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台湾人の平均月収約28万円!業種別データと採用相場

台湾での事業展開や台湾人材の採用を検討している経営者・人事責任者の皆様にとって、現地の給与水準を正しく把握することは、採用競争力を左右する極めて重要な経営判断事項です。

2024年から2025年にかけて、台湾の労働市場は「歴史的な賃金上昇」と「深刻な人材不足」という二局面に直面しました。

2025年1月からは最低賃金がさらに引き上げられ、特に半導体産業を中心とした好景気が全体の平均値を押し上げています。

しかし、統計上の「平均値」と一般労働者の「実感値」には大きな乖離があり、この構造を理解せずに出したオファーは、優秀な人材の離職や採用失敗を招きかねません。

本記事では、台湾行政院主計総処(DGBAS)の最新統計に基づき、2026年現在の視点から台湾の給与実態、業種別相場、そして経営者が知っておくべき「採用コストの構造」を詳説します。

※本記事の為替レートは、1台湾ドル(以下TWD)=4.65円(2025年1月時点の基準)を採用しています。

この記事を読んでわかること
  • 台湾人の平均月収・年収と「中央値」の違い
  • 業種・職種別の具体的な給与相場
  • 台湾人採用時の給与設計のポイント

1.台湾人の平均月収・年収の最新データ(2024-2025年統計)

台湾人の平均月収・年収の最新データ(2024-2025年統計)

台湾の統計データを読み解く際、最も注意すべきは「平均値」と「中央値」の乖離です。経営者が適切な人件費予算を策定するためには、マクロな数字の裏にある構造を理解する必要があります。

平均給与は月6万TWD(約28万円)を突破

2024年の統計(2025年発表)によると、台湾の工業・サービス業における全被雇用者の平均月給(賞与や残業代を含む総額)は、前年比4%以上の高い伸びを示し、60,984TWD(約28万3,500円)となりました。これは過去最高の水準です。

参考:工業及服務業薪資統計(薪資與生產力統計)

この背景には、AI(人工知能)関連需要に沸く半導体産業が、空前の好業績を背景に大幅な賃上げや高額な賞与支給を行ったことが大きく影響しています。

年収ベースでは約73.1万TWD(約340万円)となりますが、これは後述する「一部の超高収益業種」が平均を強く牽引している結果です。

「平均の罠」と中央値の重要性

経営者が一般事務職やサービス職の採用を行う際、上記の「平均28万円」を基準にすると、実態とのズレが生じます。

より労働者の実態を反映する「経常性給与(賞与を除く月給)」の中央値は37,274TWD(約17万3,000円)です。

統計上、全労働者の約7割が平均給与以下の水準で働いているという事実は、台湾の所得格差の大きさを物語っています。

指標(2024-2025調査)額面(TWD)日本円換算
平均総給与(賞与込)60,984TWD約28万3,000円
経常性給与(基本給)46,450TWD約216,000円
経常性給与の中央値37,274TWD約17万3,000円

参考:行政院主計總處 113年全年受僱員工人數平均為845萬7千人,全年每人每月總薪資平均為60,984元

インフレが相殺する実質賃金

名目賃金は上昇していますが、消費者物価指数(CPI)の上昇も無視できません。

2024年の実質賃金上昇率は0.58%にとどまっており、労働者の間では「給料は上がったが生活は楽にならない」という不満が根強くあります。

採用時には、額面の提示だけでなく、インフレ耐性のある福利厚生や昇給制度をセットで提示することが、人材確保の鍵となります。

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2.最低賃金の推移と「賃金圧縮」の課題

最低賃金の推移と「賃金圧縮」の課題

台湾政府は労働者保護の観点から、毎年のように最低賃金を引き上げています。

これは経営者にとって、単に低賃金労働者のコストが上がるだけでなく、組織全体の給与体系の再設計を迫られる問題です。

2025年1月からの新基準と「賃金圧縮(Wage Compression)」への対応

2024年9月の審議を経て、2025年1月1日より月額最低賃金は28,590TWD(約13万3,000円)へ引き上げられました。

2017年の21,009TWDと比較すると、約8年間で36%もの大幅な上昇です。時給も190TWD(約880円)となり、日本の地方都市の水準に迫りつつあります。

そして最低賃金が急速に上昇することで、新卒初任給や一般職の給与が最低賃金に追いつかれてしまう「賃金圧縮」が起きています。

例えば、月給3万TWDで雇用していた若手社員と、最低賃金で入社する非熟練労働者の差がわずか千数百TWD(数千円)になってしまう現象です。

これは既存社員のモチベーション低下を招くため、経営者は最低賃金の引き上げに合わせ、中堅層以上の給与レンジも段階的にスライドさせる予算管理が求められます。

参考:行政院 政院核定最低工資調升為28,590元 卓揆:感謝最低工資審議委員會 使經濟成果與勞工共享

最低賃金の推移(2017-2025年)

台湾では最低賃金を下回る賃金での雇用契約は法的に認められず、違反した場合は罰金が科されます。

外国人労働者を雇用する場合も同様のルールが適用されるため、採用担当者は最新の最低賃金を常に把握しておく必要があります。

下記の最低賃金の推移は押さえておきましょう。

台湾の月額最低賃金の推移(2017-2025)

2017年の2.1万TWDから2025年には2.8万TWD超へ上昇

3.業種別・職位別の給与格差と採用相場

業種別・職位別の給与格差と採用相場

台湾の労働市場は、業種による「天国と地獄」が鮮明です。自社の属する業界がどの位置にあるかを把握することは、人材流出を防ぐための防波堤となります。

高収入業種:半導体・金融・エネルギー

台湾経済を支える「護国神山(国を守る神の山)」と称される半導体産業を含む電子部品製造業では、平均月給が10万TWD(約47万円)を超えます。金融・保険業も同様に10万TWDの大台にあります。

これらの業界では、年3〜5ヶ月分以上の賞与が一般的であり、優秀なITエンジニアを確保するためには、月給だけでなく「年収パッケージ」での提示が不可欠です。

台湾の業種別平均月収比較

上位業種は全体平均を大きく上回る10万TWD超え

金融・保険業
103,748 TWD 約48万円
電子部品製造業
102,150 TWD 約47万円
電力・ガス供給業
96,669 TWD 約45万円
製造業全体
65,574 TWD 約30.5万円
サービス業全体
59,176 TWD 約27.5万円
高収入業種
全体平均

低迷するサービス業と人手不足

一方、宿泊・飲食業の一般職は月収約28,000台湾ドル(約13万円)と、最低賃金に近い水準にとどまっています。教育業界も同様に低水準であり、業種間の格差が非常に大きいことがわかります。

サービス業全体の平均月収は59,176台湾ドル(約27万5,000円)ですが、これは管理職や専門職を含んだ数値であり、一般スタッフの実態はこれより大幅に低いと考えるべきです。

しかし、深刻な人手不足から、最近では「初任給4万TWD」を掲げる外食チェーンも現れており、サービス業であっても従来の相場観では人が集まらない状況にシフトしています。

職位別の給与格差も顕著

同じ業種内でも、職位によって給与は大きく異なります。台湾労働部の調査によると、製造業における職位別の平均給与は以下の通りです。

職位別の給与格差
職位平均月収(台湾ドル)日本円換算
管理職・監督者79,000〜114,000TWD約37〜53万円
専門職(エンジニア等)63,000TWD約29万円
一般事務・作業員30,000〜35,000TWD約14万円

採用する職種・職位によって適正な給与レンジは大きく異なるため、「台湾人の平均月収」という一括りの数字ではなく、具体的な職種に応じた相場を参考にすることが重要です。

4.採用ターゲット別のコスト比較:日本人現地採用 vs 台湾人採用

採用ターゲット別のコスト比較:日本人現地採用 vs 台湾人採用

日本の経営者が検討すべきは、「誰を、どの立場で雇うか」によるコストと付加価値のバランスです。ここでは、採用ルート別の実務的コストを比較します。

日本人(外国人専門職)を雇用する際の法的要件

台湾で日本人の「ホワイトカラー専門職」を雇用する場合、就業服務法(Employment Service Act)等の規定により、月給は47,971TWD(約22万3,000円)以上でなければなりません。

これは、安易に日本人を安価な労働力として活用することを防ぐための法的制限です。

参考:台湾労働部(跨國勞動力事務中心)

経営上の注意点

台湾人の一般職(中央値3.7万TWD)を雇うよりも、日本人を雇う方が「法律上の最低コスト」が高くなる点に留意が必要です。

日本語人材の確保:台湾人 vs 日本人現地採用

「日本語が話せる人材」を求める場合、以下の2パターンが考えられます。

日本語堪能な台湾人

相場:45,000〜60,000TWD(約21〜28万円)程度。

メリット:現地の商習慣に精通し、日本への適応意欲も高い。

日本人現地採用

相場:55,000〜80,000TWD(約26〜37万円)。

メリット:ネイティブの表現力、日本本社の意図を汲み取るスピード。

台湾人を日本国内で雇用する場合

台湾人を日本の本社で採用し、就労ビザを取得させる場合は、当然ながら「日本人と同等以上の報酬」を支払う義務があります。

2025-2026年現在の円安状況では、台湾のITエンジニアが「日本での給与が台湾より手取りで低くなる」ことを理由に内定を辞退するケースが散見されます。

給与額面だけでなく、社宅制度や渡航費用支援など、実質的な生活コストを抑えるパッケージ提案が有効です。

日本からの駐在員の場合は、これに加えて住宅手当や海外勤務手当が支給されるケースが多く、現地採用とは待遇が大きく異なります。

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台湾人を日本国内で雇用する場合、給与設計だけでなく複雑な事務手続きへの備えも重要です。入社前後に必要な書類をチェックリスト形式で確認し、漏れのないスムーズな受け入れ準備を進めるために本記事をぜひご活用ください。

【2026年最新】外国人採用の必要書類一覧|入社前・入社後の手続きを網羅解説
外国人採用の必要書類一覧|入社前・入社後の手続きを網羅解説
この記事では、外国人採用に必要な書類を時系列で整理し、確実な採用を実現するための完全ガイドをお届けします。
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5.「可処分所得」の比較:台湾雇用が有利な理由

「可処分所得」の比較:台湾雇用が有利な理由

額面の給与だけを見ると日本より低く感じられますが、経営者が訴求すべきは「手取り額(可処分所得)」の多さです。

圧倒的に低い所得税と社会保険負担

日本では給与の20〜25%が税金や社会保険料で天引きされますが、台湾は負担が非常に軽微です。

  • 所得税
    一般的な給与所得者の実効税率は5%程度。
  • 手取り率
    日本が約75〜80%なのに対し、台湾は約90%以上に達します。 経営者がオファーを出す際、「日本では額面が高くても、手取りはこれだけ減る。
    台湾でのこの額面は、実質的に日本の〇〇万円に相当する」という比較表を提示することは、非常に説得力があります。

【台北・高雄・台南】地域格差を考慮した拠点戦略

台北市の家賃は東京23区並みに高騰しており、ワンルームで1.5万〜2万TWD(約7〜9万円)が相場です。対して、高雄市や台南市などの南部であれば、家賃は台北の6〜7割に抑えられます。

  • 経営判断
    リモートワークを活用したり、南部を拠点にすることで、給与水準を維持しつつ労働者の生活満足度(QOL)を高める戦略が可能です。

6.台湾人材採用を成功させる給与設計の3要諦

台湾人材採用を成功させる給与設計の3要諦

台湾人材の採用を検討している企業人事の方に向けて、実務的な給与設計のポイントを解説します。

台湾の賃金上昇トレンドを踏まえたオファーを

台湾では毎年最低賃金が引き上げられており、労働者の給与に対する期待値も年々上昇しています。

台湾の転職市場は非常に流動的で、2〜3年ごとにキャリアアップのために転職するのが一般的であり、市場価値(マーケットレート)から外れた給与設定では、入社直後の離職を招きます。

給与設計の際は、2024-2025年の最新相場を基準にし、競合他社(日系企業・台湾ローカル企業・外資系企業)との比較も行うことが重要です。

特にIT・半導体関連では、半年に一度の給与見直しが必要なほど変化が速いことに注意してください。

「春節奨金(旧正月ボーナス)」の組み込み

台湾のボーナス制度は日本とは異なります。台湾では旧正月(春節)前に支給される「年終奨金(春節ボーナス)」が主流で、2025年の調査では平均支給月数は約1.12ヶ月分となっています。

日本のように夏・冬の2回ボーナスを支給する企業は少数派です。台湾人を採用する際は、この文化的な違いを説明し、年収ベースでの比較ができるよう配慮することが大切です。

また、半導体大手企業では業績連動型のボーナスとして、数ヶ月〜数十ヶ月分が支給される事例もあり、こうした企業との人材獲得競争では給与以外の魅力を訴求する必要があります。

日本で働くことの魅力を給与以外でも訴求

2024年の対日世論調査によると、台湾人の約81%が日本に親しみを感じていると回答しています。

日本文化への関心、キャリアアップの機会、先進的な技術の習得などは、給与以外の重要な訴求ポイントになります。

台湾の労働基準法(日本の労基法に相当)は.遵守が厳格化されています。

残業代の適正な支払いは当然として、それ以上に「昼食補助」「健康診断の充実」「社員旅行(自費負担なし)」といった、台湾特有の「温かみのある福利厚生」が、中小企業が大手と競うための武器となります。

7.よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

台湾人の給与に関してよく寄せられる質問にお答えします。

台湾の新卒初任給はいくらが適正ですか?

2024-2025年の調査では、大卒一般職で約3.5万TWD(約16万円)、理工系専門職で4万〜4.5万TWD(約19〜21万円)が標準的なスタートラインです。

ボーナスは夏と冬に出すべきですか?

台湾では「夏」のボーナス習慣はありません。代わりに、端午節、中秋節に数千元程度の「節句祝金」を出し、旧正月(春節)にまとまったボーナスを出すのが一般的です。

台湾と日本、どちらが「高所得層」になりやすいですか?

主計総処の統計によると、年収110万〜120万TWD(約510万〜560万円)を超えると、台湾では上位10%の富裕層に入ります。
日本で同等の相対的地位を得るには、年収800万〜1,000万円が必要なため、生活の質という点では台湾での雇用は労働者にとって魅力的な選択肢となります。

8.まとめ:数字だけでなく「生活の質」で判断しよう

台湾人の平均月収28万円という数字は、半導体景気に支えられた「表面的な数字」であり、経営者が真に向き合うべきは、中央値17万円層の「上昇志向」と「生活維持コスト」のバランスです。

2026年現在、台湾人材の採用は「給与額」の争いから、「手取り額、居住コスト、そして将来のキャリアパス」を統合したパッケージの争いへと移行しています。

日本の経営者の皆様には、現地の法的規定(就業服務法等)を遵守した上で、税負担の軽さや地域によるコスト差を戦略的に活用し、優秀な人材との長期的な信頼関係を築かれることを推奨いたします。

記事を書いた人
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行政書士法人バタフライエフェクト
行政書士法人バタフライエフェクトは、外国人の就労ビザ取得、相談のエキスパートです。上場企業様から小規模の会社様まで、これまで10,000件以上の案件を支援。就労ビザを踏まえた外国人雇用のコンサルティングも行っており、年間実績1,500件、ビザの専門家が多数在籍しています。
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