外国人採用を検討している企業にとって、助成金制度の活用は大幅なコスト削減と安定した雇用体制構築の鍵となります。2025年現在、最大72万円の支援を含む5つの主要助成金が利用可能です。
本記事では、各制度の詳細な条件・申請方法から地方自治体の独自支援まで、外国人採用助成金の全体像を解説します。
適切な活用により、採用から定着まで一貫したサポートを受けられます。
- 外国人採用で使える5つの主要助成金の条件・金額・申請方法
- 助成金申請の具体的な手順と失敗しないための注意点
- 2025年最新の制度動向と地方自治体の独自支援制度
1.外国人採用の助成金とは?

外国人採用を検討している企業にとって、国が提供する助成金制度は非常に心強い支援となります。
適切に活用することで採用・雇用にかかるコストを大幅に削減でき、安定した外国人雇用体制の構築が可能になります。
助成金と補助金の違い
外国人雇用に関する支援制度には「助成金」と「補助金」の2種類があります。
項目 | 助成金の特徴 | 補助金の特徴 |
---|---|---|
管轄機関 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
目的 | 雇用の安定化、労働環境の改善、従業員のスキル向上 | 企業の成長サポート、設備投資、研究開発 |
受給難易度 | 要件を満たせば受給しやすい | 審査による採択方式で受給が困難 |
予算 | 雇用保険料が財源 | 限定的で早期終了の可能性あり |
両制度とも返済不要ですが、不正受給や要件未達成の場合は返還義務が発生するため注意が必要です。
外国人採用で助成金を活用するメリット
外国人採用助成金を活用することで、以下のメリットが得られます。

これらのメリットを最大化するには、各助成金の特徴と要件を正しく理解することが重要です。
2.2025年版|外国人採用で活用できる主要助成金5選
2025年現在、外国人採用において活用できる主要な助成金は5つあります。それぞれ目的や支給条件が異なるため、自社の状況に最適な制度を選択することが重要です。
①人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)
人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備コースは、外国人労働者の職場定着促進を目的とした就労環境整備を支援する制度です。
外国人特有の事情に配慮した環境を整備することで、長期的な雇用関係の構築を後押しします。
支給額については、賃金要件の達成状況により異なります。
主な条件
- 外国人労働者を雇用している事業主
- 認定された就労環境整備計画に基づく実施
- 計画終了後の外国人労働者離職率が10%以下
要件達成率 | 支給金額 |
---|---|
賃金要件未達成 | 支給対象経費の1/2(上限57万円) |
賃金要件達成 | 支給対象経費の2/3(上限72万円) |
対象経費: 通訳費、翻訳機器導入費、弁護士・社労士委託料、社内標識設置費など
これらは外国人労働者が日本の職場で安心して働けるよう、言語や文化の壁を解消するための実用的な支援項目となっています。
②トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金の一般トライアルコースは、安定的な就職が困難な求職者に対して、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により一定期間の試行雇用を行った場合に支給される助成金です。
求職者の早期就職の実現と雇用機会の創出を目的としており、企業にとっては外国人労働者との相性を確認できる貴重な機会となります。
トライアル雇用助成金受給要件 | 支給金額 |
---|---|
一般 | 月額4万円(最長3ヶ月) |
母子家庭・父子家庭 | 月額5万円(最長3ヶ月) |
合計で最大12万円から15万円の支援を受けることができ、試用期間中の人件費負担を大幅に軽減できる制度となっています。
受給の主な条件
- 雇用保険適用事業所であること
- ハローワーク等の紹介による雇用
- 原則3ヶ月のトライアル期間設定
- 週の所定労働時間が通常労働者と同程度
この制度の特徴は、企業と外国人労働者双方にとってメリットがある点です。
企業側は実際の業務を通じて適性や能力を確認でき、外国人労働者側も日本の職場環境に慣れる期間として活用できます。
トライアル期間終了後の継続雇用率も高く、安定した雇用関係の構築につながりやすい制度として評価されています。
申請は雇用開始から2週間以内に実施計画書をハローワークに提出する必要があり、迅速な手続きが求められます。
③キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するために、企業が正社員化や処遇改善などの取り組みを実施した場合に支給される助成金です。
外国人労働者についても対象となり、雇用の安定化と処遇向上を通じて長期的な定着を図ることができます。
支給額は実施するコースによって大きく異なります。
実施コース | 助成金支給金額 |
---|---|
正社員化コース | 28万円〜72万円 |
賃金規定等改定コース | 1人当たり1.9万円〜3.8万円 |
主な条件
- 雇用保険適用事業所であること
- キャリアアップ計画の事前作成・提出
- 計画に基づく正社員化または処遇改善の実施
その他にも障害者正社員化コース、賞与・退職金制度導入コース、短時間労働者労働時間延長コースなど、多様な支援メニューが用意されています。
④人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
人材開発支援助成金の人材育成支援コースは、従業員が職務に関連した専門知識や技能を習得するための訓練に必要な経費や訓練期間中の賃金を支援する制度です。
外国人労働者の技能向上と日本の職場への適応を促進することで、生産性向上と長期的な定着を図ることができます。
支給額は経費助成と賃金助成の2つに分かれています。
助成の種類 | 支給金額 |
---|---|
経費助成 | 中小企業45%、大企業30% |
賃金助成 | 1人1時間当たり760円(中小企業)、380円(大企業) |
中小企業が200時間以上の訓練を実施した場合の上限額は最大50万円となり、まとまった規模の人材育成を行う企業にとって大きな支援となります。
受給の主な条件
- 訓練実施計画を作成し、訓練開始日の1ヶ月前までに管轄労働局へ提出
- OFF-JT(職場外訓練)による10時間以上の訓練実施
- 職務に関連した専門的な訓練内容、訓練修了後には所定の手続きを行い実績報告書を提出
この助成金の特徴は、外国人労働者の職業能力開発を通じて企業全体の競争力向上につなげられる点です。日本語能力の向上、専門技術の習得、安全衛生教育など、多様な訓練内容が対象となります。
特に外国人労働者にとっては、日本の職場文化や業務スキルを体系的に学ぶ機会となり、自信を持って業務に取り組めるようになります。
企業側も訓練を通じて外国人労働者の能力を正確に把握でき、適切な配置や昇進の判断材料となるでしょう。
⑤雇用調整助成金
雇用調整助成金は、経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に必要な費用を助成する 経済的理由による事業縮小時の雇用維持支援制度です。
外国人労働者も対象となり、経済情勢の悪化時において解雇を回避し、雇用の安定化を図ることができます。
企業規模 | 支給額 |
---|---|
中小企業 | 休業手当相当額×2/3 |
大企業 | 休業手当相当額×1/2 |
1人1日当たりの上限額は8635円となっており、従業員数に応じてまとまった支援を受けることができます。
また、休業に加えて教育訓練を実施した場合は、1人1日当たり1200円が加算され、単純な休業よりも積極的な人材育成を促進する仕組みです。
受給の主な条件
- 雇用保険適用事業所であること
- 最近3ヶ月の売上高が前年同期比10%以上減少
- 雇用量が一定以上増加していないこと
- 実施する雇用調整が基準を満たすこと
3.外国人採用の助成金の申請手続きと流れ

助成金申請を成功させるには、正しい手順と準備が不可欠です。申請から支給まで数ヶ月を要するため、計画的に進めることが重要になります。
申請前の準備
助成金申請を成功させるためには、事前の十分な準備が不可欠です。準備不足により申請が受理されなかったり、支給が遅れたりするケースが多いため、計画的に進めましょう。

基本的な申請手順
助成金申請は段階的なプロセスとなっており、各ステップを正確に実行することが受給成功の鍵となります。
一般的な申請から支給までの流れは4つのステップに分けられ、全体で約4から6ヶ月程度の期間を要します。

審査期間中に追加書類の提出を求められる場合があるため、迅速な対応ができるようにしておきましょう。各ステップでの適切な対応により、確実な助成金受給を実現できます。
申請成功のためのチェックポイント
助成金申請の成功率を高めるためには、書類作成から審査対応まで各段階でのポイントを押さえることが重要です。
多くの企業が陥りやすいミスを事前に把握し、戦略的にアプローチすることで確実な受給を目指しましょう。
書類作成のポイント
計画内容は具体的かつ実現可能に記載
計画書には抽象的な表現を避け、「いつ、誰が、何を、どのように実施するか」を明確に記載する必要があります。
例えば、「コミュニケーション環境を改善する」ではなく、「○月○日から○名の通訳スタッフを配置し、毎週○時間の日本語研修を実施する」といった具体的な内容にします。
経費の妥当性を明確に説明
翻訳機器の導入であれば、機種選定の理由、価格の妥当性、期待される効果を数値で示すなど、審査担当者が納得できる説明を用意しましょう。
外国人労働者の定着効果を具体的に記述
過去のデータや他社事例を参考にした現実的な目標設定と、その達成方法を具体的に記述することが重要です。
よくある申請ミスの回避
- 提出期限の厳守(期限後は一切受付不可)
- 必要書類の漏れや不備のチェック
- 計画変更時の事前相談・承認取得
成功率向上のコツ
- 社会保険労務士など専門家との連携
- 過去の採択事例の研究
- 労働局担当者との事前相談活用
- 同業他社の成功事例参考
申請書類の作成には専門知識が必要なため、不安な場合は社会保険労務士への相談を強く推奨します。
4.地方自治体の外国人雇用支援制度

国の助成金に加えて、各都道府県・市町村が独自の外国人雇用支援制度を設けています。地域の特性に応じた手厚い支援が受けられる場合があり、国の制度との併用も可能です。
地方自治体の代表的な支援制度
全国の地方自治体では、国の助成金制度に加えて独自の外国人雇用支援制度を設けており、地域の特性やニーズに応じた手厚い支援を提供しています。
これらの制度は国の助成金と併用できる場合が多く、より充実した支援を受けることが可能です。
東京都「外国人介護人材受入環境整備事業」
- 対象:介護施設・養成機関
- 支援内容:コミュニケーション支援、資格取得支援、生活支援
- 特徴:翻訳機導入費や異文化理解研修費を補助
大阪府「外国人材受入加速化支援事業」
- 対象:府内企業
- 支援内容:マッチングプラットフォーム提供、合同企業説明会開催
- 特徴:「MEET IN OSAKA」を通じた留学生との交流支援(年7回開催)
浜松市「外国人材等日本語学習支援事業費補助金」
- 対象:市内法人・個人事業主
- 支給額:N1・N2取得支援で最大50万円、N3取得支援で最大40万円
- 特徴:JLPT取得を条件とした日本語教育費の2分の1を補助
富山県「外国人材地域交流促進事業費補助金」
- 対象:県内中小企業、登録支援機関等
- 支給額:1事業あたり上限20万円(1団体2事業まで)
- 特徴:地域交流活動を通じた定着促進支援
自治体制度は地域のニーズに特化した手厚い支援が特徴です。まずは事業所所在地の自治体HPで最新情報を確認することをおすすめします。
5.外国人採用での助成金申請で失敗しないための注意点

助成金申請では多くの企業が陥りやすい落とし穴があります。失敗を避け、確実に受給するための重要なポイントを解説します。
申請時のよくあるミス
助成金申請において多くの企業が陥りやすいミスは、主にタイミング、書類作成、要件認識の3つの分野に集約されます。
これらのミスを事前に把握し、適切な対策を講じることで申請成功率を大幅に向上させることができます。
タイミングの誤り
タイミングの誤りは最も深刻な問題となることが多く、特に雇用開始後の申請は致命的なミスとなります。
雇用開始後の申請
多くの助成金は雇用前の計画提出が必要なため、雇用開始後に制度を知って申請しようとしても、既に受付期間を過ぎているため申請自体ができません。
期限直前の駆け込み申請
申請書類に不備があった場合、修正時間が確保できずに期限切れとなるリスクが高まります。
年度末申請
助成金の多くは年度予算で運営されているため、年度後半になると予算残額が少なくなり、早期に受付終了となるケースが頻発しています。
書類作成の不備
計画内容の曖昧性
具体性に欠ける計画書は不採択の原因に。「外国人労働者の働きやすい環境を整備する」といった抽象的な表現では、具体的に何をするのかが不明確で、審査担当者に計画の実効性を疑われます。
経費積算の根拠不足
費用対効果の説明が不十分だと不受理の可能性があります。例えば翻訳機器の購入費用を計上する際に、なぜその機種を選んだのか、価格は適正なのか、どの程度の効果が期待できるのかといった説明が不十分だと、経費の妥当性が認められません。
必要書類の漏れ
事業所の登記簿謄本、労働保険料納付証明書など、チェックリストによる確認が不可欠です。
要件の誤認識
対象外の外国人雇用
在留資格や雇用形態の要件は確認しておかなければいけません。例えば、技能実習生は帰国を前提とした在留資格のため、正社員転換を目的とするキャリアアップ助成金の対象外となります。
また、留学生のアルバイトは就労時間に制限があるため、フルタイム雇用を前提とした助成金の対象とならない場合があります。
事業所要件の見落とし
雇用保険に未加入の事業所や労働関係法令に違反歴がある事業所は、助成金申請の資格がありません。
併用制限の見落とし
同一の外国人労働者や同一の取り組みについて、複数の助成金を重複して申請することは原則として認められていません。事前に併用可否を確認せずに申請すると、後から返還を求められる可能性があります。
受給後の注意事項
助成金を受給した後も、企業には継続的な義務と責任が発生します。
受給で終わりではなく、むしろ本格的な管理責任が始まると考えなければいけません。適切な事後管理を怠ると、助成金の返還や将来の申請資格剥奪といった深刻な問題に発展する可能性があります。
実績報告の義務
実績報告の義務は受給後の最も重要な責務です。多くの助成金制度では、受給後も定期的な実績報告が求められます。
期限内報告
報告期限の遅延は支給停止の直接的な原因となるため、期限管理を徹底する必要があります。報告書には外国人労働者の雇用継続状況、離職率の推移、実施した取り組みの効果などを正確に記載する必要があります。
正確な実績記録
助成金の対象となった経費に関する領収書、請求書、契約書などは、受給後も一定期間(通常5年間)の保存が義務付けられています。これらの書類は労働局の監査時に提示を求められるため、整理整頓して適切に管理しなければなりません。
変更時の事前相談
計画変更が生じる場合は、必ず事前に労働局へ相談し、承認を得ることが重要です。事後報告では変更が認められず、助成金の返還を求められる可能性があります。
返還リスクとその回避
助成金の返還リスクに関しては受給企業が最も注意すべき点です。
要件未達成
要件未達成による返還が最も多いケースで、特に外国人労働者の離職率基準や研修実施基準を満たせなかった場合に発生します。例えば、人材確保等支援助成金では計画期間終了後の離職率が10%以下という厳格な基準があります。
この基準を満たすためには、外国人労働者の定着に向けた継続的な取り組みが不可欠です。
不正受給
故意に虚偽の申請を行った場合は刑事罰の対象となります。過去の事例では、実際には実施していない研修を実施したように偽装したり、架空の経費を計上したりしたケースで厳重な処分が下されています。
監査対応
監査では書類審査だけでなく、実際の職場環境や外国人労働者への聞き取り調査も行われます。日頃から適正な労務管理を行い、監査時には誠実に対応することが求められます。
継続的な法令遵守
法令遵守は助成金受給企業の基本的な責務です。
労働基準法の遵守
労働基準法の遵守は最も基本的な要件で、特に残業代の未払いや不当解雇は助成金返還の原因となります。外国人労働者についても日本人労働者と同等の労働条件を保障し、適正な賃金支払いを継続する必要があります。
安全衛生管理
外国人労働者への安全教育は言語や文化の違いを考慮した丁寧な実施が求められます。労働災害が発生した場合、安全教育が不十分だったと判断されると助成金の返還を求められる可能性があるからです。
社会保険加入
外国人労働者についても適切な健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入手続きを行い、保険料の滞納がないよう管理する必要があります。
継続的な自己点検と必要に応じた専門家への相談により、適切な事後管理を維持することが重要です。
助成金を最大活用するコツ
助成金制度を最大限に活用するためには、単発的な利用ではなく、戦略的かつ継続的なアプローチが重要です。
複数制度の組み合わせや長期的な視点での活用により、投資効果を大幅に向上させることができます。

助成金は「もらって終わり」ではなく、外国人雇用の質向上と企業成長のツールとして活用することが重要です。
このほかにも外国人採用をするには注意点が多くあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
6.外国人採用助成金以外の支援サービス

助成金と併せて活用できる支援機関やサービスを知ることで、外国人雇用をより安定的かつ効果的に進められます。各機関の特徴を理解し、適切に活用しましょう。
外部支援機関
外国人労働者の雇用における助成金活用を成功させるためには、専門的な知識と経験を持つ外部支援機関との連携が重要です。
これらの機関は制度の詳細な理解と豊富な実務経験を持ち、企業の助成金申請から受給後の管理まで包括的にサポートできます。
登録支援機関
登録支援機関は、出入国在留管理庁に登録された専門機関で、特定技能外国人の受け入れ企業に対して支援計画の実施を代行する重要な役割を担っています。
- 役割:特定技能外国人の生活・就労支援の委託先
- 主なサービス:入国前ガイダンス、住居確保支援、生活オリエンテーション、定期面談、母国語相談対応など
- 活用メリット:企業の支援業務負担軽減、専門的な支援提供、法的要件の確実な履行
- 選定ポイント:実績・専門性、対応言語、サポート体制、費用対効果
登録支援機関について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
JITCO(国際厚生事業団)
JITCOは公益財団法人国際人材協力機構の略称で、技能実習制度と特定技能制度の適正な実施を支援する中核的な機関です。
- 役割:技能実習・特定技能制度の総合支援機関
- 主なサービス:制度説明セミナー、実習実施者向け講習、安全衛生教材提供、トラブル相談対応
- 活用メリット:無料相談サービス、豊富な資料・教材、専門的知識の提供
- 特徴:政府認可の公的機関として信頼性が高く、中立的な立場からのアドバイス提供
両機関とも外国人雇用の実務面で重要な役割を果たすため、助成金申請と並行して連携を検討することをおすすめします。
ハローワークのサポート内容
ハローワーク(公共職業安定所)は、外国人労働者の雇用促進と企業の助成金活用において中核的な役割を担う公的機関です。
全国に設置されており、企業と外国人求職者の双方に対して無料で包括的なサポートを提供しています。
外国人雇用管理アドバイザー制度
外国人雇用管理アドバイザー制度とは、外国人労働者の雇用管理改善や職業生活上の問題について、専門的な知識や経験を持つアドバイザーが、事業主からの相談に応じ、助言や指導を行う制度です。
- サービス内容:外国人労働者の雇用管理改善、職業生活上の問題解決に関する専門相談
- 対象企業:外国人を雇用する全ての事業主
- 利用方法:管轄ハローワークでの無料相談予約
- アドバイザーの専門性:外国人雇用の法的知識、文化的配慮、実務経験
以下のサービスもハローワークで受けることができます。
職業紹介サービス
- 外国人求職者とのマッチング支援
- 在留資格に応じた職業紹介
- 雇用条件の調整サポート
- 雇用後のフォローアップ
雇用管理指導・相談
- 外国人雇用状況届出に関する指導
- 適正な雇用管理に関するアドバイス
- 労働関係法令の遵守指導
- 職場環境改善の具体的提案
ハローワークは身近で利用しやすい公的機関として、外国人雇用の基本的な相談から専門的なアドバイスまで幅広くサポートしています。
助成金申請の相談も可能なため、積極的に活用しましょう。
7.2025年の助成金動向と今後のポイント

外国人労働者数が204万人を突破し、雇用事業所も約31万事業所を突破した状況を受け、2025年の助成金制度は大きな転換期を迎えています。
制度改正・注目の新設助成金
助成金制度は労働市場の変化や政策方針に応じて継続的に見直しが行われており、外国人労働者の雇用を支援する制度も例外ではありません。
最新の制度改正情報と今後の展望を把握することで、より効果的な助成金活用が可能になります。
デジタル化支援の強化
2025年は外国人雇用におけるデジタル化支援が重点テーマとなっています。キャリアアップ助成金では、全コースで電子申請が可能となり、企業の事務負担軽減に大きく貢献します。
「省力化投資補助金」では新しく個別発注方式という枠組みが追加され、使い勝手がよくなる見込みです。翻訳機器やコミュニケーションツールの導入支援が拡充されます。
参考:中小企業省力化投資補助金
地方自治体制度の多様化
各自治体で独自の外国人雇用支援制度が続々と開始されています。特に介護、建設、製造業などの人手不足が深刻な分野では、外国人材の活用促進に向けた新たな助成制度の創設も検討されています。
新設制度への注目
中小企業の成長を推進するために、「新事業進出補助金」や「中小企業成長加速化補助金」という補助金が新設され、外国人材を活用した事業展開への支援が期待されています。
参考:中小企業新事業進出補助金|中小企業基盤整備機構、中小企業庁 「中小企業成長加速化補助金」の公募要領を公表しました
中小企業への支援拡大の動き
中小企業における外国人労働者の雇用は、大企業と比較して人事・労務管理の体制や資金力に制約があることから、政府は中小企業に特化した支援制度の拡充を積極的に進めています。
この動きは労働力不足の深刻化と外国人労働者への依存度増加を背景として、2025年度以降さらに加速することが予想されます。
中小企業への支援拡大の動き例 | 概要 |
---|---|
支援制度の簡素化 | 従来複雑だった申請手続きの簡素化が進んでいます。2024年度に人気が高い業務改善助成金に関しても、制度が拡充する予定であり、中小企業にとってより利用しやすい制度設計となっています。 |
金額上限の見直し | 中小企業の実情に合わせた支給額の適正化が図られています。特に人材確保等支援助成金では、賃金要件達成時の上限額が72万円に設定され、実効性の高い支援となっています。 |
継続性重視の制度設計 | 単発的な支援から継続的な雇用支援へとシフトしています。外国人労働者の定着率向上を重視した制度改正が相次いでおり、長期的な雇用関係構築を後押しする内容となっています。 |
2025年は外国人雇用支援の「質的転換」の年として位置づけられ、単なる受け入れ支援から持続可能な雇用環境構築支援へと政策の重点が移行しています。
8.外国人採用助成金を賢く活用しよう

外国人採用助成金は単なる資金支援ではなく、企業の国際競争力向上と持続的成長を実現する戦略的ツールです。
2025年の制度拡充により、中小企業でもより活用しやすい環境が整いました。
事前準備と専門家連携により確実な受給を目指し、助成金を外国人材の定着と企業成長の基盤として戦略的に活用することで、真の国際競争力を獲得できるでしょう。
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