深刻化する労働力不足の中、バングラデシュ人材が注目されています。
若く勤勉で、高い英語力とITスキルを持つ人材が豊富です。しかし採用には、BMET制度の理解と適切なエージェント選びが不可欠。
本記事では、バングラデシュ人材の特徴から採用の5ステップ、費用、エージェント選びまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
- バングラデシュ人材の特徴と他国人材にない強み(英語力・ITスキル・親日性)
- BMET制度を含む採用手続きの全体像と成功させる5つのステップ
- 採用費用の詳細と信頼できるエージェントの選び方
1.バングラデシュ人採用が注目される背景

深刻化する日本の人手不足とバングラデシュ人材への期待
日本では少子高齢化により生産年齢人口が減少し続け、多くの業界で深刻な人手不足が常態化しています。
特に製造業、建設業、介護分野、IT業界では、事業の継続や成長のために外国人材の活用が不可欠な状況となっています。
こうした中、バングラデシュ人材が新たな選択肢として注目を集めています。
人口約1億7,000万人を抱えるバングラデシュは、平均年齢が20代半ばという非常に若い人口構成を有しており、豊富な労働力を背景に高い勤労意欲を持つ人材が数多く存在します。
人口増加が続く一方で、国内の雇用機会が十分とはいえず、海外での就労を希望する意欲的な若者も多いのが特徴です。
特に、身体的なタフさや粘り強さを必要とする製造業、建設業分野において、バングラデシュ人材の活躍が大いに期待されています。
さらに、高い英語力やITリテラシーを備えた人材も多く、IT業界での需要も拡大しています。
バングラデシュ人材の在留者数と今後の拡大予測
法務省の在留外国人統計によると、2023年12月末時点で在日バングラデシュ人は約2万8,000人となっており、近年着実に増加傾向にあります。
10年前と比較すると、在留者数は約2倍に増加しており、日本企業のバングラデシュ人材への関心の高まりを反映しています。
引用元:出入国在留管理庁【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】
2023年には、両国の関係が「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へと格上げされ、人材交流の促進に向けた基盤が一層強化されました。
バングラデシュは、1971年の独立以来、日本との友好関係を築いてきた歴史を持ちます。日本の経済支援や技術協力に対する感謝の気持ちが根付いており、国民全体に親日的な感情が強いことも特徴です。
日本は世界中で最も多くバングラデシュを支援しており、道路や橋、農業、教育、ITなど幅広い分野で支援を行っています。
このような背景から、日本で働くことに対して積極的な意欲を持つ人材が多く、採用後の適応力や定着率においても比較的高い成果が期待できます。
バングラデシュ人材は、技能面だけでなく、文化的親和性という観点でも、日本企業にとって大きなメリットをもたらす存在です。
2.バングラデシュ人の特徴と採用メリット

若く活力ある人口構成と豊富な労働力
バングラデシュは、人口約1億7,000万人のうち平均年齢が20代半ばという非常に若い人口構成を持つ国です。この若い労働力は、日本の少子高齢化社会において貴重な戦力となります。
国内の雇用機会が限られていることもあり、海外での就労を希望する意欲的な若者が数多く存在します。身体的にタフで粘り強く、長期的に働ける人材が豊富であることは、日本企業にとって大きな魅力です。
バングラデシュ人材の特徴
若年層プロファイル:4つの主要特性
平均年齢20代半ばという若さ
最もエネルギーがあり、新しいスキルを迅速に吸収できる年齢層です。労働力のフレッシュな源泉となります。
高い勤労意欲と向上心
キャリア形成の初期段階にあり、自己成長と組織への貢献意欲が非常に高い傾向にあります。学習能力も高いです。
体力を必要とする業務への適性
若年層の体力は、特に現場作業や長時間の立ち仕事など、肉体的な耐久性が求められる業務で大きな強みとなります。
長期雇用が期待できる年齢層
定年までの期間が長いため、投資した教育やトレーニングが無駄になりにくく、組織の中核を担う人材として育てやすいです。
特に製造業や建設業など、体力を必要とする職種での活躍が期待されており、実際に多くの企業で高い評価を得ています。
高い英語力とコミュニケーション能力
バングラデシュでは、英語が準公用語として広く使用されており、教育課程でも英語教育が重視されています。
このため、基本的な英語コミュニケーション能力を持つ人材が多く、国際的なビジネス環境にも適応しやすい素地があります。
バングラデシュの英語力
- TOEIC平均点:895点(2013年時点で世界1位)
- TOEFL平均点:87点(アジア圏7位、2017年)
- 大学生の多くがビジネスレベルの英語を話せる
この高い英語力は、以下のようなメリットをもたらします。
- 海外案件での即戦力として活躍できる
- グローバルビジネスの展開に貢献
- 英語でのコミュニケーションが可能な社員との協働
- 海外顧客や取引先との直接対応
- 英語ドキュメントの理解・作成
特にオフショア開発やエンジニア派遣を検討する日本企業にとっては、英語力とITスキルを兼ね備えたバングラデシュ人材は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
ITスキルの高さとエンジニアの質
バングラデシュ政府は国策としてIT教育に力を入れており、プログラミングやソフトウェア開発分野でスキルを磨いた若手エンジニアが増えています。
バングラデシュのIT人材の実力
マイナビが独自に実施した日本人(新卒)とバングラデシュ人のITスキルチェックでは、以下の結果が出ています。
| 対象 | 平均点 |
| 日本人新卒 | 36点 |
| バングラデシュ人新卒 | 85点 |
| バングラデシュ人(就労経験3年以上) | 99点 |
※マイナビ独自のスキル診断テスト/2019年(日本人新卒受験数:約500名)
国を挙げて積極的に支援をおこなっているため、人材の質も非常に高くなっており、採用にとてもおすすめです。
活躍が期待できる技術分野
- Webアプリケーション開発
- モバイルアプリ開発
- システム開発・保守
- オフショア開発
- Adobe Experience Manager(AEM)などのCMS開発
- WordPress、PHP、Python、Javaを用いた開発

英語が堪能なため、海外製のCMSの技術にも明るく優秀です。
国際化機能や多言語環境への理解もあり、グローバルに使われている技術をベースにしたCMSの開発業務で活躍しています。
親日的な国民性と日本への憧れ
バングラデシュは、1971年の独立以来、日本との友好関係を築いてきた歴史を持ちます。
日本からの有償・無償資金や技術協力などをもとに、きわめて親日的な国民性を持つ国です。
バングラデシュ人が日本で働きたい理由は大きくわけて以下の3つに集約されます。
日本で働きたい理由
- 先進国日本で得られる給与水準 – 母国の数倍の収入が期待できる
- IT大国の日本で働くことで、スキルやキャリアが高まる – 最新技術を学べる環境
- 親日国で日本への憧れを持っている – 日本文化への深い尊敬
多くのバングラデシュ人にとって、日本就職は「LIFE TIME DREAM(生涯の夢)」のような憧れがあります。
日本文化や日本企業に対する関心も高く、留学経験者や日本語学習者も少なくありません。
こうした背景から、日本で働くことに対して積極的な意欲を持つ人材が多く、採用後の適応力や定着率においても比較的高い成果が期待できます。
勤勉で協調性が高く組織文化になじみやすい
バングラデシュ人の国民性として、勤勉さ、協調性、上司や先輩への敬意を重んじる姿勢が挙げられます。
これらの特性は、日本企業の組織文化と非常に相性が良いと言えます。
組織での強み
| 特性 | 具体的な行動 |
| 協調性 | チーム作業において役割分担を理解し、メンバーと協力的に作業を進める |
| 上司への敬意 | 尊敬する相手のもとでは献身的に働き、指示に忠実に従う |
| 向上心 | 常に前向きな姿勢で業務に取り組み、スキルアップを目指す |
| 適応力 | 一度入社すると日本の文化にアジャストしていく柔軟性 |
バングラデシュ人は、優しい国民性と従順で低姿勢な性格から消極的な印象をもたれがちです。
しかし、内にひめた向上心は高く、常に前向きな姿勢で業務に取り組むので、組織力を重視する日本でのプロジェクトにおいては非常に適した人材と言えます。
また、語学習得能力が高く、親日で日本の文化になじみがあることも手伝って、日本語の習得に関しても比較的早いと言われています。
社交的でフレンドリーな性格により、職場環境への適応が早く、日本人社員ともスムーズにコミュニケーションを取ることができます。
3.バングラデシュ人が活躍できる業種・職種

ITエンジニア・プログラマー(最も強みを発揮)
バングラデシュ人材が最も強みを発揮するのがIT・エンジニア職です。政府主導のIT教育により育成された高スキル人材が豊富で、幅広い分野で活躍しています。
活躍が期待できる開発分野
- Webアプリケーション開発(フロントエンド・バックエンド)
- モバイルアプリ開発(iOS・Android)
- システム開発・保守運用
- オフショア開発プロジェクト
- CMS開発(WordPress、Adobe Experience Manager、PowerCMS Xなど)
- データベース設計・管理
得意な技術スタック
- 言語:PHP、Python、Java、JavaScript、Ruby
- フレームワーク:React、Vue.js、Laravel、Django
- CMS:WordPress、AEM(Adobe Experience Manager)
- データベース:MySQL、PostgreSQL、MongoDB
母国語に加え、英語が堪能なため、海外製のCMSの技術にも明るく優秀です。
国際化機能や多言語環境への理解もあり、グローバルに使われている技術をベースにしたCMSの開発業務で活躍しています。
英語でのコミュニケーションが可能なため、海外案件での活躍や、グローバルチームとの協働もスムーズです。
オフショア開発やエンジニア派遣を検討する日本企業にとっては、英語力とITスキルを兼ね備えたバングラデシュ人材は非常に魅力的な選択肢となります。
製造業・建設業・介護分野での活躍
IT分野以外にも、バングラデシュ人材は様々な業種で活躍しています。
製造業での活躍
技能実習生や特定技能人材として、以下のような職種で多くのバングラデシュ人が活躍しています。
電子部品組立
機械加工
金属プレス加工
プラスチック成形
溶接作業
組立・検査業務
真面目な勤務態度と粘り強さが評価され、技能習得のスピードも早い傾向にあります。
身体的なタフさを活かし、製造現場で着実に成果を上げています。
建設業での活躍
人手不足が深刻化する建設業界では、特定技能「建設」での受け入れが進んでいます。
【対象職種】
型枠施工
鉄筋施工
内装仕上げ
建設機械施工
とび作業
体力と器用さを活かした活躍が期待されており、現場での評価も高まっています。
介護分野での可能性
高齢化社会における介護人材不足への対応として、バングラデシュ人材の活用可能性が注目されています。
- 特定技能「介護」での受け入れが可能
- 優しく献身的な国民性が介護に適している
- 日本語能力の向上とともに、今後さらなる活躍が期待される分野
バングラデシュ人は人間関係において、相手を尊敬する心を重視する特徴があります。
特に尊敬する相手のもとでは、つきっきりで働き、あらゆることを献身的に行う精神を持っているため、介護職との相性も良いと考えられます。
4.バングラデシュ人採用にかかる費用

人材紹介会社経由の場合の手数料相場
人材紹介会社を通じてバングラデシュ人材を採用する場合、紹介手数料は一般的に採用者の年収の20〜30%程度が目安となります。
費用例
| 年収 | 紹介手数料(20〜30%) |
| 200万円 | 40〜60万円 |
| 240万円 | 50〜70万円 |
| 300万円 | 60〜90万円 |
| 400万円 | 80〜120万円 |
たとえば、年収240万円のバングラデシュ人材を採用した場合、紹介料はおおよそ50〜70万円ほどとなります。
紹介手数料に含まれる一般的なサービス
- 人材の募集・選考
- 企業と候補者のマッチング
- 面接の調整・実施サポート
- 雇用契約書の作成支援
- 基本的な入社前オリエンテーション
別途費用が発生する可能性があるサービス
- ビザ取得サポート
- 渡航手配
- 住居手配
- 来日後の生活立ち上げ支援
- 継続的な定着支援
契約前には、紹介料に含まれるサービス内容(ビザ取得サポート、オリエンテーション実施など)を必ず確認しておきましょう。
エージェントによって提供サービスの範囲が異なるため、詳細な見積もりを取得することが重要です。
特定技能・技能実習での受け入れコスト内訳
技能実習や特定技能など制度型雇用の場合は、ビザ取得費用や生活支援費用が加算され、総額で80〜100万円前後になるケースもあります。
初期費用の内訳
| 費用項目 | 金額目安 |
| 人材紹介・選考費用 | 30〜50万円 |
| BMET登録・手続き費用 | 10〜15万円 |
| ビザ申請費用 | 5〜10万円 |
| 渡航費(航空券) | 10〜15万円 |
| 健康診断・各種証明書 | 3〜5万円 |
| 初期生活支援費用 | 10〜20万円 |
| 合計初期費用 | 68〜115万円 |
継続的に発生する費用(月額)
| 費用項目 | 金額目安 |
| 監理費・支援委託費 | 2〜4万円 |
| 給与 | 18〜28万円 |
| 社会保険料(企業負担分) | 3〜5万円 |
| 住居費補助(企業負担の場合) | 3〜5万円 |
| 月額合計 | 26〜42万円 |
これらの費用は、職種、地域、受け入れ制度(技能実習か特定技能か)によって変動します。
また、監理団体や登録支援機関によってもサービス内容と費用が異なるため、複数の見積もりを比較検討することをおすすめします。
国内在住者採用と現地採用のコスト比較
すでに日本に在住しているバングラデシュ人を採用する場合と、バングラデシュ現地から新たに人材を呼び寄せる場合では、コストと期間に大きな違いがあります。
コスト・期間比較表
| 項目 | 国内在住者採用 | 現地からの呼び寄せ |
| 初期費用 | 50〜70万円 | 80〜120万円 |
| 渡航費 | 不要 | 10〜15万円 |
| BMET手続き | 不要 | 必要(10〜15万円) |
| 採用期間 | 1〜2ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
| 人材の選択肢 | 限定的 | 豊富 |
| 即戦力度 | 高い(日本適応済み) | 要育成期間 |
| 日本語能力 | 一定水準以上が多い | 要確認・育成が必要 |
| 文化適応 | 既に慣れている | 入社後の支援が必要 |
国内在住者採用のメリット
- 初期費用が抑えられる
- 採用までの期間が短い(急募に対応可能)
- 日本での生活・労働に既に適応している
- 日本語能力が一定水準に達している場合が多い
- 面接が対面で実施しやすい
現地採用のメリット
- 候補者の選択肢が豊富
- 若手人材を採用しやすい
- じっくり選定できる
- 企業文化に合わせた育成が可能
- 長期的な雇用関係を構築しやすい
採用希望時期や求める即戦力度に応じて、どちらのルートが適しているか検討するとよいでしょう。
急募の場合や即戦力を求める場合は国内在住者、じっくり選定して長期的に育成したい場合は現地採用が適しています。
5.バングラデシュ人採用を成功させる5ステップ

ステップ1: 採用目的と求める人材要件を明確化する
採用活動を開始する前に、まず以下の点を明確にしておくことが成功の第一歩です。
明確化すべき項目チェックリスト
これらを事前に整理することで、エージェントとの打ち合わせがスムーズになり、ミスマッチを防ぐことができます。また、社内での合意形成にも役立ちます。
ステップ2: 採用ルートを選択する(人材紹介・送り出し機関・国内採用)
バングラデシュ人材の採用には、主に3つのルートがあります。
自社の状況、採用時期、予算に合わせて最適なルートを選択しましょう。
①人材紹介会社経由(国内在住者)
| 項目 | 内容 |
| メリット | • 即戦力として活躍できる• 面接が容易(対面面接可能)• 採用までが早い(1〜2ヶ月)• 日本での生活に適応済み• BMET手続きが不要 |
| デメリット | • 選択肢が限定的• 競争率が高い• 紹介手数料がやや高め |
| 向いている企業 | • 急募の場合• 初めての外国人採用• 即戦力を求める企業 |
| 費用目安 | 50〜70万円 |
②送り出し機関経由(現地採用)
| 項目 | 内容 |
| メリット | • 多数の候補者から選定可能• 若手人材が豊富• じっくり選定できる• 長期雇用を前提とした育成が可能 |
| デメリット | • 時間がかかる(3〜6ヶ月)• BMET手続きが必要• 渡航費用が発生• 来日後の適応支援が必要 |
| 向いている企業 | • じっくり選定したい• 大量採用したい• 長期育成を前提とする企業 |
| 費用目安 | 80〜120万円 |
③ダイレクトリクルーティング
| 項目 | 内容 |
| メリット | • 紹介手数料を抑えられる可能性• 直接候補者とコミュニケーション |
| デメリット | • 自社でビザ手続き等を行う必要• 専門知識とノウハウが必要• 時間と労力がかかる |
| 向いている企業 | • 外国人採用の経験が豊富• 社内に専門スタッフがいる |
| 費用目安 | 実費のみ(30〜50万円程度) |
自社の状況を踏まえ、最適な採用ルートを選択することが重要です。
初めての外国人採用であれば、サポートが充実した人材紹介会社を利用することをおすすめします。
ステップ3: 信頼できるエージェント・送り出し機関を選定する
エージェント選定は採用成功の鍵を握る最重要ステップです。以下のポイントを必ず確認しましょう。
必須確認事項
1. BMET認可の確認
- 提携先送り出し機関がBMET認可を受けているか
- BMET登録番号の確認
- 認可証明書の提示を求める
2. 実績の確認
- 日本企業への紹介実績数
- 同業種・同職種での実績
- 具体的な成功事例
- 顧客企業の評価・口コミ
3. サポート体制の確認
- 採用前サポート
- 求人票作成支援
- 候補者の募集・選考
- 面接調整
- BMET手続き代行
- 採用後サポート
- 入社前オリエンテーション
- 来日時の空港送迎
- 生活立ち上げ支援
- 定期的なフォローアップ訪問
- トラブル対応窓口(24時間対応の有無)
4. 費用の透明性
- 見積もりの詳細度
- 追加費用の発生条件
- 支払いタイミング
- 返金保証制度の有無
5. 保証制度の確認
- 早期離職時の返金保証
- 保証期間(1〜3ヶ月が一般的)
- 返金率(離職タイミングに応じて変動)
- 保証対象となる離職理由
- 代替人材の再紹介制度
- 再紹介の条件
- 追加費用の有無
6. 担当者の質
- バングラデシュの制度・文化への理解度
- 日本の外国人雇用制度への知識
- 対応の迅速さと丁寧さ
- 具体的な提案力
選定時のポイント
- 複数のエージェントから話を聞く(3社以上推奨)
- 実際に採用した企業の声を聞く
- 契約前に提携先送り出し機関の情報を必ず確認
- 不明点は契約前にすべて質問し、書面で回答を得る
信頼できるエージェントとの出会いが、バングラデシュ人材採用成功の最大の鍵となります。
ステップ4: 選考・面接を実施し雇用契約を締結する
エージェントを通じて候補者が紹介されたら、選考・面接を実施します。現地採用の場合、オンライン面接が一般的です。
面接実施のポイント
1. 面接準備
面接を実施する前に、以下の準備を整えましょう。
- 面接官の選定(現場責任者、人事担当者など)
- 評価基準の明確化
- 質問項目の準備
- オンライン面接ツールの準備(Zoom、Teams等)
2. 面接での評価ポイント
採用評価の主要な4つの柱
コミュニケーション能力
-
英語または日本語での意思疎通
質問への理解度と回答の的確さ
積極性・協調性
技術力・専門スキル
-
IT職の場合:コーディングテスト、ポートフォリオ確認
製造業の場合:過去の作業経験、技能レベル
資格・認定の確認
人物面(意欲・ビジョン)
-
仕事への意欲・熱意
日本で働く目的と長期的なビジョン
学習意欲
文化適応力
-
日本の労働文化への理解度
宗教的配慮への柔軟性
異文化環境への適応経験
3. 雇用契約書作成時の注意点
契約内容に不明点がないよう、丁寧に説明することが後のトラブル防止につながります。
【必須記載事項】
| 項目 | 詳細 |
| 労働条件 | 就業時間、休憩時間、休日、時間外労働の有無 |
| 給与 | 基本給、各種手当、支給日、計算方法 |
| 勤務地 | 勤務場所、転勤の可能性 |
| 契約期間 | 期間の定めの有無、更新条件 |
| 試用期間 | 試用期間の長さと条件 |
| 社会保険 | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険 |
| 有給休暇 | 付与日数と取得条件 |
| 退職 | 退職手続き、予告期間 |
バングラデシュ人材特有の記載事項
雇用契約書には、バングラデシュ人材特有の配慮事項も明記しておくことでトラブルを防げます。
💡 外国人材を受け入れる上での
主要なサポート項目 ✨
雇用・生活の両面で安心して働ける環境を提供するための項目リストです。
宗教的配慮(礼拝時間、食事への配慮)
住居の提供または住居手当
帰国時の航空券負担
日本語教育の提供
重要ポイント
- 外国人労働者向けに平易な日本語または英語併記を推奨
- すべての条件を書面で明確化し、口約束は避ける
- 契約内容を説明する際は、本人が理解したことを確認する
- 質問の機会を十分に設け、疑問点を解消してから署名する
これにより、入社後の「聞いていた話と違う」というトラブルを防ぐことができます。
ステップ5: 在留資格申請・ビザ取得をサポートする
採用が決定したら、在留資格の申請手続きに入ります。この段階では、エージェントや行政書士のサポートを受けることが一般的です。
手続きの流れと所要期間
【日本側の手続き】
1. 在留資格認定証明書の交付申請
- 申請先: 地方出入国在留管理局
- 申請者: 企業(または代理人)
- 審査期間: 通常1〜3ヶ月
【必要書類】
在留資格申請のための必要書類チェックリスト
在留資格認定証明書交付申請書
雇用契約書(写し)
会社の登記簿謄本
決算書類(直近2期分)
採用理由書
事業内容を明らかにする資料
本人の履歴書、卒業証明書、職歴証明書など
2. 証明書の郵送
- 交付された在留資格認定証明書を本人に郵送(国際郵便)
【バングラデシュ側の手続き】
3. ビザ発給申請
- 申請先: 在バングラデシュ日本国大使館
- 申請者: 本人
- 発給期間: 2週間〜1ヶ月程度
【必要書類】
ビザ申請 必須提出書類チェックリスト
旅券(パスポート)
ビザ申請書
写真
在留資格認定証明書(原本)
その他大使館指定の書類
4. 出国前オリエンテーション(PDOS)
- 実施機関: BMET
- 内容: 日本での生活・就労に関する基礎知識
- 所要時間: 1日程度
- 備考: 受講が義務付けられている
5. 日本へ渡航
- 航空券の手配
- 出国手続き
【来日後の手続き】
6. 入国審査・在留カード取得
- 空港での入国審査
- 在留カードの受け取り
7. 生活立ち上げ支援
- 住民登録(市区町村役場)
- 銀行口座開設
- 携帯電話契約
- 国民健康保険加入(該当する場合)
- マイナンバーカード取得
【全体スケジュール例】
| 段階 | 期間 | 累計 |
| 採用決定〜在留資格認定証明書申請 | 2週間 | 2週間 |
| 審査期間 | 1〜3ヶ月 | 1.5〜3.5ヶ月 |
| 証明書郵送 | 1週間 | 2〜4ヶ月 |
| ビザ申請〜発給 | 2週間〜1ヶ月 | 2.5〜5ヶ月 |
| PDOS受講・渡航準備 | 1〜2週間 | 3〜5.5ヶ月 |
| 合計 | 約3〜6ヶ月 | – |
手続きには時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
また、書類の不備があると審査が長引くため、エージェントや行政書士のサポートを受けることを強くおすすめします。
6.BMET制度とバングラデシュ政府の送り出しルール

BMET(労働力雇用訓練局)とは
バングラデシュでは、海外への労働者送り出しを国として厳格に管理するため、BMET(Bureau of Manpower, Employment and Training:労働力雇用訓練局)制度を導入しています。
BMETは、バングラデシュ政府が海外への労働者送り出しを管理するために設立した政府機関であり、海外で働くバングラデシュ人労働者が適正な条件で雇用されることを保証する制度です。
BMETの主な役割
| 役割 | 具体的な業務内容 |
| 海外就労希望者の登録・管理 | 出国する労働者の情報を一元管理 |
| 送り出しエージェントの認可・管理 | 送り出し機関(Recruiting Agency)の認可と監督 |
| 就労契約の監督・審査 | 労働契約の内容確認と承認 |
| 出国前オリエンテーション(PDOS)の実施 | 出国前の義務研修の実施 |
| 労働者の権利保護 | 海外で働く労働者の権利擁護 |
| 苦情対応・トラブル解決 | 労働者からの相談や苦情への対応 |
BMETは、フィリピンのPOEA(Philippine Overseas Employment Administration)と同様の役割を果たしており、労働者が適正な条件で雇用され、搾取や不当な扱いを受けないよう保護する重要な機能を担っています。
制度の目的とは?
- 海外就労の透明性確保
- 労働者の権利保護
- 違法な労働者送り出しの防止
- 適正な雇用条件の確保
- 送り出し機関の質の担保
バングラデシュ人材を合法的に採用するには、BMETに登録された正規の送り出し機関(Recruiting Agency)を通じて手続きを進める必要があります。
この制度を正しく理解して対応することが重要です。
BMET認可送り出し機関を通す必要性
日本企業が安心してバングラデシュ人材を採用するためには、BMET認可を受けた現地送り出し機関と確実に連携しているエージェントを選ぶことが必須です。
BMET認可機関の特徴
BMET認可を受けた機関は、フィリピンのPOEA同様、政府の監督下で適切な人材募集と送り出しを行っています。
- 政府の基準に基づき適正な手続きを実施
- 違法な送り出しや労働者搾取を防止する体制が整備
- 労働契約内容の適正性が担保
- トラブル発生時の対応体制が確立
無認可機関を利用した場合のリスク
逆に、認可を受けていない機関経由で人材を採用した場合、以下のようなリスクが発生する恐れがあります。
| リスク | 具体的な影響 |
| 違法採用と見なされる | 企業側にも法的責任が及ぶ可能性 |
| 手続きの不備 | ビザ取得の遅延や不許可 |
| 違法就労リスク | 入管法違反による罰則 |
| 労務トラブル | 契約不履行、労働条件の相違 |
| 高額な費用請求 | 労働者への違法な手数料徴収 |
| 企業の社会的信用失墜 | レピュテーションリスク |
確認方法
日本側で窓口となるエージェントが、現地の正規送り出し機関とのネットワークを有し、適正な手続きを保証できるかどうかは、エージェント選定時に必ず確認すべき重要なポイントです。
エージェント選定時には、提携先の送り出し機関名やBMET登録番号を必ず確認し、透明性の高い取引ができるかを見極めることが重要です。
採用プロセスとBMET登録の流れ
バングラデシュ人材を正式に採用するための基本プロセスを、時系列で詳しく解説します。
全体の流れ
正式な採用手続きは、まず日本企業側が求人情報を作成し、バングラデシュ現地のBMET認可エージェントに依頼するところから始まります。
ステップ1:求人票作成・エージェントへの依頼
- 日本企業が求人条件を整理
- BMET認可エージェント(日本側窓口)に依頼
- 求人票を現地送り出し機関に送付
ステップ2:現地での人材募集・選考
- バングラデシュ現地での人材募集
- 書類選考(履歴書、資格証明書等の確認)
- 面接実施(オンライン面接が一般的)
- 技能テスト(職種により実施)
ステップ3:採用者決定・労働契約書作成
- 採用者の決定
- 労働契約書の作成
- 労働条件の明記
- 給与、勤務時間、休日等の詳細
- 双方の署名
ステップ4:BMETへの登録・認可
その後、現地での人材募集・選考を経て、採用者が決定されると、労働契約書が作成され、BMETへの登録・認可を受けるプロセスに進みます。
- 送り出し機関がBMETに必要書類を提出
- 労働契約書
- 雇用主情報
- 労働者情報
- その他必要書類
- BMETによる審査・承認
- 所要期間:通常1ヶ月程度
ステップ5:在留資格認定証明書申請(日本側)
BMETでの手続き完了後、対象人材はビザ取得準備に入ります。
- 日本の地方出入国在留管理局に申請
- 企業(または代理人)が申請
- 審査期間:1〜3ヶ月
- 交付後、原本を本人に郵送
ステップ6:ビザ申請(バングラデシュ側)
- 在バングラデシュ日本国大使館にてビザ発給申請
- 在留資格認定証明書を提示
- 発給期間:2週間〜1ヶ月
ステップ7:出国前オリエンテーション(PDOS)
- BMETが実施する義務研修
- 日本での生活・就労に関する基礎知識を学習
- 受講証明書の取得
ステップ8:日本へ渡航・就労開始
- 航空券の手配・出国
- 日本大使館でのビザ申請、出国前オリエンテーション(PDOS)の受講などを経て、正式に日本に渡航し就労を開始します。
全体の所要期間
| フェーズ | 期間 |
| 求人〜面接・採用決定 | 1〜2ヶ月 |
| BMET登録・認可 | 1ヶ月 |
| 在留資格認定証明書取得 | 1〜3ヶ月 |
| ビザ発給 | 2週間〜1ヶ月 |
| PDOS受講・渡航準備 | 1〜2週間 |
| 合計 | 約3〜6ヶ月 |
こうした一連の流れは、フィリピンのPOEA制度と似ていますが、バングラデシュ特有の細かな手続き要件もあるため、専門知識を持つエージェントのサポートが不可欠です。
手続きには時間がかかるため、計画的なスケジュール管理が重要です。
また、各段階で書類の不備があると大幅に遅延するため、エージェントや行政書士のサポートを受けることを強くおすすめします。
外国人材の採用で成功した企業と失敗した企業の違いや、成功企業が実践する7つの取り組みと、3段階導入ロードマップなどもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
7.信頼できるエージェント・支援機関の選び方

BMET認可の有無を必ず確認する
バングラデシュ人材採用において、まず最も重視すべきは、エージェントがBMET(バングラデシュ労働力雇用訓練局)認可の正規送り出し機関と提携しているかどうかです。
なぜBMET認可が重要なのか
BMET認可を受けた機関は、政府の基準に基づき適正な手続きを行っており、違法な送り出しや労働者搾取を防止する体制が整っています。
BMET認可機関の特徴
- 政府の監督下で適正な手続きを実施
- 労働契約内容の適正性が担保されている
- 労働者への違法な費用請求がない
- トラブル発生時の対応体制が確立
- 政府への定期報告義務がある
認可のないエージェントを利用した場合のリスク
認可のないエージェントを利用した場合、採用後に契約不履行や労務トラブルが発生するリスクが高まります。
| リスクの種類 | 具体的な問題 |
| 法的リスク | 違法採用と見なされ、企業側も行政指導や罰則の対象 |
| 手続きリスク | ビザ取得の遅延・不許可、BMET認可が得られない |
| 労務トラブル | 契約内容の相違、労働条件の不一致 |
| 金銭トラブル | 労働者への違法な高額費用請求、追加費用の発生 |
| レピュテーションリスク | 企業の社会的信用の失墜 |
確認方法
エージェント選定時には、以下の方法で必ず確認しましょう。
エージェントが認可機関と提携していることを証明できない場合、そのエージェントの利用は避けるべきです。透明性の高い取引ができるかを見極めることが重要です。
日本企業への紹介実績と業種マッチング力
エージェント選びでは、バングラデシュ現地における人材ネットワークの強さと、日本企業向けの紹介実績も大切な判断基準となります。
確認すべき実績
1. 紹介実績数
- 総紹介実績数
- 特に自社と同じ業種・職種での実績
- 年間の紹介人数
2. 具体的な事例
- 守秘義務の範囲内で、具体的な企業名や事例を聞く
- どのような職種で、どのような成果があったか
- 採用後の定着率
3. 顧客企業の評価
- 実際に採用した企業の評価はどうか
- 紹介された人材の質
- サポート体制への満足度
- リピート率(継続して利用している企業の割合)
人材ネットワークの強さ
豊富な人材データベースを保有し、適切な人選ができる体制を持つエージェントであれば、自社の求める要件に合った候補者をスピーディーに紹介してもらうことが可能です。
業種マッチング力
また、過去にどのような業種・職種で日本企業への紹介実績があるか、実際に採用した企業の評価はどうかも参考になります。
紹介実績が豊富なエージェントは、日本側の業務慣行や採用要件にも理解が深く、スムーズなマッチングが期待できます。
業種別の知見
- IT業界での採用実績とノウハウ
- 製造業での技能実習・特定技能実績
- 建設業での特定技能実績
- 介護分野での実績
自社の業種・職種での実績が豊富なエージェントを選ぶことで、ミスマッチのリスクを大幅に軽減できます。
採用後サポート体制の充実度
バングラデシュ人材の活躍を促すためには、採用後の定着支援が欠かせません。このため、エージェントが採用後にどのようなサポート体制を整えているかを事前に確認することが大切です。
確認すべきサポート内容
来日前に日本での生活や仕事について理解を深めるための研修です。
【入社前サポート】
| サポート内容 | 詳細 |
| 日本の労働文化に関するオリエンテーション | 報連相、時間厳守、チームワークなどの基本 |
| 職場マナー研修 | 挨拶、服装、言葉遣いなど |
| 基礎的な日本語教育 | 業務に必要な日本語フレーズ |
| 生活に関する事前説明 | 気候、食事、住居、交通機関など |
来日時サポート
日本到着後、スムーズに生活を始められるようサポートします。
外国人従業員向けサポート項目 (完了度/重要度)
就労開始後の継続サポート
| サポート内容 | 実施頻度 |
| 定期的なフォローアップ訪問・面談 | 月1回〜3ヶ月に1回 |
| 職場での悩み相談 | 随時 |
| トラブル発生時の対応 | 24時間対応窓口の有無 |
| 日本語学習の継続支援 | 定期的な日本語研修 |
| メンタルヘルスケア | 心理的なサポート |
| 文化適応支援 | 日本の文化・習慣への適応サポート |
たとえば、日本語や日本文化に関するオリエンテーション実施、生活立ち上げ支援、職場トラブル発生時の迅速な対応体制の有無などがポイントになります。
透明性のある費用体系と契約内容
エージェント選びでは、労働者本人から違法に高額な手数料を徴収する行為や、BMETを通さない不適切な手続きを行うリスクにも注意が必要です。
契約前に確認すべき費用項目
1. 紹介手数料の詳細
- 手数料の明確な金額または計算方法
- 年収の何%という計算根拠
- 支払いタイミング(一括か分割か)
- 税込・税別の明示
2. サービス内容と範囲
何がサービスに含まれているかを明確にしましょう。
| 含まれるサービス | 追加費用が発生するサービス |
| • 人材募集・選考• 面接調整• 基本的なオリエンテーション | • ビザ取得サポート• 渡航手配• 住居手配• 来日後の生活支援• 継続的な定着支援 |
3. 追加費用の発生条件
- どのような場合に追加費用が発生するか
- 追加費用の金額目安
- 事前承認の有無
4. 早期離職時の保証制度
多くのエージェントでは、早期離職に備えた返金保証制度や代替人材の再紹介制度を設けています。
保証期間は一般的に1〜3か月程度であり、離職発生のタイミングに応じて段階的に返金率が変動するケースも見られます。
ただし、保証対象となる離職理由や返金条件はエージェントごとに異なるため、契約締結前に詳細をよく確認し、書面で取り交わしておくことをおすすめします。
5. 契約解除条件
- 契約解除の条件
- 違約金の有無と金額
- 解除時の返金の有無
契約前には、エージェントが適正な手続きと費用体系を遵守しているか、透明な説明があるかをしっかり確認しましょう。
登録支援機関の役割から選び方まで、実務経験豊富な専門家の視点で、成功する外国人採用のポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
8.バングラデシュ人材採用で企業成長を実現する

バングラデシュ人材は、若さ・勤勉さ・高い英語力とITスキルを兼ね備えた貴重な戦力です。採用成功にはBMET制度の理解と信頼できるエージェント選定が不可欠。
本記事の5ステップに沿って計画的に進め、採用後の定着支援も重視しましょう。法令を遵守し、適切なサポートを受けることで、人材不足の解消と組織のグローバル化を実現できます。