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製造業の人手不足は外国人材活用で解決できる!採用方法と成功事例を徹底解説

製造業の人手不足が限界に達しています。有効求人倍率1.74倍、技能人材では7倍超という深刻な状況の中、従来の採用方法では解決できません。

いま注目されているのが外国人材の活用です。すでに製造業の26%が外国人労働者で支えられており、特定技能制度の拡充により即戦力人材の採用も可能になりました。

本記事では、外国人材が最適な理由から具体的な採用方法、成功事例、よくある懸念の解決策まで徹底解説します。

この記事を読んでわかること
  • 製造業で外国人材活用が最適な解決策である5つの理由と活用できる在留資格
  • 採用から就労開始までの具体的な5ステップと必要な費用の目安
  • 言葉の壁や文化の違いなど、よくある懸念を解決する実践的な方法

1.製造業の人手不足が限界に達している

1.製造業の人手不足が限界に達している

有効求人倍率は1.74倍、特に技能人材は7倍超の職種も

製造業の人手不足は、客観的なデータからも明らかです。

厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」によると、2023年12月時点での製造業の有効求人倍率は1.74倍に達しています。

これは全産業平均の1.27倍を大きく上回る数値であり、製造業がいかに深刻な人材難に直面しているかを物語っています。

参考元:厚生労働省「一般職業紹介状況」

さらに注目すべきは、技能人材における求人倍率の高さです。法務省の資料によれば、製造業関連職種における有効求人倍率は以下のようになっています。

製造業関連職種有効求人倍率
計量計測機器組立工7.33倍
鋳物製造工6.83倍
金属熱処理工6.03倍
鍛造工5.89倍
鉄工・製缶工5.72倍
プラスチック製品製造工5.21倍

これらの数字が意味するのは、求職者1人に対して5〜7社以上の求人が存在する、極端な売り手市場です。企業側から見れば、採用したくても人材が集まらない状況が続いているということになります。

特に技能人材の不足は、製造現場の根幹を揺るがす問題です

NC旋盤やフライス盤を操作できる熟練工、精密な溶接技術を持つ職人、品質管理の知識と経験を持つベテランといった、製造業の生産を支える技能人材が圧倒的に不足しています。

94%の企業が人材確保に課題、32%はビジネスに影響

経済産業省が実施した調査では、製造業の94%以上の企業が人材確保に課題を感じているという結果が出ています。

これは、ほぼすべての製造企業が人手不足という共通の問題に直面していることを示しています。

さらに深刻なのは、そのうち32%の企業が「ビジネスに影響が出ている」と回答している点です。具体的には以下のような影響が報告されています。

ビジネスにどのような影響がでているのか?

受注機会の損失
⇒新規の受注依頼があっても、人手が足りないために断らざるを得ないケースが増えています。これは直接的な売上減少につながり、取引先との関係にも影響を及ぼします。

納期遅延の発生
⇒ 限られた人員で生産を回しているため、予定通りの納期を守れないケースが発生しています。納期遅延は顧客満足度を低下させ、長期的な取引関係に悪影響を与えます。

品質問題のリスク増大
⇒ 少ない人員で無理をして生産を続けることで、ミスや不良品の発生率が上昇しています。人手不足による疲労やストレスが、品質管理の甘さにつながっているのです。

既存社員の過重労働
⇒ 人手不足のしわ寄せは、既存の社員に向かいます。長時間労働や休日出勤が常態化し、従業員の心身の健康を損なうケースも少なくありません。これが離職を招き、さらなる人手不足という悪循環に陥ります。

特に確保が困難とされているのが「技能人材」です。複数回答で83.3%、最重視項目として59.1%の企業が技能人材の不足を挙げており、製造現場を支える熟練工の確保が最大の課題となっています。

業種別に見ると、特に輸送機械、鉄鋼業、非鉄金属、金属製品で人手不足が深刻化しており、中小企業ほど技能人材確保に苦労している実態が浮き彫りになっています。

従来の採用方法では人手不足は解決できない

これまで製造業が行ってきた従来の採用方法では、もはや人手不足を解決できない構造的な問題が存在しています。

少子高齢化による労働人口の減少

根本的な原因は、日本の人口構造の変化にあります。生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少を続けており、製造業の就業者数も過去20年間で157万人減少しました。

特に34歳以下の若年就業者は121万人も減少しており、若者の製造業離れが顕著です

3Kイメージの根強い定着

製造業に対する「きつい」「汚い」「危険」という3Kイメージが、特に若年層の間で根強く残っています。

実際には労働環境を改善し、クリーンで安全な職場を実現している企業も多いものの、イメージが先行して求職者が集まらない状況が続いています。

製造業の3Kイメージの課題

原材料・エネルギーコストの高騰による採用予算の圧迫

2022年以降、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響により、原材料費とエネルギーコストが大幅に上昇しました。製造業は原材料とエネルギーがコストの大部分を占めるため、この影響は極めて深刻です。

厚生労働省のデータによると、2023年3月以降、製造業の新規求人数は前年比でマイナスが続いており、12月には-10.5%にまで落ち込んでいます。

つまり、「人材が欲しいが採用予算がない」「求人を出しても応募がない」「給与を上げたいがコストが許さない」という三重苦に、製造業界全体が陥っているのです。

地方の過疎化と人材の都市集中

製造業の多くは、土地代や人件費が比較的安い地方に生産拠点を置いています。

しかし、若年層は進学や就職を機に東京や大阪などの大都市圏に流出し、地方では深刻な人口減少が進んでいます。

地方の製造企業は、そもそも採用のターゲットとなる若年層の絶対数が少ないという根本的な問題に直面しています。

求人を出しても、応募者がゼロというケースも珍しくありません。

地方の人口流出と製造業の採用難

製造業の多くは、土地代や人件費が比較的安い地方に生産拠点を置いています。しかし、若年層は進学や就職を機に東京や大阪などの大都市圏に流出し、地方では深刻な人口減少が進んでいます。

大都市圏の若年層増加

85%

地方の若年層減少

80%

地方製造業への応募状況

10%

地方の製造企業は、そもそも採用のターゲットとなる若年層の絶対数が少ないという根本的な問題に直面しています。求人を出しても、応募者がゼロというケースも珍しくありません。

これらの構造的な問題を解決するための新しいアプローチ

このような状況を打破するためには、従来とは異なる新しい人材確保の方法が必要不可欠です。その有力な解決策こそが、外国人材の戦略的な活用なのです。

日本国内の労働市場だけに頼るのではなく、グローバルな視点で人材を確保する。これが、製造業の人手不足を解決する現実的で効果的な方法となっています。

2.製造業の人手不足解決に外国人材が最適な5つの理由

2.製造業の人手不足解決に外国人材が最適な5つの理由

従来の採用方法では解決が困難な製造業の人手不足。この課題に対して、なぜ外国人材の活用が最適な解決策なのか、5つの理由を具体的に解説します。

すでに製造業の26%が外国人労働者で支えられている

外国人材の活用は、もはや一部の先進企業だけの取り組みではありません。

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出によると、2024年10月末時点で製造業に従事する外国人労働者は59万8,314人に達し、全体の26.0%を占めています

これは全業種の中で最も高い割合であり、製造業がすでに外国人労働者なしには成り立たない状況にあることを示しています。

参考元:厚生労働省の「外国人雇用状況

この数字が意味するのは、製造業で働く4人に1人以上が外国人労働者という現実です。つまり、外国人材の活用は特別なことではなく、製造業における標準的な人材戦略となっているのです。

業種別で見ても、製造業は外国人労働者を最も多く雇用している業種であり、建設業や卸売・小売業を大きく上回っています。

これは、製造業が外国人材を効果的に活用できる業種であることの証明でもあります。

製造現場での外国人材の活躍

実際、多くの製造現場では以下のような形で外国人材が活躍しています。

製造現場のこんな場所で活躍する外国人材

  • 生産ライン作業: 組立、加工、検査などの主要業務を担当
  • 機械オペレーション: NC旋盤、プレス機などの専門機械を操作
  • 品質管理: 製品の品質チェックや改善活動に参加
  • 技術職: エンジニアリングや研究開発部門で専門知識を活かす
  • 保守・メンテナンス: 設備の保全や修理業務を担当

国内の労働力だけでは到底賄えない人手不足を、外国人材が補っているというのが製造業の現実です。

「外国人材を活用すべきか」という段階はすでに過ぎ去り、「どのように効果的に活用するか」を考えるフェーズに、製造業界全体が移行しているといえるでしょう。

今後さらに増加する見込み

少子高齢化が進む日本において、外国人労働者の割合は今後さらに増加すると予測されています。

特に2024年の特定技能制度の拡充により、製造業が「工業製品製造業分野」として10業務区分に統合されたことで、より多くの外国人材を受け入れやすい環境が整いました。

外国人材の活用は、もはや製造業の生き残りに不可欠な戦略となっているのです。

即戦力として期待できる人材を採用できる

外国人材採用の大きなメリットの一つが、即戦力として活躍できる人材を確保できる点です。特に2019年に創設された「特定技能」制度により、この傾向は顕著になっています。

特定技能外国人の即戦力性

特定技能の外国人材は、以下の2つの試験に合格しています。

合格してる試験

  1. 技能試験: 実際の業務を遂行できる技能レベルを証明
  2. 日本語能力試験: 日本語能力試験N4以上(基本的な会話ができるレベル)

つまり、採用の時点で既に基本的なコミュニケーション能力と専門技能を備えているため、入社後すぐに現場で戦力として活躍してもらうことが可能です。

従来の日本人採用との比較

従来の日本人採用では、特に若手の場合、以下のようなプロセスが必要でした。

  • 未経験者を一から育成(3〜6か月以上)
  • OJTによる技能習得(1〜2年)
  • 一人前になるまでの期間(3〜5年)

しかし、特定技能外国人であれば、このプロセスを大幅に短縮できます。

基礎的な技能は既に習得しているため、自社の設備や手順に慣れる期間(1〜2か月)を経れば、すぐに戦力として活躍してもらえます。

工業製品製造業分野の10業務区分

製造業の多様な専門技術

機械金属加工

旋盤、フライス盤、マシニングセンタなどの操作

電気電子機器組立て

電子機器、産業用機械の組立作業

金属表面処理

めっき、塗装、熱処理などの専門技術

紙器・段ボール箱製造

製函機械の操作

コンクリート製品製造

型枠組立、脱型作業

RPF製造

固形燃料の製造

陶磁器製品製造

成形、施釉、焼成作業

印刷・製本

印刷機械の操作、製本作業

紡織製品製造

織機、編機の操作

縫製

工業用ミシンでの縫製作業

2024年の制度改正により、製造業は「工業製品製造業分野」として以下の10の業務区分に再編され、それぞれの分野で専門技能を持つ人材の受け入れが可能になりました。

これらの業務について、既に技能を持った人材を採用できることは、慢性的な人手不足に悩む製造企業にとって極めて大きなメリットといえます。

技能実習から特定技能への移行による長期雇用

さらに、技能実習から特定技能への移行により、すでに自社で3〜5年の経験を積んだ外国人材を、さらに長期的に雇用し続けることもできます。

技能実習生として受け入れ、自社の設備や手順に精通した人材を、特定技能に移行させることで、以下のメリットが得られます。

技能実習から特定技能への移行で得られるメリット

  • 採用コストがほぼ不要(既に自社にいる人材)
  • 即戦力どころか、既にベテラン
  • 後輩の指導も任せられる
  • 技術継承の担い手として期待できる

学習意欲の高さが生産性向上に直結

学習意欲が高いということは、以下のようなメリットにつながります。

優秀な人材が持つ4つの特徴

1

技能の習得が早い

教えたことをすぐに吸収し、実践できる

2

自主的な改善提案

より良い方法を考え、提案してくれる

3

資格取得に積極的

技能検定などの資格取得に意欲的

4

後輩の指導

学んだことを後輩に教えることができる

ある企業では、ベトナム人の特定技能外国人が、入社2年目で技能検定2級に合格し、その後リーダーとして後輩の指導を任されるまでになったという事例もあります。

日本人の若年層との比較

日本人の若年層で製造業を志望する人材が減少している中、外国人材の高いモチベーションは、製造現場に新たな活力をもたらす貴重な要素となっています。

「最近の日本人の若手は、言われたことしかやらない傾向があるが、外国人材は積極的に質問し、自分から学ぼうとする姿勢が見られる」という声も、多くの製造現場から聞かれます。

技術継承の担い手として

日本の製造技術を学びたいという強い動機を持つ外国人材は、ベテラン社員から技術を学び、それを次世代に伝承する役割も担えます。

技能実習生として3年間学び、その後特定技能に移行し、さらに後輩の技能実習生を指導するというサイクルが確立できれば、技術継承の問題も同時に解決できます。

学習意欲が高く、成長志向の強い人材を採用できることは、企業の技術力向上やイノベーション創出にもつながります。外国人材の高いモチベーションは、製造業の未来を支える大きな力となるのです。

組織の多様性向上とイノベーション創出につながる

外国人材の採用は、単なる人手の補充にとどまらず、組織に多様性(ダイバーシティ)をもたらし、イノベーションを促進する効果があります。

多様な視点がもたらす業務改善

異なる文化背景を持つ外国人労働者が加わることで、これまでとは異なる視点や発想が組織に持ち込まれます。

日本人だけでは気づかなかった業務改善のアイデアや、従来の常識にとらわれない新しいアプローチが生まれることが期待できます。

業務プロセスの標準化と可視化

外国人材に作業を指導する過程で、これまで暗黙知として伝承されてきた技術や手順が明文化されます。「見て覚える」では伝わらないため、以下のような取り組みが必要になります。

  • 作業手順書の作成
  • 写真やイラストを使った視覚的なマニュアル
  • 動画による作業説明
  • チェックリストの整備

これらの取り組みは、外国人材のためだけでなく、日本人の新入社員にとっても理解しやすい職場環境の整備につながります。結果として、作業の標準化や品質の安定化が実現するのです。

コミュニケーションの活性化

言語の壁を乗り越えるために、以下のような工夫が生まれます。

  • 「やさしい日本語」の使用(短い文、簡単な言葉)
  • ジェスチャーや実演を交えた説明
  • 翻訳アプリの活用
  • 多言語対応の掲示物

これらの工夫は、日本人同士のコミュニケーションも改善します。曖昧な指示ではなく、明確で具体的なコミュニケーションが求められるようになるため、日本人社員の指示スキルも向上するのです。

グローバル人材の育成

外国人材との協働を通じて、日本人従業員のコミュニケーション能力や異文化理解が深まります。これは、企業のグローバル化に対応できる人材育成にも寄与します。

特に海外展開を考えている企業にとって、社内に外国人材がいることで、以下のようなメリットが得られます。

グローバル展開がもたらす4つのメリット

海外市場のニーズを理解できる

海外拠点との架け橋となる人材が育つ

国際的な視点での商品開発が可能になる

海外取引先とのコミュニケーションが円滑になる

従業員のモチベーション向上

多様な価値観が共存する職場環境は、刺激的で活気のある雰囲気を生み出します。

異なる文化や考え方に触れることで、日本人従業員も新たな気づきを得られ、仕事へのモチベーション向上につながるケースが多く見られます。

イノベーション創出の事例

実際に、外国人材のアイデアから新製品や新サービスが生まれた事例も報告されています。

ある食品製造企業では、ベトナム人従業員の提案により、ベトナム向けの商品開発がスタートし、アジア市場での売上拡大につながりました。

また、別の機械製造企業では、インド人エンジニアの提案により、製造プロセスの自動化が進み、生産性が30%向上したという事例もあります。

長期的な雇用と技術継承が実現できる

外国人材活用のもう一つの大きなメリットは、長期的な雇用関係を築き、技術継承を確実に行える点です。

特定技能2号による実質無期限雇用

特定技能制度では、以下のようなキャリアパスが可能です。

  • 特定技能1号: 最長5年間の雇用
  • 特定技能2号: 在留期間の更新回数に制限なし(実質的に無期限)

特定技能2号に移行すれば、配偶者と子の帯同も認められるため、家族と一緒に日本で長く働き続けることができます。これにより、日本に定住して長期雇用を希望する外国人材が増えています。

技能継承の成功パターン

製造業が長年抱えてきた「技能継承」の問題を、外国人材の活用で解決できます。

以下のような段階的なキャリアパスを設計することで、確実な技術継承が可能になります。

ステップ1: 技能実習(1〜5年)

  • 基礎的な技能を習得
  • 日本語能力を向上
  • 日本の職場文化に適応

ステップ2: 特定技能1号(最長5年)

  • より高度な技能を身につける
  • 複数の工程を担当できるようになる
  • 後輩の指導補助を始める

ステップ3: 特定技能2号(無期限)

  • 熟練工として現場の中心的存在に
  • 後輩の技能実習生や特定技能1号の指導役
  • ベテラン日本人社員から受け継いだ技術を次世代に伝承

このサイクルを確立できれば、ベテラン社員の大量退職による技術の断絶を防ぐことができます。

実際の技能継承事例

ある金属加工企業では、以下のような技能継承に成功しています。

◆技能継承に成功に成功した例◆

  1. ベテラン社員(65歳)がベトナム人技能実習生(25歳)に
    3年間かけて技能を伝承
  2. 技能実習修了後、そのベトナム人が特定技能1号に移行
  3. 特定技能1号として2年間、さらに技能を磨く
  4. 現在は特定技能2号に移行し、
    新しく入ってきた技能実習生の指導役として活躍
  5. ベテラン社員が退職した後も、その技術は外国人材を通じて継承されている

身分系在留資格による超長期雇用

永住者、日本人の配偶者等、定住者といった身分系の在留資格を持つ外国人であれば、就労制限がないため、日本人と全く同じ条件で無期限の長期雇用が可能です

これらの人材は日本での生活基盤が安定しており、腰を据えて働き続けることが期待できます。

定着率の高さ

外国人材、特に特定技能や身分系在留資格を持つ人材は、日本人と比べて定着率が高い傾向にあります

  • 日本人の製造業3年以内離職率: 約30〜40%
  • 特定技能外国人の離職率: 約10〜20%

外国人材は、日本で働くために多くの準備をし、来日しています。母国の家族を支えるためにも、簡単には辞めません。

また、転職先を見つけるのも日本人より難しいため、現在の職場で長く働こうという意識が強いのです。

3.製造業で活用できる外国人材の在留資格と特徴

3.製造業で活用できる外国人材の在留資格と特徴

外国人材を採用する際に最も重要なのが、業務内容に適した在留資格を持つ人材を選ぶことです

在留資格によって従事できる業務が異なり、誤った運用をすると不法就労助長罪に問われるリスクがあります。ここでは、製造業で活用できる主な在留資格とその特徴を詳しく解説します。

特定技能(工業製品製造業分野):即戦力の確保に最適

特定技能は、2019年に創設された比較的新しい在留資格で、人手不足が深刻な業種において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れることを目的としています。

製造業では2024年の制度改正により「工業製品製造業分野」として統合され、より使いやすい制度となりました。

工業製品製造業分野の10業務区分

以下の10の業務区分で外国人材の受け入れが可能です。

業務区分特定技能1号特定技能2号主な業務内容
機械金属加工旋盤、フライス盤、マシニングセンタ、溶接、板金など
電気電子機器組立て電子機器、産業用機械、計測機器の組立
金属表面処理めっき、塗装、熱処理、研磨など
紙器・段ボール箱製造製函機械の操作、貼合作業
コンクリート製品製造型枠組立、脱型、養生作業
RPF製造固形燃料の製造
陶磁器製品製造成形、施釉、焼成作業
印刷・製本印刷機械の操作、製本作業
紡織製品製造織機、編機の操作
縫製工業用ミシンでの縫製作業

特定技能1号の特徴

特定技能1号とは?
  • 在留期間: 1年、6か月、4か月ごとに更新(最長5年)
  • 技能水準: 技能試験に合格した即戦力人材(相当程度の知識または経験が必要な技能)
  • 日本語能力: 日本語能力試験N4以上または日本語基礎テストA2レベル以上
  • 家族帯同: 原則認められない
  • 転職: 同一業務区分内であれば可能
  • 受け入れ人数: 業務区分ごとに上限あり

特定技能2号の特徴

特定技能2号とは?
  • 在留期間: 3年、1年、6か月ごとに更新(更新回数に制限なし
  • 技能水準: より高度な技能を有する熟練労働者
  • 家族帯同: 配偶者と子の帯同が可能
  • 転職: 同一業務区分内であれば可能
  • 将来的な永住権取得: 要件を満たせば可能

特定技能のメリット

  1. 即戦力: 技能試験と日本語試験に合格しているため入社後すぐに活躍できる
  2. 長期雇用: 特定技能2号に移行すれば実質的に無期限雇用が可能
  3. 技能実習からの移行: 技能実習修了者を引き続き雇用できる
  4. 転職可能: 同一業務区分内であれば転職可能なため、外国人材にとって魅力的

特定技能の注意点

  • 登録支援機関による支援または自社での支援体制が必要
  • 業務区分外の作業はできない(事前に業務内容の確認が重要)
  • 受け入れ人数に上限がある業務区分もある

特定技能は、製造業の人手不足を解決する上で最も有効な在留資格といえます。

技能実習制度:計画的な人材育成が可能

技能実習制度は、開発途上国の人材が日本の技術や知識を習得し、母国の経済発展に貢献することを目的とした国際協力制度です。

製造業では最も多く活用されてきた制度であり、鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、溶接、塗装、金属プレス加工など、非常に幅広い職種で受け入れが可能です。

技能実習の段階構成

技能実習は3つの段階に分かれており、各段階で技能評価試験への合格が求められます。

段階在留期間内容技能レベル
技能実習1号最長1年基礎的な技能の習得入門レベル
技能実習2号最長2年技能の習熟初級〜中級レベル
技能実習3号最長2年さらに高度な技能習得中級〜上級レベル

合計で最長5年間の実習が可能です

技能実習のメリット

1. 計画的な人材育成
⇒ 3〜5年かけてじっくりと技能を習得させることができます。自社の設備や手順に完全に精通した人材を育成できるため、将来的な戦力として大きく期待できます。

2. 優秀な若手人材
⇒ 技能実習生の多くは20代前半の若い人材で、学習意欲が高く、体力もあります。長時間立ち仕事や交代勤務にも対応できる人材が多いのが特徴です。

3. 監理団体のサポート
⇒ 監理団体を通じて受け入れるため、手続きや日常生活のサポートを監理団体が担ってくれます。企業単独での受け入れに比べて、負担が軽減されます。

4. 特定技能への移行
⇒ 技能実習修了後、特定技能1号に移行することで、さらに5年間(特定技能2号に移行すれば無期限)の雇用が可能です。これにより、最長10年以上の長期雇用が実現できます。

技能実習の注意点

1. 職種・作業の制限
⇒ 技能実習で従事できる作業は細かく規定されており範囲外の業務はできません。

2. 転職の制限
⇒原則として転職はできません(やむを得ない事情がある場合を除く)。

3. 監理費用
⇒監理団体への監理費(月3〜5万円程度)が継続的に発生します。

4. 制度変更
⇒技能実習制度は2027年度以降、段階的に「育成就労制度」に移行される予定です。新制度では、転籍制限の緩和や特定技能への円滑な移行が重視される見込みです。

技能実習生の主な送り出し国

出身国別 構成比

🇻🇳 ベトナム (最も多い) 100%
🇨🇳 中国 85%
🇵🇭 フィリピン 70%
🇮🇩 インドネシア 60%
🇹🇭 タイ 50%
🇲🇲 ミャンマー 45%

技能実習は、若手人材をじっくり育成し、将来的に特定技能へ移行させることで長期雇用を実現したい企業に適しています。

技術・人文知識・国際業務:高度人材として長期雇用

技術・人文知識・国際業務(略称:技人国)は、大学や専門学校で学んだ知識を活かして専門的な業務に従事する外国人材のための在留資格です。

製造業では、現場作業ではなく、エンジニアリングや管理業務で活躍する高度人材の採用に活用されます。

従事できる業務

製造業において技人国で従事できる主な業務は以下の通りです。

技術分野

技術分野

人文知識分野

人文

国際業務

国際

技人国のメリット

1. 高度な専門業務に従事可能
⇒ エンジニアや管理職など、高度な専門知識を必要とする業務を任せることができます。製造現場の技術力向上や、海外展開の推進に大きく貢献します。

2. 長期雇用が可能
⇒ 在留期間は5年、3年、1年、3か月のいずれかで、更新を繰り返すことで長期雇用が可能です。優秀な人材を確保し続けることができます。

3. 転職が自由
同じ職種であれば転職可能なため、外国人材にとって魅力的な在留資格です。ただし、企業側から見ると、優秀な人材ほど引き抜かれるリスクもあります。

4. 英語の技術文献にアクセス可能
⇒ 特にインド、フィリピン、シンガポールなどの英語圏出身のエンジニアや、ベトナム・インドネシアなどの理工系大学卒のエンジニアは、英語の技術文献を読み慣れています。最新技術の導入において大きなアドバンテージとなります。

技人国の要件

学歴要件

  • 大学卒業以上
  • 専門学校卒業(専門士以上)
  • 実務経験10年以上(学歴要件を満たさない場合)

専攻分野と業務内容に関連性が求められます。

例えば、機械工学を専攻した外国人材が生産技術の仕事に就く場合は問題ありませんが、文学部卒の人材が品質管理の仕事に就くのは難しい場合があります。

技人国の注意点

1. 単純作業は不可
⇒ 製造ラインでの単純組立作業や、機械オペレーターとしての現場作業は原則として認められません。あくまで専門的な知識・技術を活かした業務に限定されます。

2. 給与水準
日本人と同等以上の給与水準が求められます。一般的に、技人国の外国人材の給与は、新卒で月給20〜25万円、経験者で月給25〜35万円程度が目安です。

3. 在留資格変更のリスク
業務内容が専門性を欠くと判断された場合、在留資格の更新が認められないリスクがあります。継続的に専門性の高い業務を担当してもらう必要があります。

技人国の活用事例

  • インド工科大学卒のエンジニアを研究開発部門で採用
  • ベトナム理工系大学卒の人材を品質管理部門で採用
  • フィリピン大学卒の人材を海外営業部門で採用

技人国は、製造業の技術力向上や国際展開を推進する上で、非常に重要な在留資格といえます。

身分系在留資格:就労制限なしで柔軟な配置が可能

身分系在留資格とは、日本での身分や地位に基づいて付与される在留資格で、就労に関する制限がありません

製造業では、現場作業から管理業務まで、日本人と全く同じ条件で働いてもらえるため、最も柔軟に活用できる人材といえます。

主な身分系在留資格

1. 永住者

  • 日本に永住を許可された外国人
  • 在留期間の制限なし
  • あらゆる業務に従事可能
  • 在留資格の更新手続き不要

2. 日本人の配偶者等

  • 日本人の配偶者
  • 日本人の実子・特別養子
  • 在留期間: 5年、3年、1年、6か月のいずれか(更新可能)
  • あらゆる業務に従事可能

3. 永住者の配偶者等

  • 永住者の配偶者
  • 永住者の子として日本で出生した者
  • 在留期間: 5年、3年、1年、6か月のいずれか(更新可能)
  • あらゆる業務に従事可能

4. 定住者

  • 日系人(ブラジル人、ペルー人など)
  • インドシナ難民とその子孫
  • 中国残留邦人とその子孫
  • その他、法務大臣が特別な理由を考慮し一定期間の在留を認める者
  • 在留期間: 5年、3年、1年、6か月、3か月のいずれか(更新可能)
  • あらゆる業務に従事可能

身分系在留資格のメリット

身分系在留資格の5つのメリット

1

業務制限なし

製造ライン作業、検査、梱包など、どのような業務でも従事可能です。日本人と全く同じ扱いができます。

企業メリット度 100%
2

転職自由

業種・職種を問わず転職可能です。企業側は、待遇や労働環境を整えて引き留める必要があります。

企業メリット度 70%
3

長期雇用が期待できる

特に永住者や定住者は生活基盤が安定しており、腰を据えて長く働き続けることが期待できます。

企業メリット度 95%
4

手続きが簡便

就労ビザの取得・更新手続きが不要で、採用後すぐに働き始めることができます。

企業メリット度 90%
5

残業・休日出勤に柔軟

就労時間の制限がないため、繁忙期の残業や3交代制のシフト勤務にも柔軟に対応できます。

企業メリット度 85%

活用事例

  • 自動車部品製造工場での組立ライン作業
  • プラスチック製品製造での成形機オペレーター
  • 食品工場での製造・包装作業
  • 金属加工工場での機械加工作業

身分系在留資格の注意点

1. 採用競争が激しい
⇒ 就労制限がないため、多くの企業が採用を希望しており、採用競争が激しくなっています。給与や労働条件で他社に負けないよう注意が必要です。

2. 定着率の確保
⇒ 転職が自由なため、より良い条件を求めて転職するケースもあります。定着率を高めるためには、適切な処遇と良好な職場環境が不可欠です。

3. 日本語能力のばらつき
⇒ 身分系在留資格には日本語能力の要件がないため、人によって日本語レベルにばらつきがあります。採用時に日本語能力を確認することが重要です。

どの在留資格を選ぶべきか?業務内容別の選び方

製造業で外国人材を採用する際、業務内容に応じて最適な在留資格を選ぶことが成功の鍵です。

在留資格と業務内容のミスマッチは、不法就労助長罪のリスクにつながるため、慎重に検討する必要があります。

業務内容別の在留資格選択ガイド

パターン1: 製造ライン作業・現場作業を任せたい
(従事する業務: 組立、加工、溶接、塗装、検査、梱包など)

優先順位在留資格特徴おすすめ度
第1選択特定技能1号即戦力、技能試験合格済み★★★★★
第2選択技能実習若手をじっくり育成、将来特定技能へ移行★★★★☆
第3選択身分系在留資格業務制限なし、最も柔軟★★★★★

選択のポイント

  • すぐに戦力が欲しい → 特定技能1号
  • 若手を育てたい → 技能実習
  • シフト勤務や残業が多い → 身分系在留資格

パターン2: 品質管理・生産管理などの専門業務を任せたい
(従事する業務: 品質管理、生産技術、工程管理、設備保全など)

優先順位在留資格特徴おすすめ度
第1選択技術・人文知識・国際業務大卒エンジニア、専門知識あり★★★★★
第2選択特定技能2号現場経験豊富な熟練工★★★★☆

選択のポイント

  • 大卒の高度人材が欲しい → 技人国
  • 現場経験を重視 → 特定技能2号(1号からの移行)

パターン3: 技術開発・研究開発を任せたい
(従事する業務: 製品開発、研究、CAD設計、技術革新など)

優先順位在留資格特徴おすすめ度
第1選択技術・人文知識・国際業務理工系大卒、専門性が高い★★★★★
第2選択高度専門職特に優秀な人材、優遇措置あり★★★★☆

選択のポイント

  • 最新技術に精通した人材 → 技人国
  • 世界トップレベルの人材 → 高度専門職

パターン4: 海外展開・通訳・貿易業務を任せたい
(従事する業務: 海外営業、通訳、翻訳、貿易実務など)

優先順位在留資格特徴おすすめ度
第1選択技術・人文知識・国際業務(国際業務)語学力、海外とのブリッジ★★★★★

選択のポイント

母国市場への展開を考えている → その国出身の技人国人材

パターン5: 長期的に技能継承を行いたい
(目的: ベテラン技能者の技術を若手に継承)

ステップ在留資格期間目的
ステップ1技能実習1〜3号1〜5年基礎〜中級技能の習得
ステップ2特定技能1号〜5年高度技能の習得、後輩指導開始
ステップ3特定技能2号無期限熟練工として技能継承の担い手

選択のポイント

長期的な人材戦略として、技能実習→特定技能のルートを構築

パターン6: 繁忙期の補助的な戦力が欲しい
(従事する業務: 簡単な組立補助、梱包、検品など)

優先順位在留資格特徴おすすめ度
第1選択留学生アルバイト週28時間以内、柔軟な時間帯★★★☆☆
第2選択身分系在留資格のパート時間制限なし★★★★☆

選択のポイント

  • 短時間・短期間の戦力 → 留学生アルバイト
  • より長時間働いてほしい → 身分系在留資格

在留資格選択の失敗例

NG例1技人国で現場作業
大卒の技人国人材を採用したが、実際には製造ラインでの単純組立作業をさせてしまった。
→ 在留資格更新時に不許可となるリスク

NG例2: 特定技能で業務区分外の作業
「機械金属加工」の特定技能人材に、塗装作業をさせてしまった。
→ 不法就労助長罪のリスク

NG例3: 技能実習で職種外の作業
「溶接」職種の技能実習生に、機械加工作業をさせてしまった。
→ 技能実習法違反、監理団体からの指導、実習中止のリスク

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4.外国人材採用の具体的なステップと費用

4.外国人材採用の具体的なステップと費用

外国人材の採用に興味はあっても、「何から始めればいいのか分からない」「手続きが複雑そう」と感じる担当者は少なくありません。

ここでは、実際に外国人材を採用する際の具体的なステップと、かかる費用の目安を分かりやすく解説します。

採用から就労開始までの5つのステップ

外国人材の採用プロセスは、日本人の採用と比べて在留資格に関する手続きが加わりますが、基本的な流れは以下の5ステップです。

ステップ1: 採用計画の策定と在留資格の選定(所要期間: 1〜2週間)

まずは、自社の業務内容と採用したい人材像を明確にし、適切な在留資格を選定します。

やるべきこと

  • どの業務を担当してもらうか明確化(業務内容の棚卸し)
  • 必要なスキルレベルと日本語能力の設定
  • 業務内容に合った在留資格の選定(特定技能、技能実習、技人国など)
  • 受け入れ可能人数と予算の検討
  • 受け入れ体制の確認(住居、指導担当者、マニュアル等)

注意点

この段階で在留資格と業務内容のミスマッチがあると、後々大きな問題になります。不安な場合は行政書士や登録支援機関などの専門家に相談することをおすすめします。

ステップ2: 人材の募集・選考(所要期間: 1〜3か月)

在留資格が決まったら、実際に人材を募集します。募集方法は主に以下の3つです。

募集方法の選択肢

方法①人材紹介会社・登録支援機関の利用(最も一般的)

  • メリット: 確実に人材を確保できる、手続きサポートあり
  • デメリット: 紹介手数料がかかる(30〜80万円)
  • おすすめ度: ★★★★★

方法②海外での現地採用

  • メリット: 優秀な人材を直接選考できる、紹介手数料不要
  • デメリット: 渡航費用と時間がかかる、言語の壁
  • おすすめ度: ★★★☆☆

方法③ 国内にいる外国人材の採用

  • メリット: 既に日本にいるため渡航費不要、面接が容易
  • デメリット: 競争が激しい、人材の絶対数が少ない
  • おすすめ度: ★★★★☆

選考で確認すべき項目

  1. 技能レベル
    • 技能試験の合格証明書(特定技能の場合)
    • 実技テストの実施(可能であれば)
    • 職歴・実務経験の確認
  2. 日本語能力
    • JLPT(日本語能力試験)の証明書
    • 実際の会話でコミュニケーション能力を確認
    • 読み書きのレベルチェック
  3. 人柄・モチベーション
    • 志望動機の確認
    • 長く働く意思があるか
    • 日本文化への理解と適応力
  4. 健康状態
    • 健康診断書の確認
    • 製造現場での立ち仕事に耐えられるか

面接のポイント

外国人材採用 面接・説明の4つのポイント

  • コミュニケーション能力の確認
    できれば対面またはオンラインで実施し、実際の対話能力を確認する。
  • やさしい日本語の使用
    専門用語を避け、ゆっくり・はっきりと話すことを心がける。
  • 労働条件の明確化
    業務内容、給与、労働時間、休暇などの条件を具体的に説明する。
  • 日本での生活サポート説明
    住居、地域の気候、日本の文化やルールなど、生活面の情報も提供する。

ステップ3: 在留資格認定証明書の申請(所要期間: 1〜3か月)

海外にいる外国人材を採用する場合、まず日本の出入国在留管理局に「在留資格認定証明書」を申請します。

必要書類(例: 特定技能の場合)

在留資格認定証明書交付申請に必要な主な書類

在留資格認定証明書交付申請書
雇用契約書
特定技能外国人支援計画書
特定技能1号技能試験・日本語試験の合格証明書
会社の登記簿謄本
会社の決算書類(直近2期分)
事業内容を明らかにする資料(会社パンフレット等)
労働条件通知書
雇用理由書
その他、在留資格によって必要な書類

審査期間

通常1〜3か月程度。繁忙期(3〜4月、9〜10月)は時間がかかる場合があります

認定証明書交付後の流れ

  1. 認定証明書が交付されたら、外国人本人に送付
  2. 本人が本国の日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請
  3. ビザが発給されたら来日

ステップ4: 入国・住居確保・各種手続き(所要期間: 1〜2週間)

ビザが発給されたら、いよいよ来日です。企業側で準備すべきことは多岐にわたります。

来日前の準備

  • 航空券の手配(企業負担が一般的)
  • 空港への出迎え手配
  • 住居の確保(社宅または賃貸物件)
  • 生活必需品の準備(布団、家電、食器など)

来日後の手続き(最初の1週間)

外国籍従業員の手続き・サポート

役所での手続き

転入届の提出
マイナンバーカードの申請
国民健康保険または社会保険の加入

金融機関での手続き

銀行口座の開設
キャッシュカードの発行

通信手段の確保

携帯電話契約
インターネット契約

企業での手続き

雇用契約書の締結
外国人雇用状況届出(ハローワークへ、雇用開始の翌月10日まで)
社会保険・雇用保険の加入手続き

生活オリエンテーション

近隣施設の案内(スーパー、病院、駅など)
ゴミ出しルールの説明
交通ルールの説明
緊急時の連絡先の共有

住居確保のポイント

外国人であることを理由に入居を断られるケースもあるため、以下の対応が有効です。

  • 外国人の入居実績がある不動産会社を事前に探す
  • 社宅を提供する
  • 企業が連帯保証人になる
  • 保証会社を利用する

ステップ5: 受け入れ研修・OJT開始(所要期間: 1〜3か月)

就労開始後は、職場への適応をサポートする受け入れ研修を実施します。

初日〜1週間目: 導入研修

  • 会社の理念・方針の説明
  • 就業規則の説明(勤務時間、休暇、給与、服装など)
  • 安全衛生教育(特に重要)
  • 工場内の案内
  • 同僚の紹介
  • 緊急時の対応方法

2週間目〜1か月目: 基礎訓練

  • 作業手順の説明(多言語マニュアルや視覚的な教材を活用)
  • 簡単な作業から開始
  • 指導担当者によるOJT
  • 理解度の随時確認

2か月目〜3か月目: 実践訓練

  • より複雑な作業の習得
  • 独り立ちに向けた訓練
  • 定期的なフィードバック面談

OJTのポイント

  • 「ゆっくり・はっきり・簡潔に」話す
  • 一度に多くのことを教えず、一つずつ確実に
  • 理解できているか随時確認(「分かりましたか?」だけでなく、実際にやってもらう)
  • ジェスチャーや実演を交えて説明
  • 褒めて伸ばす(できたことを認めて励ます)

継続的なサポート(就労開始後も続ける)

特定技能外国人の主なサポート内容

継続的なサポート(就労開始後も続ける)
  • 定期的な面談(月1回程度)仕事の悩み相談
  • 生活の困りごと相談
キャリアパスの説明
日本語学習のサポート
  • 社内日本語教室の開催
  • 外部日本語教室の費用補助
  • JLPT受験のサポート
在留資格更新手続きのサポート
  • 更新時期のリマインド
  • 必要書類の準備サポート
  • 行政書士への依頼(企業負担が一般的)
キャリアパスの提示
  • 技能実習→特定技能への移行サポート
  • 特定技能1号→2号への移行サポート
  • 昇給・昇格の基準説明

これらのステップを着実に実行することで、外国人材のスムーズな受け入れと定着が実現できます。

採用にかかる費用と予算の目安

外国人材の採用にかかる費用は、在留資格や採用方法によって大きく異なりますが、主な費用項目と目安は以下の通りです。

初期費用(1人あたり)

費用項目目安金額備考
人材紹介手数料30〜80万円想定年収の20〜35%程度
監理団体への初期費用(技能実習)10〜30万円監理団体により異なる
在留資格申請書類作成費用10〜20万円行政書士に依頼する場合
渡航費5〜15万円出身国により異なる
住居初期費用20〜40万円敷金・礼金・仲介手数料・初月家賃
家具・家電・生活用品10〜20万円布団、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど
健康診断費用1〜2万円雇用前健康診断
研修費用5〜10万円導入研修、教材作成など
合計91〜217万円-

月額費用(1人あたり)

費用項目目安金額備考
給与18〜30万円職種・地域・経験により異なる(日本人と同等以上)
社会保険料(会社負担分)3〜5万円健康保険、厚生年金、雇用保険
家賃補助3〜8万円社宅提供または家賃補助の場合
登録支援機関への委託費用(特定技能)2〜3万円自社で支援を行えば不要
監理費(技能実習)3〜5万円監理団体により異なる
通訳費用0〜2万円必要に応じて
合計29〜53万円-

在留資格別の費用比較

在留資格初期費用月額費用特徴
特定技能80〜150万円26〜40万円登録支援機関への委託費が発生
技能実習50〜100万円24〜38万円監理費が継続的に発生
技人国50〜100万円23〜38万円給与水準がやや高め
身分系40〜80万円21〜35万円サポート費用が不要

コスト削減のポイント

1. 登録支援を自社で行う(特定技能の場合)

登録支援機関への委託費(月2〜3万円)を削減できます。ただし、自社で以下の支援を実施する体制が必要です。

5つの主要サポート

事前ガイダンス
生活オリエンテーション
定期面談
日本語学習支援
相談対応

年間で24〜36万円の削減が可能です。

2. 技能実習からの移行

すでに自社で働いている技能実習生を特定技能に移行させれば、以下の費用が不要になります。

初期費用の目安

人材紹介手数料 30〜80万円
渡航費 5〜15万円
住居初期費用 20〜40万円
研修費用 5〜10万円

合計で60〜145万円の削減が可能です。

3. 複数人同時採用

まとめて採用することで、1人あたりのコストを削減できます。

  • 人材紹介会社との交渉で割引が可能
  • 住居を複数人でシェアすることで家賃削減
  • 研修を一度にまとめて実施することで効率化
4. 助成金の活用

外国人材の採用・育成には、以下のような助成金を活用できます。

助成金名対象金額備考
人材開発支援助成金外国人材の訓練数十万円訓練内容により異なる
キャリアアップ助成金非正規→正社員化57万円〜有期契約から正社員への転換
地域雇用開発助成金地域での雇用創出条件により異なる地域による

日本人採用との費用比較

項目日本人採用外国人材採用差額
初期費用50〜100万円91〜217万円+41〜117万円
月額費用25〜40万円29〜53万円+4〜13万円
1年目総費用350〜580万円439〜853万円+89〜273万円

長期的なROI(投資対効果)

初期費用は日本人採用より高めですが、以下の点を考慮すると、長期的には十分なリターンが期待できます

①定着率の高さ

  • 日本人の製造業3年以内離職率: 約30〜40%
  • 特定技能外国人の離職率: 約10〜20%

定着率が高いということは、採用コストを頻繁に負担する必要がないということです。

② 即戦力による早期の生産性向上

特定技能外国人は、入社1〜2か月で独り立ちできるレベルになるため、早期に生産性が向上します。

③人手不足解消による機会損失の防止

受注を断らずに済むことで、売上機会を逃さずに済みます。

④技術継承の実現による長期的な企業価値向上

ベテラン技能者の技術を確実に次世代に継承できることで、企業の技術力が維持・向上します。これは数値化しにくいですが、企業の持続可能性において極めて重要な価値です。

結論: 費用対効果は十分に高い

外国人材採用の初期費用は決して安くはありませんが、以下の理由から、長期的には十分な費用対効果が期待できます

外国人材の活用は十分な費用対効果が期待できる!

  • 定着率が高く、頻繁な再採用が不要
  • 即戦力として早期に生産性向上
  • 人手不足解消による売上機会の確保
  • 技術継承の実現による企業価値向上
  • 日本人の採用が困難な中、確実に人材を確保できる

特に「日本人の採用が困難」という現実を考えると、外国人材採用はコストではなく、事業継続のための必要な投資といえます。

受け入れ体制の整備で準備すべきこと

外国人材を受け入れる際、スムーズな定着と活躍のために、事前に以下の受け入れ体制を整備することが重要です。

1. 多言語対応マニュアルの作成

作業手順書や安全マニュアルを、外国人材にも理解できる形で作成します。

項目内容ポイント
やさしい日本語専門用語を避け、簡潔な表現短い文、一文一意を心がける
写真・イラスト視覚的に理解できる資料Before/After写真で完成イメージを共有
多言語併記主要な注意事項を母語でも記載安全に関わる重要事項は必須
動画マニュアル実際の作業を動画で説明スロー再生で細かい動作も確認可能

2. 指導担当者の選定と研修

外国人材の指導を担当する日本人従業員を選定し、異文化コミュニケーションの研修を実施します。

項目内容
指導担当者の選定基準・コミュニケーション能力が高い
・忍耐強く、丁寧に教えられる
・異文化への理解と関心がある
・技能レベルが高い(ベテラン社員が望ましい)
やさしい日本語の使い方・ゆっくり・はっきり・簡潔に話す
・短い文で、一文一意を心がける
・専門用語は避け、簡単な言葉に言い換える
効果的な指導方法・ジェスチャーや実演を交えて説明
・「やって見せる」→「一緒にやる」→「やってもらう」
・理解度を随時確認(実際にやってもらう)
異文化理解・出身国の文化や習慣の理解
・宗教への配慮
・コミュニケーションスタイルの違いの理解

3. 住環境のサポート

外国人材が安心して生活できるよう、住環境面でのサポート体制を整えます。

項目内容
住居の確保・社宅の提供(最も望ましい)
・賃貸物件の紹介(外国人受け入れ可能な物件)
・寮の提供(複数人での共同生活)
生活立ち上げサポート・生活必需品の購入サポート
・近隣施設の案内(スーパー、病院、駅など)
・公共交通機関の使い方説明
・ゴミ出しルールの説明
準備する資料・周辺地図(日本語と母語の両方)
・緊急連絡先リスト
・よく使う日本語フレーズ集
・日本の生活マナー資料

4. コミュニケーション手段の確保

言葉の壁を少しでも低くするための手段を確保します。

カテゴリ項目詳細
翻訳ツールGoogle翻訳アプリ無料、音声・カメラ翻訳機能
ポケトーク有料(約3万円)、74言語対応
VoiceTra無料、31言語の音声翻訳
社内サポート体制相談窓口人事部または総務部に設置
メンター制度同じ国出身の先輩社員を配置
多言語掲示物安全標語、お知らせの多言語化

5. 文化・宗教への配慮

異なる文化背景を持つ外国人材が働きやすい環境を整えます。

宗教配慮事項企業の対応例
イスラム教礼拝(1日5回、各5〜10分)休憩時間を柔軟に設定、静かな場所を提供
礼拝スペース使っていない会議室や倉庫の一角を提供
食事制限豚肉、アルコール不可→代替メニューまたは食材表示
ラマダン日の出から日没まで飲食不可→夜勤シフトへの配慮
仏教仏教の祭日旧正月などへの理解
キリスト教日曜礼拝日曜休暇への配慮
クリスマス等宗教的祝日への理解

6. 安全衛生教育の徹底

製造現場では、安全が最優先です。外国人材にも確実に理解してもらう必要があります。

項目内容
多言語での安全教育・安全マニュアルの多言語化
・危険箇所の多言語表示
・保護具の正しい使い方の実演
・緊急時の避難経路の説明
視覚的な安全教育・写真・イラストを使った危険予知訓練
・動画による事故事例の共有
・ピクトグラム(絵文字)での注意喚起
理解度の確認・安全に関する理解度テストの実施
・保護具着用の実技確認
・緊急時の行動を実演してもらう

受け入れ体制整備のチェックリスト

No.項目担当部署期限
1多言語マニュアルの作成製造部入社1か月前
2指導担当者の選定・研修人事部・製造部入社2週間前
3住居の確保総務部入社2週間前
4翻訳ツールの準備総務部入社1週間前
5礼拝スペースの確保(必要に応じて)総務部入社1週間前
6安全教育資料の準備安全衛生部入社1週間前

受け入れ体制の整備は、外国人材の定着と活躍の基盤となります。事前にしっかり準備することで、スムーズな受け入れが実現できます。

外国人材が定着する職場環境の作り方

外国人材を採用しても、早期離職されてしまっては意味がありません。定着率を高めるためには、以下のような職場環境づくりが重要です。

1. 明確なキャリアパスの提示

外国人材が「この会社で長く働きたい」と思えるよう、将来の見通しを示すことが大切です。

キャリアパスの例(特定技能の場合)

年数ステージ在留資格役割給与目安
1〜2年目初級特定技能1号基本作業の習得18〜22万円
3〜4年目中級特定技能1号複数工程を担当22〜26万円
5年目〜上級特定技能2号リーダー、後輩指導26〜30万円
10年目〜ベテラン特定技能2号熟練工、管理職候補30万円〜

具体的な施策

キャリアパスサポート

  • 入社時にキャリアパスを説明

  • 年1回のキャリア面談の実施

  • 特定技能1号→2号への移行サポート

  • 技能検定受験の奨励と費用補助

  • 管理職登用の道を開く

2. 公平な評価と処遇

労働基準法により、外国人であることを理由とした差別的取扱いは禁止されています。

同一労働同一賃金の徹底

  • 同じ業務であれば、国籍に関係なく同じ給与
  • 日本人と同等以上の処遇
  • 昇給・昇格の機会を平等に提供

公平な人事評価制度

  • 明確な評価基準の設定
  • 評価基準を外国人材にも分かりやすく説明
  • 評価結果のフィードバック面談
  • 納得感のある評価プロセス

3. 日本語学習のサポート

日本語能力が向上すれば、業務の幅も広がり、職場でのコミュニケーションも円滑になります。

社内日本語教室の開催

  • 週1〜2回、業務時間内または業務後に実施
  • 初級・中級・上級のレベル別クラス
  • 業務で使う専門用語の学習
  • 日本語教師またはボランティア講師を招く

JLPT(日本語能力試験)受験のサポート

  • 受験料の会社負担
  • 受験日の有給休暇取得を推奨
  • 合格時の報奨金支給
  • 学習教材の提供

日本語学習のメリットを明示

日本語能力の向上が、昇給や昇格に直結することを明確に示します。

日本語レベル給与・役割
N3合格月給+5,000円、複数工程担当
N2合格月給+10,000円、リーダー候補
N1合格月給+20,000円、管理職候補

学習意欲を高めるため、日本語能力と処遇を連動させることが効果的です。

4. 定期的な面談とフィードバック

外国人材は、日本人以上に悩みや不安を抱えやすいものです。

項目内容
実施頻度月1回以上の定期面談
面談内容・仕事の悩みや困りごと
・生活面での困りごと
・体調管理の確認
・キャリアの希望
・会社からのフィードバック
面談のポイント・リラックスした雰囲気で実施
・まず話を聞く姿勢
・否定せず共感を示す
・解決策を一緒に考える
母国家族への配慮・帰国休暇の柔軟な取得(年1回程度)
・家族の緊急時の特別休暇
・オンライン通話のためのWi-Fi環境整備

定期面談を通じて、小さな問題を早期に発見し、離職を防ぐことができます。

5. 職場の国際化推進

外国人材を「特別な存在」ではなく、チームの一員として受け入れる風土づくりが重要です。

5. 職場の国際化推進

外国人材を「特別な存在」ではなく、チームの一員として受け入れる風土づくりが重要です。

異文化理解研修の実施(日本人従業員向け)

  • 外国人材の出身国の文化・習慣を学ぶ
  • 宗教への理解と配慮
  • やさしい日本語の使い方
  • 多様性を尊重する意識の醸成

国際交流イベントの開催

  • 月1回の多国籍ランチ会
  • 年2回の国際交流パーティー
  • 外国人材の母国料理を紹介
  • 外国人材による文化紹介プレゼン

従業員エンゲージメントの向上

  • 外国人材も参加できる社内イベント
  • 外国人材の意見を取り入れる仕組み
  • 外国人材の活躍を社内で共有
  • 表彰制度(外国人材も対象)

外国人材が「この会社で働けて良かった」「この会社で長く働きたい」と感じられる環境を作ることが、定着率向上の最大のポイントです。

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5.製造業における外国人材活用の成功事例

5.製造業における外国人材活用の成功事例

外国人材活用の効果をより具体的に理解していただくために、実際に成功を収めている企業の事例を紹介します。

半導体企業が50名の大規模採用で生産体制を強化

株式会社ビーネックステクノロジーズ:インド・ネパールでの現地選考会

技術者派遣大手のオープンアップグループ子会社である株式会社ビーネックステクノロジーズは、インド・ネパールでの現地選考会を通じて、半導体産業のエンジニア候補約50名の内定承諾を獲得しました。

取り組みの背景

同社は、製造業やIT分野における技術者派遣・エンジニアリングサービスを中核事業とし、2004年の人材サービス事業開始以来、20年間で1,090社を超える企業を支援してきました。

特に半導体・半導体製造装置分野においては、国内の主要な大手企業とも多数取引しており、深刻な人材不足が続く半導体業界において、クライアント企業への安定的な人材供給が急務となっていました。

日本の半導体産業は、TSMCの熊本進出やRapidus(ラピダス)の北海道での工場建設など、国を挙げての復興が進んでいますが、それに伴う技術者不足も深刻化しています。

現地選考会の実施

同社は、効率的に優秀な人材を確保するため、インドとネパールで現地選考会を実施しました。

現地選考会のメリット

  • 一度に多数の候補者と面接: 効率的な採用活動
  • 直接会って人柄を確認: オンラインでは分からない人間性を評価
  • その場で内定: スピーディーな意思決定
  • 現地の教育機関との連携: 大学や専門学校から優秀な学生を紹介してもらえる
  • 現地の文化を理解: 候補者の背景をより深く理解できる

採用プロセス

約50名の大規模採用を実現

現地選考会という効率的な採用手法により、大規模な採用に成功しました。

  • 1
    現地の大学・専門学校と連携
  • 2
    事前に書類選考を実施
  • 3
    現地で面接(技術・日本語テスト含む)
  • 4
    その場で内定通知
  • 5
    入社までのフォローアップ
  • 約50名の大規模採用の実現

大規模採用のメリット

約50名という大規模採用により、研修の一括実施による効率化同期入社の仲間意識による定着率向上1人あたりの採用コスト削減クライアント企業への迅速な人材供給が実現しました。

現地選考会という効率的な手法
⇒半導体業界の深刻な人材不足解決に貢献する新たなモデルケースとして注目を集めています。

成功のポイント

  1. 現地選考会の活用: 効率的かつ確実な採用
  2. 大規模採用: まとめて採用することでコスト削減と効率化
  3. 現地機関との連携: 大学・専門学校との関係構築
  4. 業界ニーズの把握: 半導体業界の深刻な人材不足に対応
  5. スピーディーな意思決定: その場で内定を出すことで優秀な人材を確保

この事例は、製造業の人材不足解消に向けた新たなモデルケースとして、業界内で注目を集めています。

特に、現地選考会という手法は、今後多くの企業が参考にできる成功パターンといえます。

中小製造業でも外国人材活用で人手不足を解消

大手企業だけでなく、中小製造業でも外国人材活用の成功事例が数多く生まれています。

ここでは、典型的な成功パターンを紹介します。

事例1: 金属加工業(従業員50名規模)

企業プロフィール

  • 業種: 精密金属加工
  • 従業員数: 約50名
  • 所在地: 地方都市
  • 主要製品: 自動車部品、産業機械部品

直面していた課題

  • 技能人材の高齢化が進み、定年退職者が続出
  • 若い日本人の応募がほとんどない(過去3年間で応募者ゼロ)
  • 受注は安定しているが、人手不足で月500万円分の受注を断る状況
  • このままでは事業継続が困難

取り組み内容

ベトナム人技能実習生の育成プロセス事例

1. 技能実習生の受け入れ

ベトナム人技能実習生 3名(21〜23歳)の受け入れを決定。

2. 技能習得

3年間かけてNC旋盤やフライス盤の専門技能を習得。

3年間の習熟

3. ベテランによる指導

ベテラン社員(60代)がマンツーマンで手厚く指導・技術を伝承。

4. 継続雇用へ移行

技能実習終了後、特定技能1号に移行して継続雇用を実現。

5. 成功と事業拡大

育成成功を受け、さらに 2名 の追加採用を決定。

成果

  • 生産能力が20%向上し、断っていた受注を再開
  • 年間売上が3,000万円増加
  • 外国人材が若手日本人社員の良い刺激となり、職場が活性化
  • 作業マニュアルを整備したことで、技術の標準化が進んだ
  • 技能実習修了者が後輩の技能実習生の指導役として活躍
  • 定着率100%(5年間で離職者ゼロ)

経営者のコメント
⇒「最初は不安でしたが、監理団体のサポートもあり、思ったよりスムーズでした。ベトナムの実習生は非常に真面目で、技術の習得も早い。今では彼らなしでは会社が回りません。むしろ日本人の若手を採用するより、教育しやすいと感じています」

事例2: 電子部品組立業(従業員80名規模)

企業プロフィール

  • 業種: 電子部品の精密組立
  • 従業員数: 約80名
  • 所在地: 地方都市
  • 主要製品: スマートフォン部品、医療機器部品

直面していた課題

  • 精密な手作業が必要な組立作業の人材確保が困難
  • 品質基準が厳しく、高い技能が求められる
  • パート・アルバイトでは品質維持が難しい
  • 受注増に対応できず、機会損失が発生

取り組み内容

フィリピン人の特定技能外国人を10名採用

10名 採用

技能試験に合格した即戦力人材のため、研修期間が短縮

1か月

丁寧な作業が得意な国民性がマッチ

英語でのコミュニケーションが可能(フィリピンは英語が公用語)

成果

  • 品質を維持しながら生産量が30%増加
  • 不良率が従来の0.5%から0.3%に改善(外国人材の丁寧な作業)
  • 外国人材の定着率が非常に高い(離職率5%以下)
  • 日本語能力が向上し、3年目にはリーダーとして活躍する人材も出現
  • 成功を受けて、さらに5名を追加採用予定
  • 年間売上が5,000万円増加

経営者のコメント
⇒「フィリピンの方々は、手先が器用で、精密作業に向いています。また、英語でコミュニケーションが取れるので、技術指導もスムーズでした。特定技能なので即戦力として期待していましたが、期待以上の働きぶりです。今では、彼らがチームリーダーとして日本人社員をまとめてくれています」

中小企業が成功するための共通ポイント

これらの事例から、中小製造業が外国人材活用で成功するためのポイントが見えてきます。

外国人材受け入れ 成功の6つの鍵

1

自社に合った在留資格を選ぶ

業務内容と企業規模に応じた最適な選択

2

受け入れ体制を整える

住居、指導体制、コミュニケーション手段

3

長期的な視点を持つ

技能実習→特定技能という段階的なキャリアパス

4

専門機関のサポートを活用

登録支援機関や監理団体の力を借りる

5

既存社員の理解を得る

異文化理解研修などで協力体制を構築

6

丁寧な指導と継続的なサポート

定着率を高めるための地道な努力

外国人材活用は、もはや大手企業だけのものではありません。適切な準備とサポート体制があれば、中小製造業でも十分に成功できる取り組みなのです。

6.外国人材活用で製造業の未来を切り拓く

6.外国人材活用で製造業の未来を切り拓く

製造業の人手不足は、外国人材の戦略的活用で解決できます。

すでに26%の現場が外国人労働者で支えられており、特定技能制度により即戦力の確保も可能です。言葉の壁や文化の違いといった懸念も、適切な対策で解決できます。

早期に始めた企業ほど、人材確保と技術継承で競争優位性を得られます。

一歩を踏み出すなら、今がそのタイミングです。株式会社バックエンドが、貴社の外国人材活用を全面的にサポートいたします。

記事を書いた人
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行政書士法人バタフライエフェクト
行政書士法人バタフライエフェクトは、外国人の就労ビザ取得、相談のエキスパートです。上場企業様から小規模の会社様まで、これまで10,000件以上の案件を支援。就労ビザを踏まえた外国人雇用のコンサルティングも行っており、年間実績1,500件、ビザの専門家が多数在籍しています。
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