2021年の軍事クーデター以降、特例措置により多くのミャンマー人が日本で就労可能になっています。
しかし、就労ビザの申請には複雑な手続きと長期間を要し、不適切な対応は不法就労助長罪(懲役3年・罰金300万円)のリスクもあります。
本記事では、2025年最新の制度を踏まえ、申請から雇用まで7つのステップで成功への道筋を完全解説します。
- ミャンマー人が取得可能な5種類の就労ビザと特定活動ビザの最新状況
- 申請から来日まで11ヶ月の現実的なスケジュールと必要書類の全て
- 不法就労のリスク回避と専門家活用の判断基準
1.ミャンマー人の日本就労で知っておくべき「就労ビザ」の基礎知識

「就労ビザ」と「在留資格」の違いを正しく理解する
企業の人事担当者が最も混同しやすいのが、「就労ビザ」と「在留資格」の違いです。これらは全く異なるもので、企業担当者は正確に認識しておく必要があります。
一般的に「就労ビザ」と呼ばれているものは、実際には「査証(ビザ)」と「在留資格」という2つの異なる許可の組み合わせを指しています。
査証は日本語で「ビザ」と呼ばれ、外国人が日本に入国する際に取得する必要がある許可証のことです。ミャンマーの場合、在ミャンマー日本大使館や領事館で申請を行います。
一方、在留資格は外国人が「日本にいる理由」を証明するための資格です。
日本に3ヶ月以上滞在する外国人は原則として在留資格を取得する必要があります。ビザは単に日本に入国するために必要なものに過ぎず、ビザがあるだけで就労が認められているわけではありません。
重要なのは、外国人が持っている在留資格が就労を許可していない場合、その就労は違法行為となるということです。
企業が確認すべきは、主に在留資格の内容であり、適切な在留資格を持っているかどうかを必ず就労前に確認する必要があります。
ミャンマー人が取得可能な就労関連の在留資格5種類
ミャンマー人が日本で就労する際に取得可能な主な在留資格は以下の5種類です。
それぞれの特徴と対象業務を正確に理解することで、適切な採用戦略を立てることができます。
1. 技術・人文知識・国際業務
最も一般的な就労ビザで、オフィスワーカーやホワイトカラーと呼ばれる知的労働や技術・開発的労働、事務系、企画・営業・販売系の職種が対象です。大学卒業または専門学校卒業が原則として必要であり、従事予定業務と学歴の専攻分野に関連性が求められます。
2. 特定技能
2019年に新設された在留資格で、指定された12分野の技能職での就労が可能です。ミャンマー人にとって特定技能を活用して日本で働くことは、平均月収が約30万円とミャンマーの約15倍になるため、大きな魅力となっています。
3. 技能実習
技術・知識の修得を目的とした在留資格で、農業、製造業等での技能習得が対象です。3〜5年間の期間限定で、人材育成の側面が強い制度です。
4. 特定活動
法務大臣が個別に指定する活動を行う在留資格です。2021年のミャンマー軍事クーデター以降、緊急避難措置として多くのミャンマー人がこの在留資格を取得しています。
5. 企業内転勤
海外の関連企業から日本の事業所に転勤し、技術・人文知識・国際業務レベルの活動を行う際に必要な在留資格です。外国にある本店、支店等において1年以上の継続勤務経験が必要です。
最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」ビザとは
ミャンマー人の雇用で最も多く利用されているのが「技術・人文知識・国際業務」ビザ(通称:技人国ビザ)です。
この在留資格の特徴を詳しく理解することで、適切な採用計画を立てることができます。
対象となる業務分野
申請の基本要件
- 大学卒業または日本の専門学校卒業(学歴要件)
- 従事予定業務と学歴の専攻分野の関連性
- 日本人と同等以上の報酬
- 素行が善良であること
企業は雇用予定者の学歴と業務内容の適合性を慎重に検討し、専門知識を持っている人にしかできない仕事であることを入管に詳しくアピールする必要があります。
2.2025年最新|ミャンマー特有の状況と特定活動ビザ

2021年のミャンマー軍事クーデター以降、日本政府は特例的な措置を継続しており、2025年現在も多くのミャンマー人が「特定活動」ビザで就労しています。
企業がミャンマー人を雇用する際は、この特殊な状況を正確に理解することが重要です。
軍事クーデター後の緊急避難措置による特定活動ビザ
2021年2月1日に発生したミャンマー軍事クーデターを受け、日本政府は「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」を実施しています。
この措置により、帰国困難なミャンマー人に対して「特定活動」の在留資格が付与されています。
措置の背景
ミャンマーでは軍事クーデター発生後、各地で抗議デモが活発化し、国軍・警察の発砲による一般市民の死亡・負傷事案が発生しました。
デモに参加していない住民に対する暴力事件も報告されており、情勢は引き続き不透明な状況が続いています。
【対象者の詳細】
- ミャンマー国籍を有する方
- ミャンマーに常居所を有する外国籍の方
- ミャンマー国内における情勢の不安を理由に日本での在留を希望する方
【特定活動ビザの特徴】
緊急避難措置による「特定活動」の概要
在留期間
原則1年。ミャンマーの情勢が改善されるまで更新が可能です。
就労制限
原則として、フルタイムでの就労が認められています。
活動内容
法務大臣が個々の事情に応じて指定する活動に従事します。
家族帯同
配偶者や子供も「特定活動」の在留資格で一緒に滞在できます。
また、難民認定申請についても審査を迅速に行い、難民該当性が認められる場合には適切に難民認定し、難民該当性が認められない場合でも、緊急避難措置として在留や就労が認められています。
既に日本にいるミャンマー人の在留資格変更の可能性
現在日本に在留しているミャンマー人の多くが、様々な在留資格から特定活動ビザへの変更を行っています。
企業が採用を検討する際は、以下の変更パターンを理解しておく必要があります。
変更可能なケースと条件
1. 第三者の都合により活動を満了できない場合
- 雇用契約が満了した方
- 技能実習を修了した方
- 学校を卒業した方など
- 在留期間:1年間(更新可能)
- 就労制限:なし(フルタイム可能)
2. 自己の責めに帰すべき事情により活動を満了しない場合
- 留学で来日したが学校に通わなくなった方
- 技能実習生で来日したが実習先を離脱した方など
- 在留期間:当初6ヶ月・週28時間以内
- 条件:1年間法令違反がなければ、更新時に1年間・就労制限なしに変更可能
【手続きの詳細】
手続きは居住地域を管轄している地方出入国在留管理局で行い、受付時間は平日のAM9時〜12時・PM1時〜4時です。
審査は通常2週間〜1ヶ月かかりますが、特例的な措置のため、標準期間と異なる場合があります。
特定活動ビザの就労制限と企業が知るべき注意点
特定活動ビザでミャンマー人を雇用する際は、以下の重要な注意点を把握しておく必要があります。
就労に関する詳細規定
- 就労時間:個々の状況により異なるが、多くの場合フルタイム就労が可能
- 業種制限:風俗営業等関連業務を除き、基本的に制限なし
- 転職の自由度:比較的自由だが、適切な届出が必要
企業が注意すべき重要ポイント
1. 在留期間の継続的管理
特定活動ビザには在留期間が定められており、更新をせずに期間を超過すると不法在留の罪に問われます。
在留期間が過ぎたミャンマー人を雇用した企業は不法就労助長罪に該当し、懲役3年以下または罰金300万円の罰則が課される可能性があります。
2. 制度変更への対応
この措置はミャンマー情勢を鑑みての特例的なものです。状況が改善したり、情勢が安定した場合は、緊急避難措置である「特定活動」はなくなると予想されます。
企業は日本政府や出入国在留管理庁が発表する情報をこまめにチェックする必要があります。
3. 長期的なキャリアプランの検討
特定活動ビザは緊急避難的な措置のため、条件が整えば技術・人文知識・国際業務や特定技能などの安定的な在留資格への変更を検討することが重要です。これにより、企業も労働者もより安定した雇用関係を築くことができます。
4. 心理的ケアの必要性
ミャンマー人労働者は本国の家族への不安や将来への不確実性を抱えている場合が多いため、企業側での適切な配慮とサポートが求められます。
3.ミャンマー人就労ビザ申請を成功させる7つのステップ

ミャンマー人の就労ビザ申請を確実に成功させるためには、体系的なアプローチが必要です。
以下の7つのステップに従って進めることで、トラブルを回避し、スムーズな採用を実現できます。
ステップ1:雇用予定者の学歴・職歴と業務内容の適合性確認
就労ビザ申請の成否を左右する最重要ポイントが、雇用予定者の学歴・職歴と予定業務の適合性です。
出入国在留管理局は、この関連性を厳格に審査します。
確認すべき学歴要件
- 大学卒業:日本国内または外国の高等教育機関での卒業
- 専門学校卒業:日本の専門学校卒業(外国の専門学校は原則不可)
- 実務経験:学歴要件を満たさない場合は10年以上の実務経験が必要
専攻分野と業務の関連性チェック
技人国ビザでは、学歴の専攻科目と職務内容のリンクが求められます。
例えば、経済学専攻→営業・企画業務、工学専攻→技術・開発業務といった関連性が必要です。
ミャンマー特有の注意点としては、ミャンマーの大学の学位証明書は、在ミャンマー日本領事館での認証が必要な場合があります。
また、高卒や中卒の外国人は日本語学校に通って卒業していたとしても就労ビザは取得できないため、事前の確認が重要です。
ステップ2:受け入れ企業のカテゴリー確認と必要書類準備
受け入れ企業は、規模や安定性によって4つのカテゴリーに分類され、それぞれ審査基準と必要書類が異なります。
自社のカテゴリーを正確に把握することが適切な申請の第一歩です。
企業カテゴリーの分類
所属機関のカテゴリー分類
カテゴリー1
上場企業、国・地方自治体 等
カテゴリー2
前年分給与所得の源泉徴収税額1,500万円以上
カテゴリー3
前年分給与所得の源泉徴収税額1,500万円未満
カテゴリー4
新設法人等(設立1年未満等)
カテゴリー別の審査の特徴
カテゴリー1・2の企業は信頼性が高いと判断され、比較的スムーズに審査が進みます。
一方、カテゴリー3・4の企業は追加書類の提出を求められることが多く、企業の財務状況が審査に大きく影響します。
【基本的な準備書類】
- 法人登記簿謄本(発行から3ヶ月以内)
- 雇用契約書または内定通知書
- 雇用理由書(業務内容の詳細説明)
- 会社案内、パンフレット等
ステップ3:在留資格認定証明書交付申請の実施
必要書類が準備できたら、出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。この申請が就労ビザ取得プロセスの中核となります。
申請の基本情報
- 申請場所
受け入れ企業所在地または雇用予定者の居住予定地を管轄する地方出入国在留管理局 - 申請者:受け入れ企業の職員または行政書士等の代理人
- 標準処理期間:1〜3ヶ月(申請内容により変動)
申請書類作成のポイント
在留資格の申請では、日本政府が定める要件をすべて満たしているかどうかが確認されます。
入管法別表第1の2または1の4に記載されている在留資格と滞在目的が一致しているかどうかが重要です。
審査を円滑に進めるコツ
- 書類の記載内容に矛盾がないよう細心の注意を払う
- 業務内容説明書では、専門性・技術性を具体的に記述
- 追加書類の要求に備え、詳細な資料を準備しておく
ステップ4:ミャンマーでの査証申請とスマートカード取得
在留資格認定証明書が交付されたら、ミャンマーでの手続きに移ります。
この段階では、査証申請とスマートカード取得という2つの重要な手続きが必要です。
査証申請(在ミャンマー日本領事館)
- 必要書類:在留資格認定証明書、パスポート、写真等
- 処理期間:約1週間
- 注意点:2023年3月17日から在留資格認定証明書の電子メール受領も可能
スマートカード(OWIC)申請
- 申請場所:ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)
- 処理期間:4〜5ヶ月
- 重要性:このカードなしでは出国できません
※労働を目的として日本へ渡航する場合、ミャンマーの法令上、海外就労識別カード(通称:スマートカード)の取得が必要です。
在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月のため、スマートカードの発行時期を考慮した計画的な申請が必要です。
必要に応じて、ミャンマー国籍の方の就労に関する在留資格認定証明書の有効期間を3ヶ月から6ヶ月に延長する措置も活用できます。
ステップ5:来日後の在留カード受領と就労開始手続き
ミャンマー人が来日した後は、以下の手続きを順次実施します。適切な手続きにより、合法的な就労を開始できます。
入国時の手続き
在留資格を持つ外国人の中でも3ヶ月を超える滞在者には、日本への入国の際、出入国在留管理庁から「在留カード」が発給されます。
- 空港での在留カード受領:成田、羽田、中部、関西空港では即日交付
- 他空港の場合:入国から約1〜2週間後に住居地に在留カードが郵送
在留カードの記載内容確認
在留カードには以下の事項が記載されています。
- 氏名、生年月日、性別
- 国籍と地域、住居地
- 在留資格、在留期間
- カードの有効期限
就労開始前の最終確認
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」等の確認
- 在留期間の確認(通常1年または3年)
- 就労制限の有無の確認
ステップ6:外国人雇用状況届の提出
外国人を雇用した企業は、法的義務として「外国人雇用状況届」の提出が必要です。この届出を怠ると罰則が課される可能性があります。
【提出義務の詳細】
日本国内で企業が外国人労働者を採用する際、受け入れ企業は厚生労働大臣に対して雇用の開始や終了を届け出る義務があります(2007年に施行)。
使用する届出書類
- 雇用保険加入者:「雇用保険被保険者資格取得届」(様式第2号)
- 雇用保険非加入者:「外国人雇用状況届出書」(様式第3号)
【記載内容と注意点】
届出書には、氏名、生年月日、国籍、性別の他、取得している在留資格の種類、在留期間、在留カードの番号などの基本情報を記載します。
記入の際は在留カードと照合して、誤りがないようにしてください。
提出期限と方法
- 提出期限:雇用が開始された日の翌月10日まで
- 提出先:管轄のハローワーク
- 提出方法:窓口持参、郵送、またはe-GOVでの電子申請
罰則規定: 期限内に届出が行われなかったり、誤った情報を提出した場合、30万円以下の罰金が課されます。
ステップ7:継続的な在留期間管理と更新手続き
就労開始後も、継続的な在留資格管理が企業の重要な責務となります。適切な管理により、長期的に安定した雇用関係を維持できます。
在留期間更新の基本: 在留資格には期間が設定されており、継続して日本に滞在するためには更新手続きが必要です。
企業のサポート責務
- 更新に必要な書類の準備支援
- 勤務状況や給与支払状況の証明書発行
- 継続雇用の意思表示
長期的な視点での在留資格管理
適切な長期管理により、企業と外国人材の双方にとって価値のある関係を築くことができます。

企業のメリット
人材の長期定着⇒安定した雇用関係を築くことができる
スキル向上⇒継続的な成長により生産性が向上する
採用コスト削減⇒新規採用の頻度が軽減 しコスト削減につながる
企業ブランド向上⇒外国人に優しい企業として企業のブランド価値があがる
在留資格変更の検討
技人国ビザをお持ちのミャンマー人の方の勤務先が変わった場合は「就労資格証明書交付申請」を行いましょう。
また、日本人と結婚した場合、必ずしもビザを変更する必要はありませんが、より安定した在留資格への変更を検討することも可能です。
これら7つのステップを確実に実行することで、ミャンマー人の就労ビザ申請を成功に導くことができます。特に、最初の適合性確認と企業カテゴリーの把握は、その後の手続きをスムーズにする重要な要素です。
就労ビザ取得方法の5ステップや企業規模別の対応方法など、審査のポイントから申請が不受理となるケースまで、実務担当者が知っておくべき情報をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
4.ミャンマー人雇用で企業が準備すべき必要書類一覧

ミャンマー人の就労ビザ申請を成功させるためには、企業側での適切な書類準備が不可欠です。
企業のカテゴリーや雇用形態に応じて必要となる書類を整理し、効率的な準備を進めましょう。
受け入れ企業のカテゴリー別必要書類の違い
企業のカテゴリーによって、提出が求められる書類が大きく異なります。事前に自社のカテゴリーを正確に把握し、適切な書類を準備することが重要です。
カテゴリー1企業(上場企業等)の必要書類
- 四季報の写し(該当部分)
- 法人登記簿謄本(発行から3ヶ月以内)
- 雇用契約書または内定通知書
- 雇用理由書(業務内容の詳細説明)
カテゴリー2企業(源泉徴収税額1,500万円以上)の必要書類
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印のあるもの)
- 法人登記簿謄本
- 雇用契約書または内定通知書
- 会社案内またはパンフレット
カテゴリー3企業(源泉徴収税額1,500万円未満)の必要書類
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 前年分の法人税の確定申告書控えの写し
- 法人登記簿謄本
- 会社案内または事業内容説明書
- 雇用契約書または内定通知書
カテゴリー4企業(新設法人等)の必要書類
- 事業計画書(詳細な収支計画含む)
- 法人税の確定申告書控えの写し(ある場合)
- 損益計算書(設立1年未満の場合)
- 法人登記簿謄本
- 雇用契約書または内定通知書
- 企業の信頼性を示す追加資料
カテゴリー4企業は特に審査が厳格になるため、企業の安定性や継続性を示す資料を十分に準備することが重要です。
雇用契約書作成時の重要ポイントと労働条件設定
雇用契約書は在留資格申請の核となる書類です。適切な内容で作成することが、審査通過の重要な要素となります。
【雇用契約書に必須の記載事項】
項目 | 記載内容 | 注意点 |
業務内容 | 具体的な職務内容、使用技術・知識 | 学歴との関連性を明確に |
雇用形態 | 正社員、契約社員等 | 在留資格との整合性 |
報酬 | 基本給、各種手当の詳細 | 日本人と同等以上が原則 |
勤務時間 | 就業時間、休憩時間、休日 | 労働基準法の遵守 |
雇用期間 | 契約期間、更新条件 | 在留期間との調整 |
社会保険 | 加入予定の保険制度 | 法定保険への加入義務 |
報酬設定の重要な注意点としては、技人国ビザ申請では、日本人と同等額以上の報酬を受けることが要件となっています。
最低賃金を大きく上回る設定とし、賞与、昇給制度、住宅手当等の福利厚生についても詳細に記載してください。
入国管理局は、外国人の方が日本でする仕事の専門性・特殊性(深い知識やスキルを必要とする)を重視するため、専門知識を持っている人にしかできない仕事であることを詳しくアピールする必要があります。
ミャンマー政府認定送出機関との連携が必要なケース
特定の在留資格や雇用形態では、ミャンマー政府が認定した送出機関を通じた手続きが必要となります。
特に特定技能や技能実習の場合は、この連携が法的に義務付けられています。
送出機関経由が必要なケース
1. 特定技能ビザでの雇用
2. 技能実習生の受け入れ
技能実習の目的は、日本の技術・技能・知識を開発途上国へ移転する国際協力 であり、人材育成を通じた国際貢献が主目的(単純な労働力確保ではない)となっています。
送出機関連携時の重要な注意点
- 費用の透明性確保:労働者からの不当な手数料徴収の防止
- 契約内容の厳格な確認:日本とミャンマー双方の法令遵守
- コミュニケーション体制の整備:日本語・ミャンマー語対応可能な窓口の確保
必要な追加書類

手続きの基本的な流れ
1.認定送出機関の選定・契約
2.MOLIPへの求人票提出・承認取得
3.人材選考・雇用契約締結
4.在留資格認定証明書交付申請
5.査証・スマートカード申請サポート

これらの書類準備を適切に行うことで、ミャンマー人の就労ビザ申請をスムーズに進めることができます。
特に、企業カテゴリーに応じた正確な書類選択と、雇用契約書の詳細な記載が成功の鍵となります。
5.申請期間と費用の実際|計画的な採用スケジュールの立て方

ミャンマー人の採用を成功させるためには、現実的な期間と費用を把握した上で、計画的なスケジュールを立てることが重要です。
予想以上に時間がかかる手続きもあるため、余裕を持った採用計画を策定しましょう。
在留資格認定証明書交付まで1〜3ヶ月の標準期間
在留資格認定証明書の交付は、ミャンマー人採用プロセスの最初の関門です。
出入国在留管理局での審査期間を正確に把握することで、適切な採用スケジュールを組むことができます。
在留資格別の標準的な審査期間
- 技術・人文知識・国際業務:1〜3ヶ月
- 特定技能:1〜2ヶ月
- 企業内転勤:1〜2ヶ月
- 在留資格変更許可申請:2週間〜1ヶ月
【審査期間に影響する主な要因】
要因 | 期間への影響 | 対策 |
書類の完備性 | 不備があると大幅遅延 | 事前チェックの徹底 |
企業カテゴリー | カテゴリー4は審査が長期化 | 追加資料の事前準備 |
業務内容の専門性 | 説明不足だと追加資料要求 | 詳細な業務説明書作成 |
申請時期 | 年度末・年度初めは混雑 | 閑散期を狙った申請 |
審査短縮のための実践的なポイント
- 書類の品質向上⇒誤字脱字のない正確な記載をする
- 根拠資料の充実⇒学歴証明書の適切な認証をする
- 業務説明の具体化⇒専門性を明確に示す記述をする
- 追加書類の事前準備⇒想定される追加要求への準備をしておく
在留資格認定証明書交付申請であれば1か月~3か月、在留資格変更許可申請であれば2週間~1か月と公表されていますが、申請人が海外にいる状態では在留資格変更許可申請はできないため、入出国時期を決めている場合は審査期間も考慮して準備を進める必要があります。
ミャンマーでのスマートカード取得に4〜5ヶ月必要な理由
ミャンマー人が海外で就労するために必要な「スマートカード(OWIC:Overseas Worker Identity Card)」の取得は、採用プロセスで最も時間を要する手続きです。
スマートカード取得の詳細な流れと期間
1. 申請書類準備段階:2〜4週間
【各書類の準備期間と詳細】
書類 | 詳細内容 | 所要時間 |
---|---|---|
雇用契約書のミャンマー語翻訳 | ・専門翻訳業者への依頼 ・法的用語の正確な翻訳 ・翻訳証明書の取得 | 1-2週間 |
健康診断書の取得 | ・指定医療機関での受診 ・各種検査(血液、X線等) ・英語での診断書作成 | 1-3週間 |
各種証明書の準備 | ・学歴証明書 ・職歴証明書 ・無犯罪証明書 ・戸籍関係書類 | 2-4週間 |
必要書類の認証手続き | ・公証人での認証 ・外務省での認証 ・在ミャンマー日本領事館認証 | 2-3週間 |
【現実的なスケジュール例】
2. MOLIP申請・審査段階:3〜4ヶ月
【各段階の所要期間と詳細】
段階 | 詳細内容 | 所要時間 |
---|---|---|
書類審査 | ・提出書類の形式チェック ・雇用契約内容の審査 ・企業信用度の確認 ・必要に応じた追加資料要求 | 6〜8週間 |
面接・適性検査 | ・面接日程の調整・通知 ・MOLIP での面接実施 ・適性検査・語学テスト ・面接結果の評価 | 2〜4週間 |
カード製作・発行 | ・カード製作システムへの登録 ・ICチップへのデータ書き込み ・カード印刷・製作 ・品質チェック・発送準備 | 4〜6週間 |
4〜5ヶ月を見込んで、在留資格認定証明書の有効期限管理を行うことが重要です。
3. 受領・出国準備段階:1〜2週間
【段階別の詳細スケジュール】
期間 | 手続き内容 | 所要時間 | 詳細・注意点 |
---|---|---|---|
1-3日目 | カード受領通知・確認 | 1日 | ・MOLIP からの受領可能通知 ・受領場所・時間の確認 ・必要な身分証明書の準備 |
4-5日目 | スマートカード受領 | 1-2日 | ・MOLIP 指定場所での受領 ・カード内容の現地確認 ・受領証明書の取得 |
6-8日目 | 出国関連書類の最終確認 | 2-3日 | ・パスポートの有効期限確認 ・査証の有効性チェック ・航空券の予約・確認 |
9-12日目 | 出国前手続き | 3-4日 | ・出国税の支払い ・空港での出国審査準備 ・荷物・書類の最終整理 |
13-14日目 | 出国・来日 | 1-2日 | ・ミャンマー出国手続き ・日本入国・在留カード受領 |
出国準備の具体的な手続き
必要書類がしっかり揃っているかしっかりチェックしましょう。

遅延が発生する主な理由と背景
- 政府機関の処理能力の限界:申請件数の増加に対する処理体制の不足
- 書類不備による差し戻し:翻訳品質や証明書の不備による再提出
- 面接スケジュールの調整困難:申請者数の集中による順番待ち
- カード製作の技術的問題:製作機器のトラブルや材料不足
申請費用の内訳と専門家依頼時の報酬相場
ミャンマー人採用にかかる費用を事前に把握することで、適切な予算計画を立てることができます。
【企業側で発生する主な費用】
項目 | 費用相場 | 備考 |
在留資格認定証明書申請 | 無料 | 出入国在留管理局への申請は無料 |
行政書士報酬 | 10〜20万円 | 申請代行・書類作成費用 |
書類翻訳費用 | 5〜10万円 | 契約書・証明書等の翻訳 |
書類認証費用 | 2〜5万円 | 領事認証等の手数料 |
来日費用サポート | 10〜15万円 | 航空券・初期生活費補助 |
ミャンマー側で発生する費用
- 査証申請料:約5,000円
- スマートカード申請料:約20,000円
- 健康診断・証明書取得:約10,000円
- 送出機関手数料:職種により異なる(特定技能の場合)
専門家依頼時の詳細な報酬相場
【行政書士報酬(技術・人文知識・国際業務)の場合】
- 新規申請(認定証明書交付申請):12〜18万円
- 変更申請:8〜12万円
- 更新申請:5〜8万円
- 追加書類対応:3〜5万円
【成功報酬制を採用する場合】
- 基本料金:5〜8万円
- 成功報酬:許可時に追加8〜12万円
現実的な採用スケジュールモデル
この現実的なスケジュールを基に、企業の採用計画を立てることで、予期せぬ遅延や追加コストを回避できます。
特に、スマートカード取得期間の長さを考慮した余裕のあるスケジューリングが成功の鍵となります。
6.専門家への相談を検討すべきケースと選び方

ミャンマー人の就労ビザ申請は複雑な手続きが多く、企業の状況によっては専門家のサポートが不可欠です。
適切な専門家を選ぶことで、申請の成功率向上と効率化を実現できます。
行政書士に依頼するメリットと費用対効果
行政書士は入管手続きの専門家として、企業の就労ビザ申請をサポートします。依頼の判断基準と期待できる効果を理解しましょう。
【費用対効果の具体的な判断基準】
企業の状況 | 自社対応推奨度 | 専門家依頼推奨度 | 理由 |
カテゴリー1-2企業・標準的職種 | ◎ | △ | 審査が比較的容易 |
カテゴリー3-4企業・複雑な職種 | △ | ◎ | 追加書類対応が必要 |
初回申請・社内経験なし | △ | ◎ | ノウハウ不足のリスク |
複数名同時申請 | △ | ◎ | 効率性とリスク分散 |
ROI(投資対効果)の計算例としては、 行政書士費用15万円 vs 人事担当者の工数(40時間×時給3,000円)+ 不許可リスク対応費用 = 総合的にはコスト削減効果あり、となります。
複雑なケースで入管手続き専門家の知識が必要な場面
以下のような複雑なケースでは、専門家の知識が不可欠となります。自社での対応は非常に困難で、失敗のリスクが高いケースです。
専門家依頼が強く推奨される具体的なケース
1. 企業の財務状況に課題がある場合
- 前年度が赤字決算や債務超過状態
- 設立間もない企業(カテゴリー4)
- 大幅な売上減少や事業縮小
2. 雇用予定者の経歴に特殊事情がある場合
- 学歴と職種の関連性が薄い
- 過去の在留歴に問題がある(オーバーステイ等)
- 複数回の転職歴や空白期間
3. 業務内容の専門性説明が困難な場合
- 新しい職種や業界での雇用
- 技術・知識の高度な専門性を要求される業務
- 複合的な業務内容で分類が困難
専門家による具体的なサポート内容
- 詳細な事前診断:書類審査前の許可可能性評価
- 戦略的な申請書作成:審査官への効果的なアピール方法
- 補強資料の準備:不足書類の特定と追加準備支援
- 審査中のフォローアップ:追加要求への迅速かつ適切な対応
これらのリスクは、ノウハウのない企業にとっては特に難しいものです。
外国人の雇用には、国内で日本人を雇用する場合よりもさまざまなリスクが存在するため、専門家の助けを借りてトラブルの可能性をしっかりと排除する必要があります。
信頼できる専門家を見極める3つの判断基準
適切な専門家選びは、申請成功の重要な要素です。以下の基準で選定し、失敗のリスクを最小限に抑えましょう。
判断基準1:実績と専門性の確認
- ミャンマー人案件の豊富な経験:年間取扱件数50件以上、成功率95%以上
- 最新法令への対応力:入管法改正や制度変更への迅速な対応実績
- 多様なケースへの対応経験:困難案件の解決実績と具体的事例
判断基準2:コミュニケーション能力の評価
- 説明の分かりやすさ:専門用語を使わない丁寧で理解しやすい説明
- レスポンスの速さ:質問への24時間以内の迅速で的確な回答
- 進捗報告の適切さ:定期的な状況報告と透明性のある情報共有
判断基準3:料金体系と契約条件の透明性
- 明確な料金提示:追加費用の可能性も含めた詳細な説明
- 成功報酬制の有無:リスク分担の仕組みと支払条件の明確化
- アフターフォロー体制:許可後の更新手続きサポートや継続相談
避けるべき専門家の特徴

適切な専門家を選ぶことで、ミャンマー人の就労ビザ申請を確実に成功させ、企業の外国人雇用を円滑に進めることができます。
特に初回申請や複雑なケースでは、専門家の活用が成功への近道となります。
外国人雇用において行政書士が果たす役割や依頼すべき具体的な業務、さらには信頼できる行政書士の見つけ方までなどもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
7.ミャンマー人材活用で企業の未来を切り拓く

ミャンマー人の就労ビザ申請は、適切な準備と継続的な管理により確実に成功させることができます。
特に重要なのは、学歴と業務の適合性確認、現実的な11ヶ月スケジュールの設定、そして法的リスクの回避です。
2025年の特例措置を活用しつつ、長期的な視点で優秀な人材を確保することで、企業の国際競争力向上と持続的な成長を実現できるでしょう。専門家との適切な連携も成功の鍵となります。
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