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ネパール人留学生が急増の背景|採用メリット、就職の課題を解説

日本に在籍するネパール人留学生が2023年度に約3.8万人を突破し、中国に次ぐ第2位に浮上しました。10年で12倍近い急増の背景には、経済格差や就労可能な制度があります。

人手不足に悩む企業にとって、ネパール人材は貴重な戦力候補ですが、「本当に雇えるのか?」「注意点は?」という疑問も多いでしょう。

本記事では、企業の採用担当者だけでなく、留学生本人やその支援者にとっても有益な情報となるよう、最新データに基づき、急増の背景、日本での生活や就職が抱える課題、そして企業が採用する際のポイントを多角的に解説します。

この記事を読んでわかること
  • ネパール人留学生が急増している統計データと背景
  • 採用する3つのメリットと具体的な雇用方法(在留資格別)
  • 採用前に知るべき注意点とリスク回避のポイント

1.ネパール人留学生の現状:最新統計で見る急増の実態

ネパール人留学生の現状:最新統計で見る急増の実態

まずは数字で見るネパール人留学生の現状を把握しましょう。

公的機関の最新データから、どれほどの規模で増加しているのか、どのような学校に在籍しているのかを解説します。

10年で12倍の増加:2025年時点で4万人超が在籍

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「外国人留学生在籍状況調査」によると、2023年度時点でネパール人留学生は37,878人に達し、このペースが続けば近い将来4万人を超えることが予想されます。

年度ネパール人留学生数対前年比
2013年3,188人
2018年24,331人約7.6倍
2023年37,878人約1.6倍

国籍別ランキングでは、長年トップを維持する中国(約11万人)に次ぐ第2位となり、2022年度まで2位だったベトナム(約3万人)を抜きました。

この順位変動は、日本の留学生受け入れ構造が大きく変化していることを示しています。

この10年間の一貫した増加傾向は、単なる一時的なブームではなく、構造的な要因があることを物語っています。

企業の採用担当者としては、この傾向が今後も続く可能性が高いことを理解しておく必要があるでしょう。

出典: 独立行政法人日本学生支援機構 「2023(令和5)年度外国人留学生在籍状況調査」等 結果の公表について

専修学校と日本語学校が8割:「学生労働者」としての実態

ネパール人留学生の在籍機関を見ると、その特徴が鮮明に浮かび上がります。

ネパール人留学生の在籍機関の内訳
(2023年度)
日本語教育機関
46.5%
専修学校(専門学校)
37.8%
大学・短期大学
12.0%
大学院
1.9%
その他
1.8%

参考:独立行政法人日本学生支援機構「2023(令和5)年度 外国人留学生在籍状況調査」

日本語学校と専修学校を合わせると84.3%に達し、大学院・大学の合計13.9%と大きな差があります。さらに注目すべきは、私費留学生が99.4%を占めている点です。

この数字が意味するのは、多くのネパール人留学生が「学びながら働く」ことを前提に来日しているという現実です。

日本語学校や専修学校は、大学と比較して入学要件が緩やかで学費も比較的安価、そして何より週28時間までのアルバイトが認められているため、経済的に自立しながら学ぶことが可能なのです。

企業にとっての意味

この層が、まさに企業が採用できる主要なターゲットです。アルバイトとして雇用し、卒業後に正社員として登用するルートが現実的な選択肢となります。

在留外国人全体でも急増:留学資格が主流

留学生だけでなく、在留ネパール人全体も急増しています。総務省統計局のe-Statデータによると、2023年6月末時点で在留ネパール人は約15.6万人に達しています。

ネパール人の在留資格別の内訳
留学 (最多)
約49%
家族滞在
約25%
技術・人文知識・国際業務
約15%
その他
約10.5%
技能実習
0.5%
出典: 出入国在留管理庁『在留外国人統計』(e-Stat)

出典: 出入国在留管理庁『在留外国人統計』(e-Stat)

特筆すべきは、ベトナム人の在留資格が「技能実習」48%に対し、ネパール人は「留学」が圧倒的に多いという点です。

これは、ネパール人材を採用する際、技能実習制度ではなく、留学生のアルバイト雇用→卒業後の就職ビザ切り替え、あるいは特定技能ビザというルートが主流になることを意味します。

2.なぜ日本を選ぶのか?ネパール人留学生が急増する5つの理由

なぜ日本を選ぶのか?ネパール人留学生が急増する5つの理由

ネパール人が日本を選ぶ背景を理解することは、彼らのモチベーションや働く姿勢を知る上で重要です。

経済格差から就職の可能性まで、5つの理由を詳しく見ていきましょう。

理由①:圧倒的な経済格差が生む出稼ぎ動機

ネパール人が日本を選ぶ最大の理由は、圧倒的な経済格にあります。(為替レート・最低賃金は変動する可能性があります)

圧倒的な経済格差

さらに、一人当たりGDPを比較すると、日本はネパールの20倍以上という格差があります。

参考:World Bank Open Data

ネパールでは、国内総生産(GDP)の約27%が海外で働く労働者からの送金に依存しており、家族を経済的に支えるため高い賃金を求めて海外へ出稼ぎに行くことは、社会に深く根付いた文化なのです。

企業にとっての意味

この「家族のために稼ぐ」という強い動機が、高い労働意欲につながっています。一方で、経済的プレッシャーから週28時間を超えて働こうとするリスクもあるため、労働時間管理は重要です。

出典: 世界銀行データ、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

理由②:欧米の半額以下の学費と合法的な就労機会

日本が選ばれる2つ目の理由は、学費の安さと就労の自由度です。

欧米との学費の比較

日本の学費
年間60〜80万円(日本語学校・専修学校)

欧米の学費
年間200〜500万円

コスト差=本は欧米の半額以下、場合によっては4分の1

さらに日本では、「資格外活動許可」を得ることで、留学生でも以下の時間内でアルバイトが認められています。

  • 通常期: 週28時間まで
  • 長期休暇期間: 1日8時間、週40時間まで

この制度により、学費や生活費の多くをアルバイト収入で賄うことが可能になります。

オーストラリアなども就労可能な留学先として人気ですが、学費や生活費が日本よりも高額であるため、総合的なコストパフォーマンスでは日本に軍配が上がるのです。

理由③:安全な環境と社会インフラの整備

ネパール人は以前、中東諸国(サウジアラビア、UAE、カタールなど)への出稼ぎが主流でした。

しかし、治安の不安定さや劣悪な労働条件、人権侵害のリスクが問題視されるようになり、より安全な国を求める流れが生まれました。

日本は世界的に見ても治安が良く、電気・水道・交通機関などのインフラが安定しています。社会保障制度も整備されており、ネパールと比較すると「暮らしやすい国」として認識されているのです。

理由④:卒業後の就職・永住の可能性

さらに魅力的なのが、卒業後に日本で働き続けられる可能性です。

卒業後の就職・永住の可能性

この「留学→就職→永住」という明確なキャリアパスの存在が、多くのネパール人を日本に引き寄せています。

理由⑤:日本語学校の積極的なリクルート活動

中国・韓国からの留学生が減少したことで、日本語学校や専門学校がネパールなど非漢字圏の国々への積極的なリクルート活動を展開していることも、増加を後押ししています。

北海道から沖縄まで、全国の日本語学校は2024年4月時点で877校にのぼり、この10年余りで約400校も増えています。

こうした複数の要因が重なり、ネパール人留学生の急増につながっているのです。

3.【企業の採用担当者様へ】ネパール人材を雇用する際の完全ガイド

【企業向け】ネパール人材を雇用する際の完全ガイド

ここからは実務的な採用ガイドです。

ネパール人材を雇用するメリット、具体的な採用方法と在留資格、そして採用前に知っておくべき注意点を詳しく解説します。

採用する3つの明確なメリット

人手不足に悩む企業にとって、ネパール人材の採用には以下の明確なメリットがあります。

メリット①:家族への送金が生む高いモチベーション

前述の通り、多くのネパール人は母国の家族を経済的に支えるために来日しています。この「家族のために稼ぐ」という明確な目的意識が、仕事への高いモチベーションにつながります。

単なる生活費のためではなく、大切な人を守るために働くという強い動機は、職場での真摯な姿勢となって現れます。「なぜこの人はこんなに一生懸命働くのか?」という疑問の答えは、この背景にあります。

メリット②:真面目で勤勉な国民性

ネパールの文化的背景として、目上の人を敬い、与えられた仕事に真面目に取り組む傾向があります。仏教やヒンドゥー教の影響もあり、誠実さや勤勉さを重視する価値観が根付いています。

実際に雇用している企業からは以下のような評価が多く聞かれます:

  • 「指示をしっかり守る」
  • 「文句を言わず働いてくれる」
  • 「素直で教えたことを吸収する」
  • 「欠勤や遅刻が少ない」

メリット③:日本人が敬遠する業務にも積極的

製造業の夜勤、介護現場の肉体労働、物流倉庫での重労働、深夜のコンビニ勤務など、日本人の応募が少ない職種でも、ネパール人は積極的に取り組む傾向があります。

特に時給が高い夜勤(時給1,300〜1,500円)は人気があり、「地方のインフラを支える存在」として、すでに多くの現場で欠かせない戦力となっています。

東北地方や地方都市では、夜間の工場労働や物流施設での仕分け作業において、ネパール人留学生が重要な役割を担っています。

また、20代の若い世代が中心であるため、長期的な育成を前提とした採用も可能です。

採用方法と必要な在留資格:3つのパターン

ネパール人材を雇用する方法は、主に以下の3つのパターンがあります。

  • 留学生をアルバイトとして雇用
  • 卒業生を正社員として雇用(就職ビザ)
  • 特定技能ビザでの雇用

パターン①:留学生をアルバイトとして雇用

現在日本語学校や専門学校に在籍している留学生を、アルバイトとして雇用するケースです。

最も一般的で、リスクが低い採用方法です。

  • 確認事項: 「資格外活動許可」を取得していること(在留カードの裏面で確認可能)
  • 労働時間制限: 週28時間まで(長期休暇中は1日8時間、週40時間まで)
  • 業種制限: 風俗営業等は禁止
  • メリット: 卒業後の正社員登用を見据えた育成が可能。人物を見極める期間として活用できる

注意点:他のアルバイト先との合計で週28時間を超えないよう、面接時に必ず確認してください。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、合算での管理が必要です。

パターン②:卒業生を正社員として雇用(就職ビザ)

専門学校や大学を卒業した留学生を正社員として採用し、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更するケースです。

各種要件日本で働くための在留資格変更の条件
対象職種通訳・翻訳、営業、IT技術者、エンジニア、貿易事務、企画、マーケティングなど
学歴要件専門学校卒業以上の学歴
業務内容の要件専攻分野と業務内容に関連性があること
手続き出入国在留管理庁への在留資格変更許可申請(採用の3ヶ月前から可能)
重要な注意点単純労働(工場のライン作業のみ、清掃のみ、皿洗いのみ等)は原則認められない

例えば、情報処理の専門学校を卒業した学生をIT技術者として採用する、ホテル・観光系の専門学校卒業生をホテルのフロント業務や企画業務で採用する、といったケースが該当します。

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パターン③:特定技能ビザでの雇用

2019年に創設された「特定技能」制度を利用した雇用です。単純労働も可能なため、就職ビザでは難しいケースに有効です。

特定技能

対象分野
介護、外食業、宿泊業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、農業、漁業、飲食料品製造業、ビルクリーニング、工業製品製造業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業(計16分野)

特徴
単純労働も可能、転職が一定条件下で認められる

協力覚書
日本・ネパール間では技能実習・特定技能に関する協力覚書が締結済み
特にネパールは、円滑な人材受入れのための協力覚書を日本と締結しているため、手続きが比較的スムーズに進むというメリットがある

試験
技能試験と日本語試験(N4以上)の合格が必要

特定技能は、介護施設での介護助手、飲食店での調理・接客、工場での製造業務など、幅広い職種で活用できます。

手続きの流れと専門家の活用

在留資格の変更や新規申請には、複雑な書類準備と法的知識が必要です。不備があると不許可となり、採用計画に支障をきたします。

初めて外国人を雇用する企業は、行政書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。費用は案件により異なりますが、10〜20万円程度が相場です。確実な手続きと時間の節約、そして不許可リスクの低減につながります。

出典: 出入国在留管理庁

採用前に知っておくべき3つの重要な注意点

ネパール人材を雇用する際には、文化的な違いを理解し、適切な対応をすることが成功の鍵となります。

注意点①:時間感覚の違いへの対応

ネパールでは、日本ほど時間厳守の文化が根付いていません。インフラが未整備で交通機関が定刻通りに動かないことも多く、「少しぐらい遅れても問題ない」という感覚が一般的です。

具体的な対策

  • 採用時のオリエンテーションで「日本では時間厳守が極めて重要」であることを丁寧に説明
  • 「5分前行動」「遅刻しそうな時は必ず事前連絡」など、具体的で明確なルールを設定
  • 最初の3ヶ月間で習慣として定着させる期間と位置づける
  • 遅刻した場合は、感情的に叱るのではなく、なぜ時間厳守が重要なのかを論理的に説明

多くの企業の経験では、最初の1〜2ヶ月は遅刻が見られても、丁寧に指導することで3ヶ月目以降は改善されるケースが多いようです。

注意点②:宗教・文化への配慮

ネパール人の多くはヒンドゥー教徒(約80%)または仏教徒(約10%)です。

宗教的な配慮を行うことで、従業員の満足度と定着率が向上します。

具体的な配慮

  • 食事
    ヒンドゥー教徒は牛を神聖視するため、牛肉を食べない人が多い。社員食堂や会社の懇親会での食事提供時は事前に確認を
  • 祈りの時間
    熱心な信者の場合、勤務時間内に短い祈りの時間(5〜10分程度)を求められることがある。可能な範囲で配慮を
  • 宗教的な祝日
    ダサイン(10月頃の10日間)、ティハール(11月頃の5日間)などの重要な祭日には、母国への一時帰国を希望するケースもある。事前に相談されたら、可能な限り配慮する

これらは「特別扱い」ではなく、多様性を尊重する現代の職場において当然の配慮です。

注意点③:コミュニケーションスタイルの違い

ネパール人とのコミュニケーションでは、以下の点に注意が必要です。

  • 直接的な叱責は避ける
    人前で大声で叱ったり、強い言葉で否定すると、深く傷つき信頼関係が損なわれる可能性がある
  • 具体的なフィードバックを
    「ダメ」「違う」ではなく「こうしてほしい」「次はこのようにしましょう」という建設的な伝え方を
  • 丁寧な言葉遣い
    目上を敬う文化があるため、上司からの丁寧な言葉は尊重の表れとして受け取られる
  • 家族の話題を尊重
    家族を大切にする文化のため、家族の話をすることがある。関心を示すことで信頼関係が深まる

日本人の部下に対するのと同じように接するのではなく、文化的背景の違いを理解した上でのコミュニケーションが重要です。

4.【留学生・支援者の方へ】ネパール人留学生が抱える課題

ネパール人留学生が抱える課題:採用判断の重要な参考情報

メリットだけでなく、リスクも理解しておきましょう。

ネパール人留学生が抱える3つの主要な課題と、企業として知っておくべき対策を解説します。

課題①:経済的圧力によるオーバーワークのリスク

週28時間のアルバイトでは学費と生活費を賄うことが困難なため、一部の留学生が法定時間を超えて働く「オーバーワーク」をしてしまうケースがあります。

月収約9万円に対し、学費(月割)5.5万円+家賃2.5万円+生活費2万円で月10.8万円の支出となり、赤字です。

オーバーワークは不法就労となり在留資格取り消しの対象で、2020年には沖縄の日本語学校で142人中78人が取り消し処分を受けました。

マイナンバー制度により複数のアルバイト先での労働時間合算が可能になり、取り締まりが強化されています。

参考:琉球新報 ネパール人留学生78人、在留資格を失効 超過就労など理由 浦添の日本語学校

企業は面接時に他のアルバイト先での労働時間を必ず確認し、週28時間を超えないよう厳格に管理するようにしましょう。

課題②:日本語能力のばらつきと伸び悩み

企業が求める日本語レベルはJLPT N2以上ですが、アルバイトに追われて勉強時間が確保できず、N3やN4レベルのまま卒業する学生も少なくありません。

夜勤アルバイト後に授業に出席するため、授業中に居眠りをしてしまうケースもあります。

採用時は履歴書だけでなく実際に会話して日本語能力を確認し、JLPT資格の有無をチェックすることが重要です。

業務に必要な日本語レベルを明確化し、接客業ならN2以上、工場の製造ラインならN3でも可能など、職種に応じた基準を設定しましょう。入社後の日本語研修を検討することも有効です。

課題③:就職率は3〜4割というミスマッチの現実

日本で就職を希望するネパール人留学生のうち、実際に就職できるのは3〜4割程度です。就職できない主な理由は、以下になります。

  1. 日本語能力不足(N2レベル未達成)
  2. 日本独特の就活文化への不理解(履歴書の書き方、面接マナー、新卒一括採用システム)
  3. 専門学校での学びと企業ニーズのミスマッチ

採用成功のためには、早期からのインターンシップ受け入れ、就職活動のルールを丁寧に説明、入社後の育成プログラム整備、メンター制度の導入などが効果的です。

即戦力ではなく、育成前提での採用と位置づけましょう。

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外国人留学生の採用は、日本人学生の採用とは異なる視点が必要です。こちらの記事では採用市場の現状から、企業が知っておくべきメリット・デメリット、そして採用を成功に導くための具体的な7つのポイントを詳しく解説します。

外国人留学生を採用するには?在留資格から注意点まで徹底解説
外国人留学生を採用するには?在留資格から注意点まで徹底解説
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課題④:母国の情勢による心理的影響

母国の政治や経済の不安定さは、留学生の心理状態や将来設計に影響を与える可能性があります。

情勢によっては、母国にいる家族の身を案じたり、将来の帰国に不安を感じたりすることもあるでしょう。

参考:BBC NEWSJAPAN

母国の家族が事件に巻き込まれていないかを常に心配したり、政治が不安定な母国に帰ることへの不安が増大していることが懸念されます。

ネパール人留学生の多くが「母国に仕事がない」「日本で働き続けたい」という思いを強めている背景として、理解しておくといいでしょう。

5.ネパール人材採用を成功させるためのポイント

ネパール人材採用を成功させるためのポイント

ここまでの内容を踏まえ、採用成功のポイントと具体的なアクションプランをまとめます。チェックリストとFAQも活用し、自社に合った採用を進めましょう。

ネパール人材採用成功の5つのポイント
現実的な期待値を持つ
即戦力ではなく、育成を前提とした採用と考えましょう。日本人の新卒採用と同様の育成期間を想定することが大切です。
文化的配慮を怠らない
時間感覚、宗教、コミュニケーションスタイルの違いを理解し、お互いが気持ちよく働けるよう適切に対応しましょう。
適切な手続きを踏む
在留資格の確認や変更は複雑な場合があります。専門家(行政書士など)に相談し、確実に手続きを進めましょう。
労働時間管理を徹底
オーバーワークは企業にとっても大きなリスクです。特に留学生の場合、週28時間の上限を厳格に守る必要があります。
長期的な視点を持つ
短期的な労働力の確保だけでなく、長期的な人材育成とキャリア形成を支援する姿勢が、定着率向上に繋がります。
具体的なアクションプラン
4つのステップで採用を成功に導く
STEP 1
まずはアルバイト採用から
  • 日本語学校や専門学校に求人を出す
  • 面接時に日本語能力と他のアルバイト状況を確認
  • 資格外活動許可の有無を在留カードで必ずチェック
STEP 2
受け入れ体制を整備する
  • 社内研修プログラムを準備 (業務、安全、マナー等)
  • 困ったときの相談窓口を明確化 (人事、上司など)
  • 既存従業員への多文化理解研修を実施
STEP 3
在留資格を専門家に相談
  • 行政書士に相談し、正社員採用時の手続きを確認
  • 特定技能ビザの活用可能性を検討
  • 必要書類や申請スケジュールを把握
STEP 4
正社員登用を検討
  • アルバイトの働きぶりを見極め、優秀な人材は正社員採用へ
  • 在留資格変更の手続きを採用3ヶ月前から開始
  • キャリアパスを明確に示し、長期的な育成計画を立てる

6.採用検討に役立つチェックリスト

採用検討に役立つチェックリスト

ネパール人材の採用を検討する際、以下のチェックリストをご活用ください。

ネパール人材の採用検討に役立つチェックリスト
採用前の確認事項
自社の業務内容が外国人留学生の雇用に適しているか確認済み
アルバイトか正社員か、雇用形態を決定済み
必要な日本語レベル(N2、N3など)を明確化済み
在留資格の種類と要件を理解済み
労働時間管理の体制が整っている
行政書士など専門家の連絡先を確保済み
面接時の確認事項
在留カードで「資格外活動許可」の有無を確認
他のアルバイト先での労働時間を確認
日本語能力試験(JLPT)の取得級を確認
卒業予定時期を確認
卒業後の希望(就職希望か帰国予定か)を確認
家族構成や母国の状況を把握(任意)
採用後の管理事項
週28時間(長期休暇中は週40時間)の労働時間を厳守
タイムカードやシフト管理で労働時間を記録
宗教的配慮(食事、祈りの時間など)の確認と対応
定期的な面談で困りごとや悩みを把握
在留資格の更新時期を把握し、必要に応じてサポート

7.よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

ネパール人材の採用を検討する際によく寄せられる質問と回答をまとめました。実務的な疑問の解消にお役立てください。

Q1:ネパール人留学生を雇うメリットは何ですか?

A:主に3つのメリットがあります。

①家族のために稼ぐという強いモチベーション
②真面目で勤勉な国民性
③日本人が敬遠する夜勤や肉体労働にも積極的に取り組む姿勢

人手不足の職種では特に貴重な戦力となります。

Q2:週28時間以上働かせることはできませんか?

A:留学生は原則として週28時間までしか働けません(長期休暇中は週40時間)。

これを超えると不法就労となり、留学生は在留資格取り消し、企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。必ず法定時間内で雇用してください。

Q3:日本語が話せないネパール人でも雇えますか?

A: 法律上は可能ですが、業務指示や安全教育の観点から、最低限の日本語能力(N4〜N3程度)は必要です。

接客業や複雑な業務の場合はN2以上が望ましいです。面接時に実際の会話で日本語レベルを確認することをお勧めします。

Q4:卒業後も引き続き雇用できますか?

A: はい、可能です。専門学校や大学を卒業した場合、「技術・人文知識・国際業務」などの就職ビザに切り替えることで正社員として雇用できます。

ただし、業務内容が専攻分野と関連している必要があります。単純労働のみの場合は「特定技能」ビザを検討してください。

Q5:在留資格の手続きは難しいですか?

A:初めての場合は複雑に感じるかもしれません。

書類の不備があると不許可になるリスクもあるため、行政書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。費用は10〜20万円程度ですが、確実性と時間節約を考えると価値があります。

Q6:時間にルーズだと聞きましたが大丈夫ですか?

A:ネパールでは日本ほど時間厳守の文化が根付いていないのは事実です。

しかし、採用時に「日本では時間厳守が極めて重要」と丁寧に説明し、最初の3ヶ月で習慣化させることで、ほとんどのケースで改善されます。

文化の違いと理解し、適切な指導を行えば問題ありません。

Q7:どこで求人を出せばネパール人留学生を採用できますか?

A:最も効果的なのは、地域の日本語学校や専門学校に直接求人を出すことです。

学校の就職支援窓口に連絡すれば、掲示板への掲載や学生への紹介をしてくれます。また、外国人材専門の人材紹介会社を利用する方法もあります。

8.ネパール人留学生を理解し、適切な採用につなげていこう

ネパール人留学生は、高い労働意欲と真面目な国民性を持つ貴重な人材です。適切な知識と準備があれば、人手不足という経営課題の解決策となります。

時間感覚や宗教への配慮、労働時間管理など文化的な違いを理解し、育成前提で採用することが成功の鍵です。

まずは1〜2名のアルバイト雇用から始め、受け入れ体制を整えながら段階的に拡大していくのがよいでしょう。

記事を書いた人
mitadera
mitaderamayuko

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