スリランカ人の特徴とは?外国人採用で注目される理由の画像

スリランカ人の特徴とは?外国人採用で注目される理由

スリランカ人材の採用を検討しているものの、「どんな国民性なのかわからない」「職場でうまくやっていけるか不安」と感じる採用担当者は少なくありません。

スリランカは親日国として知られ、近年は日本で働くスリランカ人が急増しています。

本記事では、スリランカ人の性格や国民性の特徴から、採用メリット、雇用時の注意点、職場で活躍させるマネジメントのコツまで詳しく解説します。

スリランカ人材の採用を成功させるために、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること
  • スリランカ人の性格・国民性の5つの特徴と日本の職場との相性
  • スリランカ人を採用するメリットと雇用時に注意すべきポイント
  • スリランカ人材を職場で活躍させる具体的なマネジメント方法

1.インド洋に浮かぶ「光り輝く島」の基本情報

インド洋に浮かぶ「光り輝く島」の基本情報

スリランカは、インドの南東に位置する南アジアの島国です。

正式名称は「スリランカ民主社会主義共和国」で、シンハラ語で「スリ」は「聖なる」「光り輝く」、「ランカ」は島を意味します。その美しい自然から「インド洋の真珠」とも呼ばれています 。

スリランカ民主社会主義共和国

Sri Lanka / 基本情報データ

面積 約6万5,610 km²(北海道の約0.8倍)
人口(2023年) 約2,204万人
首都 スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ
主要都市 コロンボ
公用語 シンハラ語、タミル語
(連結語として英語)
時差 日本より3時間30分遅い
スリランカの地図

国土は日本の北海道よりやや小さいながらも、8つのユネスコ世界遺産を有し、紅茶の産地としても世界的に知られています。

参考:外務省 スリランカ民主社会主義共和国

仏教文化が根付く多民族国家

スリランカは多民族・多宗教が共存する国家です。

民族構成はシンハラ人が約75%と多数を占め、タミル人が約15%、スリランカ・ムーア人が約9%となっています。

スリランカの宗教分布

Religious
Groups
仏教徒 70.1%
ヒンドゥ教徒 12.6%
イスラム教徒 9.7%
キリスト教徒 7.6%
※一部地域を除く値

宗教面では、国民の約70%が仏教徒であり、仏教がスリランカの文化や国民性に大きな影響を与えています。

その他、ヒンドゥー教(約13%)、イスラム教(約10%)、キリスト教(約8%)も信仰されており、宗教的な多様性も特徴の一つです。

この仏教を中心とした精神性が、スリランカ人の穏やかで平和を重んじる国民性の土台となっています。

参考:外務省 スリランカ民主社会主義共和国

日本との友好関係と高まる人材需要

スリランカは世界でも有数の親日国として知られています。その歴史的背景には、1951年のサンフランシスコ講和会議があります。

当時のセイロン(現スリランカ)代表ジャヤワルダナ氏は、仏教の教えを引用して対日賠償請求権の放棄を表明し、日本の国際社会への復帰を後押ししました。

1952年には、戦後世界で最も早く日本と国交を樹立した国の一つとなっています。

参考:在スリランカ日本国大使館 二国間関係

現在、在日スリランカ人は約4万7,000人(2023年末時点)に達し、年々増加傾向にあります。

特に技能実習生や特定技能での在留者が急増しており、2021年から2023年の間に特定技能での在留者は約400%も増加しました。

2022年8月からはスリランカの義務教育に日本語が加わるなど、日本で働くことへの関心が国を挙げて高まっています。

参考:出入国在留管理庁 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表

▼あわせて読みたい

スリランカ人材の受け入れにおいても、特に利用が急増している「特定技能」制度。こちらの記事では制度の仕組みから具体的な受け入れフローまで、採用担当者が知っておくべき全知識を解説します。

【2025年最新】特定技能外国人の受け入れ完全ガイド
【2025年最新】特定技能外国人の受け入れ完全ガイド
この記事では、特定技能外国人の受け入れの基本から具体的な手順まで徹底解説します。
https://back-end.co.jp/media/contents/ukeire-tokuteiginou/

2.採用前に知っておきたいスリランカ人の5つの特徴

採用前に知っておきたいスリランカ人の5つの特徴

スリランカ人を採用する前に、その国民性や性格の特徴を理解しておくことで、採用後のミスマッチを防ぎ、円滑な職場環境を構築できます。

ここでは、スリランカ人に共通して見られる5つの特徴を紹介します。

温厚で穏やかな性格|仏教の教えが育む平和主義

スリランカ人の最も顕著な特徴は、温厚で穏やかな性格です。

国民の約70%が仏教徒であり、仏教の教えである「慈悲」や「調和」の精神が日常生活に深く根付いています。

争いごとを好まず、他者との平和的な関係を重視する傾向があるため、職場でも協調性を発揮しやすいといえます。

見知らぬ人に対しても親切で思いやりのある態度で接する人が多く、外国人である日本人に対しても快く受け入れてくれる姿勢が特徴的です。

この穏やかな性格は、チームで働く環境において大きな強みとなります。

おしゃべり好きで社交的|コミュニケーションを大切にする国民性

スリランカ人は非常に社交的で、人とのコミュニケーションを大切にします。

集まると常に会話が弾み、一人で過ごすことをあまり好みません。職場においても、同僚との交流を積極的に求める傾向があります。

昼食時には複数人で食事を共にし、自分の料理をシェアすることも一般的です。

この特徴は、接客業やチームワークが求められる業務において強みとなる一方で、おしゃべりに夢中になりすぎると業務効率に影響が出る可能性もあるため、適度なバランスを取る配慮が必要です。

家族を何より大切にする価値観

スリランカ人にとって、家族は最も重要な存在です。家族との絆を非常に大切にし、困難な時には家族全体で支え合って乗り越えようとする文化があります。

この価値観は職場にも影響し、家族的な雰囲気のある職場環境を好む傾向があります。

同僚との関係においても、単なる仕事上の付き合いにとどまらず、深い信頼関係を築こうとする姿勢が見られます。

採用企業としては、家族を大切にする価値観を理解し、冠婚葬祭や家族の緊急事態への配慮を示すことで、より良い信頼関係を構築できます。

上下関係を重んじる礼儀正しさ|年功序列への適応力が高い

スリランカ人は上下関係を非常に重視します。家族内では祖父母が最も上の立場にあり、年功序列で権力構造が決まります。

この価値観は職場でも同様で、上司の指示には従順に従う傾向があります。

スリランカの上下関係の特徴日本の職場との親和性
目上の人への敬意を重視敬語文化に馴染みやすい
上司の指示に従順指示系統を守る
年長者を敬う文化年功序列に適応しやすい

この特徴は日本の職場文化との親和性が高く、上司・部下の関係をしっかりと保ちながら業務に取り組んでくれる人材が多いといえます。

勤勉で学習意欲が高い|教育水準の高さが背景に

スリランカ人は勤勉で学習意欲が高いことでも知られています。

その背景には、スリランカの充実した教育制度があります。小学校から大学まで授業料が無料であり、小学校の就学率はほぼ100%に達しています。

一方で、国内の大学数が限られているため大学進学率は約2%と狭き門です。そのため多くの学生が大学入試に向けて猛勉強し、高い学力を身につけています。

この教育環境で培われた勤勉さや向上心は、日本の職場でも新しい技術や知識を積極的に習得しようとする姿勢として現れます。

3.スリランカ人を採用するメリット

スリランカ人を採用するメリット

スリランカ人材を採用することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

言語能力や適応力の観点から、スリランカ人材の強みを解説します。

日本語習得が早い|シンハラ語と日本語の類似性

スリランカ人は他の外国人材と比較して日本語の習得が早いといわれています。

その理由は、スリランカの公用語であるシンハラ語と日本語に文法的な類似性があるためです。

さらに、シンハラ語には日本語に近い発音が多く含まれており、日本語の発音を習得しやすい傾向があります。

加えて、2022年8月からはスリランカの義務教育に日本語が導入され、小学生から日本語を学ぶ環境が整備されました。

高校でも選択科目として日本語を履修する学生が多く、日本語能力試験(JLPT)の受験者数も急増しています。

このような背景から、日本語でのコミュニケーションがスムーズに取れる人材を確保しやすいのがメリットです。

▼あわせて読みたい

スリランカ人は日本語習得が早い傾向にありますが、入社直後は言葉の壁に直面することも。こちらの記事では現場でのコミュニケーション不全を防ぐための、具体的な解決策と支援方法をご紹介します。

外国人労働者が日本語を話せない場合企業はどうする?解決策5選
外国人労働者が日本語を話せない場合はどうする?解決策5選
本記事では、言語の壁を乗り越える5つの実践法と3つの支援策を、成功事例とともに詳しく解説します。
https://back-end.co.jp/media/contents/when-a-foreign-worker-cannot-speak-japanese/

英語力が高くグローバル人材として活躍できる

スリランカでは英語が連結語として広く使用されており、多くのスリランカ人が英語を流暢に話すことができます

これは、かつてイギリスの植民地であった歴史的背景に加え、教育課程で英語教育が重視されているためです。

日本語に加えて英語も堪能な人材は、海外取引先とのコミュニケーションや英語での資料作成など、グローバルなビジネスシーンで活躍できます。

外国人観光客への接客が必要なサービス業や、海外展開を視野に入れている企業にとって、英語力を持つスリランカ人材は貴重な戦力となるでしょう。

親日国ゆえの高い適応力と定着率

前述の通り、スリランカは歴史的背景から非常に親日的な国民性を持っています。

日本のドラマ「おしん」が繰り返し再放送されるなど、日本文化への親しみも深く、日本で働くことへのモチベーションが高い人材が多いのが特徴です。

この親日感情は、日本の職場文化への適応力の高さにもつながっています。

日本特有の「報連相」や時間厳守といったビジネス慣習にも比較的早く馴染む傾向があります。

また、家族を大切にし安定した仕事を求める価値観から、一度就職した職場で長く働こうとする傾向があり、定着率の高さも期待できます。

4.スリランカ人を雇用する際の注意点と対処法

スリランカ人を雇用する際の注意点と対処法

スリランカ人材の強みを活かすためには、文化的な違いを理解し適切に対応することが重要です。

ここでは、雇用時に注意すべきポイントとその対処法を解説します。

時間感覚の違いには明確な指示とスケジュール管理で対応

スリランカでは日本ほど厳密な時間管理が求められる文化ではないため、時間感覚にやや柔軟な傾向があります。

約束の時間や締め切りに対してゆったりとした感覚を持つ人もいるため、日本の職場で求められる時間厳守の意識との間にギャップが生じる可能性があります。

対処法としては、以下の点を意識しましょう。

時間間隔の違い
  1. 締め切りと時間を明確に伝える
    「なるべく早く」といった曖昧な表現を避け、具体的な日時を指定します。
  2. 書面とチャットで確認する
    口頭での指示に加え、文字で記録に残すことで認識の齟齬を防ぎます。
  3. 中間報告を設定する
    完了報告だけでなく、進捗の途中段階での報告ルールを設けます。
  4. 進捗を細かく確認する
    マネージャー側からこまめに声をかけ、遅れが発生していないか確認します。
  5. 業務の優先順位を明確にする
    複数のタスクがある場合、どれを最優先すべきか指示します。
  6. 一度に多くの業務を任せない
    タスクを細分化し、一つずつ確実に完了させるフローを作ります 。

ただし、この時間感覚の柔軟さは、急な予定変更や想定外の事態への対応力として活かせる場面もあります。

宗教行事や食事面への配慮を忘れない

スリランカは多宗教国家であり、宗教行事や食事に関する習慣への配慮が必要です。

仏教徒が多いスリランカですが、ヒンドゥー教徒やイスラム教徒もいるため、個人の信仰に応じた対応が求められます。

宗教主な配慮事項
仏教ポヤデー(満月の日)の行事参加、肉食を控える人もいる
ヒンドゥー教牛肉を食べない、特定の祭日への参加
イスラム教豚肉・アルコールを避ける、ラマダン期間中の断食

採用時には本人の宗教や習慣について確認し、可能な範囲で休暇や食事面での配慮を行うことで、信頼関係を築くことができます。

また、スリランカでは頭を触ることを避けるべきという文化的タブーもあるため、注意が必要です。

「嘘をつく」と誤解される理由と、「できない」と言えない従順さをフォローする体制づくり

スリランカ人は「嘘をつく」と言われることがありますが、これは悪意があるわけではなく、相手を失望させたくないという「配慮」や「面子」を守る心理が働くためです。

「できません」と断ることが相手への拒絶になると感じる文化背景(ハイコンテクスト文化)があります 。

スリランカ人は上下関係を重視するため、上司からの指示に対して「できない」「わからない」と言いにくい傾向があります。無理な依頼でも笑顔で承諾してしまい、後から問題が発覚するケースも考えられます。

こうした文化ギャップを埋めるためには、以下のようなフォロー体制が重要です。

フォロー体制
  • 指示の確認
    指示を出した後、「本当に対応可能か」「不明点はないか」を丁寧に確認します。
  • 個別のフィードバック
    人前で注意や叱責をせず、個別に話を聞く機会を設けます(面子への配慮)。
  • 質問の奨励
    「わからないことは質問してよい」という雰囲気を作ります。
  • 定期的なミーティング
    業務の進捗だけでなく、生活面での困りごとも話せる場を設けます。

さらに、「できますか?」というYes/Noで終わる質問を避け、「具体的にどのように進めますか?」「何日くらいかかりそうですか?」とオープンクエスチョンで聞くことで、実態を正確に把握することができます 。

働き方の違いを「文化次元理論」で理解する

なぜ彼らは日本人ほど残業をしないのでしょうか?

オランダの社会学者ホフステードの分析によると、日本は「男性性(競争・成果・達成重視)」が世界屈指の高さ(95)を示す一方、スリランカは「女性性(生活の質・家族・福祉重視)」が高い社会(スコア10)です 。

彼らが残業よりも定時帰宅を急ぐのは怠慢ではなく、「家族との時間を最優先し、人間らしい生活を送る」という文化的正義に基づく行動です。

この価値観の違いを理解し、残業ありきの業務設計を見直すことが、マネジメント成功の第一歩です 。

参考:Hofstede Insights 公式サイト(国別比較ツール)

5.スリランカ人材を職場で活躍させるマネジメントのコツ

スリランカ人材を職場で活躍させるマネジメントのコツ

スリランカ人材の特徴を理解した上で、彼らの能力を最大限に引き出すマネジメント方法を実践しましょう。ここでは、具体的な4つのコツを紹介します。

指示は明確かつ具体的に伝える

スリランカ人は上司の指示に従順に従おうとする一方で、曖昧な指示では意図を正確に理解できない場合があります。

業務を依頼する際は、「いつまでに」「何を」「どのように」行うのかを具体的に伝えることが重要です。

口頭での指示だけでなく、メールやチャットなど文字で残る形でも伝えると、認識のずれを防ぐことができます。また、作業の目的や背景を説明することで、より主体的に取り組んでもらえるようになります。

笑顔とリラックスした雰囲気で安心感を与える

スリランカ人は職場に無表情な人がいると居心地の悪さを感じ、「自分が何か悪いことをしたのではないか」と心配してしまう傾向があります。

受け入れる側は意識的に笑顔で接し、リラックスした雰囲気を作ることが大切です。

挨拶を欠かさない、雑談の時間を設けるなど、コミュニケーションの機会を積極的に作りましょう。社交的でおしゃべり好きなスリランカ人にとって、温かい雰囲気の職場は能力を発揮しやすい環境となります。

定期的な面談で本音を引き出す

前述の通り、スリランカ人は遠慮がちで本音を言いにくい傾向があります。業務上の困りごとや悩みを抱えていても、自分からは相談しづらいと感じている可能性があります。

定期的な1on1ミーティングを設定し、業務の進捗だけでなく、職場環境や生活面での困りごとについても話を聞く機会を作りましょう。

可能であれば、母語や英語で相談できる体制を整えることも効果的です。「いつでも相談してよい」という姿勢を示し続けることが、信頼関係の構築につながります。

家族的な職場づくりで長期定着を促す

スリランカ人は家族を大切にする価値観を持っているため、家族的な雰囲気のある職場を好みます。

一人で孤立させず、同僚との交流機会を設けることで、職場への帰属意識が高まります。

  • 仲の良い同僚とルームシェアできる住居の選択肢を用意する
  • 休日が重なるようにシフトを配慮する
  • 社内イベントや食事会で交流の場を設ける
  • 飲酒しない人も多いため、歓迎会等で無理強いしない

家族的な職場環境を整えることで、スリランカ人材が安心して長く働ける基盤を作ることができます。

▼あわせて読みたい

スリランカ人の勤勉さを最大限に引き出し、早期戦力化を実現するには?こちらの記事では文化的な背景を理解した上で行うべき、外国人材教育の成功ポイントと現場での指導法を詳しく解説します。

外国人労働者の教育7つの成功法|現場で使える指導法と事例を解説
外国人労働者の教育7つの成功法|現場で使える指導法と事例を解説
この記事では、外国人労働者教育を成功させる7つの実践的ポイントを、具体的な企業事例とともに解説します。
https://back-end.co.jp/media/contents/foreign-worker-education/

6.まとめ|スリランカ人の特徴を理解して採用成功につなげよう

スリランカ人は、仏教の教えに基づく温厚な性格と、家族や上下関係を大切にする価値観を持ち、日本の職場文化に馴染みやすい人材です。

日本語・英語の習得が早く、勤勉で学習意欲も高いため、即戦力として期待できます。

一方で、時間感覚の違いや遠慮がちな性格への配慮も必要です。明確な指示出し、定期的なコミュニケーション、家族的な職場づくりを意識することで、スリランカ人材は長く活躍してくれるでしょう。

記事を書いた人
butterfly-effect
行政書士法人バタフライエフェクト
行政書士法人バタフライエフェクトは、外国人の就労ビザ取得、相談のエキスパートです。上場企業様から小規模の会社様まで、これまで10,000件以上の案件を支援。就労ビザを踏まえた外国人雇用のコンサルティングも行っており、年間実績1,500件、ビザの専門家が多数在籍しています。
https://kigyosapri.com/visa/

1号特定技能外国人支援・登録支援機関なら
株式会社バックエンドにお任せ

今後益々増加が見込まれる外国人労働者。
企業が外国人を特定技能の在留資格で雇用する場合の登録支援機関業務を行います。