スリランカの人口は約2,200万人で、近年は日本で働くスリランカ人が急増しています。
高度人材も流入しており、2024年末時点で在留スリランカ人は6万人を突破し、前年比35%増という驚異的な伸びを見せています。
本記事では、スリランカの人口に関する基本データから、民族構成・宗教・言語といった国の特徴、さらに外国人採用を検討する企業が知っておくべきスリランカ人材の魅力や国民性まで、網羅的に解説します。
- スリランカの人口・民族構成・宗教など基本データ
- 日本におけるスリランカ人在留者数の推移と増加の背景
- スリランカ人材を採用するメリットと知っておくべき国民性
1.スリランカの人口は約2,200万人【最新データ】

スリランカはインドの南東に位置する島国で、「インド洋の真珠」とも呼ばれています。
近年、日本企業の間でスリランカ人材への注目が高まっており、採用を検討する際にはまず基本的な人口データを把握しておくことが重要です。
ここでは、スリランカの最新の人口データと地理的特徴を解説します。
2024年現在のスリランカ総人口と世界ランキング
スリランカの総人口は、2023年時点で約2,204万人です(スリランカ中央銀行発表)。
この数字は世界で約57番目の人口規模に相当し、アジアの中では比較的小規模な国といえます。周辺国との比較は以下の通りです。
南アジア主要国の人口比較
※2024年時点の概算値
南アジア地域の中ではインドやバングラデシュと比べると人口は少ないものの、国土面積に対しては高い人口密度を持っています。
スリランカは世界の総人口の約0.3%を占めており、地球上の約334人に1人がスリランカの居住者という計算になります。
参考:スリランカ民主社会主義共和国(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)基礎データ
人口密度と首都コロンボ周辺への人口集中
スリランカの国土面積は約6万5,610km²で、これは北海道(約8万3,450km²)の約0.8倍に相当します。
人口密度は約336人/km²となり、北海道の人口密度(約66人/km²)と比較すると約5倍の高さです。
特に人口が集中しているのは、商業の中心地であるコロンボとその周辺地域です。
行政上の首都はコロンボ郊外にある「スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ」ですが、実質的な経済活動の中心はコロンボです。
西部州だけでスリランカのGDPの約45%を生み出しており、他の地域(南部州や中部州など)は10%程度にとどまっています。
この都市部への人口集中は、就労機会を求める労働者の流入によるものであり、地方との経済格差が課題となっています。
2.スリランカの人口推移と将来予測

スリランカの人口は長らく増加傾向にありましたが、近年は大きな転換期を迎えています。
出生率の低下と海外への人材流出により、2023年には統計開始以来初めての人口減少を記録しました。
ここでは、スリランカの人口推移の歴史と将来予測について解説します。
過去50年間の人口増加率は緩やかに低下
スリランカの人口は1960年代以降、一貫して増加を続けてきました。しかし、その増加率は年々低下しています。
年代別人口推移とその特徴
※人口は概算値
2012年時点でのデータによると、人口増加率は0.73%、出生率は1,000人あたり17.6人、死亡率は同6.2人でした。
かつては高い出生率を背景に人口が急増していましたが、経済発展に伴う生活水準の向上や女性の社会進出により、出生率は緩やかに低下してきました。
2023年に初の人口減少を記録した背景と高齢化の進行
2023年、スリランカは1960年以降で初めての人口減少を記録しました。
年央推計人口は前年の2,218万1,000人から14万4,000人減少し、2,203万7,000人となりました。この人口減少の最大の要因は、海外への大規模な人材流出です。
年別 純移動と人口変化
※各年の純移動数と人口の増減数
2022年春に発生した経済危機以降、海外との賃金格差が拡大し、多くのスリランカ人が英国、オーストラリア、韓国、日本などへ出稼ぎに向かいました。
2023年の純移動は22万人以上の転出超過となり、これが人口減少の主因となっています。さらに、スリランカでは高齢化も進行しています。
- 合計特殊出生率:2.1人(女性1人あたり)
- 平均年齢:33.3歳
- 2030年予測:5人に1人が60歳以上
国連人口基金(UNFPA)の予測によると、スリランカでは2030年までに人口の20%が60歳以上になるとされています。
出生率の低下と平均寿命の伸びにより、日本と同様の高齢化社会への移行が進んでいます。
参考:UNFPA Sri Lanka – Ageing Without Limits Report
これはスリランカが「豊かになる前に老いる」という難しい局面にあり、生産年齢人口がピークを迎えつつあることを意味します。
豊富な若年労働力の恩恵を受けられる期間は限られているため、日本企業にとっては今が採用のラストチャンスとも言える重要な時期に来ています。
3.スリランカの民族構成と宗教・言語

スリランカは小さな島国でありながら、複数の民族と宗教が共存する多様性に富んだ国です。
採用を検討する際には、こうした文化的背景を理解しておくことが、スリランカ人材との良好な関係構築に役立ちます。
シンハラ人約75%・仏教徒7割の多民族国家
スリランカの民族構成と宗教構成は以下の通りです。
スリランカの民族・宗教構成
※一部地域を除く概算値
民族構成
Population
宗教構成
Believers
最大多数を占めるのはシンハラ人で、その大半が上座部仏教を信仰しています。
国民の約70%が仏教徒であり、スリランカは南アジアにおける代表的な仏教国です。宗教構成は以下の通りです。
スリランカでは毎月「ポヤデー」と呼ばれる満月の日が祝日となっており、仏教徒は寺院を参拝します。この日は全国的に酒類の販売が禁止されるなど、仏教が社会生活に深く根付いています。
日本と同じ仏教国であることから、スリランカ人は日本に対して文化的な親和性を感じやすいとされています。
公用語はシンハラ語とタミル語、英語も広く通用
スリランカの言語状況は以下の通りです。
スリランカの言語事情
※公用語・連結語と主な使用地域
シンハラ語
公用語主に南部・西部・中部で使用されています。人口の多数派を占めるシンハラ人の母語です。
タミル語
公用語主に北部・東部で使用されています。タミル人やムーア人の間で広く話されています。
英語
連結語異なる民族間のコミュニケーションツール(連結語)として機能。政府機関・ビジネス・都市部で広く通用します。
シンハラ人の多くはシンハラ語を、タミル人の多くはタミル語を母語としています。一方、英国植民地時代の影響により、英語も政府機関やビジネスの場で広く使用されています。
特に都市部や教育を受けた層では英語が流暢に話せる人材が多く、日系企業での就業においても英語でのコミュニケーションが可能なケースが少なくありません。
これは、スリランカ人材を採用する際の大きなメリットの一つです。
4.日本におけるスリランカ人在留者数の推移

外国人採用を検討する企業にとって、日本国内にどれだけのスリランカ人が在留しているかは重要な情報です。
近年、在留スリランカ人は急増しており、日本での就労に対する関心の高さがうかがえます。
在留スリランカ人は6万人を突破し急増中
出入国在留管理庁の発表によると、2024年末時点の在留スリランカ人は63,472人に達しました。前年の46,949人から約35%増加しており、急速な伸びを示しています。
| 年 | 在留スリランカ人数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2022年 | 37,251人 | - |
| 2023年12月 | 46,949人 | +約14% |
| 2024年末 | 63,472人 | +約35% |
在留外国人の国別ランキングでは、スリランカは14位に位置しています。
中国(約82万人)やベトナム(約57万人)と比べると規模は小さいものの、増加率では上位の伸びを見せています。
スリランカの人口は約2,200万人と比較的少ないにもかかわらず、これだけの在留者数がいることは、日本への就労意欲の高さを示しています。
参考:出入国在留管理庁 令和6年末現在における在留外国人数について
特定技能・技術人文知識での来日が増加
在留スリランカ人の在留資格別の内訳を見ると、就労を目的とした資格での来日が増えていることがわかります。
| 在留資格 | 人数・順位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 9,000人以上(国別6位) | ITエンジニア、通訳など |
| 特定技能 | 上位10カ国・地域 | 2021年~2023年で400%増 |
| 技能実習 | 上位10カ国・地域 | 製造業、建設業など |
| 経営・管理 | 国別4位 | 中古自動車貿易など |
特に注目すべきは特定技能での在留者の急増です。2021年から2023年の間に400%という驚異的な増加率を記録しています。
これは、スリランカ政府が日本への労働市場開拓を積極的に後押ししていることも背景にあります。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、インドやフィリピンを上回って国別6位となっており、高度人材としての評価も高まっています。
参考:出入国在留管理庁 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
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日本語学習者数が急増している理由
日本での就労への関心の高まりは、日本語学習熱にも表れています。
2022年12月の日本語能力試験(JLPT)には、スリランカから1万7,000人以上が応募しました。海外からの応募者数としては、ミャンマー、韓国、台湾、ベトナム、中国に次いで6番目の規模です。
スリランカでは2022年8月から義務教育に日本語が追加されており、中学・高校でも選択外国語として日本語が人気を集めています。
スリランカ政府は日本での就職を前提としたカリキュラムを閣議決定しており、就職先が決まれば日本語学習費用を払い戻す制度も設けています。
このような国を挙げての取り組みにより、日本語を習得したスリランカ人材が今後さらに増加することが予想されます。
参考:日本語能力試験 2022(令和4) 第2回(12月)データ
高学歴なのに就業率30%台?スリランカ女性は「未活用の優秀層」
スリランカの女性人材は、日本企業にとって「未開拓のブルーオーシャン」です。彼女たちは大学進学率が男性と同等以上と極めて優秀ですが、労働参加率は30%台にとどまっています(男性は70%台) 。
なぜなら、国内には彼女たちの高いスキルに見合うホワイトカラー職が不足しており、多くの高学歴女性が活躍の場を持てずにいるからです。
大卒レベルの教養と学習意欲を持ちながら、母国では機会に恵まれない彼女たちは、治安の良い日本での就労に高い関心を持っています。
IT、介護、接客など幅広い分野で即戦力となるこの「優秀な潜在層」は、人材不足に悩む企業の強力な切り札となるでしょう 。
5.スリランカ人が日本で働く理由と採用のメリット

スリランカ人が日本での就労を希望する背景には、経済的な要因と文化的な要因があります。
これらを理解することで、採用活動においてスリランカ人材の魅力をより深く把握できます。
経済危機と賃金格差が海外就労を後押し
スリランカ人が日本で働くことを希望する最大の理由は、経済的な要因です。2022年春、スリランカは未曽有の経済危機に直面しました。

スリランカの経済危機の要因
- 外貨不足
輸入品の調達困難 - 燃料不足
ガソリンスタンドに長蛇の列 - 停電
全土で長時間の計画停電 - 物価高騰
生活必需品の価格急騰
この経済危機により、多くのスリランカ人が生活の安定を求めて海外就労を選択するようになりました。さらに、日本との賃金格差も大きな要因です。
ジェトロの調査によると、スリランカの平均月給は約123ドル(日本円で約1万8,000円)です。日本の平均月収(約38万円)と比較すると、約20倍以上の差があります。
この賃金格差が、日本での就労を希望する大きな動機となっています。
参考:JETRO スリランカ
親日国スリランカと日本の歴史的な友好関係
スリランカは世界有数の親日国として知られています。その背景には、歴史的な友好関係があります。
1951年のサンフランシスコ講和会議において、当時のセイロン(現スリランカ)代表は日本の国際社会復帰を強く支持しました。
戦勝国による日本分断統治の流れが強まる中、仏教の教え「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」を引用し、対日賠償請求権を放棄したのです。
この歴史的エピソードは、多くのスリランカ人が誇りとしており、日本との友好関係の象徴として語り継がれています。
また、スリランカ国内では日本製品への信頼が非常に高く、街を走る自動車の多くが日本車です。
同じ島国として経済発展を果たした日本に対して、憧れを抱くスリランカ人も少なくありません。
高い教育水準と識字率が魅力のスリランカ人材
スリランカ人材の大きな魅力の一つが、高い教育水準です。

スリランカでは小学校から大学まで無償の教育制度が整備されており、識字率は92%を超えています。これは南アジア地域ではトップクラスの水準です(参考:インドの識字率は約74%)。
一方で、大学進学率は約2%と低い数値にとどまっています。
これは大学施設が少なく競争率が非常に高いためで、結果として大学入試に向けて猛勉強する学生が多く、学力の高い人材が多いとされています。
さらに、英国植民地時代の名残で英語教育が充実しており、都市部の教育を受けた層では英語でのコミュニケーションが可能です。
日系企業でも「他の東南アジア諸国の人材と比べて優秀」という評価を受けているケースがあります。
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6.スリランカ人を採用する際に知っておきたい国民性

スリランカ人材を採用する際には、その国民性や文化的特徴を理解しておくことが、円滑な雇用関係の構築に役立ちます。
ここでは、実務的な観点から知っておきたいポイントを解説します。
穏やかで真面目な性格が日本企業に好評
スリランカ人の国民性として最も特徴的なのは、穏やかで真面目な性格です。
仏教の教えが社会に根付いているスリランカでは、人々は概して穏やかで争いを好まない傾向があります。
初対面でも親しく話しかけてくるフレンドリーな面もあり、職場での人間関係においてもトラブルが少ないとされています。
日系企業からは「仕事に行きたくないと感じたことは一度もなかった」というスリランカ人従業員の声や、「上司が優しかったので仕事を覚えることができた」という感謝の言葉が報告されています。
また、日本に対しては肯定的なイメージを持つ人が多く、「日本で働きたい」という強い意欲を持って来日する人材が多いことも特徴です。
日本語習得のしやすさと時間感覚の違い
スリランカ人材の採用において知っておきたいのが、日本語習得のしやすさです。シンハラ語と日本語は、文法構造に共通点があります。
| 言語 | 語順 | 例文 |
|---|---|---|
| 日本語 | SOV型 | 私は(S)りんごを(O)食べる(V) |
| シンハラ語 | SOV型 | 同様の語順 |
| 英語 | SVO型 | I(S)eat(V)an apple(O) |
日本語とシンハラ語は同じSOV型(主語-目的語-動詞)の語順を持っているため、スリランカ人にとって日本語の文法は馴染みやすいとされています。
このため、日本語の習得スピードが他国の人材と比べて早い傾向があります。
一方で、時間感覚の違いには注意が必要です。スリランカではスリランカには比較的ゆったりとした時間感覚を持つ文化があり、個人差はありますが待ち合わせに30分~1時間程度遅れることも珍しくありません。
日本企業で働く際には、この点についてしっかりと教育・指導することが重要です。
入社時のオリエンテーションで、日本企業における時間厳守の重要性を明確に伝えることで、多くの場合は適応してもらえます。文化の違いを理解した上で、丁寧にルールを説明することが定着率の向上につながります。
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7.スリランカ人口の特徴と外国人採用への活用
スリランカは人口約2,200万人の島国で、仏教徒が7割を占める親日国です。
2022年の経済危機以降、日本での就労を希望するスリランカ人が急増しており、在留者数は6万人を突破しました。高い識字率と教育水準、穏やかで真面目な国民性は、日本企業からも高く評価されています。
人材不足に悩む企業にとって、スリランカ人材は今後ますます注目すべき選択肢といえるでしょう。