外国人材の採用に興味はあるものの、「在留資格の申請手続きが複雑で不安」「必要書類が多すぎて対応できない」といった悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか。
そんなときに心強い味方となるのが、ビザ申請や法的手続きに精通した「行政書士」です。
行政書士は、在留資格の取得・更新・変更に関する申請や、雇用関連の書類作成などを企業に代わって対応できる国家資格者です。
本記事では、外国人雇用において行政書士が果たす役割や依頼すべき具体的な業務、さらには信頼できる行政書士の見つけ方までを網羅的に解説します。
- 外国人雇用時に行政書士が対応できる具体的な業務内容と依頼するメリット
- 就労可能な在留資格の種類と特徴、特に重要な「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い
- 外国人雇用に強い行政書士の選び方と違反リスクを防ぐための予防的活用法
1.外国人雇用で行政書士が果たす重要な役割とは

外国人材を採用する際には、就労ビザ(在留資格)の取得・変更・更新手続きや、雇用に関連する各種書類の作成、法令に基づく届出など、多くの行政手続きが必要となります。
こうした専門的かつ煩雑な業務をスムーズに進めるうえで、行政書士の存在は欠かせません。
行政書士が対応できる主な業務と企業が直面しがちな課題
行政書士は、入管業務に精通した国家資格者として、以下のようなサポートを行います。
- 在留資格の申請・変更・更新手続きの代行
- 雇用契約書の確認とリーガルチェック
- 外国人の就労資格の適法性チェック
- 入管法違反を防ぐための事前アドバイス
特に、初めて外国人を雇用する企業にとっては、制度の理解不足からくるミスが大きなリスクになります。
行政書士に相談・依頼することで、手続きの正確性と効率が高まり、安心して外国人材の受け入れを進めることができるのです。

行政書士はこれらの課題を解決し、スムーズな外国人雇用を実現します。
入管と特定技能制度の関係性についてはこちらの記事で詳しく書かれています。
外国人雇用を行政書士に依頼するメリットとコスト削減効果
外国人雇用の手続きを行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

コスト面では、一見費用がかかるように思えますが、長期的には以下のような削減効果があります。
- 申請の不備による再申請や手続き遅延のコスト回避
- 社内リソースの効率的な活用
- 違反による罰金や事業停止などのリスク回避
- 採用プロセスの効率化による人材確保コストの削減
特に「届出済申請取次行政書士」に依頼すれば、申請手続きの書類作成だけでなく、申請や在留カードの受取まで完全に代行してもらえるため、企業担当者が入管に出向く必要がなくなります。
2.行政書士に依頼すべき外国人雇用関連の主要業務

外国人雇用に関して行政書士に依頼すべき主要な業務は多岐にわたります。特に重要なのは、在留資格に関する手続きや書類作成のサポートです。
外国人が日本で適法に働くためには、適切な在留資格を持っている必要があり、この手続きは複雑で専門知識が求められます。
行政書士は入管法に精通しており、在留資格の取得から更新、変更までの一連の手続きをサポートします。
また、雇用契約書などの関連書類の作成・確認や、外国人雇用状況の届出など、企業が法的に求められる手続きについても支援を提供します。
これらの業務を行政書士に依頼することで、企業は法的リスクを回避しながら、効率的に外国人雇用を進めることができます。以下、具体的な主要業務について説明します。
在留資格の申請・更新・変更サポート
在留資格(いわゆる「就労ビザ」)の手続きは、外国人雇用において最も重要かつ複雑な部分です。行政書士は以下のようなサポートを提供します。

「届出済申請取次行政書士」に依頼すれば、申請手続きの書類作成はもちろん、申請や在留カードの受取まで完全に代行できるため、企業担当者や外国人本人が入管に出向く必要がなく、時間と労力を大幅に節約できます。
また、在留資格の申請には、企業側と外国人本人それぞれの要件を満たす必要があり、行政書士はこれらの要件を確認し、最適な申請戦略を提案します。
雇用契約書や関連書類の整備支援
外国人を雇用する際には、在留資格の申請に必要な各種書類の作成・整備が求められます。行政書士は以下のような書類の作成・確認をサポートします。
サポート業務一例 | 業務内容 |
---|---|
雇用契約書 | 在留資格申請の重要な添付書類となる雇用条件を明記した契約書 |
会社概要 | 企業の事業内容や規模を証明する書類 |
事業計画書 | 特に経営・管理ビザなどで必要となる事業計画の説明書 |
職務経歴書・学歴証明 | 外国人の専門性や学歴を証明する書類の作成支援 |
これらの書類は在留資格の審査において重要な判断材料となるため、適切な内容と形式で作成することが不可欠です。
行政書士は入管の審査基準を熟知しており、許可を得やすい書類の作成をサポートします。
また、雇用契約書は労働基準法に準拠している必要があり、外国人特有の条件(在留資格の範囲内での就労など)も明記する必要があります。
行政書士はこれらの法的要件を満たした書類作成を支援します。
3.外国人雇用に必要な在留資格の基礎知識

外国人を雇用する際には、その外国人が適切な在留資格(ビザ)を持っているかどうかを確認することが極めて重要です。
在留資格とは、外国人が日本に滞在して特定の活動を行うことを認める資格であり、全部で29種類あります。
在留資格は大きく分けて、
- 就労が認められる資格
- 原則として就労が認められない資格
- 就労活動に制限がない資格
この3つに分類されます。
企業が外国人を雇用する際には、その外国人がどの在留資格を持っているか、またはどの在留資格を取得すべきかを理解した上で、適切な手続きを行う必要があります。
法的には、在留資格とビザ(査証)は異なるものですが、一般的には「就労ビザ」という言葉で、就労可能な在留資格を指すことが多いです。
就労可能な在留資格とその特徴
日本で就労が認められる在留資格は全部で19種類あります。その中でも主に企業で雇用されることの多い在留資格は以下の通りです。

また、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つの在留資格は、就労活動に制限がないため、どのような仕事にも就くことができます。
企業が外国人を雇用する際には、その職種や業務内容に合った在留資格を選択し、必要な要件を満たすことが重要です。
技術・人文知識・国際業務ビザと特定技能ビザの基本理解
企業での外国人雇用で特に重要な「技術・人文知識・国際業務」ビザと「特定技能」ビザについて、その基本的な違いと特徴を理解しておきましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザ
- 対象者:大学や専門学校で専攻した科目や過去の実務経験が活かせる業務に従事する外国人
- 学歴要件:原則として大学卒業以上(または同等の専門学校卒業)が必要
- 在留期間:1年、3年、5年のいずれか
- 更新回数:制限なし
- 家族の帯同:可能
例えば、IT企業でのシステムエンジニア、貿易会社での通訳・翻訳、英会話学校での語学講師などが該当します。
特定技能ビザ
特定技能1号
- 対象分野:介護、建設、農業など16分野の特定産業
- 技能レベル:分野ごとの試験に合格する必要あり
- 在留期間:最長5年まで
- 家族の帯同:原則不可
特定技能2号
- より高度な技能が必要
- 在留期間の更新に制限なし
- 家族の帯同が可能
企業は採用したい外国人の学歴、経験、職種などを考慮して、最適な在留資格を選択する必要があります。どちらが適切か判断が難しい場合は、行政書士に相談することをお勧めします。
4.行政書士と社労士の違いと企業が知っておくべきこと

外国人雇用では、行政書士と社会保険労務士(社労士)という2つの専門家が関わることがあります。
両者はそれぞれ異なる役割を担っており、企業が外国人を雇用する際には、それぞれの専門性を理解し、適切に活用することが重要です。
行政書士は主に入管法に基づく在留資格の申請や関連書類の作成を担当し、社労士は労働関係法令に基づく手続きや社会保険関連の手続きを担当します。
外国人雇用では、この2つの専門性が密接に関わるため、企業はその違いと役割分担を理解しておく必要があります。
外国人雇用での行政書士と社労士の役割の違い
行政書士と社会保険労務士の業務範囲には明確な違いがあり、外国人雇用における社会保険労務士の役割は以下のようになっています。
社会保険労務士の主な業務範囲
- ハローワークへの外国人雇用状況の届出
- 労働保険・社会保険の加入手続き
- 労働条件通知書の作成
- 労務管理に関するアドバイス
- 雇用契約の労働法的側面の確認
例えば、外国人を新たに雇用する場合、まずは行政書士が在留資格の申請をサポートし、次に社労士がハローワークへの届出や社会保険の加入手続きを行うといった連携が必要になります。
特に注意すべき点として、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」は法律上の義務ですが、この届出は行政書士の業務範囲外で、社労士が行う業務となります。
企業が届出を怠ると罰則の対象となるため、適切な専門家に依頼することが重要です。
5.行政書士選びで失敗しないための2つの視点

外国人雇用に関する手続きを行政書士に依頼する際、適切な専門家を選ぶことが成功への鍵となります。
すべての行政書士が外国人雇用に精通しているわけではなく、この分野には特有の知識や経験が必要です。行政書士選びを誤ると、申請の不備や遅延、最悪の場合は許可が下りないといったリスクが生じます。
適切な行政書士を選ぶためには、「専門性と実績」および「料金体系と対応範囲」という2つの視点から候補者を評価することが重要です。
これらの視点で適切な行政書士を見極めれば、外国人雇用の手続きをスムーズに進めることができます。
外国人雇用に強い行政書士の見分け方と実績確認
外国人雇用に強い行政書士を見分けるためのポイントは以下の通りです。
実績確認の際は、単に「外国人ビザ申請を多数取り扱っています」といった曖昧な表現ではなく、具体的な数字や事例を示せる行政書士を選ぶことが重要です。
また、自社の業種や採用したい外国人の状況に類似した事例の経験があるかを確認すると良いでしょう。
料金体系・対応範囲・相談体制の確認ポイント
行政書士に依頼する際の費用対効果を最大化するためには、料金体系や対応範囲、相談体制を事前に確認することが重要です。
1. 料金体系の確認ポイント
- 明確な料金表の有無:見積もりが透明で分かりやすいか
- 基本料金と追加料金の区分:どのようなケースで追加料金が発生するか
- 成功報酬制か固定料金制か:申請が不許可の場合の料金はどうなるか
- 料金に含まれるサービスの範囲:申請後のフォローや在留カード受取代行なども含まれるか
2. 対応範囲の確認ポイント
- 申請取次までか書類作成のみか:申請書類の作成だけでなく、申請手続きまで代行してくれるか
- 申請後のフォロー体制:追加資料の要求や審査状況の確認などにも対応してくれるか
- 複数の在留資格に対応可能か:必要に応じて様々な在留資格の申請に対応できるか
- 他の専門家(社労士など)との連携:必要に応じて他の専門家と連携できる体制があるか
3. 相談体制の確認ポイント
- 初回相談の有無と費用:無料相談を実施しているか、有料の場合はいくらか
- 連絡手段と対応時間:電話・メール・オンラインなど、どのような方法で連絡が取れるか
- 担当者の一貫性:一人の担当者が最初から最後まで対応してくれるか
- 緊急時の対応:急ぎの案件や問題発生時にどのように対応してくれるか
選定の際は複数の行政書士に相談し、費用だけでなくサービス内容や相性も比較検討することをおすすめします。
最も安価な選択肢が必ずしも最善とは限らず、むしろ適切なサポートと高い成功率を持つ行政書士を選ぶことで、長期的にはコスト削減につながる場合が多いです。
具体的な確認方法としては、初回相談時に以下のような質問をするとよいでしょう。

行政書士との良好な関係構築は、単発の申請だけでなく、長期的な外国人雇用の成功において重要な要素となります。
信頼できるパートナーを見つけることで、外国人雇用における様々な課題をスムーズに解決できるようになります。
6.外国人雇用の違反リスクと行政書士の予防的活用

外国人雇用には様々な法的リスクが伴います。
不法就労や資格外活動、届出義務違反などの法令違反は、企業に対する罰則や社会的信用の失墜を招く可能性があります。
これらのリスクを適切に管理するためには、行政書士による予防的なサポートが有効です。
行政書士は外国人雇用に関する法令に精通しており、企業が知らずに違反してしまうリスクを事前に防ぐことができます。
また、定期的なチェックや更新手続きの管理など、継続的なサポートを通じて、企業の外国人雇用を適法に保つ役割を担います。
不法就労・資格外活動の防止と行政書士による法令チェック
不法就労や資格外活動は、企業に重大なペナルティをもたらす可能性がある違反です。主な違反リスクと行政書士による予防策は以下の通りです。

行政書士による予防策
採用前チェック
- 在留カードの真正性確認
- 在留資格と従事予定業務の整合性チェック
- 資格外活動許可の有無確認
定期的な法令順守状況の確認
- 在留期間の満了日管理
- 就労条件と在留資格の整合性の定期チェック
- 法令改正に伴う影響の確認
予防的アドバイス
- 外国人雇用に関する社内ガイドラインの作成支援
- 人事担当者向けの研修実施
- トラブル発生時の対応策の提案
行政書士は外国人雇用に関する法的リスクを事前に把握し、企業に適切なアドバイスを提供することで、知らないうちに法令違反を犯してしまうリスクを大幅に低減します。
特に中小企業や外国人雇用の経験が少ない企業にとって、この予防的サポートは非常に価値があります。
届出義務違反を防ぐ実務サポート
外国人雇用において、様々な届出義務があります。これらを怠ると罰則の対象となる可能性があるため、適切に管理することが重要です。
行政書士によるサポートで防止できる主な届出義務違反は以下の通りです。
主な届出義務
- 外国人雇用状況の届出
- 新たに外国人を雇い入れた場合:雇入れ日の翌月10日までにハローワークへ届出
- 外国人が離職した場合:離職日の翌月10日までにハローワークへ届出
- 届出義務違反には30万円以下の罰金
- 在留資格変更・更新の手続き
- 在留期間満了前の更新手続き
- 業務内容変更時の在留資格変更手続き
- 届出怠ると不法滞在となり、外国人は退去強制の対象に
- その他の届出義務
- 住所変更時の届出(外国人本人の義務だが、企業としても把握必要)
- 資格外活動許可の取得確認
重要なのは、単に届出書を作成するだけでなく、期限管理や制度変更への対応も含めたトータルなサポートを受けることです。
これにより、外国人雇用における法的リスクを継続的に管理することが可能になります。
7.行政書士をパートナーに外国人雇用を成功させよう

外国人雇用を成功させるためには、在留資格の申請や各種届出など複雑な法的手続きを適切に行うことが不可欠です。
行政書士は外国人雇用における法的手続きの専門家として、企業の大きな支えとなります。
専門性と実績を持つ行政書士を選び、長期的なパートナーシップを構築することで、外国人雇用の法的リスクを回避しながら、外国人材の力を最大限に活かすことができるでしょう。
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