人手不足に悩む企業が注目しているネパール人採用。
ネパール人の平均年収は約21万円と言われており、日本との給与格差が大きく、それ故に日本企業で働くことへの高いモチベーションがあります。
また、在日ネパール人が23万人を突破し採用市場も拡大、特定技能制度の充実により採用環境は整ってきています。
そこで本記事では、最新データに基づく年収分析から、文化的特性を考慮した採用成功のポイント、具体的なコスト試算まで、人事担当者が知るべき実践的な情報を包括的に解説していきます。
- ネパール人の平均年収21万円と日本との7倍格差が採用に与える具体的メリット
- 業種別年収データから見る最適な採用ターゲットの選定方法
- 成功企業の事例に学ぶ採用プロセスとROI92%を実現する投資効果
1.ネパール人の平均年収の最新データと分析

2025年最新:ネパール人の平均年収は約21万円
2024年5月、ネパールのバルシャマン・プン財務大臣が発表した2024年〜2025年予算において、ネパール人の1人当たり所得は1,456米ドルに達したと発表されました。
2024年1月時点の為替レート(1USD=146.11円)で計算すると、日本円にして約21万円となります。
この数値は複数のデータソースからも裏付けられています。
The Kathmandu Postの報道によると、この所得水準は前年から若干の増加を示していますが、依然として世界的に見て低い水準にあります。
また、世界中の平均給与データを公開する「AVERAGE SALARY SURVEY」では、ネパール人の一般的な平均年収を524,888ルピー(約57万円)と算出しています。
しかし、これは高所得層を含むデータであり、政府発表の中央値により近い数値がより実態を反映していると考えられます。
信頼できるデータソースと数値の妥当性について、ネパール財務省の公式発表は同国の税収データや経済統計を基にしており、国際機関との整合性も保たれています。
日本の採用担当者が参考にすべき基準値として、年収21万円という数値は十分な根拠を持つデータといえるでしょう。
日本との7倍年収格差が生む採用の圧倒的メリット
日本の平均年収460万円(国税庁「民間給与実態統計調査」2022年)と比較すると、ネパール人の年収は日本の約22分の1、つまり日本で働くことで約22倍の収入増が期待できる計算になります。
この大きな格差こそが、高いモチベーションと定着率の実現など、企業にとって採用メリットを生み出しています。
ネパール人労働者の多くが月5〜10万円を家族に送金しており、日本での月収20万円は母国での年収に匹敵します。
そのため、「絶対に仕事を失うわけにはいかない」という強い責任感を持って勤務に臨み、離職率の低さにも直結しています。
企業側の人件費効率と投資対効果を考えると、この格差は採用コストの最適化にも寄与します。
ネパール人材は同等のスキルを持つ日本人と比較して初期給与を抑えながら採用でき、かつ向上心が高いため早期に戦力化が可能です。
実際の事例では、ネパール人採用により人件費を30%削減しながら、品質向上と納期短縮を同時に実現した建設業界の企業もあります。
業種別年収から見る採用ターゲットの見極め方
ネパール国内での業種別年収データは、日本企業の採用戦略において重要な指標となります。
JICA「ネパール2018年経済センサス確報結果」に基づく分析では、以下のような業種別格差が明らかになっています。
業種 | ネパール年収(NPR) | 日本円換算 |
電気・ガス・熱供給業 | 77万ルピー | 約82万円 |
情報・通信業 | 72万ルピー | 約77万円 |
上下水道業 | 59万ルピー | 約63万円 |
鉱業・採石業 | 59万ルピー | 約63万円 |
芸術・娯楽・レクリエーション業 | 18万ルピー | 約19万円 |
農林水産業 | 18万ルピー | 約19万円 |
サービス業 | 15万ルピー | 約16万円 |
教育業 | 14万ルピー | 約15万円 |
IT・情報通信業人材の市場価値に注目すると、ネパール国内でも相対的に高収入を得ている層であり、これは技術レベルの高さを示しています。
日本のIT企業がネパール人エンジニアを採用する場合、すでに一定の技術基盤を持つ人材を確保できる可能性が高く、研修コストの削減にもつながります。
日本企業のニーズとマッチする職種分析では、電気・ガス業界出身者は日本の製造業やインフラ系企業で即戦力となりやすく、情報通信業経験者はIT・Web業界での活躍が期待できます。
一方、農林水産業出身者は基本的な作業スキルと勤勉性を併せ持ち、建設業や製造業での現場作業において高い適応性を示す傾向があります。
2.ネパール人が日本を選ぶ理由と企業の採用優位性

最低賃金月額1万8400円が示す日本への強い就労ニーズ
ネパール政府は2022年に最低賃金を月額17,300ネパール・ルピー(NPR)に改定し、2025年現在もこの水準が維持されています。
2025年5月2日時点の為替レート(1NPR=1.06円)で換算すると約1万8,400円となり、これは日本の最低賃金(全国平均時給930円×月160時間=約14万9,000円)の約8分の1に相当します。

近隣国との比較では、この金額はバングラデシュやスリランカの最低賃金と同程度であり、インド(ニューデリー)の約半分に相当します。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査「2026年にLDC卒業のネパールのポテンシャル」によると、ネパールは後発開発途上国からの卒業を控えていますが、それでも賃金水準の大幅な改善は見込まれていません。
出稼ぎ市場における日本の競争優位性を考えると、この低い最低賃金水準が、ネパール人労働者にとって日本での就労を魅力的な選択肢にしています。
実際に、外国人雇用局(DoFE)のデータでは、2024年〜2025年の8ヶ月間に53万人以上のネパール人が海外就労を求めて出国しており、このうち日本を選択したのは1,966人でした。
まだ少数ですが、治安や労働環境の良さから今後日本で働くネパール人は増えると予想されます。
ネパール人材が持つ5つの採用メリット
実際の採用現場で確認されているネパール人材の特徴を、具体的なメリットとして整理すると以下の5点に集約されます。
①家族への仕送り目的による高い勤労意欲
令和6年末時点で日本に在留しているネパール人は23万3,043人となり、国籍別でブラジルに代わって第5位になりました。
多くのネパール人は家族のために海外へ出稼ぎしている傾向があり、日本での就労で得る収入はネパールの数十倍で、家族にとって数万円の送金が重要な収入源となっています。
そのため、仕事に対して真面目に取り組む勤勉な人が多く、「少しでも稼ぎたい」と考えて率先して残業や夜勤に入るネパール人も少なくありません。
②チームワークと協調性の高さ
ネパールでの社会は集団志向が強い傾向があります。職場での協力や他人との調和など、チームワークが重要という考え方が根付いています。
家族を大切にする価値観は、職場でも他人との協力を重んじる姿勢に反映されており、しっかりとコミュニケーションを取り、対人関係を円滑に保とうとする人が多いです。
③多言語能力と学習意欲
ネパールは四季もある日本に似た特色をもつ国で、公用語が日本語と似ているため日本語の習得が早いといわれています。
また、英語教育も小さな頃から行うため、英語が得意な人も多く、多言語話者が多い環境で言語習得能力が高い傾向があります。
④日本の労働環境への適応力
ネパール人から見ると、日本の労働環境の良さは魅力のひとつです。
日本では人種に関わらず外国人労働者も平等に扱うとの法律の定めがあり、最低賃金などの待遇の保障や福利厚生の補償を中心に、労働環境の良さに惹かれて日本で働きたいと考えるネパール人は多いようです。
⑤年功序列文化との親和性
ネパールでは年上の人を敬う文化が根付いており、家族はもちろんのこと、上司など年配者を大切にする人が多いです。
日本でも勤続年数や年齢に応じて給料が上がったり役職が与えられたりする年功序列の文化があるため、ネパール人は日本での就労と相性が良いとされています。
失業率10.7%が生む人材確保のチャンス
TRADING ECONOMICSの最新データによると、ネパールの失業率は10.7%(2023年)に達しており、特に若年層の就職難が深刻化しています。
ネパール国内では就職先が不足している傾向があり、他のアジア諸国と比べて雇用機会や稼げる産業が少ない状況です。
ネパール国内の雇用情勢と海外出稼ぎトレンドを見ると、myRepublicaの報道によれば、ネパールを出国した若者のうち32.41%の人がUAEに移住しており、他にもサウジアラビア・カタール・クウェート・マレーシアに移住しているネパール人もいます。
国外で出稼ぎをする人は珍しくなく、人口約2969万人の内、約695万人の約20%もの労働者が海外に出て働いています。
【ネパールの雇用状況比較表】
指標 | ネパール | 日本 | 差異 |
---|---|---|---|
失業率 | 10.7% | 2.6% | 4倍以上の差 |
若年層失業率 | 約20% | 4.1% | 5倍の差 |
労働人口 | 約1,000万人 | 約6,900万人 | – |
失業者数 | 約107万人 | 約179万人 | – |
日本を選択する理由としては、治安の良さと技術習得機会の豊富さが挙げられます。
近年は治安の良さや仕事内容と賃金の良さなどから、日本で働きたいと思うネパール人が増えています。
中東諸国での労働では治安や教育環境などの問題が指摘されており、治安が良く教育面も進んでいる日本の人気が高まりつつあります。
競合企業に先駆けた採用の重要性を考えると、現在日本への出稼ぎを選ぶネパール人は全体の約4%にとどまっています。
しかし、日本での就労実績が着実に増加しているネパール人材で、高齢化が進む日本に対してネパールの平均年齢は20代中ごろと若く、将来的にも継続して若者が活躍してくれる見込みがあります。
企業にとってのチャンスの構造
【人材確保機会の分析表】
要素 | 現状 | 企業への影響 | チャンス度 | 詳細解説 |
---|---|---|---|---|
国内失業者数 | 107万人 | 豊富な人材プール | ★★★★★ | ネパール総人口2,969万人の約3.6%が失業状態。これは日本企業が選択できる潜在的な労働力が100万人以上存在することを意味します。特に20-30代の若年層が多く、長期雇用に適した人材が豊富です。 |
日本選択率 | 0.37% | 競合少ない | ★★★★★ | 年間53万人が海外出稼ぎする中で日本を選ぶのは2,000人未満。**他国企業との競争が極めて少ない「ブルーオーシャン市場」**です。中東諸国とは異なる労働環境や技術習得機会で差別化が容易です。 |
若年層比率 | 平均年齢23歳 | 長期雇用可能 | ★★★★ | ネパールの人口ピラミッドは若年層に厚く、採用した人材を20-30年間活用できる可能性があります。定年まで働く前提で投資回収計画を立てられるため、研修費用も正当化できます。 |
技術レベル | IT・電気系高収入 | 即戦力確保 | ★★★★ | 国内で高収入を得ていた層(IT業界76万円、電気業界82万円)も失業者に含まれます。日本企業は既存スキルを活用しながら、現地より大幅に高い給与で優秀人材を確保できます。 |
なぜ今がチャンスなのか? 3つの理由
日本企業にとってネパール人材を採用することは、今後の大きなチャンスになっていきますがその理由は3つあります。
3.ネパール人採用成功のための実践ポイント

ネパール人の働き方特性と効果的な活用法
ネパール人を効果的に活用するためには、彼らの文化的背景を理解した上で、適切な対処法を実践することが重要です。
時間感覚(ネパリタイム)への具体的対処法
ネパール人と日本人では時間感覚が異なります。
日本人から見ると、ネパール人は大ざっぱだと感じやすく、「約束を忘れる」「会議に遅れてくる」など、時間に対してルーズな人は少なくありません。
こういった時間感覚は「ネパリタイム(ネパール時間)」と呼ばれています。これは交通事情や停電などの外的要因により、予定通り進まないことが日常的だった環境によるものです。
日本人と異なるのは、時間感覚です。ネパール人は、時間に対してとてもルーズな性格。ネパール人は時間を守れないのです。
約束をしていても時間に遅れてくるのは当たり前で、それを悪いとは思わず反省をすることもありません。そんな時間にルーズな性格を「ネパリタイム」と呼びます。
ネパール人自身も時間にルーズな性格ということを自覚していて、遅れてきても「ネパリタイムだよ」と逆に開き直ってしまい、悪いとは思わないようです。
グローバル採用ナビ「ネパール人の採用が成功するポイントは?」
ネパリタイムの対処法
宗教的配慮(ヒンドゥー教81.3%)の実践方法
外務省の「ネパール基礎データ」によると、ネパールではヒンドゥー教徒の割合が81.3%と高く、次いで仏教徒が9.0%、イスラム教徒が4.4%となっています。
ヒンドゥー教において牛は神聖な動物とされているため、牛肉を食べるのは禁忌です。
ただし、インドのヒンドゥー教徒に比べると、ネパール人の敬虔の度合いは低く、牛肉の忌避以外の配慮は基本的に不要です。
宗教的配慮の実践的配慮方法
食事関連の配慮
- 社員食堂・弁当で牛肉使用料理の明確な表示・分離
- 歓送迎会では豚肉・鶏肉・魚介類中心のメニュー選択
- 牛由来の調味料(ビーフエキス等)への注意
- 宗教的制約について入社時に個別確認
- ハラール対応が必要な場合の代替手段準備
宗教行事・休暇への対応
- ダサイン祭(10月頃)の1〜2日休暇への理解
- ティハール祭(11月頃)等の主要祭事情報の事前把握
- 宗教的祭日の年間カレンダー作成・共有
- 有給休暇を宗教行事に充てることへの柔軟な対応
- 代替勤務体制の事前調整
職場環境の整備
- 簡易的な祈りスペースの確保(可能な範囲で)
- 宗教的シンボルの着用(アクセサリー等)への理解
- 宗教的理由による服装規定の柔軟な適用
- 断食期間中の勤務時間調整の検討
集団志向を活かしたチーム編成のコツ としては、ネパール人は個人プレーよりもチームでの協力を重視する傾向があります。
この特性を活かしたチーム編成により、生産性向上が期待できます。
効果的なチーム編成として、ネパール人2〜3名でのグループ配置、経験豊富なネパール人をリーダーに指名、チーム成果に対する評価制度の導入、定期的なチームビルディング活動の実施が推奨されます。
給与・福利厚生設計で定着率を向上させる戦略
ネパール人の価値観を理解した給与・福利厚生設計により、定着率を大幅に向上させることができます。
可処分所得を重視する特性への対応
ネパール人は給与の絶対額よりも、実際に手元に残る金額(可処分所得)を重視します。
これは家族への送金額に直結するためです。マイナビグローバルの調査によると、どれだけ仕送りができるかが重要になるため、ネパール人は給与額というよりも可処分所得を重要視します。
【可処分所得を重視する特性への具体的な対応策】
対応分野 | 具体的対策 | ネパール人への影響 | 企業側のメリット |
---|---|---|---|
住居費削減 | 企業寮・社宅提供 | 送金額大幅増加 | 定着率90%以上 |
家賃補助制度 | 住居探しストレス軽減 | 採用競争力向上 | |
シェアハウス斡旋 | 同国人とのつながり | 管理コスト削減 | |
生活費圧縮 | 社員食堂・食事補助 | 栄養バランス改善 | 健康管理効果 |
生活用品支給 | 初期負担軽減 | 早期戦力化 | |
通信費補助 | 家族連絡頻度増加 | 精神的安定 | |
交通費最適化 | 通勤手当全額支給 | 通勤ルート自由選択 | 遅刻リスク軽減 |
社用車・送迎バス | 時間効率化 | 一括管理可能 | |
収入増加支援 | 残業機会提供 | 送金目標達成 | 生産性向上 |
夜勤手当充実 | 24時間体制構築 | 操業効率向上 | |
技能手当制度 | スキルアップ意欲 | 人材レベル向上 |
住居費は日本での生活費の最大要因です。
例えば、家賃補助や寮などがあると非常に喜ばれ、逆に仕送りが難しくなってしまうような雇用条件では求人募集をかけても応募が集まりにくいということです。
寮・住居支援の設計ポイントとして、月額3万円以下の個室寮が理想的、WiFi・家具付きで初期コストを削減、同国出身者との相部屋オプション、最寄り駅からの交通アクセス重視が重要です。
また残業や夜勤への参加意欲が高い特徴があります。少しでも多く稼ぎたいと考えているため、残業や夜勤などを率先して入りたがる場合もあります。
この特性を活用した人員配置により、企業の生産性向上が実現できます。
効果的な活用方法として、残業代の確実な支払いと事前明示、夜勤手当の充実(時給+200〜300円)、月末の残業時間・収入の個別フィードバック、頑張りを評価する表彰制度の導入をすることをおすすめします。
採用面接で見極めるべき重要ポイント
ネパール人採用の成功には、面接での適切な見極めが不可欠です。
以下の4つのポイントに注目することで、採用後のミスマッチを大幅に削減できます。

【①日本語能力と学習意欲の評価方法 】
ネパール語は日本語と同じ文法なので覚えやすく、日本語学習に前向きな人が多いです。N4レベル(日常会話可能)以上を基準とし、「なぜ日本語を学ぼうと思ったか」の動機を確認します。
継続学習への意欲を具体的な計画で確認し、実際の業務場面を想定した簡単なロールプレイングを実施することが重要です。
【②家族状況と仕送り計画の把握】
家族構成と経済状況の基本情報を収集し、月間送金予定額とその使途、緊急時の家族サポート体制、長期的な家族計画(呼び寄せ予定等)を確認します。
これらの情報は定着率や勤労意欲に直結するため、慎重に評価する必要があります。
【③長期就労への意欲と適応力の確認】
日本での3〜5年後のキャリアビジョン、過去の職歴での継続期間と離職理由、困難な状況での対処方法の具体例、日本の生活環境への期待と不安を確認します。
特定技能制度を活用すれば、一定の技能と日本語力を持ったネパール人材を受け入れることができ、長期的な戦力としての育成も可能です。
【④文化的多様性への対応力 】
他国出身者との協働経験、言語や文化の違いを乗り越えた成功体験、日本文化への関心度と学習意欲、宗教的制約と職場での対応可能性を評価します。
ネパール人は英語を使える方も多く、日常から多重民族で様々な言語で交流しており、語学学習に積極的である場合が多いです。
4.具体的な採用プロセスと成功事例

在留資格別の最適な採用ルート選択
ネパール人採用では、在留資格の選択が採用成功の鍵となります。それぞれの特徴を理解し、企業のニーズに最適なルートを選択することが重要です。
特定技能1号・2号の活用シーン
特定技能1号は最も活用しやすい在留資格で、建設、製造、外食、介護、農業等16分野が対象となっています。
在留期間は通算5年まで、家族帯同は不可ですが、転職は同一分野内で可能です。農業分野を例に挙げると、技能実習生数および特定技能外国人数の推移は上昇傾向にあります。


特定技能2号は2023年から大幅に拡大され、在留期間は3年、1年、6ヶ月で更新、家族帯同は配偶者・子まで可能で、長期雇用を前提とした採用に最適です。
特定技能1号は通算で5年まで、特定技能2号は3年か1年または6ヶ月ごとと、就労可能な年数の長さも圧倒的な魅力です。
技術・人文知識・国際業務での採用条件
大学卒業レベルの高度人材を対象とし、学歴要件は大学卒業または専門学校卒業、職務内容は通訳、設計、企画、営業等、在留期間は5年、3年、1年で家族帯同が可能です。
日本では他国と比べて高度な技術と産業の発展が進んでいる傾向があり、ネパール人にとって日本での就労は専門知識や技術を学ぶ絶好の機会となります。
現地採用vs国内採用のメリット・デメリット
現地採用の場合、費用は100〜200万円、期間は6〜12ヶ月、優秀層確保が可能ですが適応性が未知数というリスクがあります。
国内採用の場合、費用は50〜100万円、期間は2〜4ヶ月、経験者中心で実績確認が可能ですが、限られた人材プールという制約があります。
業界別採用成功事例に学ぶベストプラクティス
実際のConnect Job支援事例から、業界別の成功パターンを分析します。
建設業:ネパール現地選考会で10名内定獲得
株式会社吉勝重建様の事例では、現地での直接面接による人物評価を重視し、技術レベルよりも人柄・意欲を優先評価しました。
住居・生活サポート体制を事前整備し、段階的な責任拡大によるモチベーション維持を図りました。
採用プロセスは、現地説明会での企業魅力発信(200名参加)、1次選考で書類+動画面接(50名選抜)、2次選考で現地対面面接(20名選抜)、最終選考で社長面接+条件調整(10名内定)という流れで実施されました。
半導体業界:現地選考会で50名の大量採用成功
株式会社ビーネックステクノロジーズ様の事例では、エンジニア職種での技術レベル重視選考、英語によるテクニカルインタビュー実施、入社後の研修プログラム充実、キャリアパスの明確な提示を行いました。
特徴的な取り組みとして、現地大学との連携による優秀層確保、オンライン技術テストによる事前スクリーニング、文化適応研修と技術研修の並行実施、定期的なフォローアップによる定着支援を行いました。
外食業界:1000名応募から50名採用の事例
株式会社HUGE様の事例では、大量応募を活用した厳選採用、サービス業適性の徹底的な見極め、多店舗展開によるキャリア機会提供、同国出身者コミュニティの形成支援を行いました。
採用の工夫として、動画による接客シミュレーション選考、日本文化への理解度チェック、チームワーク重視の集団面接、実際の店舗での職場体験実施などを行いました。
設計業界:語学力不問での技術職採用
株式会社尾崎設計事務所様の事例では、CADスキル等の技術力重視、AI翻訳ツール活用による言語バリア解決、図面中心のコミュニケーション環境整備、段階的な日本語学習支援を実施しました。
革新的な取り組みとして、リアルタイム翻訳システム導入、図面・3Dモデルによる業務指示、多言語対応マニュアル整備、技術スキル向上への投資を行いました。
採用コスト試算と投資効果の最大化
ネパール人採用の投資効果を最大化するためには、正確なコスト試算と投資回収期間の設定が不可欠です。
人材紹介会社利用時の費用構造
【基本料金体系比較表】
費用項目 | 現地採用 | 国内採用 | 備考 |
---|---|---|---|
紹介手数料 | 年収の3-6ヶ月分 | 年収の2-4ヶ月分 | 成果報酬型が一般的 |
渡航・手続き費用 | 30-50万円/人 | 10-20万円/人 | ビザ申請・航空券含む |
在留資格申請費用 | 10-30万円/人 | 5-15万円/人 | 行政書士費用込み |
住居・生活初期費用 | 20-40万円/人 | 15-25万円/人 | 保証金・家具・生活用品 |
通訳・翻訳サポート | 5-10万円/人 | 3-8万円/人 | 初期3ヶ月間 |
現地選考会開催の具体的コスト
10名採用目標の場合、現地渡航費用100〜150万円(担当者2名×1週間)、会場・通訳費用50〜100万円、現地広告・募集費用50〜100万円で、合計200〜350万円(1名あたり20〜35万円)となります。
ROI計算と投資回収期間の設定
採用コスト合計150万円/人の場合、月次コスト削減効果5万円(日本人採用との差額)、生産性向上効果3万円(高いモチベーションによる)、月次投資回収額8万円で、投資回収期間は19ヶ月(150万円÷8万円)となります。
3年間の累積効果では、投資回収額288万円(8万円×36ヶ月)、純利益138万円(288万円-150万円)、ROI92%(138万円÷150万円)となります。
成功企業と失敗企業の違いや、成功企業が実践する7つの取り組みなど外国人を採用して成功している企業の取り組みなどもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
5.2025年以降のネパール人採用戦略

在日ネパール人23万人突破が示す採用競争の激化
出入国在留管理庁の最新データによると、在日ネパール人数は23万3,043人に達し、ブラジルを抜いて国籍別第5位に躍進しました。
この急激な増加は、今後の採用市場に大きな変化をもたらす重要なシグナルです。
在留外国人数の推移と今後の予測
過去5年間の推移を見ると、2019年9万2,000人から2024年23万3,000人へと大幅に増加しており、この成長率(年平均27%増)が続けば、2027年には40万人を超える計算になります。
これは中国、ベトナム、韓国に次ぐ規模となり、日本の外国人労働市場において無視できない存在となります。
特定技能での在留者数は対前年末増減率46.5%と飛躍的に増加しており、ネパール人の特定技能労働者は他国と比べても、またネパール人在留者の中で比較しても近年増加傾向にあります。
特定技能制度拡大による影響
2023年6月の特定技能制度改正により、対象分野が12分野から16分野に拡大され、特定技能2号の分野も大幅に拡大されました。
これにより、より多くのネパール人が日本での長期就労を選択する環境が整いました。
特に注目すべき変化として、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が新規追加、特定技能2号による家族帯同が可能な分野の拡大、永住権取得への道筋の明確化があります。
早期参入による人材確保の優位性
現在はまだ「先行者利益」を享受できる段階です。
ネパール人の外国人労働者の数は今急激に増加していますが、これから特定技能は2号の分野拡大などもあるため、さらに外国人の受け入れが拡大し、競争率が高まっていくことが予想されます。
成功企業になるための具体的行動計画
ネパール人採用を成功させるためには、段階的かつ戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、以下の4つのステップでの進め方を紹介していきます。
①社内合意形成のプレゼンテーション要素
- 日本:深刻な人手不足(有効求人倍率1.3倍)
- ネパール:失業率10.7%、優秀な人材が豊富
- 競合:大手企業の本格参入はまだ少数である
この背景からしっかりプレゼンで重要ポイントをおさえていくことが重要です。
この構成により、経営陣が判断しやすい論理的で実践的な提案が可能になります。
信頼できる人材紹介会社の選定基準
ネパール人採用の成否は、パートナー企業選びで大きく左右されます。
必須条件として、ネパール現地での直接的な人材確保ルート、在留資格申請での豊富な実績、入社後のフォローアップ体制、採用から定着まで一貫したサポートが求められます。
段階的な採用規模拡大の戦略
初回採用での失敗リスクを最小化しつつ、将来の拡大に向けた基盤を構築する戦略的アプローチとして、第1段階(パイロット採用)で2-3名を6ヶ月間、社内受け入れ体制の確立と課題の洗い出しに重点を置きます。
第2段階(拡大採用)で5-10名を12ヶ月間、効率的な採用プロセスの確立を目的とし、標準化されたオンボーディングプロセスの構築に重点を置きます。
第3段階(本格展開)で10-30名を継続的に、安定的な人材供給体制の構築を目的とし、現地での企業認知度向上とブランディングに重点を置きます。
受け入れ体制整備のチェックポイント
成功する採用のために事前に整備すべき項目があります。そのためのチェック項目があるので事前にチェックしながら準備を整えていきましょう。
外国人採用の注意点を理解した上での適切な準備と対策をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
6.ネパール人採用で競争優位を築く時代の到来

在日ネパール人23万人突破、平均年収21万円との格差によるモチベーション、特定技能制度の拡充。これらの要因が重なる今こそ、ネパール人採用の絶好のタイミングだといえるでしょう。
適切な受け入れ体制と文化理解が整えば、高い投資効果を実現できるかもしれません。競合企業に先駆けて行動し、持続可能な人材確保戦略を構築してみてはいかがでしょうか。