日本の少子高齢化やIT業界の拡大から深刻化する国内IT人材不足を背景に、外国人エンジニアの需要が急増しています。しかし、その採用には言語やビザの問題など多くの課題が伴うのが現状です。
こうした課題を解決する効果的な手段として、外国人エンジニア採用に特化した人材紹介会社の活用が挙げられるでしょう。
本記事では、外国人エンジニア採用の現状と課題を整理したうえで、信頼できる人材紹介会社の選び方と、おすすめの10社についてご紹介します。
- 外国人エンジニア採用のメリットと課題、そして人材紹介会社を活用する利点
- 外国人エンジニア専門の人材紹介会社を選ぶ際の15の評価基準と信頼できる10社の特徴
- 外国人エンジニアを長期的に定着させるための社内体制整備と効果的なケア方法
1.外国人エンジニア採用の現状と課題

国内でIT人材不足が深刻化する中、外国人エンジニアの需要は高まっています。しかし、その採用や定着にはさまざまな課題が存在しています。
以下では、外国人エンジニアの需要が増している背景と、採用のメリットおよび課題について解説します。
深刻化するエンジニア不足の実態
日本のIT業界では、エンジニア不足が深刻です。経済産業省の試算によれば、2030年には40万~80万人ものIT人材が不足すると見込まれています。
この背景には、少子高齢化に伴う若年層の減少や、IT市場の急速な拡大が関係しています。特に、日本ではIT人材がベンダー企業に集中する傾向があり、一般企業におけるシステムの内製化やDX推進が滞りがちです。
こうした状況の中、日本国内ではIT人材の採用競争が激化しており、求人倍率は高止まりしている状態なのです。
参照元:経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)」
外国人エンジニア採用のメリット
上記のように国内でITエンジニアが不足していることから、外国人エンジニアの需要は急速に高まっている状況です。
しかし、外国人エンジニアの採用は、単に人材不足を補うだけではなく、企業にとって多くのメリットをもたらします。
海外には、日本以上にIT教育が盛んな国も多く、高度な専門知識や最新技術を習得しているエンジニアが数多く存在します。
こうしたハイスキル人材の受け入れは、企業の技術力向上に効果的です。また、多様な文化的背景を持つ人材が加わることで、新たな発想や視点が生まれることも期待できます。
このように、外国人エンジニアの採用は、企業の持続可能性を高めるうえでも有効な手段です。
採用時の主な課題と解決策
一方で、外国人エンジニアの採用にはさまざまな課題が伴います。
スキルの評価が難しい
履歴書や面接だけでは、プログラミングスキルや日本語でのコミュニケーション能力を正確に把握するのは容易ではありません。その結果、期待していたスキルが不足していたり、言語の壁が業務に影響を及ぼしたりするケースもあります。
手続きが煩雑
ビザ取得などに関する手続きが煩雑で、時間と労力を要します。特に、外国人人材の採用に不慣れな企業では、これらの手続きが採用担当者にとって大きな負担です。
社内の受け入れ態勢の構築が必要
スキルやビザの問題をクリアして採用できたとしても、エンジニアが職場に馴染めなければ早期離職につながるリスクがあります。
これらの課題を解決するには、採用プロセスの見直しと社内の受け入れ体制の強化が重要です。
特に、外国人エンジニアの採用に精通した人材紹介会社を活用し、適切なサポートを受けることは、有効な手段のひとつとなります。
2.外国人エンジニア採用に人材紹介会社を活用するメリット

外国人エンジニア採用に伴う課題を解決する方法のひとつとして、人材紹介会社の活用が挙げられます。具体的なメリットを以下に紹介します。
企業のニーズに合った候補者にアクセスできる
企業が外国人エンジニアを採用する際、多くが直面するのは「必要な人材に出会えない」という問題です。
国内の一般的な求人媒体や自社サイトでの募集では、外国人エンジニアからの応募が集まりにくいのが実情です。
人材紹介会社を活用すれば、独自のデータベースを通じて企業のニーズに合った候補者を紹介してもらえるため、適切な人材と出会える可能性が高まります。
ビザ申請から入社までのサポート体制を任せられる
外国人エンジニアの採用には、ビザの取得や住居の確保など、多くの手続きが必要です。
これらの手続きは、日本の法律や行政手続きに不慣れな外国人エンジニアにとって大きな障壁となるだけでなく、採用企業側にも負担がかかります。
経験豊富な人材紹介会社を利用すれば、在留資格の取得手続きに関するアドバイスや、日本での生活サポートを受けられ、入社までのプロセスをスムーズに進められます。
採用コストの最適化と効率化
外国人エンジニアの採用活動には多くの時間と費用がかかります。例えば、
- 求人広告の掲載費用
- 採用担当者の工数
- 適切な候補者を見つけられないことによる機会損失
など、採用に関連するさまざまなコストが発生します。
特に外国人エンジニアの採用では、ビザ取得や文化・言語の違いによる追加対応が必要になるため、日本人エンジニア以上に負担が増える傾向です。
人材紹介会社を活用すれば、
- 求人募集から候補者の選定
- 面接の設定
- 契約条件の交渉
- フォローアップ
など、多くの採用プロセスを代行してもらえるため、企業の負担が大幅に軽減されます。
また、多くの人材紹介会社は成功報酬型の料金体系を採用しており、採用が成功しなければ費用が発生しません。
さらに、採用した人材が早期離職した場合、一定の返金制度を設けている紹介会社もあるため、採用コストのリスクを抑えられます。
3.信頼できる外国人エンジニア人材紹介会社10選
外国人エンジニアの採用を成功するために、優れた人材紹介会社を選ぶことが重要です。ここでは、実績やサポート体制に優れたおすすめの人材紹介会社を紹介します。
BLOOM TECH Career for GLOBAL

BLOOM TECH Career for GLOBALは、IT・Web・ゲーム業界に特化した外国人エンジニアの人材紹介会社です。
独自の集客チャネルを活用し、日本語が堪能なエンジニアや女性エンジニア、スタートアップ志向の人材など、多様な候補者を確保しています。
また、経験豊富なキャリアアドバイザーが求職者一人ひとりと向き合い、企業の魅力を最大限に引き出しながら面接までサポートします。
さらに、正社員、契約社員、フリーランス(業務委託)、派遣など、幅広い雇用形態に対応しているのも特長です。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- URL:https://bloomtechcareer.com/client/
World in Pro|インバウンドテクノロジー

インバウンドテクノロジーが運営するWorld in Proは、多様な国籍やスキルレベルを持つ外国人エンジニアを紹介する人材紹介会社です。契約企業は500社以上、内定承諾率は80%以上と、業界内でも高い成功率を誇ります。
東南アジア出身者のエンジニアが主な登録者です。外国籍キャリアアドバイザーが求職者を丁寧にフォローし、日本人スタッフがスピーキング能力を評価・点数化する独自のシステムを導入しています。
また、成果報酬型の料金体系を採用しており、採用成功時にのみ費用が発生するため、初期コストを抑えて採用活動を進めることが可能です。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- URL:https://worldinpro.ib-tec.co.jp/
マイナビ Global Agent

マイナビ Global Agentは、大手人材サービス会社であるマイナビが提供する、外国人留学生を対象とした人材紹介サービスです。
特に、国内外の理系留学生や特定の言語スキルを持つ人材を求める企業に適しています。
学生への求人告知から、応募者対応、面接日程調整、合否連絡までを一括で代行し、効率的な採用活動をサポートします。また、マイナビの就職サイトを活用した広報活動も可能で、ターゲットに合った学生を厳選し推薦してくれます。
さらに、成功報酬型の料金体系に加え、内定辞退や早期離職時の返金制度も整っており、リスクを抑えた採用が実現可能です。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- 採用ご担当者の方へURL:https://ag.global.mynavi.jp/corporate/
IT JOBs in Japan

IT JOBs in Japanは、バイリンガルエンジニアや技術職経験者の採用に特化した人材紹介サービスです。
登録者の80%以上が日本で2年以上の就業経験を持ち、全員が国内在住のため、即戦力となる候補者を迅速に紹介できます。最短2営業日で候補者を提案し、紹介から入社承諾までを最短約1か月で完了するスピード感が強みです。
また、過去の実績をもとにスキルや適性を徹底的にヒアリングするため、企業と求職者のミスマッチを最小限に抑え、高い定着率を実現します。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- URL:https://it-jobs-in-japan.co.jp
グローバルパワー

グローバルパワーは、日本語能力試験N1・N2レベルの外国人エンジニアや通訳、マーケティング人材など、幅広い分野で活躍できる人材を紹介する人材紹介会社です。152か国・約4万人の高度外国人データベースを活用し、企業のニーズに合った即戦力人材を迅速に提案します。
また、採用リスクを抑える仕組みとして、紹介者が3か月以内に早期退職した場合の返金制度を整備し、企業の採用負担を軽減しつつ、適切な人材確保を支援します。
- 料金:成功報酬(想定年収の35%)
- URL:https://globalpower.co.jp
ディレクトリジャパン

ディレクトリジャパンは、アジア人エンジニアの採用に特化した人材紹介サービスを提供する企業です。特にベトナムのHR企業との連携を強化し、日本企業に適応しやすいベトナム人エンジニアの紹介に強みを持っています。
Web3やAIなどの最先端分野に対応できる人材も多く、企業のデジタル事業を加速させる高度な技術者の確保が可能です。
また、エンジニア紹介だけでなく、チーム編成のコンサルティングや、プロジェクト成功のためのグローバルコミュニケーション支援も実施しています。
- 料金:要問合せ
- サービスURL:https://directoryjapan.jp/consulting/
RISE for Business

RISE for Businessは、IT・機電・建設分野に特化した人材紹介サービスを提供する企業です。
特にベトナムやミャンマー出身のエンジニアが多く、93%が35歳以下と若手層が充実しています。また、登録者はすべて日本語学習経験者のため、コミュニケーション面での不安を軽減できます。
さらに、採用事務の代行や入国手続きのサポートなど、採用プロセス全体を支援するオプションサービスが充実していることが魅力です。
入会金などの初期費用は不要で、採用戦略に応じた3つのプランから選択でき、企業のニーズに柔軟に対応可能です。
- 料金:Sプラン40万円、Mプラン60万円、Lプラン80万円
- URL:https://www.risefor-business.com
FAST OFFER|Asia to Japan

Asia to Japanが運営しているFAST OFFERは、アジアの主要大学50校以上と連携し、若くポテンシャルの高いエンジニアの採用を支援する人材紹介サービスです。
特にインド、中国、インドネシアの大学とのつながりが深く、アジアトップレベルの学生を採用できます。
独自の評価システムによって学生の日本語能力をランク付けし、ネイティブレベルから日常会話レベルまで、企業のニーズに応じた人材を選べます。
また、内定承諾後は在留資格の申請手続きや生活支援までワンストップで対応しているため、外国人エンジニアの受け入れが初めての企業でもスムーズな採用が可能です。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- URL:https://asiatojapan.com/our-services/fastoffer/
G Talent

G Talentは、外国人エンジニア専門の転職エージェントとして、AI・IoTなどの最先端技術を持つ即戦力人材を企業へ紹介しています。
登録者には、日本語が堪能なエンジニアも多く、スキル面だけでなくコミュニケーションの適性も考慮したマッチングが可能です。
また、IT業界に精通したコンサルタントが在籍しており、企業の技術要件と登録者のスキルを的確に照合します。
語学研修や受け入れ態勢の整備に関するサポートも提供しているため、外国人採用に不慣れな企業でも安心して活用できます。
- 料金:成功報酬(詳細のフィーは要問い合わせ)
- 採用ご担当者様へURL:https://www.gtalent.jp/recruiting
NINJA

NINJAは、159か国・5万人以上の外国人エンジニアが登録する求人プラットフォームです。
登録者の79%が日本在住で、77%がビジネスレベル以上の日本語能力を有しており、即戦力として活躍できる人材が多数在籍しています。また、内定辞退率4.2%、早期離職率1.3%と、採用後の定着率が非常に高い点も特長です。
さらに、候補者の会員登録時に在留資格と有効期限の記載を必須としており、企業はスカウト送信前や面談前に就労可能な在留資格の有無を確認できます。
これにより、無駄な面談や採用ミスマッチを減らし、スムーズな採用プロセスを実現できます。
- 料金:
自社採用利用: 20万~40万円/名
人材会社利用: 紹介料の20%/名(最低9万円~)
URL:https://nextinjapan.com/company-landing
4.外国人エンジニアの人材紹介会社を選ぶ15の評価基準

外国人エンジニアの人材紹介会社は数多く存在しますが、その中でも自社に適した人材紹介会社を選ばなければなりません。
以下では、人材紹介会社を選定する際の具体的な評価基準を解説します。
外国人エンジニアの人材紹介会社評価の視点|登録者の質と量
人材紹介会社を選ぶうえで最も重要なのは、登録している人材の「質」と「量」です。自社が求めるスキルや経験を持つエンジニアが十分に登録されているかを確認しましょう。
具体的には、以下のポイントが重要です。

確認すべき内容 | 見極めるポイント |
---|---|
①登録者数と新規流入 | どの程度のエンジニアが登録され、定期的に新しい人材が追加されているかを確認。 |
②スキルレベル | 登録者が習得しているプログラミング言語や技術、日本語能力の水準をチェック。 |
③独自の人材獲得チャネル | 海外大学との提携、現地オフィスの有無、技術コミュニティとの連携、独自のリクルーティングイベントの実施状況など。 |
④人材の所在地分布 | 日本国内・海外のどちらにどれだけの人材がいるか。 |
⑤マッチング精度 | 自社の求める条件と合致する人材を紹介してくれるか。 |
外国人エンジニアの人材紹介会社評価の視点|サポート体制
採用を円滑に進めるには、人材紹介会社のサポート体制も重要です。
特に外国人エンジニアの採用では、採用後の定着も考慮し、以下の項目を確認しましょう。

確認すべき内容 | 見極めるポイント |
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⑥ビザサポート体制 | 就労ビザの取得支援があるか、どの程度サポートしてくれるか。 |
⑦選考プロセスのサポート | 書類選考や面接の調整、技術試験の実施などの支援内容。 |
⑧入社後のフォロー | 外国人エンジニアが職場に適応できるような定着支援があるか。 |
⑨コンサルタントの質 | 業界知識や外国人採用の経験が豊富か。 |
⑩企業文化理解 | 自社の文化や求める人材像を理解したうえでマッチングを行っているか。 |
外国人エンジニアの人材紹介会社評価の視点|コストパフォーマンス
外国人エンジニアの採用には費用がかかるため、人材紹介会社のコストパフォーマンスも重要な判断基準です。
単に料金が安いだけでなく、必要なサービスがそろっているかも確認しましょう。

確認すべき内容 | 見極めるポイント |
---|---|
⑪料金体系の透明性 | 料金の仕組みが明確か、追加費用が発生しないか。 |
⑫成功報酬の条件 | 採用が決定した際に発生する成功報酬の割合や支払条件。 |
⑬保証期間制度 | 採用したエンジニアが早期離職した場合の保証内容。 |
⑭採用効率 | 候補者の紹介までのスピードや、適切な人材をどれだけ迅速に紹介できるか。 |
⑮付帯サービスの充実度 | ビザ申請代行、住居サポート、日本語研修などの追加サービスの有無。 |
5.成功する外国人エンジニア採用のポイント

人材紹介会社のサポートを活用することで、外国人エンジニアの採用をスムーズに進められます。
しかし、採用したエンジニアが長期的に活躍できる環境を整えるには、社内での取り組みも欠かせません。
特に注意すべきは以下のポイントです。
採用前に社内体制を整備しよう
外国人エンジニアを受け入れる前に、社内体制を整えることが成功の鍵です。
まず、言語や文化の違いを考慮し、スムーズにコミュニケーションが取れる環境を構築することが重要です。
例えば、日本語の習得を外国人エンジニアに求めるよりも、社内の共通言語として英語を導入したほうが、業務の効率が向上するケースもあります。
また、異文化理解を促進する研修を実施し、社員が多様な価値観を受け入れやすい企業文化を醸成することも必要です。
加えて、ビザ申請や在留資格の管理に関する専門知識を持つ担当者を配置し、外国人エンジニアの生活支援プログラムを整備することで、入社後のスムーズな定着をサポートすることができるでしょう。
こうした事前準備を行うことで、外国人エンジニアが安心して働ける環境を作り、長期的な活躍につなげられます。
人材紹介会社との効果的な連携方法
人材紹介会社を最大限に活用するには、自社の求める人材要件を明確に伝えることが肝心です。
求めるスキルや経験、必要な言語レベルだけでなく、性格や企業文化との適合性についても具体的に共有することで、ミスマッチを防ぎ、より適した候補者を紹介してもらえます。
また、人材紹介会社とのコミュニケーションを密にし、選考プロセスのフィードバックを適宜行うことも大切です。
面接のスケジュール調整や入国手続き、ビザ取得に関するサポートを依頼することで、自社の事務負担を軽減できます。
採用活動を成功させるために、企業と人材紹介会社が互いの役割を明確にし、継続的に連携を深めることが成功への近道です。
長期的な定着を実現するためのケアサポートを組み入れる
外国人エンジニアの長期定着には、入社後のフォローアップが欠かせません。
まず、日本語研修プログラムの提供や社内メンター制度の導入を検討しましょう。メンターは、業務の指導だけでなく、生活面の相談相手としても機能し、外国人エンジニアが安心して働ける環境を作るのに役立ちます。
また、定期的な面談を実施し、不満や課題を早期に把握することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
さらに、キャリアパスを明確に示し、外国人エンジニアにも公平な人事評価制度と報酬体系を設けることで、モチベーションを維持し、エンゲージメントを高められます。
6.自社にマッチした外国人エンジニアと共に強い組織づくりをしよう

外国人エンジニア採用は、国内のIT人材不足を解消するだけでなく、企業の技術力向上や多様な視点の獲得にも貢献します。
適切な人材紹介会社を選び、社内の受け入れ体制を整えることで、採用から定着までの課題を効果的に解決できます。
グローバル人材の活躍は今後ますます重要となるでしょう。自社に最適な人材紹介会社と連携し、多様性を活かした持続可能な組織づくりを進めていきましょう。