人手不足が深刻化する中、フィリピン人採用に注目が集まっています。しかし「DMWやMWOって何?」「手続きが複雑そう」と不安を感じている方も多いでしょう。
本記事では、フィリピン人採用の基礎知識から具体的な7ステップの手続き、成功のポイントまでを網羅的に解説します。独自ルールを正しく理解し、スムーズな採用を実現しましょう。
- フィリピン人採用に必須のDMW・MWO申請の具体的な手続きと流れ
- 2017年8月から導入された直接雇用禁止ルールとエージェント利用の必要性
- 定着率を高める文化的配慮と成功させる5つのポイント
1.フィリピン人採用が注目される3つの背景

日本の深刻な人手不足とフィリピン人労働者の増加
日本は少子高齢化により深刻な労働力不足に直面しています。特に製造業、介護・福祉、建設、宿泊・飲食などの分野では、外国人材の受け入れが不可欠となっています。
出入国在留管理庁の発表によると、2023年末時点で日本に在留するフィリピン人は約32万人に達し、在留外国人全体の9.4%を占めています。これは中国、ベトナム、韓国に次いで4番目に多い数字です。
2019年に創設された特定技能制度により、フィリピン人の受け入れはさらに拡大しています。
介護、建設、宿泊、農業など12の特定産業分野で即戦力として活躍するフィリピン人材が増加しており、人手不足に悩む企業にとって貴重な戦力となっています。
参考元:出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」
フィリピンの若く豊富な労働力人口
フィリピンが採用先として注目される最大の理由は、若く豊富な労働力人口です。
教育水準も高く、フィリピンには1,856校以上の高等教育機関があり、大学進学率は約35%で東南アジアでもトップクラスです。
また、2012年にはK10(初等教育6年+中等教育4年)からK12(初等教育6年+中等教育6年)へと教育システムが改革され、教育の質も向上しています。
技術教育・職業訓練を管轄するTESDA(技術教育・技能開発庁)の認定機関も約4,000に達しており、若く優秀な人材が豊富に育成されています。
出稼ぎ文化と親日感情の高さ
フィリピンは世界有数の「出稼ぎ大国」です。
総人口の約10%にあたる約1,000万人が海外で就労しており、彼らからの送金額は2021年で349億ドル(約5兆2,350億円)に達しました。これはフィリピンのGDPの約10%に相当します。
この出稼ぎ文化により、フィリピン人は海外で働くことへの抵抗感が少なく、異文化環境でも順応しやすい特性を持っています。
家族を支えるために長期的に安定して働きたいというモチベーションも高く、定着率の向上が期待できます。
また、フィリピンは歴史的に親日的な国として知られています。
地理的にも近く(フライト時間約4〜5時間)、日本の治安の良さや文化への興味も高く、日本で働くことを希望するフィリピン人は多数います。米食文化や仏教的な価値観など共通点も多く、生活面での適応もしやすい環境にあります。
2.フィリピン人採用の3つのメリット

①英語力とコミュニケーション能力が高い
フィリピン最大の強みは高い英語力です。フィリピンでは英語とタガログ語の両方が公用語として定められており、教育現場でも英語が使用されています。
文化庁の調査によると、フィリピンでは約1万人が日本語を学習しており、日本に在留するフィリピン人の大半は最低限の日本語コミュニケーションが可能です。
【フィリピン人の言語能力】
| 言語 | レベル |
| 英語 | ビジネスレベルが多数 |
| タガログ語 | 母国語 |
| 日本語 | 基礎〜中級レベル |
グローバル展開している企業や多言語対応が必要な業種では特に重宝されます。
また、フィリピン人は明るく親しみやすい性格の人が多く、職場の雰囲気を明るくする力があります。
②若くて優秀な人材を即戦力として採用できる
フィリピンの平均年齢は28歳と非常に若く、体力的にもエネルギーにあふれた人材が豊富です。高等教育機関で専門的な知識を学んだ優秀な人材も多く、即戦力として期待できます。
特定技能制度の創設により、介護、建設、製造業、宿泊、農業など16の特定産業分野で、一定のスキルを持つ人材を採用しやすくなりました。
【特定技能の対象分野】


技能実習2号を良好に修了した人材であれば、技能評価試験が免除されるため、スムーズに特定技能へ移行できます。
③海外就労への抵抗が少なく長期就労が期待できる
フィリピンの出稼ぎ文化は企業にとって大きなメリットとなります。
海外で働くことに慣れているフィリピン人は、異文化環境でも適応力が高く、ホームシックになりにくい傾向があります。
家族への送金を目的として働く人が多いため、長期的に安定して就労する意欲が高いのも特徴です。
生活費を抑えて貯蓄し、家族に仕送りをするという明確な目標を持っている人が多く、真面目に働く姿勢が評価されています。
フィリピン人の特徴
- 南国特有の明るさと寛容さ
- 他人へのホスピタリティ意識の高さ
- まじめで熱心に働く姿勢
- 介護や看護、宿泊業など対人業務への高い適性
職場の多様性が高まり、ダイバーシティ推進にも貢献します。
異なる文化や価値観を持つメンバーが加わることで、新しいアイデアが生まれやすくなり、イノベーションの創出にもつながります。
3.フィリピン人採用で必ず知るべき3つの独自ルール

DMW(旧POEA)とは何か|フィリピン移住労働者省の役割
DMW(Department of Migrant Workers、移住労働者省)は、フィリピン政府が海外で働く自国民を保護するために設立した機関です。
2022年にPOEA(Philippine Overseas Employment Administration)から改組されました。
DMWとは、「Department of Migrant Workers:移住労働者省」の略称で、海外で働くフィリピン人の権利保護や福利厚生の促進などを目的に設立されたフィリピンの政府機関です。2022年秋にフィリピン政府が省庁編成を実施し、POEAを含む7つの省庁や組織がDMWに一本化されました。
まなびJAPAN「DMW(旧POEA)とは?」
【DMWの主な役割】
| 役割 | 内容 |
| 就職先企業の審査 | 労働条件が適正かを審査 |
| 送り出し機関の認定 | DMW認定機関のみ人材送り出し可能 |
| 労働契約の確認 | 給与、労働時間、福利厚生のチェック |
| 労働者の保護 | 不当な扱いから自国民を守る |
フィリピンでは総人口の約10%が海外で就労しているため、政府による管理・監督が不可欠です。
日本企業がフィリピン現地から人材を直接雇用する場合、必ずDMWの審査を受ける必要があります。
MWO(旧POLO)への申請が必須|日本での手続き窓口
MWO(Migrant Workers Office、移住労働者事務所)は、DMWやDOLE(フィリピン労働雇用省)の日本における出先機関です。
旧称はPOLO(Philippine Overseas Labor Office)です。
MWOの所在地
- 東京:駐日フィリピン共和国大使館内
- 大阪:在大阪フィリピン共和国総領事館内
MWOの主な業務
- 企業の書類審査
- 企業担当者との面接
- DMWへの推薦
- 労働者の相談対応
- フィリピンと日本企業の仲介
日本でフィリピン人を雇用する場合、在留資格(ビザ)の手続きに加えて、MWOでの申請手続きが必須となります。
これはフィリピン側のルールであり、日本の入管法とは別の制度です。
DMW認定エージェントを通じた採用が原則必須
フィリピン人採用における最も重要なルールが、「DMW認定エージェントを通じた採用が原則必須」という点です。
2017年8月以降、フィリピン政府はDMW認定の現地エージェントを介さない直接雇用を原則として禁止しました。
直接雇用が禁止された理由
- 過剰な労働の防止
- 違法ブローカーの排除
- 適正な手続きの確保
- 労働者の権利保護
【DMW認定エージェントを通じるメリット】
| メリット | 詳細 |
| 適正な労働条件 | 政府の審査をクリアした条件での雇用 |
| 手続きサポート | 書類作成や申請のサポート |
| トラブル対応 | 問題発生時の仲介・サポート |
| 安全性 | 違法なブローカーに騙されるリスクなし |
もしDMWの介入なしにフィリピン人を雇おうとした場合、労働者はOEC(海外雇用許可証)が発行されず、フィリピンから出国できません。
企業のコンプライアンスの観点からも、必ずDMW認定エージェントを通じた正規の手続きを行うことが重要です。
4.フィリピン人採用の具体的な手続きと流れ【7ステップ】

フィリピンから新たに人材を受け入れる場合の手続きを7つのステップで解説します。全体で3〜6ヶ月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
ステップ1:DMW認定の現地エージェントを選定し契約する
最初のステップは、信頼できるDMW認定エージェントを見つけて契約することです。
【選定時のチェックポイント】
| 項目 | 確認内容 |
| DMW認定 | 認定番号の有無を確認 |
| 実績 | 日本への送り出し人数と継続年数 |
| サポート内容 | 書類作成、面接サポート、トラブル対応 |
| 手数料 | 相場は15万〜50万円 |
| 日本語対応 | 対応可否 |
複数のエージェントから見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをお勧めします。
ステップ2:必要書類を準備しMWOに提出する
エージェントと契約したら、MWOへの申請に必要な書類を準備します。
【主な必要書類】

書類の多くはエージェントがサポートしてくれますが、会社の登記簿謄本などは自社で準備する必要があります。
提出方法
- オンラインキューイングシステムで予約し、指定日に訪問
- 郵送での提出も可能
提出先は東京または大阪のMWOです。書類に不備があると審査が遅れるため、事前にエージェントと入念にチェックしましょう。
ステップ3:MWOによる書類審査を受ける
書類を提出すると、MWOによる審査が始まります。
審査の詳細
- 期間:約2週間
- 審査内容:労働条件の適正性、企業の信頼性、雇用の必要性
書類に不備があれば、追加書類の提出や修正を求められることがあります。エージェントと連携し、迅速に対応することが重要です。
書類審査を通過すると、MWOから面接日の連絡が届きます。
ステップ4:MWO担当官との英語面接を実施する
書類審査通過後、企業の代表者または委任された従業員がMWOで面接を受けます。
面接の詳細
| 項目 | 内容 |
| 場所 | 東京または大阪のMWO |
| 言語 | 英語 |
| 出席者 | 代表者または委任された従業員 |
| 通訳 | 同席可能 |
よくある質問内容
フィリピン人材採用のポイント
なぜフィリピン人を採用したいのか
事業内容と業務内容
労働条件の詳細(給与、労働時間、休日)
受け入れ体制(住居、生活サポート)
面接では、企業が適正な雇用を行う意思と能力があるかが確認されます。誠実に回答し、労働者を大切にする姿勢を示すことが重要です。
面接に合格すると、認証印が押印された書類一式と推薦書が後日郵送されます。
ステップ5:MWOの承認を得てDMWに登録する
MWOからの承認書類を受け取ったら、エージェントを通じてDMWに書類を提出します。
手続きの流れ

この段階で、正式にフィリピン現地での募集活動が可能になります。所要期間は数週間程度です。
ステップ6:人材の募集・面接・採用を決定する
DMWへの登録が完了したら、人材の募集と面接に進みます。
募集方法: エージェントを通じて募集を行います。DMWに登録された求人情報を見た求職者が応募してきます。
【面接の実施】
- オンライン面接:Zoom、Skypeなどを使用
- 対面面接:企業担当者がフィリピンに渡航
【採用基準の例】
| 項目 | 内容 |
| スキル・経験 | 業務に必要な技能 |
| 日本語能力 | N4〜N3レベルが望ましい |
| コミュニケーション能力 | 協調性、積極性 |
| 人柄 | 価値観のマッチング |
| 長期就労の意欲 | 定着の見込み |
採用が決まったら、エージェントを通じて雇用契約を締結します。
ステップ7:在留資格認定証明書を申請しビザを取得する
最後のステップは、日本とフィリピン両国でのビザ関連手続きです。
日本側の手続き
- 地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請
- 審査期間:1〜3ヶ月
- 重要:認定証明書の有効期限は3ヶ月
フィリピン側の手続き
| 手続き | 内容 |
| 出国前オリエンテーション | OWWA(海外労働者福祉庁)が実施 |
| 健康診断 | DMW指定医療機関で受診 |
| OEC発行 | 海外雇用許可証(出国審査時に必須) |
| 査証発給 | 在フィリピン日本国大使館で申請 |
全ての手続きが完了したら、いよいよ来日となります。
重要な注意点
認定証明書の有効期限は3ヶ月です。この期間内に来日する必要があるため、フィリピン側の手続きを優先的に進めることが重要です。
5.日本在住フィリピン人を採用する場合の手続き

身分系ビザ以外はMWO審査が必要になる
日本在住のフィリピン人を採用する場合でも、在留資格の種類によってはMWO審査が必要です。
【MWO申請の要否】
| 在留資格 | MWO申請 |
| 永住者 | 不要 |
| 日本人の配偶者等 | 不要 |
| 定住者 | 不要 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 必要 |
| 特定技能 | 必要 |
| 技能実習 | 必要 |
手続きを省略した場合のリスク
MWO手続きを行わずに採用した場合、本人が一時帰国する際に重大な問題が発生します。
フィリピン出国時にOEC(海外雇用許可証)の提示を求められますが、OECがないと出国を拒否される可能性があります。
日本国内で在留資格を変更した場合でも、OECを取得するためには海外在住者採用と同様のMWO申請手続きが必要です。企業のコンプライアンスの観点からも、正しい手順で申請を行いましょう。
技能実習から特定技能への移行パターン
技能実習生として日本で働いているフィリピン人が、特定技能へ移行するケースが増えています。
【移行のメリット】
| メリット | 内容 |
| 試験免除 | 技能実習2号良好修了者は試験免除 |
| 即戦力 | 日本の職場文化を既に理解 |
| 長期就労 | 特定技能1号:最長5年、2号:在留期限なし |
移行手続きの流れ
- 受入機関と送り出し機関で募集取り決めの締結
- MWOへDMWへの登録申請
- MWOからの承認
- 送り出し機関経由で労働契約の締結
- 地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請
- 許可後、特定技能として就労開始
技能実習修了前に手続きを開始し、在留資格の空白期間を作らないようスケジュール管理が重要です。
国内在住者採用のメリットと活用ポイント
日本在住のフィリピン人を採用することには、海外からの採用にはない多くのメリットがあります。
【主なメリット】
| メリット | 詳細 |
| 日本文化への理解 | 生活習慣やビジネスマナーに慣れている |
| 高い日本語能力 | 日本での生活経験により上達 |
| ミスマッチの軽減 | 日本の労働環境を既に理解 |
| 即戦力 | 研修期間が短縮できる |
| 面接のしやすさ | 対面での面接が可能 |
| 手続きの簡素化 | OEC発行申請が不要(一部ケース) |
日本在住のフィリピン人は、既に日本社会に適応しているため、採用後の定着率も高い傾向にあります。
「特定技能」と「技能実習」の両制度の8つの重要な違いと、企業が適切な選択をするための判断基準について詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
6.フィリピン人採用を成功させる5つのポイント

信頼できるDMW認定エージェントを選ぶ
フィリピン人採用の成否は、エージェント選びで大きく左右されます。
【優良エージェントの見極め方】
| チェック項目 | 確認内容 |
| DMW認定 | 公式サイトで認定番号を確認 |
| 実績 | 送り出し人数・継続年数 |
| サポート内容 | 書類作成、面接、トラブル対応 |
| 手数料 | 15万〜50万円が相場 |
| 日本語対応 | 対応可否と質 |
| 連携体制 | 日本の人材紹介会社との提携 |
選定プロセス
最低でも3社のエージェントから見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをお勧めします。
登録支援機関を活用して義務的支援を確実に行う
特定技能外国人を雇用する場合、企業には義務的支援の実施が法律で義務付けられています。
特定技能の義務的支援(10項目)


【登録支援機関への委託メリット】
| メリット | 内容 |
| 専門知識 | 支援の専門家による確実な実施 |
| 多言語対応 | タガログ語での対応が可能 |
| コンプライアンス | 法令遵守が確実 |
| リソース節約 | 本業に集中できる |
| トラブル対応 | 迅速な問題解決 |
委託費用は月額2万〜3万円程度が相場です。初めての場合は委託することをお勧めします。
採用後の定着支援に力を入れる
採用はゴールではなく、スタートです。長期的に活躍してもらうための定着支援が不可欠です。
定着率の目標を設定し、離職した場合はその理由を分析して改善策を講じることが重要です。
文化的配慮とポジティブな職場環境をつくる
フィリピン人と日本人では文化や価値観が異なります。その違いを理解し、お互いを尊重する職場環境が成功の鍵です。
【文化的配慮のポイント】
| 配慮項目 | 具体的な対応 |
| 宗教行事 | クリスマス休暇、日曜のミサ参加を認める |
| 家族重視 | 長期休暇の取得、家族の緊急事態への理解 |
| コミュニケーション | ほめて伸ばす、人前で叱らない |
| 指示方法 | 明確で具体的な指示、曖昧な表現を避ける |
ポジティブな職場環境づくり
フィリピン人と日本人では文化や価値観が異なります。
クリスマスなどの宗教行事や家族との時間を尊重し、「ほめて伸ばす」コミュニケーションを心がけましょう。
人前で叱らず個別に指導し、明確で具体的な指示を出すことが重要です。
日本人社員への異文化理解研修や文化交流イベントを実施し、お互いを尊重する多様性のある職場環境をつくることが、定着率向上の鍵となります。
日本人社員への啓蒙
フィリピン人の受け入れを成功させるには、既存の日本人社員の理解と協力が不可欠です。
事前に異文化理解研修を実施し、フィリピンの文化・習慣、コミュニケーションの取り方、配慮すべきポイントを共有しましょう。
フィリピン料理を楽しむ会や文化交流イベントを開催することで、自然な相互理解が深まります。
偏見や差別を防ぎ、違いを価値として捉えるインクルーシブな職場文化を醸成することが、円滑な受け入れと長期的な定着につながります。
長期的な視点で人材育成を行う
短期的な成果だけを求めず、長期的な投資として人材育成に取り組むことが真の成功につながります。
育成の進捗管理
| 項目 | 評価サイクル |
| 日本語能力 | 6ヶ月ごとに評価 |
| 業務スキル | 3ヶ月ごとに評価 |
| キャリア面談 | 年2回実施 |
定期的なキャリア面談を行い、本人の希望やキャリアプランを把握しましょう。会社のニーズと本人の意向をすり合わせ、Win-Winの関係を構築することが長期的な定着につながります。
育成には時間とコストがかかりますが、長期的に見れば企業の成長への大きな貢献となります。
登録支援機関の役割から選び方まで、実務経験豊富な専門家の視点で、成功する外国人採用のポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
7.直接雇用禁止の免除申請について

免除申請が可能な業種・職種とは
原則としてDMW認定エージェントを通じた採用が必須ですが、一部の業種・職種では直接雇用禁止の免除申請が可能です。
【免除申請の条件】
| 条件項目 | 詳細 |
| 職種 | 高度技術・専門職(管理職、エンジニア、教授など) |
| 報酬 | DMWが要求する最低限度以上 |
| 学歴 | 大卒以上 |
| 経験 | 業務に関連する十分な専門知識・実務経験 |
対象となる可能性がある職種となりにくい職種


該当するかどうかは、DMWが個別に判断します。明確な基準はなく、ケースバイケースのため、申請前にDMWまたはMWOに事前相談することが必須です。
免除申請の流れと難易度
直接雇用禁止の免除申請は可能ですが、承認は非常に困難です。
【免除申請の流れ】
| ステップ | 内容 | 所要期間 |
| 1. 事前相談 | MWOまたはDMWに相談 | – |
| 2. 書類準備 | 雇用契約書、学歴証明書、職歴証明書など | 2〜4週間 |
| 3. 申請提出 | MWOまたはDMWに提出 | – |
| 4. 審査 | DMWによる審査 | 数週間〜数ヶ月 |
| 5. 結果通知 | 承認または却下 | – |
難易度が高い理由
- 労働者保護の観点⇒審査基準が非常に厳しい
- 高度な専門性の証明が必要⇒書類だけでの証明は困難
- 承認事例が少ない⇒実際の承認は極めて稀
承認されても制限がある
仮に承認されても、最大5人までという制限があります。追加で採用したい場合は、再度申請が必要です。
エージェント利用が確実で安全(事実状の推奨)
免除申請の難易度と不確実性を考えると、実務上はDMW認定エージェントを利用することを強くお勧めします。
免除申請は承認率が極めて低く、申請から結果が出るまで数ヶ月かかることもあります。仮に却下された場合、その間の時間とコストが無駄になってしまいます。
一方、エージェントを利用すれば確実に採用でき、手続きも大幅に簡素化されます。
エージェント利用のメリット
確実性:ほぼ100%採用が可能
時間短縮:免除申請より早く採用完了
専門サポート:書類作成から面接まで全面支援
トラブル対応:問題発生時も迅速に対応
リスク回避:法令違反や手続きミスを防げる
免除申請を検討すべきケースは、本当に高度な専門職で、少人数(5人以内)の採用を行う場合に限られます。
8.正しい知識と準備でフィリピン人採用を成功させよう

フィリピン人採用は、DMW・MWOという独自制度があり複雑に見えますが、これは労働者保護のための重要な仕組みです。
正しい知識と信頼できるエージェントのサポートがあれば、スムーズな採用が可能です。
文化的な違いを理解し、ほめて伸ばす姿勢で接することで、優秀な人材が長期的に活躍してくれます。まずはDMW認定エージェントに相談し、自社に合った採用計画を立てることから始めましょう。