不足
失敗例:日本人社員とベトナム人社員の交流機会が少なく、職場内で孤立してしまうケース。
防止策
- チーム活動や社内イベントを通じて、自然な交流の機会を定期的に設ける
- 共通の趣味や関心を見つけるきっかけとなる情報共有の場を提供する
- 昼食を一緒に取るなど、カジュアルなコミュニケーションの機会を意識的に創出する
これらの失敗例と対策を踏まえることで、採用から定着までの一貫したプロセスを設計し、ベトナム人留学生の能力を最大限に引き出す環境を構築することができます。
重要なのは、採用はゴールではなくスタートであるという認識を持ち、継続的な改善を行っていくことです。次章では、ベトナム人留学生との共創で実現する未来について考えていきます。
7.ベトナム人留学生との共創で実現する未来

ベトナム人留学生の採用は、単なる人手不足解消の手段ではなく、企業の多様性向上や組織力強化、そして新たな価値創造につながる戦略的施策です。
本セクションでは、ベトナム人留学生採用を成功させるためのチェックリスト、今すぐ始められる準備、そして長期的な外国人材活用戦略について解説します。
1.ベトナム人留学生採用のチェックリスト
ベトナム人留学生の採用プロセスを成功させるためのチェックリストを、段階別にまとめました。自社の状況に合わせて活用してください。
【採用前の準備】
□ 採用の目的と必要な人材像を明確化する
□ 企業理念・ビジョンを多言語(日本語・ベトナム語)で表現する
□ 外国人材を受け入れる職場環境の整備状況を確認する
□ 受け入れ部署の管理職・同僚への異文化理解研修を実施する
□ 日本語サポート体制(メンター制度、日本語教室など)を計画する
□ 住居サポートなどの生活支援体制を検討する
□ 業務に必要な日本語レベルとスキルの基準を設定する
□ 受け入れ初期の研修プログラムを設計する
□ 採用予算(採用活動費、初期支援費、研修費など)を確保する
【採用活動の実施】
□ 適切な採用チャネル(大学、専門学校、就職フェアなど)を選定する
□ 多言語求人情報(日本語・ベトナム語)を作成する
□ 企業の魅力や特徴を視覚的に伝える資料を準備する
□ ベトナム人留学生の特性を考慮した選考プロセスを設計する
□ 通訳サポートの必要性を検討し、必要に応じて手配する
□ 面接担当者に異文化コミュニケーションのポイントを伝える
□ 実務能力を適切に評価できる実技試験や課題再試行
【内定から入社まで】
□ ビザ関連手続きのサポート体制を整える
□ 住居確保の支援プランを具体化する
□ 入社に必要な書類のリストを多言語で準備する
□ 定期的なコミュニケーションを通じて関係構築を進める
□ 入社前に必要な準備事項を明確に伝える
□ 入社初日のスケジュールを事前に共有する
□ 職場の同僚に新入社員の紹介を事前に行う
□ 歓迎会など、関係構築のためのイベントを計画する
□ 業務や生活面でのよくある質問集(FAQ)を作成する
【入社後のフォロー】
□ 段階的な研修プログラムを実施する
□ メンターまたはバディを任命し、定期的な面談を設定する
□ 1週間、1ヶ月、3ヶ月など節目でのフォローアップ面談を行う
□ 日本語学習継続のためのサポートを提供する
□ 業務スキル向上のための研修機会を計画的に提供する
□ 社内交流イベントへの参加を促進する
□ 定期的な評価とフィードバックを行い、成長を支援する
□ キャリア開発プランを共に策定し、長期的な成長をサポートする
□ 本人の意見や提案を積極的に取り入れる仕組みを作る
2.今すぐ始められる採用準備と次のステップ
ベトナム人留学生の採用を検討しているものの、何から始めればよいか迷っている企業も多いでしょう。
ここでは、すぐに着手できる準備と、段階的に進めるべきステップを紹介します。
【すぐに始められる取り組み】
1. 自社の現状分析と受け入れ体制の評価
まずは自社の現状を客観的に分析し、外国人材を受け入れる準備ができているかを評価しましょう。以下のような点を確認します:
- 社内の文書やマニュアルは誰でもわかりやすい日本語で書かれているか
- 外国人社員を迎え入れることへの社内の理解や受容度はどの程度か
- 成長機会や将来のキャリアパスを示せる体制はあるか
2. 外国人材採用の目的明確化ワークショップの実施
経営層や人事担当者、受け入れ部署の管理職などが参加するワークショップを開催し、以下の点について議論・合意形成を図りましょう:
- なぜベトナム人留学生を採用したいのか(単なる人手不足解消か、多様性推進か、グローバル展開か)
- どのような役割や貢献を期待しているのか
- 採用後、どのように育成・活躍してもらいたいのか
- 企業として提供できる価値は何か
3. 情報収集と接点づくり
ベトナム人留学生の採用に関する情報収集と、彼らとの接点づくりを始めましょう。
- 地域の大学や専門学校の留学生担当者と連絡を取る
- 地元の国際交流協会や外国人支援団体に相談する
- 外国人採用に関するセミナーやウェビナーに参加する
- ベトナム料理店など、ベトナム人コミュニティとつながりのある場所を訪問する
4. 受け入れ部署の準備
実際に受け入れる部署の準備も並行して進めましょう。
- 管理職や同僚向けの異文化理解研修を実施する
- 業務マニュアルや研修資料をわかりやすい日本語に書き換える
- 専門用語の対訳集を作成する
- メンターやバディ候補の選定と事前教育を行う
【段階的に進めるステップ】
■第1段階:試験的な取り組み(1〜3ヶ月)
- インターンシップの受け入れを検討する
- ベトナム人留学生を招いた企業見学会や交流会を開催する
- 留学生向け合同企業説明会に参加する
- 社内の異文化理解度を高める取り組みを実施する
■第2段階:採用活動の準備(3〜6ヶ月)
- 求人情報の多言語化を進める
- 企業紹介動画や写真を充実させる
- 選考プロセスを設計する
- 住居支援や生活サポートの具体的プランを作成する
■第3段階:本格的な採用活動(6ヶ月〜1年)
- 大学や専門学校と連携した採用活動を展開する
- 留学生向け就職フェアに参加する
- 採用情報をSNSや留学生向けメディアで発信する
- 現在働いているベトナム人社員(いる場合)を採用広報に活用する
こうした段階的なアプローチにより、無理なく確実にベトナム人留学生採用の準備を進めることができます。
3.長期的な外国人材活用戦略の構築に向けて
ベトナム人留学生を含む外国人材の採用は、一時的な人材確保の手段ではなく、企業の持続的成長と変革のための長期的戦略として位置付けることが重要です。
ここでは、長期的な視点での外国人材活用戦略について考えます。
【多様性を組織の強みに変える】
外国人材の採用は、単に人手不足を解消するだけでなく、組織に多様な視点と創造性をもたらします。
- 異なる文化背景を持つ人材の視点を商品開発やサービス改善に活かす
- 多様な顧客ニーズへの理解を深め、市場拡大につなげる
- 多様性を尊重する組織文化を育み、すべての社員が能力を発揮できる環境を構築する
- 日本人社員の異文化理解力やグローバルコミュニケーション能力を高める
【グローバル人材育成システムの構築】
ベトナム人留学生の採用と育成を通じて、自社のグローバル人材育成システムを構築することも重要な戦略です。
- 外国人材と日本人社員が互いに学び合う環境を整える
- 語学力や異文化理解力を評価・報酬体系に組み込む
- 国内外の研修機会を計画的に提供する
- 日本人社員の海外派遣と外国人材の受け入れを連動させ、グローバル人材の循環を生み出す
【ベトナムとの事業連携の可能性】
ベトナム人留学生の採用は、将来的なベトナム市場展開への布石にもなり得ます。
- ベトナム人社員を通じてベトナム市場の情報収集や分析を行う
- ベトナム進出の際の現地拠点の中核人材として育成する
- ベトナム企業とのアライアンス構築に向けた橋渡し役として活用する
- 日本とベトナムをつなぐビジネスモデルの創出に共に取り組む
【持続可能な外国人材活用の仕組み作り】
長期的に外国人材を活用していくためには、持続可能な仕組み作りが欠かせません。
- 採用から育成、定着、キャリア開発までの一貫したプログラムを構築する
- 定期的な満足度調査と改善活動を通じて職場環境を継続的に向上させる
- 外国人OB・OGネットワークを形成し、採用や育成活動に協力してもらう
- 外国人材の家族も含めた支援体制を整え、長期的な定着を促進する
8.ベトナム人の特徴を理解し、長期的な視点で取り組んでいこう
いかがでしたか?
ベトナム人留学生との共創を通じて、企業は多様性を強みとする組織へと進化し、グローバル市場での競争力を高めることができるのです。
短期的な人材確保の視点だけでなく、長期的な組織変革と成長の機会として捉え、計画的に取り組むことが成功への鍵となります。
またベトナム人留学生の採用は、日本企業にとって単なる選択肢の一つではなく、未来への投資と言えるでしょう。彼らの持つ潜在力を最大限に引き出し、共に新しい価値を創造していくことで、企業としての持続的な成長を実現することができます。
人手不足という課題を、多様性による組織の活性化と変革のチャンスに転換する—それがベトナム人留学生との共創で実現する日本の未来です。