台湾人材の採用を検討しているものの、「性格や仕事観がわからず不安」という声をよく耳にします。
在留台湾人数は2025年6月末時点で71,125人(前年末比978人増)と増加傾向にあり、日本語能力や日本文化への適応力の高さから注目を集めています。
本記事では、台湾人の性格・特徴を7つの視点から解説し、「時間にルーズ」「自己主張が強い」といった懸念点への対処法や、採用・マネジメントで失敗しない具体策をお伝えします。
- 台湾人の性格・国民性の7つの特徴とその背景
- 日本人との仕事観・コミュニケーションスタイルの違い
- 採用・マネジメントで押さえるべきポイントとタブー
1.台湾という国の基本情報

台湾は日本の南方に位置する島で、面積は九州とほぼ同じ、人口は約2,300万人です。
亜熱帯から熱帯に属する温暖な気候で、4月から暑さを感じ始め、7〜8月には34〜38度に達します。
教育水準が非常に高いことも特徴の一つです。大学進学率は約80%と日本の約54%を上回っています。教育水準の高さは、専門的なスキルを持つ人材層の厚さを示唆しています。
参考:台湾教育部 統計處
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台湾人材の採用を具体的に進める前に、外国人採用全般のメリットと注意点を再確認しておきましょう。こちらの記事の、日本文化に親和性の高い台湾人ならではの強みを、より客観的に理解するための判断材料としてご活用ください。
日本と台湾の歴史的なつながり
台湾と日本の関係は、1895年から1945年までの約50年間にわたる日本統治時代に遡ります。この時代に整備されたインフラや教育制度は、現在も台湾社会の基盤として機能しています。
ただし、現代の若い世代が親日である理由は、統治時代の記憶だけではありません。
日本のアニメ、J-POP、ファッション、グルメといったカルチャーへの憧れに加え、民主主義や自由といった価値観を共有するパートナーとしての信頼感も、現代の若い世代における親日感情を支える重要な要素です。
東日本大震災の際には、台湾から200億円を超える義援金が寄せられました。このエピソードは、両国の友好関係の深さを象徴しています。
出典:読売新聞 東日本大震災で200億円以上の義援金を寄せた台湾、頼清徳総統「困難支え合い交流深めた」
台湾人のナショナル・アイデンティティ
台湾人を理解する上で極めて重要なのが、ナショナル・アイデンティティの問題です。
台湾民意基金会(TPOF)の2025年調査によると、自身を「台湾人のみ」と認識する割合は77.4%に達し、「中国人のみ」と認識する層はわずか6.4%にまで低下しています。
この数字は、台湾人が「中国人」とは明確に異なるアイデンティティを持っていることを示しています。
採用面接や日常のコミュニケーションにおいて、台湾人を「中国人」と呼ぶことは避けるべきです。「台湾の方」「台湾出身の方」と呼ぶことが、相手へのリスペクトを示す基本的なマナーとなります。
2.台湾人の性格・特徴7選

台湾人の性格には、気候や歴史、文化的背景が色濃く反映されています。ここでは、採用やマネジメントの場面で知っておきたい7つの特徴を解説します。
それぞれの特徴がなぜ形成されたのか、背景も含めて理解することで、より良い関係構築につなげましょう。
南国特有の明るさとおおらかさ
台湾は沖縄よりもさらに南に位置する温暖な地域です。この気候が影響しているのか、台湾人は南国特有の明るくおおらかな性格の人が多いとされています。
初対面でも笑顔で接し、些細なことはあまり気にしません。職場においても、重苦しい雰囲気を作らず、ポジティブな空気を生み出してくれる存在となるでしょう。
沖縄県民の明るさと通じるものがあり、日本人にとっても親しみやすい気質といえます。
困っている人を放っておけない世話焼きな気質
台湾人は「困っている人を見たら放っておけない」という気質を持っています。道に迷っている人がいれば積極的に声をかけ、言葉が通じなくても忍耐強く対応してくれます。
この世話焼きな性格は、職場でも発揮されます。新入社員や外国人スタッフに対してサポートを行う場面が見られ、組織内コミュニケーションの円滑化に寄与する事例が多く報告されています。
台湾では「自己人(ズージーレン)」という概念があり、身内と認めた相手には徹底的に親切にするという文化があります。
家族を何より大切にする価値観
台湾人にとって、家族は何よりも大切な存在です。この「家族」の範囲は広く、血縁関係だけでなく、親戚や親しい友人も含まれることがあります。
旧正月(春節)や中秋節などの伝統行事では、大家族が集まって食事を共にします。仕事よりも家族行事を優先する傾向があり、子どもの授業参観や家族のイベントのために休暇を取ることは珍しくありません。
マネジメントの観点からは、家族行事への休暇申請を柔軟に認めることが、信頼関係構築の鍵となります。プライベートを尊重する姿勢が、長期的な定着につながるでしょう。
自分の意見をはっきり伝えるストレートさ
台湾人は、自分の意見をはっきりと伝えるストレートなコミュニケーションスタイルを持っています。日本人のような「本音と建前」の使い分けは少なく、Yes/Noを明確に表現します。
この特性は、ビジネスにおいては「裏表がない」「決断が早い」というメリットにつながります。会議で意見を求められれば率直に発言し、問題点があれば遠慮なく指摘してくれます。
ただし、これは相手の人格を否定しているわけではなく、対等な個人としての意見表明です。日本人マネージャーは、ストレートな発言を「反抗」と捉えず、建設的な意見として受け止める姿勢が大切です。
時間感覚の柔軟さ(台湾タイム)
台湾人の時間感覚は、日本人と比較すると「柔軟」です。いわゆる「台湾タイム」と呼ばれ、約束の時間に対して柔軟に捉える傾向が見られます。
これは文化人類学的には「ポリクロニック」な時間感覚と説明されます。日本のように時間を直線的に捉え、スケジュール通りに進めることを最優先する(モノクロニック)のではなく、人間関係やその場の状況を時間より優先するのです。
重要なのは、悪意や怠慢ではないという点です。ビジネスでは、会議開始時間を10分早く設定する、アジェンダを事前共有して時間厳守の重要性を伝えるなどの工夫で対応できます。
自分が好きで自己肯定感が高い
台湾人は自己肯定感が高く、自分自身を大切にする傾向があります。SNSへの自撮り投稿が盛んで、ファッションや美容への関心も高いです。
この特性は、周囲の目を必要以上に気にせず、自分らしさを大切にするオープンマインドな国民性の表れでもあります。
新しいことへのチャレンジ精神が旺盛で、スキルアップや自己成長への意欲も高い傾向にあります。採用においては、成長機会の提供がモチベーション維持の重要な要素となります。
親日家が多く日本文化への造詣が深い
台湾は世界有数の親日国として知られています。日本のアニメ、ドラマ、音楽、グルメへの関心は非常に高く、日本語を学ぶ人も多くいます。
台湾の大学には日本語学科が多く設置されており、日本語能力が高い人材を確保しやすい環境にあります。
2024年に観光・商用目的で訪日した外国人のうち、台湾人訪日客数は約604万人(2024年年間値)で訪日外客数第3位にのぼります。
日本文化や観光地に詳しい台湾人も多く、日本企業への適応もスムーズな傾向があります。
出典:JNTO 訪日外客数
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高い教育水準と日本語能力を持つ台湾人材は、多くの場合「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で雇用することになります。こちらの記事を読んで採用実務で混乱しないよう、ビザ取得の要件や手続きの流れをあらかじめ把握しておきましょう。
3.日本人と台湾人の違い【比較表で解説】

台湾人と日本人は見た目が似ており、文化的にも共通点が多いと思われがちですが、仕事の進め方やコミュニケーションスタイルには明確な違いがあります。
以下の比較表で、主な違いを確認しましょう。
これらの差異は、文化的な背景に起因するものであり、優劣を示すものではありません。違いを理解した上で、お互いの強みを活かせる職場環境を整えることが重要です。
たとえば、台湾人のスピード感と柔軟性は、変化の激しいビジネス環境では大きな強みとなります。
4.台湾人を採用・マネジメントする際のポイント

台湾人の性格や特徴を理解した上で、実際の採用・マネジメントではどのような点に注意すべきでしょうか。ここでは、現場で役立つ4つのポイントを解説します。
転職はキャリアアップの手段という価値観
台湾では、転職はネガティブなものではなく、キャリアアップの手段として捉えられています。終身雇用の概念は薄く、スキルアップや待遇改善のために転職することは一般的です。
台湾には「台湾労働者定年退職金条例」という制度があり、転職しても退職金が個人の専用口座に引き継がれる仕組みになっています。そのため、転職へのハードルが日本より低いのです。
採用時には離職率という側面に注目するよりも、即戦力としてのスキルや意欲を評価する視点が重要です。定着率を高めるには、明確なキャリアパスの提示や、成長機会の提供が効果的です。
報連相のギャップを埋める方法
台湾の企業文化では、個人の役割と権限が明確に定められており、個人のパフォーマンスが重視されます。
そのため、日本的な頻度の高い「報連相」は、個人の裁量権を重視する文化圏では、自律性を損なうと感じられる可能性があるため、その目的を明確に伝える必要があります。
効果的なのは、「なぜ報告が必要なのか(Why)」を明確に伝えることです。プロジェクトの目的やチーム全体の状況を共有し、報告の意義を理解してもらいましょう。
具体的な施策としては、定期的な1on1ミーティングの実施、チャットツールでの進捗共有ルールの設定などが有効です。「管理」ではなく「連携」という視点でコミュニケーションを設計しましょう。
残業を嫌い効率を重視する仕事観
台湾人はワークライフバランスを重視し、定時退社を基本としています。「長時間働く=頑張っている」という日本的な価値観は通用しません。
これはネガティブな特性ではなく、「効率的に成果を出す」という合理的な考え方です。
ダラダラ残業する文化との衝突を避けるためには、業務の優先順位を明確にし、効率的な働き方を評価する仕組みを整えることが重要です。
残業が必要な場合は、その理由と見通しを明確に説明しましょう。納得できれば協力してくれますが、理由のない残業には強い抵抗感を示す傾向があります。
「メンツ(面子)」を潰さないフィードバックの仕方
台湾人はストレートなコミュニケーションを好む一方で、「メンツ(面子)」を非常に重視します。公衆の面前で叱責されることは最大のタブーであり、信頼関係を大きく損なう原因となります。
フィードバックや改善点の指摘は、必ず個別の面談で行いましょう。チーム全体の前では褒める・認める姿勢を基本とし、課題については一対一の場で率直に伝えます。
ストレートなフィードバック自体は歓迎されますが、人格否定と受け取られないよう、「行動」に焦点を当てた伝え方を心がけてください。
5.台湾人と接する際のタブーと注意点

台湾人と良好な関係を築くために、避けるべきタブーと注意点を押さえておきましょう。
ナショナル・アイデンティティへの配慮
前述の通り、台湾人の77.4%が自身を「台湾人のみ」と認識しています。「中国人」と呼ぶことは、相手のアイデンティティを否定することになりかねません。
「台湾の方」「台湾出身の方」と呼ぶのが適切です。また、台湾と中国の関係などのデリケートな政治的トピックについては、個人の信条やアイデンティティを尊重し、業務上の不利益や差別に繋がらないよう、慎重な配慮が求められます。
なお、面接等で政治的信条を直接問うことは、就職差別につながるリスクがある点にも留意が必要です。
人前でメンツを潰さない
会議やチームミーティングの場で、特定の個人を名指しで批判することは避けてください。
どれだけストレートな物言いを好む台湾人でも、人前で恥をかかされることには強い抵抗感があります。注意や指導は個別に行うことを徹底しましょう。
時間のルーズさを頭ごなしに責めない
時間感覚の違いは文化的な背景があります。遅刻に対して感情的に責めるのではなく、「日本のビジネスでは時間厳守が重要である理由」を論理的に説明しましょう。
ルールを明確にした上で、改善を促すアプローチが効果的です。
6.違いを理解し、台湾人材の採用を成功させよう
台湾人は明るくフレンドリーで、家族や身内を大切にする温かい国民性を持っています。ストレートな自己主張や時間感覚の柔軟さは、背景を理解すれば組織の強みに変わります。
採用・マネジメントでは、成長機会の提供、報連相の意義の共有、メンツを重視したフィードバックが成功の鍵です。
文化の違いを「間違い」ではなく「個性」として尊重することで、台湾人材は、組織において不可欠なパートナーとなり得るでしょう。