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インドネシア人介護士の採用完全ガイド|成功のコツを徹底解説

「2024年問題」により運送や建設等の物流・インフラコストが上昇する中、介護業界においても時間外労働の上限規制遵守とコスト管理の両立が、経営の戦略的制約条件となっています。

日本では2040年に約272万人の介護人材が不足する人材不足が見込まれており、外国人材の活用が急務となっています。

中でもインドネシア人介護士は、特定技能「介護」分野で国籍別最多の約3割を占め、注目度が高まっています。

本記事では、インドネシア人介護士の採用を検討している施設経営者・採用担当者向けに、4つの在留資格の違い、費用・スケジュール、イスラム教への配慮、定着支援のポイントまで網羅的に解説します。

この記事を読んでわかること
  • インドネシア人介護士を採用できる4つの在留資格の違いと選び方
  • 採用にかかる費用相場(年間300万〜420万円)とスケジュール(6〜9ヶ月)
  • イスラム教への配慮方法と長期定着を実現するための支援策

1.インドネシア人介護士が注目される背景と市場動向

インドネシア人介護士が注目される背景と市場動向

インドネシア人介護士への関心が高まっている背景には、日本国内の深刻な人材不足と、インドネシアという国が持つ特性が密接に関係しています。

まずは市場全体の動向を把握しておきましょう。

深刻化する介護人材不足とインドネシアの存在感

日本の介護業界が抱える人手不足は、年々深刻さを増しています。

厚生労働省の推計によると、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護人材が不足するとされています。

参考:厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

有効求人倍率も全産業平均を大きく上回る状態が続いており、日本人だけでの人材確保は極めて困難な状況です。

こうした中、外国人介護人材の受入れが急速に拡大しています。特に存在感を示しているのがインドネシア人です。

出入国在留管理庁の統計によれば、特定技能「介護」分野においてインドネシア人は国籍別で最多となっており、全体の約3割を占めています。

また、インドネシア政府の統計(BP2MI)によると、介護士は同国の出稼ぎ労働者数で第2位(5万人超)に位置しており、国を挙げて日本への人材送り出しを推進しています。

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インドネシアが介護人材供給国として選ばれる理由

インドネシアが介護人材の供給国として選ばれる理由は複数あります。

まず、人口約2.7億人を抱える世界第4位の人口大国であり、生産年齢人口が豊富です。若年層の労働力が多く、海外での就労意欲も高いことから、日本の介護業界にとって安定した人材供給源となっています。

また、インドネシアは親日国としても知られており、日本への好感度が高いことも特徴です。日本語教育が盛んで、高校や大学で日本語を学ぶ若者も少なくありません。

さらに、2008年にスタートしたEPA(経済連携協定)による介護福祉士候補者の受入れ実績は15年以上に及び、日本の介護現場で働くインドネシア人の評価が蓄積されてきたことも、信頼性の向上に寄与しています。

参考:国際厚生事業団 EPA外国人看護師・介護福祉士受入れのあらまし

2.インドネシア人が介護職に向いている理由

インドネシア人が介護職に向いている理由

インドネシア人が介護人材として高く評価されている背景には、文化的・言語的な特性が深く関係しています。

単なる労働力の確保という側面を超えて、介護という仕事との相性の良さが注目されています。

家族を大切にする文化が丁寧な介護につながる

インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、宗教的な教えに基づいて「年長者への敬意」が社会全体に深く根付いています。

家族の絆を大切にし、祖父母を敬い、困っている人を助けることが当然のこととして受け入れられています。

また、「ゴトン・ロヨン」と呼ばれる相互扶助の精神がインドネシア社会の基盤となっています。

地域コミュニティで助け合うこの文化は、介護現場におけるチームワークや、利用者への思いやりにそのまま直結します。

実際に、インドネシア人介護士を受け入れた施設からは「利用者やそのご家族から高い評価を得ている」「穏やかで丁寧な対応ができる」といった声が多く聞かれます。

文化的な素養が、介護という仕事への適性として発揮されているのです。

日本語習得が比較的スムーズな言語的特徴

インドネシア人が日本語を習得しやすい理由の一つに、言語構造の類似性があります。

インドネシア語と日本語は、主語・目的語・動詞(SOV)という語順が似ているため、文法の理解が比較的スムーズに進みます。

また、インドネシア語には日本語のような複雑な敬語システムが存在しません。これは一見デメリットに思えますが、実際には「丁寧な話し方」を先入観なく素直に吸収できるという利点があります。

介護現場で求められる敬語表現を、ゼロから正しく身につけやすいのです。

介護分野の特定技能試験において、インドネシア会場の合格率は約77%と高水準を維持しており、人材の質の高さと学習能力の高さが数字にも表れています。

学習意欲が高く成長志向が強い

インドネシア人介護士の多くは、日本での就労を「キャリア形成の機会」と捉えています単に働いてお金を稼ぐだけでなく、介護福祉士の国家資格取得を目指す人材も少なくありません。

介護の専門性を高め、将来的にはリーダーや指導者として活躍したい、あるいは帰国後に母国の介護業界で知識を活かしたいという意欲を持つ人材が多いことが特徴です。

研修や勉強会への参加にも積極的で、成長意欲の高さは採用側にとって大きな魅力となります。

3.インドネシア人介護士を採用できる4つの在留資格

インドネシア人介護士を採用できる4つの在留資格

インドネシア人を介護士として採用する際には、主に4つの在留資格を活用できます。

それぞれ制度の目的や要件、在留期間が異なるため、自施設の状況に合わせて最適なルートを選択することが重要です。

介護分野の在留資格 比較一覧表

在留資格 在留期間 主な特徴 日本語要件
特定技能「介護」 最長5年 即戦力として採用可能 N4相当以上
技能実習「介護」 3〜5年 育成前提の制度 N4以上
EPA(経済連携協定) 最長4年
(延長あり)
政府間協定に基づく N5程度〜
在留資格「介護」 無期限
(更新制)
介護福祉士資格保持者 資格取得レベル

※横にスクロールして表の全体を確認できます

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特定技能「介護」は即戦力採用に最適

特定技能「介護」は、2019年に創設された比較的新しい制度です。介護技能評価試験と介護日本語評価試験に合格した外国人を、即戦力として直接採用できます。

最大の特徴は「人員配置基準への算入」が採用初日から可能なことです。技能実習生のように6ヶ月間の猶予期間を待つ必要がなく、すぐに現場の戦力として活躍してもらえます。

在留期間は通算5年ですが、介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」へ移行し、無期限での就労が可能になります。

登録支援機関のサポートを受けながら運用できるため、初めて外国人採用に取り組む施設にも導入しやすい制度です。

技能実習「介護」は育成型の中長期採用に向く

技能実習制度は、外国人に日本の介護技術を学んでもらい、母国に持ち帰ってもらうことを目的とした制度です。

なお、2024年の法改正により、技能実習に代わり「育成就労」制度が新設されることが決定しています。

参考:出入国在留管理庁 育成就労制度

監理団体を通じた採用が必須であり、入国時に日本語能力試験N4以上の取得が要件となります。

在留期間は技能実習1号(1年)、2号(2年)、3号(2年)の合計で最長5年です。人員配置基準への算入には入国から6ヶ月の経過が必要ですが、時間をかけて自施設の方針や業務を習得してもらえるメリットがあります。

技能実習修了後は特定技能への移行も可能であり、最長10年の雇用につなげることもできます。じっくりと人材を育成したい施設に適した制度です。

EPA(経済連携協定)は政府間協定に基づく特別ルート

EPA(経済連携協定)は、日本とインドネシア政府間の協定に基づく特別な受入れルートです。2008年にスタートし、15年以上の実績があります。

参考:外務省 我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組

国際厚生事業団(JICWELS)が唯一の受入れ調整機関として機能し、候補者の選定から入国後の研修まで、公的なサポート体制が充実しています。入国後6ヶ月間の日本語研修を経て、施設に配属されます。

ただし、介護福祉士国家試験への合格が滞在延長の条件となるため、施設側も学習支援に積極的に投資する必要があります。

合格率は年々向上していますが、試験対策へのコミットメントが求められる点は認識しておきましょう。

在留資格「介護」は国家資格保持者向け

在留資格「介護」は、すでに介護福祉士の国家資格を持つ外国人が対象です。

この資格は「専門的・技術的分野」の在留資格であり、家族の帯同が認められるなど、他の3つとは法的地位が異なります。

在留期間の更新回数に制限がなく、長期的かつ安定した戦力として期待できます。

主な対象者は、EPAで来日し介護福祉士試験に合格した人材や、日本の介護福祉士養成校を卒業した留学生、技能実習・特定技能から資格を取得した人材などです。

即戦力であり、かつ長期定着が見込めるため、採用競争が激しくなる傾向があります。

自施設に最適な在留資格の選び方

どの在留資格を選ぶべきかは、施設の状況や採用方針によって異なります。以下の判断基準を参考にしてください。

ニーズ別・最適な在留資格

すぐに人員を確保したい
特定技能「介護」
時間をかけて育成したい
技能実習「介護」
公的サポートを重視したい
EPA
長期定着・即戦力を重視
在留資格「介護」

また、予算や受入れ体制、支援機関との連携のしやすさなども考慮し、複数の制度を併用する施設も増えています。

4.採用にかかる費用とスケジュールの目安

採用にかかる費用とスケジュールの目安

インドネシア人介護士の採用を検討する際、多くの経営者が気になるのが費用とスケジュールです。具体的な数字を把握することで、予算計画や採用時期の見通しを立てやすくなります。

初期費用と月額コストの内訳

インドネシア人介護士を1名採用する場合の費用は、在留資格によって異なりますが、おおむね以下のような内訳になります。

初期費用(採用時に発生)

項目金額目安
送り出し機関への紹介手数料20万〜40万円
渡航費(航空券代)5万〜10万円
入国前講習費10万〜20万円
ビザ申請・在留資格認定証明書交付手続き5万〜10万円
初期費用合計40万〜80万円

ランニングコスト(毎月・毎年発生)

項目金額目安(法的根拠となる最低賃金法の遵守)
給与月額18万〜22万円程度
登録支援機関への委託費月額2万〜3万円
住居手当・社宅費用月額3万〜5万円
社会保険料(事業主負担分)給与の約15%

年間総コストは、給与・手当・支援費用を含めておおむね300万〜420万円程度が相場です。

日本人を新規採用する場合の求人広告費や離職リスクを考慮すると、中長期的にはコストパフォーマンスが高いと評価する施設も多くあります。

※これらの費用は、各支援機関や送り出し機関との契約内容、および地域別最低賃金により変動するため、事前の精緻なシミュレーションが不可欠です。

採用から入国までの標準スケジュール

採用活動を開始してから実際に配属されるまでには、一般的に6〜9ヶ月程度の期間を見込む必要があります。

採用から配属までの流れ

STEP 01

送り出し機関への依頼
〜内定

期間:2〜3ヶ月
  • 候補者の選定
  • 書類選考
  • オンライン面接の実施
STEP 02

ビザ申請・入国前講習

期間:2〜4ヶ月
  • 在留資格認定証明書の取得
  • 現地での日本語研修
  • 介護技術・知識の講習
STEP 03

入国後研修〜配属

期間:1〜2ヶ月
  • 生活オリエンテーション
  • 施設での導入研修
  • 実務に向けた最終準備

人員計画を立てる際には、この期間を逆算して早めに採用活動を開始することが重要です。

特に、年度替わりの4月配属を希望する場合は、前年の夏頃から動き始める必要があります。

5.イスラム教への配慮と現場での受入れ体制

イスラム教への配慮と現場での受入れ体制

インドネシア人の約9割がイスラム教徒(ムスリム)です。

宗教への配慮が必要と聞くと負担に感じる方もいるかもしれませんが、実際には工夫次第で問題なく対応できます。むしろ、多様性を受け入れる姿勢は組織全体の成長につながります。

礼拝・食事・ラマダンへの具体的な対応方法

イスラム教徒の生活において特に配慮が必要なのは、礼拝、食事、ラマダン(断食月)の3点です。

礼拝(サラート)

イスラム教徒には1日5回の礼拝を行う習慣があります。1回の礼拝にかかる時間は5〜10分程度であり、休憩時間の調整や業務の合間を活用することで十分に対応できます。

礼拝のための専用スペースがあれば理想的ですが、更衣室や空き部屋など静かな場所を確保するだけでも問題ありません。

食事(ハラール)

イスラム教では、豚肉やアルコールを含む食品を避ける「ハラール」という食事規定があります。社員食堂がある場合は、メニューに使用食材を表示したり、豚肉を使わないメニューを用意したりすることで対応できます。多くの場合、本人が弁当を持参することで解決しています。

ラマダン(断食月)

ラマダン期間中(約1ヶ月)は、日の出から日没まで飲食を控えます。体力的な負担を考慮し、夜勤シフトを減らす、重労働を避けるなどの配慮を行う施設もあります。事前に本人と相談し、無理のない業務配分を決めておくことが大切です。

「配慮」は負担ではなく組織の成長機会になる

宗教への配慮を「負担」や「コスト」として捉えるのではなく、「組織の成長機会」と考えることが重要です。

多様な価値観を持つ人材を受け入れることで、日本人スタッフの異文化理解力が向上します。また、利用者にとっても、異なる文化を持つ介護士との交流は新しい刺激やコミュニケーションの機会になります。

多様な人材の受入れは、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営における『社会(S)』の側面からも評価される取り組みです。取締役の善管注意義務の観点からも、リスク管理体制の構築は重要視されています。

実際に外国人材を受け入れた施設からは「職場の雰囲気が明るくなった」「スタッフ同士の相互理解が深まった」といったポジティブな声が多く聞かれています。

事前の社内共有と研修が成功の鍵

宗教対応を成功させるために最も重要なのは、受入れ前に既存スタッフへの説明会を実施することです。

「なぜ礼拝が必要なのか」「どのような配慮が求められるのか」を事前に共有しておくことで、「特別扱い」ではなく「相互理解」というスタンスを職場全体で持つことができます。誤解や不満が生じにくくなり、インドネシア人スタッフも安心して働ける環境が整います。

また、困った時の相談窓口(登録支援機関など)を明確にしておくことも、現場の安心感につながります。

6.インドネシア人介護士に長く働いてもらうための定着支援

インドネシア人介護士に長く働いてもらうための定着支援

せっかく採用したインドネシア人介護士に長く活躍してもらうためには、採用後の定着支援が欠かせません。

キャリア面と生活面の両方からサポートすることで、離職を防ぎ、施設の中核人材として育成することができます。

キャリアパスの明示がモチベーションを高める

インドネシア人介護士の多くは、日本での就労を「キャリア形成の機会」と捉えています。将来の展望が見えないと、モチベーションが低下し、離職につながりかねません。

定着率を高めるためには、入社時点でキャリアパスを明示することが効果的です。具体的には以下のような支援が有効です。

  • 介護福祉士資格取得への学習支援
  • 資格取得後の在留資格変更の説明
  • 昇進・昇格の可能性の提示
キャリアパスの明示がモチベーションを高める

「この施設で頑張れば、自分の将来が開ける」という実感を持ってもらうことが、長期定着の鍵となります。また、「同一労働同一賃金」の原則に基づき、待遇差の合理的な説明が求められる中、職務内容に応じた公正な評価制度の構築が、日本人を含む全スタッフの定着に寄与します。

生活面のサポートも定着率に直結する

仕事だけでなく、生活面でのサポートも定着率に大きく影響します。異国での生活には不安がつきものであり、施設側のサポートが安心感につながります。

外国人スタッフの生活支援 4つの重要ポイント

安心して長く働ける環境づくりのために

POINT 01

住居のサポート

社宅や寮の提供、または物件探しをサポートします。入国直後は家電や生活必需品の準備も不可欠。受入れ時のチェックリストを作成しておくと、スムーズな新生活のスタートを支援できます。

POINT 02

通信環境の整備

母国の家族との連絡手段の確保は、精神的安定に直結します。Wi-Fi環境を整え、ビデオ通話などで家族といつでも繋がれる状態にすることで、ホームシックや孤独感を和らげることが重要です。

POINT 03

コミュニティ接続

地域社会や、同じ母国出身者のコミュニティ、登録支援機関などの外部相談窓口を紹介し、孤立を防止します。職場以外の「居場所」を確保することが、継続した就労を支える大きな要因となります。

POINT 04

定期面談の実施

定期的な面談を通じて、仕事や私生活の悩み、困りごとを早期にキャッチする体制を整えます。些細な変化に気づき、相談しやすい信頼関係を築くことで、大きな問題への発展を未然に防ぎます。

7.まとめ:インドネシア人介護士の採用を成功させるために

インドネシア人介護士は、年長者を敬う文化や高い学習意欲など、介護現場に適した強みを持つ人材です。

採用成功のカギは、自施設に合った在留資格の選択、イスラム教への適切な配慮、そしてキャリアパスを明示した定着支援にあります。

宗教対応を負担と捉えず、多様性を受け入れる組織文化の醸成機会と考えることが大切です。まずは登録支援機関や監理団体に相談し、自施設に最適な採用プランの検討から始めてみてください。

記事を書いた人
butterfly-effect
行政書士法人バタフライエフェクト
行政書士法人バタフライエフェクトは、外国人の就労ビザ取得、相談のエキスパートです。上場企業様から小規模の会社様まで、これまで10,000件以上の案件を支援。就労ビザを踏まえた外国人雇用のコンサルティングも行っており、年間実績1,500件、ビザの専門家が多数在籍しています。
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