外国人採用を検討している企業の人事担当者の皆様、「必要書類が多すぎて何から手をつけていいかわからない」「手続きミスで法的リスクを負いたくない」とお悩みではありませんか?
外国人採用は日本人採用と比べて準備すべき書類が格段に多く、在留資格の確認からビザ申請、各種行政機関への届出まで複雑な手続きが求められます。
この記事では、外国人採用に必要な書類を時系列で整理し、確実な採用を実現するための完全ガイドをお届けします。
- 外国人採用に必要な全書類と企業・外国人の責任分担が明確になる
- 面接から入社後まで時系列での手続きの流れとスケジュール管理方法がわかる
- 法的リスクを回避し、書類不備を防ぐための実務ポイントが身につく
1.外国人採用で必要となる書類の全体像

日本人採用との5つの大きな違い
外国人採用は日本人採用と比べて、以下の5つの点で大きく異なります。これらの違いを理解することが、スムーズな外国人採用の第一歩となります。
1. 在留資格の確認と管理
外国人は日本で働くために適切な在留資格を持っている必要があります。
単に在留カードを持っているだけでは不十分で、就労が認められた在留資格か、または資格外活動許可を得ているかの確認が必須です。在留資格によって従事できる業務内容に制限があるため、採用予定の業務と整合性を取る必要があります。
2. ビザ申請・変更手続きの複雑性
採用する外国人の状況に応じて、在留資格認定証明書の申請、在留資格変更許可申請、就労資格証明書の申請など、複雑なビザ手続きが必要になります。
これらの手続きには1ヶ月から6ヶ月程度の期間を要し、書類の準備にも専門知識が求められます。
3. 各種行政機関への届出義務
出入国在留管理庁への「契約機関に関する届出」や「活動機関に関する届出」、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」など、外国人特有の届出が法的に義務付けられています。
これらの届出を怠ると罰金等のペナルティが科される可能性があります。
4. 言語対応と多言語書類の作成
雇用契約書や就業規則などの重要書類は、外国人が理解できる言語での作成が推奨されます。特に雇用契約書は、トラブル防止のため母国語または英語での併記が重要です。
誤解や認識の相違を防ぐため、専門用語の説明や注釈の追加も必要になります。
5. 文化的配慮と法的リスク管理
面接時の質問内容や書類の取り扱いについて、差別防止法令への配慮が必要です。また、偽造在留カードの見分け方など、外国人採用特有のリスク対策も求められます。
さらに、宗教的配慮や文化的多様性への理解も重要な要素となります。
書類準備の3つのフェーズと全体スケジュール
外国人採用における書類準備は、以下の3つのフェーズに分かれます。
各フェーズで適切な準備を行うことで、手続きの遅延やトラブルを防げます。
フェーズ | 期間 | 主な手続き | 重要な締切 | 関係書類数 |
面接・選考段階 | 1-2週間 | 在留資格確認、パスポート確認、履歴書での在留資格記載確認 | 内定通知前まで | 約5種類 |
入社前(内定後) | 1-6ヶ月 | 雇用契約書作成、ビザ申請、各種書類準備 | 入社予定日の1-3ヶ月前 | 約20種類 |
入社後 | 1ヶ月以内 | 各種届出、社会保険手続き、税務手続き | 入社から14日以内が多数 | 約10種類 |
採用パターン別のスケジュール詳細

企業側・外国人側の責任分担一覧表
外国人採用における書類準備の責任分担を明確にしておくことで、手続きの漏れを防ぎ、効率的な準備が可能になります。
書類カテゴリ | 企業側の責任 | 外国人側の責任 | 確認ポイント |
基本契約書類 | 雇用契約書作成、就業規則準備、労働条件通知書作成 | 契約内容の確認・署名 | 多言語対応、停止条件記載 |
ビザ申請書類 | 会社関係書類作成、申請代行(委任状有り) | 個人書類準備、申請書記入 | 書類の整合性、期限管理 |
身分証明書類 | 在留カード・パスポートの確認・コピー保管 | 原本提示、有効期限管理 | 偽造対策、真正性確認 |
学歴・職歴証明 | 確認・評価、翻訳手配 | 卒業証明書・職歴証明書の取得 | 公証翻訳、認証取得 |
健康関係 | 健康診断受診の案内、結果確認 | 健康診断書の取得 | 受診時期、検査項目 |
社会保険手続き | 各種保険の加入手続き | 必要書類の提出協力 | 加入要件、期限遵守 |
行政機関届出 | 外国人雇用状況届出、各種資格取得届 | 住民票・個人情報の提供 | 届出期限、記載内容 |
税務関係 | 源泉徴収、年末調整 | 扶養控除申告書記入 | 居住者判定、控除適用 |
効果的な責任分担管理のコツ
- チェックリストの共有
企業と外国人候補者の双方が使用できる詳細なチェックリストを作成し進捗状況を共有する - 定期的な進捗確認
週次または隔週での進捗確認ミーティングを実施し、遅延リスクを早期発見 - 書類提出のデッドライン設定
各書類に明確な提出期限を設定し、余裕をもったスケジュールを組む - 専門家との連携
行政書士や社会保険労務士等の専門家と連携し、複雑な手続きをサポート - 多言語サポート体制
翻訳サービスや通訳スタッフを活用し、言語の壁を取り除く
2.面接・選考段階で確認すべき必須書類

在留カードによる就労可否の正確な確認手順
面接段階で最も重要なのは、候補者が現在持っている在留資格で就労可能かどうかの確認です。
以下の段階的チェックを必ず実施してください。
第1段階
在留カード表面の「就労制限の有無」欄の確認

在留カード表面の中央部分にある「就労制限の有無」欄を確認します。
- 「就労不可」: 原則として就労できません(資格外活動許可の有無を要確認)
- 「就労制限なし」: 職種・労働時間に制限なく就労可能
- 「○○に限り就労可」: 記載された条件内でのみ就労可能(例:「法律・会計業務に限り就労可」)
第2段階
在留カード裏面の「資格外活動許可欄」の確認

表面で「就労不可」となっていても、裏面の資格外活動許可欄に以下の記載があれば就労可能です。
- 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」: アルバイト・パート可能
- 「許可(資格外活動許可書により指定された範囲内の活動)」: 指定条件内で就労可能
留学生の場合、正社員として28時間以上雇用したい場合は、在留資格の変更が必要になります。
第3段階
在留カード偽造対策の実施
偽造在留カードによる雇用は不法就労助長罪の対象となるため、以下の方法で真正性を確認してください。
偽造対策とは?
- 在留カード等読取アプリの活用
- 出入国在留管理庁が提供する無料アプリをダウンロードで確認する
- ICチップの情報を読み取り、偽造・改ざんの有無を確認
- スマートフォンで簡単に確認可能、その場で結果が分かる
- 在留カード等失効情報照会の利用
- 出入国在留管理庁のWebサイトで確認
- カード番号を入力し、失効していないかを確認
- 24時間いつでも確認可能
- 目視による確認ポイント
- ホログラムの光り方と角度による色の変化
- 文字の印刷品質とにじみの有無
- カード表面の手触りと厚み
- 写真の貼り付け状況
パスポートで確認すべき6つのチェックポイント
パスポートは在留カードと併せて確認が必要な重要書類です。以下の6つのポイントを必ずチェックしてください。
履歴書・職務経歴書での適切な在留資格確認方法
面接時の在留資格確認は、差別と誤解されないよう適切な方法で行う必要があります。職業安定法に基づく適切な確認方法を実践してください。
推奨される確認方法
1. 履歴書・職務経歴書への記載依頼
- 応募書類に在留資格の記載欄を設ける
- 記載項目:「現在の在留資格」「在留期限」「就労制限の有無」
- 任意記載として国籍欄を設けることも可能
⇒これにより面接で直接尋ねる必要がなくなります。
2. 面接での適切な質問方法
適切な質問の例
- ⭕「現在の在留資格で当社の業務に従事することは可能でしょうか?」
- ⭕「在留資格について確認させていただけますでしょうか?」
- ⭕「就労に関して何か制限はございますか?」
不適切な質問例
- ❌「国籍はどちらですか?」
- ❌「どちらの国のご出身ですか?」
- ❌「在留カードを見せてください」(面接時)
職業安定法に基づく重要な注意点
差別禁止事項
- 国籍、民族、社会的身分による差別は法的に禁止
- 在留資格の確認は業務上必要な範囲に限定する
- 宗教や政治的思想に関する質問は避ける
個人情報の取り扱い
- 在留カード・パスポートの長期保管は厚生労働省により禁止
- 確認後は速やかに返却し、必要に応じてコピーを保管する
- 個人情報保護法に基づく適切な管理が必要
- 採用に至らなかった場合の書類は速やかに廃棄する
面接記録の作成ポイント
- 在留資格確認の結果を記録しておく
- 確認方法と確認日時の記載をする
- 複数の面接官による確認の実施
- 法的リスクを回避するための証拠保全
3.入社前(内定後)に必要な書類と手続き

企業側で準備すべき必須書類15種類
内定通知後、企業側で準備が必要な書類は以下の通りです。ビザ申請や雇用手続きに直結する重要な書類のため、不備がないよう注意深く準備してください。
書類名 | 用途 | 作成時の注意点 | 有効期限 |
1. 雇用契約書 | ビザ申請・労働契約 | 多言語対応、停止条件記載 | – |
2. 労働条件通知書 | 労働基準法対応 | 法定記載事項の網羅 | – |
3. 就業規則 | 労働条件明示 | やさしい日本語版推奨 | – |
4. 会社概要・パンフレット | ビザ申請添付 | 事業内容の詳細記載 | 最新版 |
5. 組織図 | ビザ申請添付 | 採用ポジションの明記 | 最新版 |
6. 登記事項証明書 | ビザ申請添付 | 履歴事項全部証明書 | 3ヶ月以内 |
7. 決算書類 | ビザ申請添付 | 直近年度分 | 最新決算期 |
8. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表 | ビザ申請添付 | 税務署受付印要 | 前年度分 |
9. 雇用理由書 | ビザ申請添付 | 採用理由の詳細説明 | – |
10. 在留資格申請書 | ビザ申請 | 正確な記載必須 | – |
11. 写真(縦4cm×横3cm) | ビザ申請用 | 申請3ヶ月以内撮影 | 3ヶ月 |
12. 返信用封筒 | ビザ申請 | 宛先明記・切手貼付 | – |
13. 委任状 | 代理申請時 | 本人署名・押印 | – |
14. 採用内定通知書 | ビザ申請参考 | 条件明示 | – |
15. 職務内容説明書 | ビザ申請添付 | 詳細な業務内容記載 | – |
重要な作成ポイント
会社関係書類の注意事項
- 登記事項証明書は履歴事項全部証明書を取得
- 決算書類は貸借対照表・損益計算書の両方が必要
- 法定調書合計表は税務署の受付印があるものを使用
- 会社案内は事業内容が詳細に記載されたものを準備
雇用理由書の記載内容
- なぜその外国人を採用するのかの具体的理由
- 業務内容と外国人の専門性・学歴・職歴との関連性
- 日本人ではなく外国人を採用する必要性の理由
- 給与水準の妥当性
外国人本人が用意すべき必須書類12種類
外国人候補者に準備を依頼する書類は以下の通りです。
海外書類の取得には時間がかかるため、早めに依頼することが重要です。
書類名 | 取得場所 | 注意点 | 準備期間 |
1. 在留カード(写し) | 本人保管 | 両面コピー必須、有効期限確認 | 即日 |
2. パスポート(写し) | 本人保管 | 身分事項ページ、有効期限確認 | 即日 |
3.住民票 | 居住地市区町村 | 在留資格・期間記載版 | 1週間 |
4. 卒業証明書 | 出身校 | 原本または公証翻訳 | 2-8週間 |
5. 成績証明書 | 出身校 | 学習内容確認用 | |
6. 職歴証明書 | 前職場 | 在職期間・職務内容記載 | 2-4週間 |
7. 健康診断書 | 医療機関 | 3ヶ月以内受診 | 1週間 |
8. 履歴書 | 本人作成 | 在留資格記載欄要 | 1週間 |
9. 職務経歴書 | 本人作成 | 詳細な業務内容記載 | 1週間 |
10. 写真 | 写真展等 | 申請用規格準拠(4cm×3cm) | 1日 |
11. 申請書 | 本人記入 | 正確な情報記載 | 1週間 |
12. 手数料 | 本人負担 | 収入印紙で納付 | | 即日 |
海外書類取得の重要ポイント

「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。
引用元:外務省「アポスティーユ」
提出先国はハーグ条約締約国のみです。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。
雇用契約書作成時の7つの重要ポイント
外国人採用における雇用契約書は、単なる労働契約だけでなく、ビザ申請の重要書類でもあります。
以下の7つのポイントを必ず盛り込んでください。
1. 多言語対応の実施
- 候補者の母国語または英語での併記する
- 専門用語には注釈を追加する
- 重要条項は太字やハイライトで強調する
- 理解度確認のための面談を実施する
2. 停止条件の明記
停止条件:本契約は、甲(外国人)が就労可能な在留資格を取得することを条件とし、在留資格認定証明書が交付され、かつ在留資格を取得した時点で効力を生じるものとする。在留資格が取得できない場合、本契約は自動的に無効となり双方に損害賠償義務は生じないものとする。
3. 労働条件の詳細記載
- 職種・職務内容:在留資格に適合する業務内容を具体的に記載
- 就業場所:主たる勤務地と転勤の可能性
- 勤務時間:始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働
- 給与・諸手当:基本給、諸手当の内訳、支払方法・支払日
4. 在留資格関連の特約条項
- 在留期限の更新手続きへの協力義務
- 在留資格変更時の事前報告義務
- 在留カード紛失時の速やかな報告義務
- 不法就労となる業務の禁止
5. トラブル防止条項
- 試用期間:期間と条件の明確化
- 解雇事由:客観的で合理的な理由の明示
- 退職手続き:退職時の在留資格への影響説明
- 機密保持:退職後も含む情報管理義務
6. 社会保険・税務の説明
- 健康保険・厚生年金保険への加入義務
- 雇用保険・労災保険の適用
- 所得税・住民税の源泉徴収
- 年末調整の手続き
7. 文化的配慮事項
- 宗教的配慮の範囲(祈り時間・服装等)
- 母国の祝日に関する配慮
- 日本語研修の提供
- 生活支援の内容(住居確保支援等)
就労ビザ申請に必要な書類一覧
代表的な就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の申請に必要な書類を、企業規模別に整理しました。企業の分類により必要書類が大きく異なります。
企業分類の判定基準
カテゴリー | 企業の特徴 | 主な判定基準 |
カテゴリー1 | 上場企業・大企業 | 日本の証券取引所に上場、保険業法に規定する相互会社等 |
カテゴリー2 | 中企業 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表で源泉徴収税額が1,000万円以上 |
カテゴリー3 | 小企業 | 前年分の法定調書合計表で源泉徴収税額が1,000万円未満 |
カテゴリー4 | 新設企業等 | 新規設立企業、個人事業主等 |
カテゴリー別必要書類
カテゴリー1(審査期間:1-2ヶ月)
- 基本申請書類のみで申請可能
- 財務関係書類の提出不要
- 審査が最も迅速
必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(4cm×3cm)
- 雇用契約書
- 履歴書
- 大学の卒業証明書・成績証明書
カテゴリー2(審査期間:1-3ヶ月)
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印要)
- その他はカテゴリー1と同様
カテゴリー3(審査期間:2-4ヶ月)
- 前年分の法定調書合計表
- 会社案内書
- 登記事項証明書
- 決算書類(直近年度の貸借対照表・損益計算書)
- 基本申請書類
カテゴリー4(審査期間:3-6ヶ月)
- カテゴリー3の全書類
- 事業計画書
- 資本金等の額を証明する資料
- 役員の履歴書
申請時の重要な注意事項

4.ケース別入社前手続きの完全ガイド

国内転職者採用の場合【在留資格変更・就労資格証明書】
既に日本で就労している外国人を中途採用する場合の手続きです。比較的短期間で完了しますが、在留資格の適合性確認が最重要ポイントとなります。
手続きの全体フロー(所要期間:1-3ヶ月)
Step1:在留資格の適合性確認(1週間)
現在の在留資格で新しい業務が実行可能か詳細確認を行います。
- 「技術・人文知識・国際業務」内での職種変更確認をする
- 技術系→人文系、人文系→国際業務への変更が可能か不可能かの確認をする
- 業務内容の詳細を比較しそれぞれの業務に適合するかを判断する
- 必要に応じて出入国在留管理庁へ事前の相談を行う
注意すべき制限事項
- 「技術」で許可された者が単純労働を行うことは不可
- 「国際業務」で許可された者が技術的業務のみを行うことは不適切
- 業務内容の大幅な変更は在留資格変更が必要な場合あり
Step2:就労資格証明書の申請(任意・推奨)
- 申請時期:転職前または転職後速やかに
- 審査期間:即日〜3ヶ月(通常1ヶ月程度)
- 申請場所:居住地管轄の地方出入国在留管理局
- 申請料:1,200円(収入印紙)
Step3:転職に伴う届出手続き(14日以内・法的義務)
- 契約機関に関する届出または活動機関に関する届出
- 出入国在留管理庁への提出(郵送・電子申請・窓口)
- 本人申請が原則(企業による代行も委任状があれば可能)
必要書類の詳細チェックリスト

留学生新卒採用の場合【在留資格変更許可申請】
留学ビザから就労ビザへの変更は、新卒採用で最も多いパターンです。卒業のタイミングと申請時期の調整が成功の鍵となります。
手続きの詳細スケジュール(所要期間:2-4ヶ月)
12月:申請準備開始(4月入社の場合)
- 内定通知書の発行
- 必要書類の案内と準備開始
- 卒業見込み証明書の取得
- 成績証明書の準備
1月:書類準備完了
- 雇用契約書の作成・締結
- 企業側必要書類の準備完了
- 申請書の作成・確認
- 添付書類の最終チェック
2月:在留資格変更許可申請
- 申請時期:卒業3ヶ月前〜卒業前
- 申請場所:居住地管轄の地方出入国在留管理局
- 審査期間:1-3ヶ月
- 申請料:4,000円(収入印紙)
3月:卒業・追加書類提出
- 卒業証明書の取得・提出
- 学位記の写しの提出
- 最終成績証明書の提出
4月:許可通知・入社
- 在留カードの受け取り
- 新しい在留資格での入社
- 社会保険等の手続き開始
留学生採用の必要書類一覧

海外からの招聘採用の場合【在留資格認定証明書】
海外在住者を日本に招聘して採用する場合は、最も複雑で時間のかかる手続きとなります。国際的な書類取得と翻訳が必要で、計画的な準備が成功の条件です。
詳細手続きフロー(所要期間:3-6ヶ月)
Phase1:内定・基本書類準備(1-2ヶ月)
10月:内定通知・書類案内
- 採用内定通知書の発行
- 必要書類リストの送付
- 海外書類取得スケジュールの調整
- 翻訳・認証手続きの説明
11月:海外書類取得・翻訳
- 卒業証明書・成績証明書の取得
- 職歴証明書・推薦状の取得
- アポスティーユ認証または領事認証
- 公証翻訳の手配
Phase2:在留資格認定証明書申請(3-4ヶ月)
12月:申請書類準備完了
- 申請場所:企業所在地管轄の地方出入国在留管理局
- 審査期間:1-3ヶ月(企業規模により変動)
- 申請料:無料
1-3月:審査期間
- 追加書類要求への対応
- 審査状況の確認
- 必要に応じて補強書類の提出
Phase3:査証申請・入国準備(1ヶ月)
3月:認定証明書取得・送付
- 在留資格認定証明書の受領
- 海外の候補者への証明書送付
- 査証申請書類の準備案内
4月:査証申請・入国
- 現地日本領事館での査証申請
- 航空券手配・入国準備
- 日本到着・入社手続き
海外招聘採用の必要書類(詳細版)

海外書類取得の実務ポイント
認証手続きの詳細
- ハーグ条約加盟国:アポスティーユ認証で完了
- 非加盟国:外務省認証→日本領事館認証の2段階
- 認証費用:国により異なるが、1書類あたり50-200ドル程度
- 認証期間:2-8週間(国により大幅に異なる)
重要な期限管理
- 在留資格認定証明書の有効期限⇒発行から3ヶ月
- 査証申請の処理期間⇒通常5営業日(国により変動)
- 入国期限⇒査証発給から3ヶ月以内
- 航空券手配⇒認定証明書取得後に手配開始
外国人留学生採用の方法について、企業が知っておくべき重要ポイントを含めもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
5.入社後に必要な届出と手続き書類

出入国在留管理庁への2つの重要な届出
外国人が転職・就職した場合、14日以内に出入国在留管理庁への届出が法的に義務付けられています。在留資格により届出の種類が異なるため、正確な判別が必要です。
契約機関に関する届出の対象者 (以下の在留資格を持つ中長期在留者が対象)
- 高度専門職1号イ・ロ
- 高度専門職2号(イ・ロに該当する活動)
- 研究
- 技術・人文知識・国際業務
- 興行(契約に基づく場合)
- 技能
活動機関に関する届出の対象者 (以下の在留資格を持つ中長期在留者が対象)
- 教授
- 高度専門職1号ハ
- 高度専門職2号(ハに該当する活動)
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 教育
- 企業内転勤
- 技能実習
- 留学
- 研修
届出の具体的手続き
項目 | 詳細内容 |
提出期限 | 契約締結・活動開始から14日以内(土日祝日も含む) |
提出先 | 出入国在留管理庁(郵送・電子申請・窓口持参) |
提出者 | 本人(企業による代理提出も可能、委任状必要) |
手数料 | 無料 |
必要書類と記載事項
- 届出書(在留資格に応じた様式を使用)
- 在留カードの写し
- 契約書または雇用証明書の写し
- 代理提出の場合は委任状

ハローワークへの外国人雇用状況届出
外国人雇用状況の届出は、国籍を問わずすべての外国人を雇用する事業主に義務付けられた重要な手続きです。雇用保険加入の有無により手続き方法が異なります。
雇用保険に加入する場合の手続き
- 届出書類:雇用保険被保険者資格取得届
- 提出期限:雇用した月の翌月10日まで
- 提出先:事業所管轄のハローワーク
- 特記事項:外国人雇用状況届出を兼ねるため、別途届出は不要
雇用保険に加入しない場合の手続き
- 届出書類:外国人雇用状況届出書(様式第3号)
- 提出期限:雇用開始日の翌月末日まで
- 提出先:事業所管轄のハローワーク
届出に必要な詳細情報
- 外国人労働者の基本情報
- 氏名(ローマ字・カタカナ)
- 在留資格・在留期間
- 生年月日・性別
- 国籍・地域
- 居住・身分情報
- 住所地(都道府県名まで)
- 在留カード番号(または外国人登録番号)
- 雇用関係情報
- 雇用開始年月日
- 雇用形態(常用・有期雇用・派遣・請負)
- 従事する業務内容(具体的に記載)

社会保険関係手続きの完全ガイド
外国人労働者も日本人と同様に社会保険への加入が必要です。適用要件を満たす場合は必ず加入手続きを行ってください。
健康保険・厚生年金保険の手続き
- 届出書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 提出期限:雇用開始日から5日以内(休日除く)
- 提出先:管轄の年金事務所または健康保険組合
- 提出方法:窓口持参・郵送・電子申請
必要添付書類
- 雇用契約書の写し
- 出勤簿または労働者名簿
- 賃金台帳
- 住民票(場合により)
雇用保険の詳細手続き
- 届出書類:雇用保険被保険者資格取得届
- 提出期限:雇用開始月の翌月10日まで
- 提出先:事業所管轄のハローワーク
雇用保険加入の要件
- 週所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
- 学生でない(例外あり)
労災保険の取り扱い
- 労働者の個別手続きは不要
- 事業所単位での保険関係成立届が必要
- 外国人労働者も自動的に適用対象
- パート・アルバイトも適用対象
保険料の計算と負担割合
保険種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 備考 |
健康保険 | 約5%(協会けんぽの場合) | 約5% | 標準報酬月額に基づく |
厚生年金 | 9.15% | 9.15% | 標準報酬月額に基づく |
雇用保険 | 0.6%(一般事業) | 0.95% | 賃金総額に基づく |
労災保険 | 0% | 業種により異なる | 事業主全額負担 |
税務・労務関係の重要手続き
外国人労働者の税務手続きは、居住者・非居住者の判定から始まり、適切な税額計算と源泉徴収が必要です。
所得税関係の重要手続き
1. 居住者・非居住者の判定基準
- 居住者:日本国内に住所を有する、または1年以上居所を有する者
- 非居住者:居住者以外の者
- 課税範囲:居住者は全世界所得、非居住者は国内源泉所得のみ
2. 扶養控除等申告書の取り扱い
- 提出期限:雇用開始時(遅くとも最初の給与支払前)
- 様式:日本語版に加え、外国語版の提供推奨
- 記載事項:配偶者・扶養親族の詳細情報
- 海外扶養親族:親族関係書類と送金
3. 源泉徴収の実施方法
- 居住者の場合:給与所得の源泉徴収税額表を適用
- 非居住者の場合:一律20.42%(復興特別所得税含む)
- 賞与の取り扱い:居住者・非居住者で税率が異なる
6.書類準備で失敗しないための実務ポイント

よくある書類不備3つのパターンと対策
外国人採用の現場で頻繁に発生する書類不備を事前に把握し、対策を講じることで、手続きの遅延や申請却下を防げます。実際の発生頻度と具体的な対策方法をご紹介します。
パターン1:在留カード・パスポートの有効期限切れ
典型的な失敗例:面接時に有効期限を確認せず、申請時に期限切れが判明
対策方法
- 面接時に必ず有効期限を確認し、6ヶ月以内に期限が切れる場合は事前更新を依頼
- 書類確認チェックシートを作成し、複数人でダブルチェック体制を構築
- 更新手続きの所要期間(1-2ヶ月)を考慮したスケジュール調整
パターン2:翻訳書類の不備・認証不足
典型的な失敗例:Google翻訳等の機械翻訳を使用、認証手続きの漏れ
対策方法
- 海外書類は必ず公証翻訳または認証翻訳を使用
- 翻訳者の資格(法廷翻訳者、公証翻訳者等)を事前確認
- アポスティーユ認証または領事認証の要否を国別に整理
パターン3:申請書の記載ミス・空欄放置
典型的な失敗例:申請書の空欄放置、フリガナの記載漏れ、チェック欄の未記入
対策方法
- 申請書作成用の詳細チェックリストを作成
- 記載例・サンプルを用意し、参照しながら作成
- 「該当なし」の場合も空欄にせず「なし」「該当なし」と明記
※外国人の氏名は在留カード記載どおりに正確に転記すること
申請期間と審査期間の正確な見積もり方法
外国人採用の成功には、正確なスケジュール管理が不可欠です。以下の基準を参考に、十分な余裕をもった計画を立ててください。
標準審査期間と遅延リスクの詳細分析
申請種類 | 標準期間 | 遅延要因 | 対策 | 余裕期間設定 |
在留資格認定証明書 | 1-3ヶ月 | 書類不備、追加資料要求、海外書類取得遅延 | 事前チェック強化、専門家確認 | +1.5ヶ月 |
在留資格変更許可 | 2週間-2ヶ月 | 卒業遅延、成績不良、アルバイト超過履歴 | 早期成績確認、生活指導 | +1ヶ月 |
就労資格証明書 | 2週間-3ヶ月 | 転職回数多、業務内容大幅変更 | 事前相談、丁寧な説明書作成 | +3週間 |
効果的なスケジュール管理手法
- 進捗管理体制
- 週次進捗確認ミーティングの実施
- 外国人候補者との定期連絡(週1回)
- 遅延アラート機能の設定
- リスク対応準備
- 複数の入社時期オプションの準備
- 代替シナリオの事前検討
- 緊急時対応マニュアルの作成
法的リスクを完全回避する7つのチェックポイント
外国人採用には特有の法的リスクが存在します。以下のチェックポイントを必ず確認し、コンプライアンス体制を確立してください。
1. 不法就労助長罪の完全防止
- ✅ 在留カードの真正性確認(読取アプリ使用必須)
- ✅ 就労制限の有無の詳細確認
- ✅ 在留期限と業務継続可能期間の確認
- 罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金、企業名公表
2. 職業安定法の厳格遵守
- ✅ 面接時の国籍・宗教・政治的思想に関する質問の完全禁止
- ✅ 在留カード確認のタイミング適正化(採用決定後)
- ✅ 差別的取り扱いの防止(募集条件、労働条件等)
3. 労働基準法の平等適用
- ✅ 同一労働同一賃金の原則厳守
- ✅ 最低賃金法の完全遵守(地域別最低賃金の確認)
- ✅ 労働時間規制の適用(残業代計算含む)
4. 個人情報保護法の厳格適用
- ✅ 在留カード・パスポートの適切な管理(コピー保管、原本即時返却)
- ✅ 不要書類の速やかな廃棄(シュレッダー処理)
- ✅ 第三者への情報提供制限(本人同意なき開示禁止)
5. 外国人雇用状況届出義務の履行
- ✅ 期限内での確実な届出実施(雇用・離職両方)
- ✅ 正確な情報の記載(虚偽記載は罰金対象)
- ✅ 届出内容変更時の速やかな修正届出
6. 社会保険加入義務の適正履行
- ✅ 適用要件の正確な判定(労働時間、雇用期間)
- ✅ 期限内での加入手続き(健康保険5日以内、雇用保険翌月10日まで)
- ✅ 保険料の適正計算と徴収
7. 税務申告義務の完全履行
- ✅ 居住者・非居住者の正確な判定
- ✅ 源泉徴収の適正実施(税率・控除額)
- ✅ 年末調整の確実な実施(海外扶養親族含む)
7.2025年の制度変更と最新動向

2025年に変更された外国人採用関連制度
2025年には外国人採用に関わる重要な制度変更が複数実施されています。これらの変更は企業の採用実務に直接影響するため、最新情報の把握と対応が必要です。
在留資格手続きのデジタル化推進
デジタル化の推進
- 電子申請システムの機能拡充
- 在留資格変更許可申請の電子申請対象拡大
- 添付書類のデジタル化対応(PDF形式での提出可能)
- 審査状況のリアルタイム確認機能追加
- マイナンバーカードとの連携強化
- 在留カード情報とマイナンバーの一元管理
- 各種手続きでのマイナンバーカード活用推進
- 審査期間の短縮効果⇒一部手続きで最大30%の審査期間短縮を実現
外国人雇用状況届出の完全電子化移行
- 2025年4月開始
段階的に電子届出システムへ移行 - 大企業の義務化
従業員300人以上の企業は電子届出が原則義務 - 中小企業向け簡易システム
操作性を重視した専用システムを新規導入 - API連携機能
既存の人事システムとの連携による自動化推進

今後の外国人採用トレンドと対策
2025年以降、優秀な外国人材の確保競争がさらに激化することが予想されます。
企業が今準備すべき重要項目
◆重要事項◆
- 社内体制の構築
- 外国人採用専門チームの設置
- 多言語対応可能な人材の確保・育成
- 文化的多様性への理解促進研修の実施
- システム・環境整備
- 多言語対応の業務システム導入
- バーチャル面接環境の構築
- 文化的配慮を反映した労働環境の整備
- 継続的な制度対応
- 法制度変更への迅速対応体制確立
- 専門家ネットワークの構築・維持
- 業界団体や同業他社との情報共有体制
- リスク管理の強化
- コンプライアンス体制の定期見直し
- 緊急時対応マニュアルの更新
- 国際情勢変化への対応準備
2026年以降の展望
- 完全デジタル化
すべての在留資格手続きの電子化完了予定 - 国際的な人材データベース
アジア圏での人材情報共有システム構築 - AI審査システム
一部の在留資格審査へのAI導入検討 - 多国間協定
外国人材の相互受け入れ協定の拡大

これらのトレンドを踏まえ、企業は中長期的な視点で外国人採用戦略を策定し、継続的な競争優位性の確保を図ることが重要です。
8.外国人採用を成功に導く書類準備の重要性

外国人採用の成功には、面接・入社前・入社後の各段階で適切な書類準備と手続きが不可欠です。
在留資格の確認、偽造対策、スケジュール管理、多言語対応を確実に実施することで、法的リスクを回避しながら優秀な外国人材を確保できます。
2025年の制度変更に対応し、デジタル化を活用した継続的な外国人採用体制を構築してください。
不明な点は専門家に相談し、最新情報に基づいた適切な手続きで、外国人材の力を最大限活用した組織づくりを実現しましょう。
外国人労働者の受け入れ制度の種類や特徴、必要な受入条件などについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
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