外国人の在留手続きを効率化する「入管オンライン申請」。
従来は窓口での長時間待ちが必要でしたが、このシステムを利用すれば24時間いつでも、どこからでも申請が可能です。在留資格の認定や更新、変更など幅広い手続きに対応し、2025年4月からは窓口申請より手数料も安くなります。
この記事では、入管オンライン申請の準備から申請までの流れを5ステップで解説します。
- 入管オンライン申請の対象手続きと利用条件、必要な準備から申請完了までの具体的な5ステップ
- 複数名をまとめて申請できる一括申請の方法とCSVファイル作成のポイント
- 申請後の在留カード受け取り方法や申請中の証明方法、よくあるトラブルの解決法
1.入管オンライン申請とは?システムの基本と対象手続き

入管オンライン申請(在留申請オンラインシステム)とは、外国人の在留資格に関する手続きをインターネット上で行える便利なシステムです。
対象となる手続きは以下の通りです。
利用可能な申請種別
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 在留資格取得許可申請
- 就労資格証明書交付申請
- ②~④と同時に行う再入国許可申請
- ②~④と同時に行う資格外活動許可申請
※「外交」、「短期滞在」又は「特定活動(出国準備期間)」の在留資格を有する方又は当該在留資格への変更を希望する方は対象外です。
従来、これらの手続きは窓口で行う必要がありましたが、オンライン申請を利用すれば、24時間いつでも無料で手続きが可能です。時間や場所に制約されず、効率的に申請できます。
在留カードは郵送で、在留資格認定証明書は電子メールで受け取れます。また、窓口の混雑や待ち時間を避けられるため、スムーズに手続きを進められるのも大きなメリットです。
入管と特定技能の関係についてよく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
2.入管オンライン申請の利用条件と必要な準備

入管オンライン申請を利用できるのは、以下の方々です。
オンライン申請を利用できる方
- 外国人本人
- 法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人)
- 親族(配偶者、子、父または母、原則として、申請者が16歳未満の場合や、疾病その他の理由で自ら申請できない場合に限る)
- 弁護士・行政書士
- 外国人を受け入れている所属機関の職員
- 所属機関から依頼を受けた外国人の受け入れを支援する公益法人の職員
- 所属機関から依頼を受けた登録支援機関の職員
なお、④~⑦の方は、地方出入国在留管理官署で「申請等取次者」として承認されているか、承認要件を満たしている必要があります。
また、入管オンライン申請にあたっては、以下のシステム要件が求められます。
- 対応ブラウザ:「Google Chrome ver72」を推奨
- スマートフォンのブラウザでは正しく表示されない可能性があるため、パソコンでの利用を推奨
- 一括入力用テンプレート(エクセルファイル):「Microsoft Excel 2013」を推奨
提出書類(日本での活動内容や在留資格に応じた資料)を添付する際、ファイル形式はPDF(拡張子「.pdf」)です。ファイルサイズは10MB以下で、複数の資料がある場合は、ひとつのPDFファイルにまとめる必要があります。
参照元:
出入国在留管理庁「利用環境」
出入国在留管理庁「オンラインでの申請手続に関するQ&A」A4-2
3.入管オンライン申請の事前準備|利用申出の方法と注意点

入管オンライン申請を利用するには、事前準備が必要です。
利用申出の方法や必要な環境、書類の準備を整えておくことで、スムーズに手続きを進められます。
ここでは、入管オンライン申請を円滑に進めるためのポイントと注意点を紹介します。
利用申出書の必要書類と提出方法
外国人を受け入れる所属機関が入管オンライン申請を利用するには、管轄の地方出入国在留管理官署に「利用申出書」を提出する必要があります。
提出方法は郵送または窓口での受付となります。主な必要書類は以下の通りです。

申請者の立場によって、さらに追加書類が必要となる場合があります。
参照元:出入国在留管理庁「所属機関・公益法人・登録支援機関の職員の方 」 必要書類チェックシート
認証IDの取得から初回ログインまでの流れ
利用申出書が受理されると、認証IDが発行されます。このIDを使用して在留申請オンラインシステムにログインを行います。
有効期間は、新規利用申出が承認されパスワードを設定した日から1年間です。定期報告を行うことで、有効期間を1年間更新できます。
パスワード設定と利用環境の確認
利用申出が承認されると、在留申請オンラインシステムに利用者の情報が登録され、パスワード登録画面に進むためのメールが届きます。
メールを受信後、パスワード登録(初期設定)を完了することで、在留申請オンラインシステムを利用可能です。
4.入管オンライン申請の実践ガイド|5ステップで完了させる方法

以下では、初心者にもわかりやすいよう、5つのステップで入管オンライン申請をスムーズに完了させる方法を解説します。
STEP1:システムへのログインと申請種別の選択

最初に、入管のオンライン申請システムにログインします。所属機関の職員が申請する場合は、「法人、弁護士、行政書士」ボタンを選択してください。ログインには、認証IDとパスワードが必要です。
ログイン後、「申請情報入力(1件ずつ申請)」または「申請情報入力(一括)」を選択し、申請する種別と在留資格を入力します。

STEP2:申請者情報の入力と写真のアップロード
次に、申請者の基本情報を正確に入力します。氏名、国籍、学歴などが必要です。
また、在留カードの受領方法(郵送または窓口)も入力します。

ただし、オンライン申請の入力が完了しても、申請は確定しません。
顔写真や添付資料のアップロードが必要です。顔写真をアップロードする際、写真の背景や表情に規定があります。
写真のサイズは、縦4センチメートル、横3センチメートルで、提出日の6か月以内に撮影されたものが必要です。規定に合わない写真は申請が拒否される可能性があるため、適切な写真を用意しましょう。
STEP3:必要書類の添付と申請内容の確認
申請に必要な書類(日本での活動内容に応じた資料)をすべて添付します。
各書類は明確にスキャンまたは撮影し、PDF形式でアップロードし、ファイルサイズは10MB以下に抑えるよう注意しましょう。
書類を添付した後は、申請内容を慎重に確認し、誤りがないかチェックします。
STEP4:申請の送信と受付完了確認
申請内容を確認したら、「申請情報検索」ボタンをクリックし、「入管庁に申請を行う」ボタンをクリックしてください。申請を送信すると、「申請受付完了」の確認メールが届きます。
審査には通常1〜2か月かかります。送信後は、内容の変更ができないため、誤入力がないか事前に十分確認してください。
参照元:出入国在留管理庁「出入国在留管理庁 在留申請オンラインシステム 操作マニュアル ~ 所属機関等の職員用 ~」
STEP5:審査結果の受け取りと在留カードの更新
申請後、審査が行われ、結果は登録したメールアドレスに通知されます。
承認された場合、在留カードの更新手続きが進みます。在留カードの受け取り方法や追加の手続きについての案内が届くため、指示に従いましょう。
もし申請内容に不備があった場合は、修正して再申請が求められることもあるため、迅速な対応が必要です。
5.複数名の外国人をまとめて申請する一括申請の方法

一括申請は、複数名の在留申請を一度にまとめて行えるので効率的です。この方法を利用すれば、個別に申請する手間を省けます。
一括申請用データの作成方法とテンプレートの活用
一括申請を行うためには、指定されたテンプレートファイルを使用して、必要な情報を入力したデータを作成します。
ダウンロードしたエクセルファイルに従い、申請者情報を正確に記入し、その後、CSV形式で保存することで、一括登録の準備が整います。
テンプレートの使用方法やマクロの設定については、ファイル内の指示に従いましょう。
CSVファイルの作成時の注意点と必須項目
CSVファイルの作成時には、必須項目を漏れなく入力することが求められます。特に、電話番号や住所などは正確に入力し、全角と半角の使い分けにも注意が必要です。
さらに、ファイル編集後に保存形式をCSVに変更する際、テンプレートの規定を守ることが大切です。編集ミスがあると登録が失敗するため、確認作業は欠かせません。
一括申請の具体的な手順とトラブル対処法
一括申請の手順は、まず入管オンライン申請のメニュー画面の「テンプレートファイル」から該当するテンプレートをダウンロードして、申請情報を入力したCSVファイルを準備します。
次に、メニュー画面に戻り、「申請情報入力(一括)」ボタンをクリックして、申請種別や在留資格を選択した後、ファイルをアップロードします。
もしエラーが発生した場合、ファイルをアップロードして数分後にメールが届きます。
「エラー(一括登録)」となっている項目を選択した上で、「一括申請エラー」ボタンをクリックし、エラー内容を確認してください。修正後に入力内容を再確認し、問題がなければ完了です。
参照元:出入国在留管理庁「オンラインでの申請手続に関するQ&A」
6.入管オンライン申請でよくある質問と解決方法

入管オンライン申請を行う際に、よく直面する問題や疑問について解決方法をまとめました。
申請手続きの中で生じるトラブルや不明点を事前に把握し、スムーズに申請を進めるための参考にしてください。
申請中にエラーが発生した場合の対処法
オンライン申請でエラーが発生した場合は、エラーメッセージの内容を確認し、入力内容を再チェックしましょう。エラーの内容を確認し、その通りに修正する必要があります。
操作マニュアルの別紙「エラーメッセージ一覧」がありますので、そちらと照らし合わせて対処しましょう。
参照元:出入国在留管理庁「操作マニュアル~所属機関等の職員用~ 別紙『エラーメッセージ一覧』」
ファイルサイズが大きすぎる場合の対応策
オンライン申請でファイルサイズが10MBを超える場合、エラーメッセージが表示され、添付できません。
大きなファイルを添付する際は、ファイルサイズを圧縮するか、「資料添付に係る申告書(参考様式9)(Word)」を利用して提出する方法があります。
圧縮方法例
PDFファイルを圧縮する方法
- Adobe Acrobat(オフラインで圧縮)
- Windowsの「Microsoft Print to PDF」機能(無料・簡単) など
画像ファイル(JPEG・PNG)を圧縮する方法
- Windowsの「ペイント」で圧縮(無料・オフライン)
- あっしゅくまで端末内圧縮(無料・オフライン)
ファイル全体を圧縮したい場合はZIP圧縮する方法があります。
ファイル圧縮する際にフリーソフトなどを使う場合は、完全オフライン対応のソフトで圧縮しましょう。
オンライン圧縮サイトの利用は個人情報漏洩リスクがあるため使用してはいけません。
申請情報の入力ミスに気づいた場合の修正方法
申請が完了すると修正ができないため、速やかに地方出入国在留管理官署に問い合わせ、適切な修正手続きを行う必要があります。
入力ミスの内容によっては、先の申請を取り下げて再申請になるか、書面での資料提出が求められる可能性があります。
ミスに気が付いたら早めに入管に連絡して修正が可能か確認することが重要です。
ミスが虚偽申請とみなされたら今後の申請に影響が出るため、迅速に正直に報告することを心がけましょう。
オンライン申請の費用と支払い方法について
オンライン申請システム自体は無料で利用できますが、在留カードの発行や申請手続きには料金がかかります。
料金は申請内容によって異なり、収入印紙で納付する必要がありますので、事前に確認しておきましょう。
在留手続等に関する手数料の改定が2025年4月1日から改定されました。改定後手数料も併せて確認しておきましょう。
申請の進捗状況を確認する方法
在留申請オンラインシステムの「申請情報一覧」の「申請状態」欄から、進捗状況を確認できます。
オンライン申請の有効期限と定期報告について
オンライン申請の利用申出有効期間は、新規利用申出が承認され、パスワードを設定した日から1年間です。
継続利用を希望する場合は定期報告が必要です。定期報告を行うことで、さらに1年間の利用が継続できます。
参照元:出入国在留管理庁「オンラインでの申請手続に関するQ&A」
7.入管オンライン申請後の重要事項と注意点

入管オンライン申請後も、申請内容の確認や手続きの進捗管理は重要です。
ここでは、申請後に留意すべきポイントと対処方法を解説します。
申請中であることの証明方法
窓口申請とは異なり、入管オンライン申請後も在留カードには「申請中」の印が押されません。その代わり、「申請受付番号等が記載された受付完了メール」が申請中の証明として利用できます。
このメールは通常、申請の翌日に届くため、必ず携行しましょう。
参照元:出入国在留管理庁「【お知らせ】オンライン申請を行った場合に申請中(特例期間を含む)であることを証明することについて 」
在留カード受け取りのオプション(郵送・窓口)
在留カードの受け取り方法は、郵送と窓口のどちらかを選択できます。郵送を希望する場合は、必要書類を簡易書留またはレターパックで送付する必要があります。
参照元:出入国在留管理庁「オンラインでの申請手続に関するQ&A」A6-1
在留期限と申請タイミングの最適な管理方法
例えば、在留期間更新許可申請は、在留期間が6か月以上ある場合、在留期間満了の約3か月前から申請できます。
在留申請は期限内に行う必要があり、更新手続きは期限の1か月前までに済ませることが推奨されます。
特に在留資格の更新は、審査に1か月程度かかるため、早めに申請することが重要です。申請ミスやシステムエラーに備え、余裕をもって準備しましょう。
8.入管オンライン申請の2025年最新アップデートと今後の展望

既述していますが、2025年4月1日から在留手続きの手数料が変更されます。
在留資格変更許可の手数料は、窓口申請の場合6,000円、入管オンライン申請を利用する場合は5,500円と設定されています。
その他の申請手数料も値上げされ、入管オンライン申請を利用すると、窓口申請より約500円安くなるケースが多くなります。
多くの外国人を受け入れる企業や教育機関にとって、入管オンライン申請を利用することで削減できる費用は無視できません。
手続きの効率化やコスト削減の観点からも、オンライン申請の活用を検討しましょう。
9.入管手続きの効率化で、外国人採用の可能性を広げよう

入管オンライン申請は、在留手続きを時間や場所を問わず効率的に行える便利なシステムです。
準備から申請まで5ステップで完了でき、2025年4月からは手数料も窓口より安くなります。複数名の一括申請や申請後の流れも把握しておけば、スムーズに手続きを進められるでしょう。
外国人を受け入れる企業や教育機関にとって、コスト削減と業務効率化に大きく貢献するシステムといえます。
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