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バングラデシュ人の日本就労ビザ|技人国取得の条件・手続き・費用

バングラデシュ人材の採用を検討する日本企業が増えています。

英語能力が高く、理系人材が豊富なバングラデシュ人を雇用するには、技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)の取得が必要です。

本記事では、ビザ取得の条件、申請手続き、必要書類、費用・期間、不許可を防ぐポイントまで、人事担当者が知るべき情報を網羅的に解説します。

この記事を読んでわかること
  • バングラデシュ人の技人国ビザ取得に必要な学歴・職歴・雇用条件
  • 申請手続きの流れと必要書類、審査期間の目安
  • よくある不許可事由とその対策、費用の内訳

1.バングラデシュ人が日本で働くために必要な就労ビザとは

1.バングラデシュ人が日本で働くために必要な就労ビザとは

 技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)の基本

バングラデシュ人が日本で働くには「就労ビザ」が必要です。

就労ビザは約19種類に分かれていますが、その中で最も一般的なのが「技術・人文知識・国際業務ビザ(通称:技人国ビザ)」です。

技人国ビザは、オフィスワーカーやホワイトカラーと呼ばれる知的労働や、技術・開発的労働、事務系、企画・営業・販売系の職種に従事する外国人を雇用するためのビザです。

在留資格別:バングラデシュ人滞在者数(上位5位)

順位在留資格人数
1位永住者ビザ2,452人
2位家族滞在ビザ2,165人
3位留学ビザ922人
4位人文知識国際業務ビザ622人
5位技術ビザ550人

上記の統計からわかるように、就労系ビザの中では技人国ビザ(技術ビザ・人文知識国際業務ビザ)が多くを占めています。

その他の就労ビザとしては、経営・管理ビザ、企業内転勤ビザ、技能ビザ、特定技能ビザ、技能実習ビザなどがあります。

雇用形態や仕事内容によって取得すべきビザの種類が異なるため、採用するバングラデシュ人の業務内容に応じて適切なビザを選択することが重要です。

技人国ビザで従事できる職種と業務内容

技人国ビザは、名前の通り「技術分野」「人文知識分野」「国際業務分野」の3つに分かれており、それぞれ従事できる業務内容が異なります。

【技術分野】理系の専門職

機械工学等の技術者、システムエンジニア等のエンジニアが代表的です。

【具体的な職種例】

技術分野

バングラデシュは理系人材が多く、インド人と同じく理系・IT系の職場で活躍する人材が豊富です。

【人文知識分野】文系の専門職

企画、営業、経理などの事務職が代表的です。

【具体的な職種例】

人文

専門的な知識が求められる職業が該当します。

【国際業務分野】語学力や文化を活かす職種

英会話学校などの語学教師、通訳・翻訳、デザイナーが代表的です。

【具体的な職種例】

国際

バングラデシュ人は英語能力が高く(TOEICの平均点は895点という実績もあります)、語学力や海外の文化を活かした職業で活躍しています。

技人国ビザで従事できない業務

技人国ビザには就労制限があり、いわゆる単純労働(ブルーカラー)の仕事には従事できません。

技人国ビザで従事できない業務の例

従事不可能な業務

これらの業務に従事させる場合は、技人国ビザではなく、特定技能ビザや技能実習ビザなど、他の在留資格を検討する必要があります。

重要ポイント:在留カードの確認

日本に3ヶ月以上在留している外国人は「在留カード」という身分証明書を必ず所持しています。採用面接時には在留カードを確認し、以下の項目をチェックしましょう。

【チェック項目】

  • 現在の在留資格(ビザ)
  • 在留期間満了日(日本に滞在できる期限)
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無(留学生の場合)
在留カード見方1

2.バングラデシュ人の技人国ビザ取得に必要な条件

2.バングラデシュ人の技人国ビザ取得に必要な条件

条件①学歴要件をクリアする

技人国ビザを申請する際に最も重要なのが学歴要件です。学歴を満たしている場合、比較的スムーズに審査が進みます。

学歴の要件

学歴区分要件内容
大学卒業従事しようとする業務に必要な知識に関連する科目を専攻して大学を卒業、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
日本の専門学校卒業従事しようとする業務に必要な知識に関連する科目を専攻して、日本の専修学校の専門課程を修了したこと(「専門士」「高度専門士」の取得が必須)

大学卒業の場合の注意点

技術分野・人文知識分野で申請する場合は、学んだ分野と業務内容に関連性が必要です。

【関連性がある例】

  • 法学部を卒業→法律事務所の事務職
  • 理学部を卒業→システム開発会社のSE
  • 経済学部を卒業→企業の営業職

ただし、理系学部卒業者が文系職種に就くことも、文系学部卒業者が理系職種に就くことも可能です。重要なのは、理由書で関連性を論理的に説明できることです。

国際業務分野の特例

国際業務分野の仕事に就く場合は、大学を卒業していれば学んだ分野との関連性は不要です。これは、語学力や異文化理解が重視されるためです。

海外大学の学歴評価に関する注意点

バングラデシュの大学を卒業している場合、教育制度が日本と異なるため注意が必要です。

  • 卒業証明書(英語または日本語訳)の提出
  • 成績証明書で履修科目を明示
  • 必要に応じて学位の同等性を証明

日本の専門学校卒業の場合

以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 「専門士」または「高度専門士」の称号を取得していること
  • 学んだ分野と業務内容に強い関連性があること
  • 大学卒業よりもさらに厳密な関連性が求められる

注意日本語学校は対象外です。また、専門学校を卒業していても「専門士」「高度専門士」が取得できない場合は技人国ビザ申請はできません。

条件②職歴・資格要件を満たす(学歴がない場合)

学歴要件を満たさない場合、実務経験や資格で申請することも可能です。ただし、学歴での申請に比べて証明が困難なケースが多くなります。

職歴・資格の要件

要件区分必要年数・内容
技術分野・人文知識分野の実務経験10年以上の実務経験
国際業務分野の実務経験3年以上の実務経験
IT資格による特例法務大臣が特例告示で定める「情報処理技術」に関する資格
インドの資格DOEACC制度の資格を保有

実務経験による申請の注意点

実務経験を証明するには、在職証明書や退職証明書が必要です。しかし、以下のような課題があります。

  • 過去に働いていた会社が倒産している
  • 証明書を発行してもらえない
  • 必要な年数分の証明が困難

このため、できる限り学歴要件を満たす人材を採用することをお勧めします。

バングラデシュ人を採用する際のチェックポイント

採用前に必ず以下を確認しましょう。

チェックポイント

  1. 大学の卒業証明書を確認
  2. 専攻分野と業務内容の関連性を検討
  3. 学歴がない場合は実務経験の年数と証明書の有無を確認
  4. IT職の場合は関連資格の保有状況を確認

条件③雇用条件と法令遵守

学歴や職歴以外にも、以下の条件を満たす必要があります。

【条件1】日本にある企業が雇用していること

技人国ビザを申請する際は、以下のいずれかに雇用されている必要があります。

  • 日本にある会社
  • 国、地方公共団体
  • 独立行政法人、公益法人等の法人
  • 任意団体
  • 日本に事務所・事業所等を有する外国の法人

海外企業に所属しながら日本で働く場合は、短期ビザや企業内転勤ビザが該当します。

【条件2】日本人と同等以上の報酬

「外国人労働者は安価に雇用できる」という誤解がありますが、技人国ビザでは以下の原則があります。

「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」

同じ仕事をしている日本人よりも給料を低くすることはできません。

【条件3】日本の法律を守っていること

特に外国人留学生を雇用する場合、以下の点に注意が必要です。

資格外活動の制限

対象者制限内容
留学生(学期中)週28時間以内のアルバイト
留学生(長期休業中)1日8時間以内のアルバイト
禁止事項風俗営業等の店舗での就労

週28時間を超えてアルバイトをしていた留学生は、技人国ビザへの変更申請時に不許可になる可能性が高いため、採用前に必ず確認しましょう。

雇用契約書作成時のポイント

技人国ビザ申請時には、雇用契約書労働条件通知書の提出が必要です。

契約書に記載すべき内容

📄

業務内容の詳細

明確化度: 85%

85%

💰

報酬額(月給・年俸)

開示度: 95%

95%

勤務時間・休日

柔軟性スコア: 75%

75%

📅

雇用期間

安定性予測: 90%

90%

3.バングラデシュ人の就労ビザ申請手続きの流れ

3.バングラデシュ人の就労ビザ申請手続きの流れ

海外から呼び寄せる場合の手続き(在留資格認定証明書交付申請)

バングラデシュから人材を呼び寄せる場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。以下のステップで手続きを進めます。

【STEP1】事前準備と要件確認

まず、以下の書類を準備します。

バングラデシュ人採用:
提出書類と重要確認フェーズ

視覚的なチェックインジケーターで、各項目の重要度と完了度を示します。

📂 提出書類 (Complete / 100% 必須)

履歴書

(必須書類)

職務経歴書

(必須書類)

🎓

卒業証明書

(可能であれば提出)

🏢

在職・退職証明書

(職歴がある場合)

🚨 重要確認事項 (Critical Check / 95% 必須)

🔗

学歴と業務内容の関連性

(在留資格の審査に影響)

ID

在留カードの確認

(すでに日本にいる場合:在留資格、期限)

資格外活動違反の有無

(就労時間超過などの確認)

【STEP2】勤務先のカテゴリー確認

雇用する企業は4つのカテゴリーに分類され、必要書類が異なります。

カテゴリー企業の種類必要書類の量
カテゴリー1上場企業等最も少ない
カテゴリー2前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表で一定額以上の企業少ない
カテゴリー3前年分の法定調書合計表が提出できない団体多い
カテゴリー4上記以外最も多い

【STEP3】必要書類の準備・作成

企業側と本人側の書類を準備します(詳細は次章で解説)。
特に重要なのが「理由書」の作成です。

【STEP4】出入国在留管理局への申請

  • 申請先:地方出入国在留管理局
  • 審査期間:1~3ヶ月
  • 申請者:以下のいずれか
    (外国人本人、受け入れ企業の担当者、日本にいる親族、代理人)

【STEP5】認定証明書の受領と海外送付

認定証明書が交付されたら、バングラデシュの本人に原本を郵送します。

注意点

  • 認定証明書は発行後3ヶ月以内に入国しないと失効
  • 入国スケジュールを事前に調整
  • 書留等の確実な方法で送付

【STEP6】入国スケジュールの調整

入国時期を決めている場合は、審査期間(1~3ヶ月)を考慮して逆算し、準備を進める必要があります。

日本在住者を雇用する場合の手続き(在留資格変更許可申請)

すでに日本にいるバングラデシュ人(留学生など)を雇用する場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。

変更申請の流れ

現在の在留資格から技人国ビザへの変更を申請します。

  • 申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理局
  • 審査期間:1~2ヶ月
  • 申請手数料:4,000円

留学生からの変更で特に注意すべき点

資格外活動違反(アルバイト時間超過)がないかが厳しくチェックされます。

確認項目内容
アルバイト時間週28時間以内を守っているか
長期休業中1日8時間以内を守っているか
就労場所風俗営業等の店舗でないか

過去に週28時間を大幅に超えてアルバイトをしていた場合、申請が不許可になる可能性が高いため、採用前に必ず確認しましょう。

過去の留学更新時に見逃されていても、技人国ビザへの変更時に発覚することがあります。

変更申請後の手続き

変更申請の結果が出た後は、本人が入国管理局へ行き、新しい在留カードを受け取る必要があります。

バングラデシュでの査証(ビザ)発給手続き

在留資格認定証明書を受け取ったバングラデシュ人は、在バングラデシュ日本国大使館で査証(ビザ)発給申請を行います。

査証発給申請に必要な書類

  • 在留資格認定証明書(原本)
  • パスポート
  • 証明写真
  • 査証申請書類

査証発給までの期間

数日~2週間程度

日本入国と在留カード受領

【日本入国時の流れ】

日本の在留カード交付プロセス

1

空港で入国審査を受ける

日本へ入国する全ての外国人が対象となります。

--- 次のステップは入国港により分岐します ---

🛂

特定出入国港の場合

成田・羽田・中部・関西空港などの
特定出入国港で入国した場合は、
その場で在留カードが交付されます。

📄

特定出入国港以外の場合

上記以外の空港・港から入国した場合は、
パスポートに「在留カードを後日交付する」と記載されます。
後日、住所地の市町村窓口で受け取る必要があります。

住居地の届出義務

在留カードを受け取ったら、住居地を決めてから14日以内に市区町村の窓口で住居地の届出を行う義務があります。

後日交付の場合は、住居地を届け出てから10日程度で地方出入国在留管理官署から在留カードが郵送されます。

申請要件から不許可対策まで、企業が知るべき実務知識を詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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4.バングラデシュ人の就労ビザ申請に必要な書類

4.バングラデシュ人の就労ビザ申請に必要な書類

企業側が準備する書類

企業側が準備する主な書類は以下の通りです。

カテゴリーによって必要書類が異なり、申請書類は合計30枚~100枚になることもあります。

基本書類(全カテゴリー共通)

書類名説明取得場所
在留資格認定証明書交付申請書所定の様式に記入出入国在留管理庁ウェブサイト
雇用契約書(原本)本人との雇用契約書自社で作成
労働条件通知書労働条件を明示自社で作成
登記事項証明書会社の登記情報法務局(600円)

カテゴリー別の追加書類

カテゴリー追加で必要な書類
カテゴリー1四季報の写し、または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
カテゴリー2前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるもの)
カテゴリー3前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表、事業内容を明らかにする資料
カテゴリー4決算書類、事業内容を明らかにする資料、会社案内・パンフレット等

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表とは

カテゴリー2以上の企業で必要となる重要書類です。毎年1月末までに税務署に提出する書類で、前年の給与総額や源泉徴収税額が記載されています。税務署の受付印があるものが必要です。

バングラデシュ人本人が準備する書類

本人が準備する主な書類は以下の通りです。

学歴関連の書類

書類名注意点
卒業証明書・学位記英語または日本語訳が必要
成績証明書履修科目が明記されているもの
「専門士」または「高度専門士」の称号を付与されたことを証明する文書日本の専門学校卒業の場合

職歴関連の書類

  • 在職証明書(現在働いている場合)
  • 退職証明書(過去に働いていた場合)
  • 実務経験を証明できる書類

その他の必要書類

  • 履歴書
  • 職務経歴書
  • パスポートのコピー(顔写真ページ)
  • 証明写真(4cm×3cm、3ヶ月以内に撮影)

バングラデシュで発行された書類の翻訳

バングラデシュで発行された書類は、日本語か英語の翻訳を添付する必要があります。

翻訳方法は以下の2つです。

  • 専門業者に依頼(1枚3,000円~5,000円)
  • 自社で翻訳(翻訳者の署名が必要)

重要書類:理由書の書き方ポイント

理由書は、A4用紙に自由な形式で記載する非常に重要な書類です。

審査官に対して、なぜこのバングラデシュ人を雇用する必要があるのか、業務内容と学歴の関連性はどうかなどを説明します。

理由書に記載すべき内容

  1. 会社概要
    • 事業内容の詳細
    • 従業員数
    • 設立年
    • 資本金
  2. 事業の詳細説明
    • 具体的な事業内容
    • 取扱商品・サービス
    • 主要取引先
  3. 雇用の経緯
    • なぜ外国人を採用するのか
    • 日本人では充足できない理由
    • バングラデシュ人を選んだ理由
  4. 具体的な業務内容の説明
    • 日々の業務内容
    • 担当プロジェクト
    • 必要なスキル・知識
  5. 本人の経歴と業務内容の関連性最重要
    • 専攻科目と業務の関連性
    • 履修した科目の具体例
    • 卒業論文やゼミのテーマ
    • 学んだ知識がどのように業務に活かせるか
  6. 報酬額の妥当性
    • 日本人社員との比較
    • 業界水準との比較

理由書作成の具体例

【良い例】

「本人は○○大学で情報工学を専攻し、データ構造とアルゴリズム、データベース設計、Webプログラミングなどの科目を履修しています。

卒業論文ではECサイトの構築をテーマとし、実際にシステムを開発した経験があります。

当社ではWebシステムの開発業務に従事させる予定であり、大学で学んだプログラミング技術やデータベース設計の知識を直接活かすことができます。」

【悪い例】

「本人は大学でITを学んでいるので、当社のシステム開発業務ができます。」

理由書は、学歴と業務内容の関連性を立証する最も重要な書類です
具体的かつ詳細に記載することで、審査がスムーズに進みます。

5.バングラデシュ人の就労ビザ申請でよくある不許可事由と対策

5.バングラデシュ人の就労ビザ申請でよくある不許可事由と対策

学歴と業務内容の関連性不足

技人国ビザ申請で最も多い不許可理由が、学歴と業務内容の関連性不足です。申請すれば必ず許可されるものではなく、不許可になることもあります。

不許可になりやすいケース

学歴雇用職種判定
文系学部卒業IT企業のエンジニア職❌ 関連性が弱い
経済学部卒業工場の品質管理職❌ 関連性が弱い
観光学科(専門学校)一般事務職❌ 関連性が弱い
法学部卒業法律事務所の事務職⭕ 関連性あり
情報工学部卒業システム開発会社のSE⭕ 関連性あり
経営学部卒業営業職⭕ 関連性あり

対策:関連性の立証方法

理由書で以下の点を詳細に説明することが重要です。

履修科目と業務の関連性

  • 具体的な科目名を列挙
  • 各科目で学んだ内容
  • 業務でどう活かせるか

卒業論文・ゼミのテーマと業務の関連性

  • 研究テーマの詳細
  • 研究で得た知見
  • 業務への応用方法

取得した資格・免許と業務の関連性

  • 資格の種類
  • 資格で証明されるスキル
  • 業務での活用場面

効果的な説明の具体例

例:経営学部卒業者を営業職で雇用する場合

「本人は経営学部でマーケティング論、消費者行動論、ビジネスコミュニケーション論を履修しており、顧客ニーズの分析手法や効果的な提案方法について専門的な知識を有しています。

当社の営業職では、顧客の課題を分析し、最適なソリューションを提案する能力が求められるため、本人が大学で学んだマーケティングやコミュニケーションの知識を直接活かすことができます。」

資格外活動違反の履歴(留学生の場合)

日本にいる留学生を雇用する場合、過去の資格外活動違反が発覚して不許可になるケースが増えています。

資格外活動の制限

期間制限内容
学期中週28時間以内
長期休業中(夏休み・冬休み等)1日8時間以内
禁止事項風俗営業等の店舗での就労

不許可につながる違反例

資格外活動の主な制限事項(原則禁止・高リスク)

これらの活動は入管法に違反する可能性が極めて高く、在留資格の取り消しや更新不可につながります。

⚠️ 週28時間を大幅に超えるアルバイト

違反リスク

⚠️ 複数のアルバイトの合計が週28時間超

違反リスク

風俗営業等の店舗でのアルバイト

原則禁止

許可を取得せずにアルバイトを行う

原則禁止

重要な注意点

過去の留学ビザ更新時に見逃されていても、技人国ビザへの変更申請時に厳格にチェックされます。

特定技能ビザへの変更時も同様に、アルバイト時間の超過が発覚し、結果として申請が通らない場合が多くあります。

対策

  1. 採用前にしっかり確認
    • アルバイト履歴の詳細確認
    • 給与明細や勤務表の提示を求める
    • 複数のアルバイトの合計時間を計算
  2. すでに時間超過をしていた場合
    • 行政書士など専門家に相談
    • 理由書で経緯を正直に説明
    • 反省の意を明確に示す
    • 悪意がなかったことを説明

ただし、大幅な超過(週35時間以上など)の場合は、許可される可能性が低くなります。

報酬額が日本人同等以上でない

技人国ビザでは「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」が求められます。外国人だからといって安価に雇用することはできません。

不許可になりやすいケース

  • 初任給が月額15万円など、業界水準より著しく低い
  • 日本人大卒新入社員が月額22万円なのに、バングラデシュ人は月額18万円
  • 地域の最低賃金水準に近い低賃金

対策

報酬額の妥当性を立証

  1. 同じ企業内の日本人社員との比較

    「当社の日本人大卒新入社員の初任給は月額22万円であり、本人にも同額の給与を支払います。」

  2. 業界水準との比較

    「IT業界における大卒新入社員の平均初任給は月額23万円であり、本人への月額22万円の給与は妥当な水準です。」

  3. 職種別の相場との比較
    • システムエンジニア:月額22万円~25万円
    • 営業職:月額21万円~24万円
    • 事務職:月額20万円~22万円

報酬額設定の目安

バングラデシュ人を雇用する場合も、日本人の大卒初任給と同水準(月額20万円~25万円程度)に設定することが安全です。

報酬額が低すぎる場合は不許可リスクが高まるため、適切な水準に設定することが重要です。

その他の不許可事由

  • 企業の経営状態が悪い⇒赤字が続いている、資本金が少ない
  • 過去にオーバーステイや犯罪歴がある⇒しっかりとした説明が必要
  • 業務内容が不明確⇒単純労働ではないことを証明
  • 短期滞在ビザからの変更⇒原則として変更不可

一度不許可になると再申請に影響が出る可能性もあるため、不安がある場合は専門家(行政書士)への相談をお勧めします。

6.バングラデシュ人雇用の就労ビザにかかる費用と期間

6.バングラデシュ人雇用の就労ビザにかかる費用と期間

申請にかかる費用の内訳

技人国ビザ申請にかかる費用は以下の通りです。

入管への申請手数料

申請種類手数料
在留資格認定証明書交付申請無料
在留資格変更許可申請4,000円
在留期間更新許可申請4,000円

書類取得費用

書類名費用
登記事項証明書600円
卒業証明書(バングラデシュ)国・大学により異なる
書類翻訳費用1枚3,000円~5,000円
国際郵送費(EMS等)2,000円~5,000円
証明写真代1,000円~2,000円

行政書士に依頼する場合の報酬相場

申請種類報酬相場
在留資格認定証明書交付申請10万円~15万円
在留資格変更許可申請8万円~12万円
在留期間更新許可申請5万円~8万円

行政書士に依頼するメリット

メリット内容
入管に行く回数が激減代理申請が可能
膨大な時間と手間が激減書類準備を全てサポート
書類作成は全てお任せ専門家が作成
疑問・不安はすぐに解決随時相談可能
専門家目線のアドバイス審査ポイントを熟知
不許可リスクの低減許可率98%以上の実績も

行政書士に依頼すると費用はかかりますが、特に初めて外国人を採用する企業や、カテゴリー3・4の企業、不許可リスクが高いケースでは、専門家への依頼を検討する価値があります。

審査期間と採用スケジュールの目安

技人国ビザ申請の審査期間は以下の通りです。

審査期間の目安

申請種類審査期間
在留資格認定証明書交付申請1~3ヶ月
在留資格変更許可申請1~2ヶ月
在留期間更新許可申請2週間~1ヶ月
査証発給(バングラデシュ)数日~2週間

トータルスケジュール(海外から呼び寄せる場合)

フェーズ所要期間
書類準備2週間~1ヶ月
在留資格認定証明書交付申請の審査1~3ヶ月
バングラデシュへの書類送付1週間
査証発給申請数日~2週間
日本への渡航準備1週間
合計2~4ヶ月

採用スケジュールの立て方(具体例)

4月1日入社を希望する場合の逆算スケジュールです。

外国人雇用(在留資格申請)プロセスのタイムライン

1

11月

書類準備開始、候補者との雇用条件調整

2

12月中旬

在留資格認定証明書交付申請を提出

3

1月~2月

審査期間(年末年始・繁忙期を考慮)

4

3月上旬

認定証明書交付、バングラデシュへ送付

5

3月中旬

査証発給申請

6

3月下旬

来日

7

4月1日

入社

重要な注意点

  1. 認定証明書の有効期限
    • 発行後3ヶ月以内に入国しないと失効
    • 入国時期の調整が必要
  2. 繁忙期の考慮
    • 3月~4月:入社シーズンで申請が集中
    • 審査期間が通常より長くなる可能性
  3. 余裕を持った計画
    • 最短期間ではなく、余裕を持ったスケジュールを
    • 不測の事態(書類の不備、追加資料の要求)に対応できるように

入出国時期を決めている場合は、審査期間も考慮して準備を進めるようにしましょう。特に4月入社を希望する場合は、前年の12月までに申請を完了させることが理想です。

7.技人国ビザと特定技能ビザの違いと選択基準

7.技人国ビザと特定技能ビザの違いと選択基準

技人国ビザと特定技能ビザの比較

バングラデシュ人を雇用する際、技人国ビザと特定技能ビザのどちらを選ぶべきか迷う企業も多いでしょう。両者の主な違いを比較します。

基本情報の比較

比較項目技人国ビザ特定技能ビザ
正式名称技術・人文知識・国際業務特定技能1号・2号
対象業務ホワイトカラー・専門職特定産業分野16分野の実務作業
学歴要件大学卒業または専門士が必要学歴不問
職歴要件学歴がない場合10年必要(国際業務は3年)不要(試験合格で可)
試験不要技能水準試験・日本語能力試験が必要

在留期間とキャリアパスの比較

比較項目技人国ビザ特定技能ビザ
在留期間3ヶ月、1年、3年、5年1号:1年、6ヶ月または4ヶ月ごとの更新
更新無期限に更新可能1号:最長5年、2号:無期限
永住申請10年で可能1号:困難、2号:可能
家族帯同可能(家族滞在ビザ)1号:不可、2号:可
キャリアパス管理職・専門職への昇進可現場実務が中心

特定技能の対象分野(16分野)

特定技能制度は2019年4月に12分野でスタートしましたが、2024年3月29日の閣議決定により、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加され、2025年現在は計16分野となっています。

特定技能制度の基本的な仕組み1
特定技能制度の基本的な仕組み2

注意点

2024年追加の4分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)は特定技能1号のみが対象で、特定技能2号は対象外です。

介護分野も特定技能2号の対象外です(専門的な在留資格「介護」が別に存在するため)。

バングラデシュ特有のメリット

日本とバングラデシュは特定技能制度に関する二国間覚書を締結しています。

覚書の内容

  • 特定技能外国人の保護
  • 円滑な送り出しと受け入れ
  • 悪質な人材仲介業者の排除

特に重要なのが、バングラデシュ人が日本で働く場合、雇用契約の際にバングラデシュ側での送出機関の経由が不要という点です。

これにより、他国に比べて手続きが簡素化され、コストも抑えられます。

バングラデシュ人採用でどちらを選ぶべきか

技人国ビザを選ぶべきケース

以下の条件に当てはまる場合は技人国ビザが適しています。

学歴面

  • 大学卒業以上の学歴がある
  • 日本の専門学校で「専門士」を取得している

職種面

  • オフィスワーク(営業、企画、経理等)
  • IT・エンジニア職
  • 通訳・翻訳、デザイナー

雇用方針面

  • 長期雇用を前提としている
  • 管理職候補として育成したい
  • 家族帯同を希望している

バングラデシュ人の強み

バングラデシュ人材が日本企業で注目される主な強みは以下の通りです。

1. 高い英語能力

  • 公用語はベンガル語だが、英語教育が盛んで英語堪能な人材が多い
  • TOEIC平均点895点という高い実績(2014年データ)
  • 他の言語習得も早い傾向

2. 理系人材が豊富

  • インド人と同様、理系・IT系に長けた人材が多い
  • IT・エンジニア職での活躍が期待できる
  • システムエンジニア、プログラマーとして適性が高い

3. 若くてハングリー精神が強い

  • 平均年齢27.6歳と若い労働力
  • 厳しい環境で育ったハングリー精神
  • すぐに日本の仕事に適応する能力が高い

4. 環境適応力が高い

  • 気候や生活環境の変化に強い
  • 日本の職場環境にスムーズに馴染む
  • 仕事への適応が早い

5. 親日国である

  • アジア有数の親日国
  • 日本との良好な関係
  • 国旗も日本と似ている(親近感)

6. 人懐っこくコミュニケーション能力が高い

  • 基本的にフレンドリーでおしゃべり好き
  • 信頼関係を重視する国民性
  • チームワークを大切にする

これらの強みにより、バングラデシュ人は特にIT・エンジニア職、語学を活かす職種(通訳・翻訳・語学教師)、営業職などで高い適性を発揮します。

特定技能ビザを選ぶべきケース

以下の条件に当てはまる場合は特定技能ビザが適しています。

学歴面

  • 学歴がない、または高卒
  • 大学を中退している

職種面

  • 製造業の現場作業
  • 建設業の技能作業
  • 介護職
  • 農業・漁業
  • 飲食料品製造・外食業

雇用方針面

  • 即戦力として技能を持っている人材が必要
  • 最長5年の雇用を想定している
  • 現場の実務作業が中心

判断フローチャート

🎓 バングラデシュ人採用のためのビザ選択フロー

採用したいバングラデシュ人の学歴は?

大学卒業

技人国ビザ(推奨)

高卒または学歴なし

💼業務内容は?

🏢オフィスワーク

⚠️技人国ビザは困難、特定技能も対象外の可能性

🛠️特定産業分野の実務作業

👍特定技能ビザ

実務上のアドバイス

バングラデシュ人を雇用する際の実務上のポイントを簡潔にまとめます。

  1. IT・エンジニア職の場合
    • バングラデシュ人は理系人材が多く、技人国ビザが最適
    • 大学で情報工学や電気工学を専攻している人材が豊富
    • システムエンジニア、プログラマーとして即戦力になる
  2. 語学を活かす職種の場合
    • 英語能力が高いため、語学教師や通訳・翻訳に適している
    • 国際業務分野で技人国ビザを取得
    • 貿易事務やグローバルビジネスでも活躍
  3. 製造業・建設業の場合
    • 現場作業がメインなら特定技能ビザ
    • 生産管理や品質管理など専門職なら技人国ビザ
    • 業務内容に応じて適切なビザを選択
  4. 長期的な視点
    • 将来的に管理職にしたい → 技人国ビザ
    • 5年程度の雇用 → 特定技能ビザ
    • 無期限雇用と家族帯同を希望 → 技人国ビザ

バングラデシュ人は英語能力が高く、若く、適応力に優れています。企業のニーズと本人の学歴・スキルを総合的に判断し、最適なビザを選択しましょう。

迷った場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

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8.バングラデシュ人材の採用成功に向けて

8.バングラデシュ人材の採用成功に向けて

バングラデシュ人の技人国ビザ取得には、学歴と業務の関連性証明、適切な報酬設定、資格外活動違反の確認が重要です。

申請から入国まで2~4ヶ月かかるため、余裕を持った計画が必要です。

英語能力が高く、理系人材が豊富なバングラデシュ人は、日本企業にとって貴重な戦力となります。本記事の情報を活用し、確実なビザ取得と円滑な雇用関係の構築を実現してください。

記事を書いた人
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行政書士法人バタフライエフェクト
行政書士法人バタフライエフェクトは、外国人の就労ビザ取得、相談のエキスパートです。上場企業様から小規模の会社様まで、これまで10,000件以上の案件を支援。就労ビザを踏まえた外国人雇用のコンサルティングも行っており、年間実績1,500件、ビザの専門家が多数在籍しています。
https://kigyosapri.com/visa/

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